上 下
81 / 110

サイコパスの疑い。

しおりを挟む
無表情だが、めちゃくちゃ怖い威圧を放つガルの手元を震える指先で差す。


「ね、ねぇ。ガルさん、そちらのお嬢さんは生きていますよね?」


ピクリとも動かない令嬢と、荷物のように持つガルに、足が震える。


「?ああ、またこの羽虫のことか?」

何やら面倒くさそうに、ポイッと捨てるように手を離して、こちらを見る。


「なぜ、こんな羽虫を気にする?お前が気にすべきは俺だろう。」


「いやいやいや!あんなに騒がれて、叩かれて邪魔されたら気にするでしょう?しかも、あんなうるさかったのがピクリとも動かなければ余計に!ねぇ!生きてるよね??」


普通、死んでる?なんて、疑うことなど早々思わない。これが、アルやシスらなら、こんなに動揺しないが、何故かこの男の場合、普通に殺したりしそうで落ち着かないんだよ。


「人などいつでも死ぬだろう?しかも羽虫ほどの価値の命だ?何故そこまで気にする?…まさか、好意があるわけじゃないだろうな。」


こう言う考え方だから怖いの!!
こいつ絶対サイコパス脳だよ!

今度サイコパス診断してやる。

「好意なんて、あんだけ虐められてあるわけないだろ!!」

しかし、気になる。

こんだけ騒いでもピクリともしない。気絶しているのか?

と言うことはガルにやられた?

ヒィィ!!そしたらマジで死んでんじゃ!!

俺は慌ててスキャンを使った。

内臓まで見るよう設定すると、心臓は動いているし、出血も無い。

俺はホッと胸を撫で下ろすと、いつのまにか目の前にガルがいた。

ひっ!っと後退しようとしたが、意図も簡単に抱きかかえられてしまった。


「ウラン…コイツが好きか?」

ガルはギロッとウランを睨む。

「…ああ。お前から逃そうと思うほどにはな。」

ウランはニッと口元を笑わせた。


「…ヒヨリは俺のだ。…だが、アルにも交尾の仕方を教わった。…お前も、俺に技を教えてくれるなら、味見程度ならいい。」

ガルさん?何を言ってるんでしょうか?


「…弟にだけは負けたくねえな…。」

ウランさん?貴方も何張り合っているのでしょうか?



「ヒヨリのお仕置きが先だから付き合え。お前のお仕置きはその後だ。」


「はい。マスター。」


何?いつのまにか、話がまとまってんの!?


「ヤダヤダ!ガルやだよ!ウランも助けてよ!!」


俺はバタバタするが、スルッと影に包まれた。


すると、ガルの部屋にいつのまにか、居た。


この能力やだー!!


ってか、令嬢は?

「ガル!夜の森は危ないよ!令嬢、置いてきたでしょ?せめて、拾ってきて!」

「また、羽虫か?」

イライラし出したガルに抱きつく。

「マジでお願い!お仕置きでもなんでもいいから!お願い!」

「嫌だ。拾う間にまた居なくなるだろう。」


「逃げないよ!約束する!」


ガルは約束という言葉に頷き、また消えた。

次現れた時にはまた令嬢を荷物のように持って現れた。

ガルはポイッと扉の外に放り、鍵を閉めた。


「これで頼みは聞いた。次はヒヨリの番だ。」

はい、そうですよね。


「脱げ。」 

ぐぬぬぬぬぬ!

悔しいから唸りながら裸になる。


「ウラン…俺にヒヨリがメロメロになる、そしてお仕置きみたいな奴を教えろ。」

ウランは俺の裸を顔を赤らめてガン見しながら頷く。


「部屋に行って取ってくるから待て。」

えっ?マジで何されんの??

俺はゾワッとした。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

鳥籠の中の道化師

BL / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:37

【本編完結】絶対零度の王子様をうっかり溶かしちゃってた件。

BL / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:1,780

愛されることを知らない僕が隣国の第2王子に愛される

BL / 完結 24h.ポイント:930pt お気に入り:2,855

堅物真面目な恋人がお預けをくらったらどエロいことになった件

BL / 完結 24h.ポイント:262pt お気に入り:68

転生してませんが、悪役令嬢の弟です。

BL / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:1,602

君は魔法使い

BL / 連載中 24h.ポイント:604pt お気に入り:18

処理中です...