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ガルの昔話

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本日はごろごろdayと決めたヒヨリは、『古代龍討伐の英雄、ガルディア・ガルファスについて』
の本を読む事にした。





ガルディア・ガルファス、ガルファス伯爵家次男として生まれるが、秘められた魔力が膨大で年齢と共に溢れ出る魔力を抑えられず、僅か3歳で聖力に守られた教会の特別機関に預けられる事になる。

特別機関とは巨大な聖力のバリア結界が貼られ、魔力を抑えられない子や魔力自体が膨大な子を保護する機関であり、また、勇者や優秀な英雄を作る為の育成機関でもある。

その優れた魔力を持つ子達の中でも何千年に1人と言われた子がガルディア・ガルファスだった。

王宮から派遣された剣術・魔法・体術、教育係達をわずか4歳で上回る勢いだった。

ガルディアは4歳にして膨大な魔力を抑える事成功したが、僅か4歳ということもあり、このまま機関へと残る事になり、ガルファス家に帰る事はなかった。

ガルディアはあまりに膨大な力を抑えるためか、感情を失い、表情も動く事はなく、周りの教師、聖職者、王族は彼を恐れ始めた。
彼は、3歳の時点で己の力の危うさを理解していたらしい。自分が泣けば、地面は割れ破壊するほどだと分かっていたのだ。
徐々に失う表情に1番心を痛めたのは当時の勉学、座学、生活力を担当し、育成機関の母代理でもあるアリアナ・ミームスである。
ミームス公爵家は代々魔力が高いと言われる家系で地属性を継いでいる。
この特別機関にもアリアナの子が7名も保護されているほどだ。

彼女は見守りながら、ガルディアを人間力を上げようとしたが、彼の表情は氷として動くことはなかった。

そして、ガルディア・ガルファスが英雄となる、事件が当時9歳の時に起こったのだ。




「なんじゃこりゃー!!!」

ヒヨリはベッドに寝転がりながら読んでいた本を震えさせた。


「え!?何?これ、マジで何!!」

俺が想像した英雄伝と違うし、めっちゃ重いし、アリアナさん出てるし!!!


ってか、ガルのことサイコパスって思っちゃったけど…これ読んじゃうと印象かわるじゃん……。

ガルの笑みを思い浮かべて、キュンッとしちゃうじゃんか!!!

くそー……続き読もう。






ここからはまず、龍について説明しよう。

龍・竜、どちらで表すことも可能だが、古代龍の中では表し方を変えているようだ。

まず、古代龍とは、赤龍・黄龍・青龍・緑龍・紫龍と5種の龍族の事をいう。

龍族の寿命は千年と言われており、千年の中でただ1人の番を見つけ、子を成し天命を全うする種族である。
龍族にとって長い命の中、番は僅か1人。そして、他の龍族の交わりを禁止されている為、龍族は他種族から番を探すしか無い。その1人を探す為に天界から降り、地上で探し求める。

そして、自分の番を見つけられた龍はその1人を永遠に愛し慈しむ。
しかし、龍族の子は何度交わろうと一度しか出産が出来ない。

その為、子は1人、多い場合は双子となる為、種族としても人数が少ない種族として有名である。

そして見事、番を見つけ、子をなす事が出来た龍は命の炎が消えても白龍として天界に戻り神族として天変地異を司り国を見守ると言われている。

また、たった1人の番を見つけられずに寿命となった龍は、孤独にのまれ、闇の力に覆われ黒竜と化す。

龍族の中だと、番がいない者をこの竜と表すらしい。

黒竜は千年の日々を寂しく、孤独に苛まれ、命が消える前に凶暴化し暴れ狂う。

竜巻を起こし、洪水を起こし、雷雨を降らす。

町は水にのまれ、人や家畜は竜巻に襲われるという。

今までの歴史上、黒竜と化したのは僅か2体と言われている。

まず、最初の1体は東の方角に降り立ち、近隣の国を破滅させ、息を引き取った。その国があった場所は今でも砂地で植物も育たないとされている。

そして、もう1体がこのフィンドル国に近い荒地に降り立った。

それを確認した王は、黒竜討伐部隊を派遣するも敵わない。
この世の終わりだと諦めていた時、僅か9歳のガルディア・ガルファスが現れたのだ。

ガルディアは討伐部隊の剣を取り、黒竜にたった1人で向かっていった。

そこへ力を貸したのが特別機関の子供達。魔力を使い黒竜の動きを僅かだが遅くした。

ガルディアは黒竜を僅か剣3振りで倒したのだ。

竜の首を掲げる9歳の子供の姿に身震いする者や圧倒的力の前に首を下げる者がいた。


そして英雄、ガルディア・ガルファスの誕生である。

ガルディアは黒竜の持っていたスキルを何かしら手にしたそうだ。

そして、黒竜の孤独の呪われた闇の属性を手にした。

通常属性が移ることは無いが、これが黒竜の孤独さの力だろう。だからあえて呪いとも言われている。

ガルディアは英雄の称号、竜のスキル、呪われし闇の属性を手にした。

他の子供達の手助けがあったにせよ、竜を3振りで倒すガルディアの力に全ての民が恐れた。それは家族も同じだったようだ。
ガルディアは家族のもとへも帰らず、英雄の権利も放棄して、特別機関を卒業し、育成担当のアリアナとギルドを開設し、今に至る。

なぜ、彼は英雄として、国に使える事を放棄し、富を捨てたのか。

今尚、竜殺しの二つ名は伝説として、知られているが、彼はひっそりと街中で暮らしている。


私は気になり彼に質問した。



その彼の答えが…………



「なんとなく。」


だった。彼は表情だけでなく、思考も無くしたのか?








「ナンジャコリャー!!!!」


俺はまた叫んでしまった。



チートすぎる!!チートすぎるでしょ!!!


しかも、ちょっと面白くて最後まで一気に読んじゃったよ!!


しかも、何、最後の!!なんとなく。ってなんだよ!!

いる?それ、いる?


ガルがチートなのは知っていたが、ここまでか。


「てか、古代龍見てみたいなー!!」


こんな事いったらフラグになるかな?


はははっ!まさかねー!!



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