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スキルがバレちゃった!
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俺は朝一、ヒューの腕から抜け出した。
ウランは盗賊達のテントの中央に簡易的な牢屋に、魔法封じか、印が書き込まれた縄で縛られていた。
「ウラン!ウラン!」
俺が呼ぶとウランは目蓋をゆっくり開けてこちらを見た。
「…ヒヨ…。」
「ウラン、こっちに寄って!!少しだけ、気付かれない程度に回復しよう。」
俺は牢の柵の間から手を伸ばす。
ウランは縛られた状態で、身体をヒヨリの方へと倒す。
触れた指先からウランの状態をスキャンして、内部を確認する。
1番大きい怪我で、肋骨の骨折だ。二本ほど折れていた。
俺は指先から肋骨を完治させるイメージをする。
1番酷い部分さえ何とかすれば、ウランを逃すこともできるだろう。
「…ヒヨリ。お前は回復スキル持ちなのか?」
その声にハッと振り返ると、ヒューが木の上から俺を見下ろしていた。
欠伸をしながら気だるげにしているが、瞳は鋭い。
「俺の番は優秀だな。」
ウランはギリッと歯を軋ませる。
俺は、とにかくウランに指先を触れつつヒューから視線を外さない。
「マッサージを受けた時、気の気配を感じたが、やはり回復系か。しかも凄まじい量の魔力持ちか?」
俺は目を見開いた。
なぜ?何でわかるの?
俺の様子に、ニッと笑うヒュー。
「当たっているようだな。獣人は魔法を使えないが気の流れを感知することは容易い。光の回復魔法は以前見た。それに、お前を傷つけるつもりは無いから、そのままにしたが、攻撃魔法は持っていないようだが、気は感じる。生活魔法程度か?と思っていた。だが、ヒヨリが触れたウランというヤツの気が強くなってきている。それなら回復魔法だろ。それも魔力封じの縄をしていても回復するほどの量だ。知らなかったか?魔力封じは外からの魔力も跳ね除ける。そいつが回復しているってことは、跳ね除ける以上の魔力があるって事だ。」
くっ!!マジかよ!一個勉強になった!!
「ウラン!少し、俺のスキルバレちゃったから、こうなりゃ全力で完治させる!」
おりゃ~!!!
一気に魔力を注ぎ込むと、縄がパーンッと弾けた。
ウランは、地属性魔法で牢屋をぶち壊す。
「ヒヨ。お互いバラしちゃったな。ティーンに怒られるの覚悟しろよ。」
「はーい。」
木の上から飛び降りたヒューは首をコキコキ鳴らした。
「お前ら何もんだ?ただのマッサージ屋じゃねえだろ?その能力は。」
ヒューは口を開けて吼えた。
その咆哮にザッと盗賊に囲まれる。
「ヒヨ、俺の後ろに隠れてろ。」
ウランは俺を後ろに隠そうとするが、その行為にヒューの目つきが変わるのを感じ、ウランから数歩離れる。
「おい!ヒヨ!」
「ダメ、ウラン。今ヒューを刺激出来ない。」
俺は学んだのさ!ヒューは俺にほの字!ヤバさならガルと一緒、いや子どもな分それ以上。
「ヒュー。俺やウランはお前達を今は攻撃しない。信じてほしい。」
「今はとは?」
瞬きもせず、ジッと俺を見る。
よ、よし!話を聞いてくれてる!昨日のが響いたか?
「俺達の提案を聞いて、そっちの対応によっては変わると思うから。」
ゴクリと唾を飲み込み、俺が言うと、ヒューは黙って俺を見ている。
「頭!!別に聞かないで、赤毛を殺してヒヨリさん攫えばいいじゃないですか?」
「そうですよ!いつも通りしたいようにやれば。」
ぐぬぬぬぬぬ!外野は黙ってろよ!獣人はやっぱりこうなのか?
「ウランを殺したら、俺、お前らと口聞かないからね?」
ギッ!と狐と狸の獣人を睨む。
「えー!!そんなー!ヒヨリさん!!」
「ヒヨリ、話をしてみろ。」
ヒューのその一言に周りがざわつく。
「頭が人の話を…。」
「ヒューありがとう。まず、最後の話を聞くまで攻撃しないで。もうぶっちゃけると、俺攻撃魔法使えないから。」
ウランと様子を伺っていたタキが目を丸くする。
「ヒヨ!!」
「うわーヒヨリくん。マジのぶっちゃけじゃん?」
「わかった。お前らも従え。」
ヒューの言葉に皆武器を下げた。
「ウランもだからね。」
ウランは渋々頷く。
「俺達は人攫い盗賊を探して此処まで来たんだ。俺達はギルドに所属している。もちろん火山の狐じゃない。」
ザワザワと周りが騒ぐ中、大人しく聞くヒュー。
「俺達は以前、隣国の依頼で人攫いを討伐したが、まだ完全に討伐しきってないと言う情報を掴んで此処まできた。最弱の俺が一緒の理由は情けないが餌役だ。以前人攫いに攫われてね。だから、マッサージ屋として、人攫いが餌に食い付くのを待ちながら、情報を集めてたら、ヒューに攫われたんだ。だからウランが追ってきた。」
「ウケるわ。俺達が餌に食い付いちゃったワケね。こんな極上が餌とは思わなかったなヒュー?」
ヒューはタキが茶化しても、動きもしない。
「だけど、お前らの話を聞いて、違うと分かったけど、まさかのヒューに攫われたから連絡手段もない。それで、ウランが来てくれたからお前らが人攫いじゃないと伝えたんだけど…。その時、お前らにウランがボコられた。だから、俺はウランを逃したいんだよ。本当の人攫いを捕まえる為に。そして、一時的にでも手を組まないか?狙いは一緒だろ?」
俺の提案はこれだ。お互い協力すれば争いはない。ヒューを嫌いになれないが、ギルドに戻らないと行けない。敵が同じならまずは敵を倒してから考えればいい。
「それがヒヨリの望みか?」
ヒューが口を開いた。
「ああ。」
そうだ。ヒュー。これが俺の望みだ。
ウランは盗賊達のテントの中央に簡易的な牢屋に、魔法封じか、印が書き込まれた縄で縛られていた。
「ウラン!ウラン!」
俺が呼ぶとウランは目蓋をゆっくり開けてこちらを見た。
「…ヒヨ…。」
「ウラン、こっちに寄って!!少しだけ、気付かれない程度に回復しよう。」
俺は牢の柵の間から手を伸ばす。
ウランは縛られた状態で、身体をヒヨリの方へと倒す。
触れた指先からウランの状態をスキャンして、内部を確認する。
1番大きい怪我で、肋骨の骨折だ。二本ほど折れていた。
俺は指先から肋骨を完治させるイメージをする。
1番酷い部分さえ何とかすれば、ウランを逃すこともできるだろう。
「…ヒヨリ。お前は回復スキル持ちなのか?」
その声にハッと振り返ると、ヒューが木の上から俺を見下ろしていた。
欠伸をしながら気だるげにしているが、瞳は鋭い。
「俺の番は優秀だな。」
ウランはギリッと歯を軋ませる。
俺は、とにかくウランに指先を触れつつヒューから視線を外さない。
「マッサージを受けた時、気の気配を感じたが、やはり回復系か。しかも凄まじい量の魔力持ちか?」
俺は目を見開いた。
なぜ?何でわかるの?
俺の様子に、ニッと笑うヒュー。
「当たっているようだな。獣人は魔法を使えないが気の流れを感知することは容易い。光の回復魔法は以前見た。それに、お前を傷つけるつもりは無いから、そのままにしたが、攻撃魔法は持っていないようだが、気は感じる。生活魔法程度か?と思っていた。だが、ヒヨリが触れたウランというヤツの気が強くなってきている。それなら回復魔法だろ。それも魔力封じの縄をしていても回復するほどの量だ。知らなかったか?魔力封じは外からの魔力も跳ね除ける。そいつが回復しているってことは、跳ね除ける以上の魔力があるって事だ。」
くっ!!マジかよ!一個勉強になった!!
「ウラン!少し、俺のスキルバレちゃったから、こうなりゃ全力で完治させる!」
おりゃ~!!!
一気に魔力を注ぎ込むと、縄がパーンッと弾けた。
ウランは、地属性魔法で牢屋をぶち壊す。
「ヒヨ。お互いバラしちゃったな。ティーンに怒られるの覚悟しろよ。」
「はーい。」
木の上から飛び降りたヒューは首をコキコキ鳴らした。
「お前ら何もんだ?ただのマッサージ屋じゃねえだろ?その能力は。」
ヒューは口を開けて吼えた。
その咆哮にザッと盗賊に囲まれる。
「ヒヨ、俺の後ろに隠れてろ。」
ウランは俺を後ろに隠そうとするが、その行為にヒューの目つきが変わるのを感じ、ウランから数歩離れる。
「おい!ヒヨ!」
「ダメ、ウラン。今ヒューを刺激出来ない。」
俺は学んだのさ!ヒューは俺にほの字!ヤバさならガルと一緒、いや子どもな分それ以上。
「ヒュー。俺やウランはお前達を今は攻撃しない。信じてほしい。」
「今はとは?」
瞬きもせず、ジッと俺を見る。
よ、よし!話を聞いてくれてる!昨日のが響いたか?
「俺達の提案を聞いて、そっちの対応によっては変わると思うから。」
ゴクリと唾を飲み込み、俺が言うと、ヒューは黙って俺を見ている。
「頭!!別に聞かないで、赤毛を殺してヒヨリさん攫えばいいじゃないですか?」
「そうですよ!いつも通りしたいようにやれば。」
ぐぬぬぬぬぬ!外野は黙ってろよ!獣人はやっぱりこうなのか?
「ウランを殺したら、俺、お前らと口聞かないからね?」
ギッ!と狐と狸の獣人を睨む。
「えー!!そんなー!ヒヨリさん!!」
「ヒヨリ、話をしてみろ。」
ヒューのその一言に周りがざわつく。
「頭が人の話を…。」
「ヒューありがとう。まず、最後の話を聞くまで攻撃しないで。もうぶっちゃけると、俺攻撃魔法使えないから。」
ウランと様子を伺っていたタキが目を丸くする。
「ヒヨ!!」
「うわーヒヨリくん。マジのぶっちゃけじゃん?」
「わかった。お前らも従え。」
ヒューの言葉に皆武器を下げた。
「ウランもだからね。」
ウランは渋々頷く。
「俺達は人攫い盗賊を探して此処まで来たんだ。俺達はギルドに所属している。もちろん火山の狐じゃない。」
ザワザワと周りが騒ぐ中、大人しく聞くヒュー。
「俺達は以前、隣国の依頼で人攫いを討伐したが、まだ完全に討伐しきってないと言う情報を掴んで此処まできた。最弱の俺が一緒の理由は情けないが餌役だ。以前人攫いに攫われてね。だから、マッサージ屋として、人攫いが餌に食い付くのを待ちながら、情報を集めてたら、ヒューに攫われたんだ。だからウランが追ってきた。」
「ウケるわ。俺達が餌に食い付いちゃったワケね。こんな極上が餌とは思わなかったなヒュー?」
ヒューはタキが茶化しても、動きもしない。
「だけど、お前らの話を聞いて、違うと分かったけど、まさかのヒューに攫われたから連絡手段もない。それで、ウランが来てくれたからお前らが人攫いじゃないと伝えたんだけど…。その時、お前らにウランがボコられた。だから、俺はウランを逃したいんだよ。本当の人攫いを捕まえる為に。そして、一時的にでも手を組まないか?狙いは一緒だろ?」
俺の提案はこれだ。お互い協力すれば争いはない。ヒューを嫌いになれないが、ギルドに戻らないと行けない。敵が同じならまずは敵を倒してから考えればいい。
「それがヒヨリの望みか?」
ヒューが口を開いた。
「ああ。」
そうだ。ヒュー。これが俺の望みだ。
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