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平和が1番だってば!

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ティーンのキスにドギマギしていたのも、束の間。

現在マスターの部屋で正座中。

黒いオーラを放つガルに恐怖して、何故か正座をしてしまいました。

急に呼び出されたて思いきや何事でしょうか?


皆さんお顔が怖いです。

マスターの部屋には、ガル、シス、ダイナ、アリアナ、アル、ティーン、ウランと勢揃い。

なんかやばい予感。


「まず、ティーン、アル、ウラン…ヒヨリが攫われたとはどういう事だ?」

シスは眉を寄せて3人を睨みつける。

「すまん。俺の作戦ミスだ。」

「いや、俺が護衛をしっかり出来てなかった。」

「僕の情報収集能力の低さのせいです。」

ティーン、ウラン、アルがガルに頭を下げる。


俺はその行動に慌てた。

「いやいや、皆は悪く無いよ!俺が弱いせいだし、緊張感なかったから!」



「…ヒヨリの弱さは知っていたはずた。それを知っていて危険な目に合わすとは…。」

シスは大きく息を吐く。


ガルは無言でオーラをドス黒くとばしている。


「次に、攫われた後から約1日ウランと合流するまでの時間、ヒヨリ…何があった?」


何がって、ナニしかなかったが…。


皆にもコレは話してない…


視線が痛いよ…


「…ヒヨリ?」


うわっ!ガルの声が怖っ!!



「えっと、お話した。」

キョドキョドしながら指もじもじ言うと、信じられないという視線。


「…ほう、俺が現れた時の奴だろ?奴の執着からして、ただ話すだけですむか?」

ガルのド低い地獄の閻魔さんのような声に、汗がダラダラ…



「俺が合流した時はそこまで触れ合いは無く、移動に力をいれていた。合流して約1日だからそこまで何かあったとは思えない。」


ウランが助け舟として、口を挟んでくれた。

ウラン!!

目の前でキスしたのに…何か勘づいてそうなのに!!!


ありがとう!!ウラン!!

俺はコクコクと頷いた。

ガルはジッと威圧してくるが、味方を一人得た事により強気の俺も、ぐぬぬぬぬぬ!と威圧する。

「…わかった。ただ、後で何かあった事がわかったら許さない。覚えとけ。」


はい。バレないことを祈りましょう。


「それで、彼奴らが闇獅子だと?」


「多分な。それほど強さもあった。」

ティーンは頷きながら、俺をチラッとみる。


俺は奴との約束で頷けない。

「となると、ヒヨリを追って来るかもな。執着した盗賊ほど面倒なものはない。」

ダイナは溜息をつく。

「こちらのギルドはバレているか?」

シスの問いに首を振るティーン。

「いや、こちらも教えていないが、ガルディアの強さで絞られた可能性はある。」


「ギルド所属に紛れ込む可能性がある。アリアナ、今所属している奴の名前、顔を一致させろ。過去1年以内に来た奴らだけでいい。」

「わかりましたわ。」


ドヒャーッ!!それでも凄い人数でしょ?

やばすぎ!!

「シス、ギルド周りの守備を増やせ。」

「了解。マスター!」


アリアナさんが抜けた。

しかし、先程からピリピリ感が消えませんな。コレはバレているのだろうか…。


「ヒヨリ。脱げ…。」

へ?


「脱ぐんだヒヨリ。」


エメラルドの瞳がギラギラ光る。

脱ぐまで許してくれないのだろう。


俺は、涙目で恐る恐る服を脱ぎ出した。

じっくり、ガル、ウラン、シス、ダイナ、アルの視線に頭から足まで見られ、ゾクゾクと身体を這い回る。

俺は下着一枚になり、恥ずかしく、身体を強張らす。

「下着もだ。」

ヒィィ!!なんだと!?

キッと睨むが、ギロッと睨まれ、びびってスポーンと脱ぎました。


「ダイナ…やれ。」

ダイナはガルの声に手を翳し、俺の身体を水で包んだ。

首のとこまで包まれ、冷たいというより温い感じ。

「…ダイナの水魔法、術がかかっていないか、傷跡や呪文の後を浮き上がらす技、水紋だ。コレは過去の傷跡や、ちょっとしたアザでも出てくる。」


へえ!俺のスキャンみたいなものか?

ふよふよした身体を覆う水を見つめて、ワクワクしていると、ガルは口角を上げた。


「獣人は噛むくせがある…もし交尾をしたなら、その跡が現れるだろう。」

ギクッ!!


はい?今なんと…


俺がガルを怯えた瞳で見ると、彼奴はものすごい悪魔の表情で笑いやがった。

ガルさん。いつもの無表情のがいいですよ。

「先程言ったよな?後で何かあった事がわかったら許さないと…。」

ひゃあああ!!

助けてウラン!!

ウランはバッと下を俯いた。


ひぇぇ!


「ガルディア。終わった。」

ダイナの声に、ガルは頷く。


すると、水が霧のように消えた。


ガタブルで怯えていると、

ガルとシスが近づき、俺の身体を眺める。


俺は怖さに目を瞑っていると、

「…何もない?」


シスの呟きが聞こえ、俺は身体を見回した。


ツルッと何一つなかった。

「何も出ないのはおかしい…。かなり強化してかけた。俺達の跡すら出ないなんて…!」

ダイナさん!!

あなた、何故強化してかけるんですか!?

優しい担当でしょ!!


ガルはチッと舌打ちをした。

「神の加護の力か…。」


なるほど!神の治癒力が上回りましたか!!


ああ!!神様!!感謝!

リス!ルティ!!ありがとう!!


俺は疑いの視線の中、いそいそと服を着て、ドヤーと、ガルを見る。

眉をピクピクさせようと、もう怖くないもんね!!


話の済んだ俺はヘラヘラしながらマスターの部屋を出た。


ヒャヒャヒャ!俺最強!!

やはり平和が1番じゃ!

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