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なんか、動き出しそうですな。

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「ティーン!?」
「ただいま。アリアナ」

う、羨まし過ぎる!!アリアナさんに抱きついてもらえて…

「なんで?ヒヨリくんが危ないとかで、皆出て行ったら、ティーンが!?」

「まあ、流れ?」
適当過ぎます。ティーンさん!

「この坊もギルドメンバーか?」
ジッと俺を見るティーンさん。
俺は挨拶をしていない事に気付いた。

「あ!ギルトに新しく入りました!ヒヨリです!よろしくお願いします!」
ぺこり!

「ティーンです。」
ぺこり。

「………。」

やばい!会話が続かない!!しかもジッと見られているし!!

「ヒヨリ君!大丈夫だったか!?」
そんな時に救世主!!
キッチンからベアードさんが出てきた。
「大丈夫です!ご心配かけました!」
「いや、私がお使い頼んだから…ってティーン??」
ベアードさんはギョッと目を見開いた。

「ただいま。」

「えっ?なんでヒヨリくんと?」
「流れで。」
また適当にー!!

「そっか!お帰り!」
あれ?通じましたね。
多分、ティーンさん、いつもこんな感じなんですかね。

俺はアイテムボックスから買った物を出して、ベアードさんに渡した。

それからテーブルに皆を座らせて、まず今回のお礼を…

「この度は、騙されてしまいまして、すみませんでした。助かりました。ありがとうごさいます!」

「本当だよ!気をつけてね?」
シスさんに言われて頭を下げた。
「ティーンさんもありがとうございます!」
座って欠伸をするティーンさんにも、ちゃんと!

「うん。」
眠そうにしながら頷いてくれた。

「それじゃ、お土産ターイム!!」
皆キョトンとしている。俺はニマニマしながら、先ずはダイナへとペンを出した。
「ダイナさんにこの間ペンを貰ったからお返しね!」
グレーの蛇柄のペンを受け取り、感動のあまり目をキラキラさせているダイナに、俺もニマニマ!
「次に、アリアナさん!いつもありがとう!」
栞と髪飾りを渡すと、アリアナさんはギュッとしてくれた。
「もー!!いい子!ありがとう!」
うへへ!アリアナさんにギュッとしてもらえた!

ウズウズする3人に、待て!をする俺。
「シス!魔法教えてくれてありがとう!ハイ!」
受け取ったピアスを頬を緩ませ、耳につけた。
「ありがとう!ヒヨリ!似合うか?」
俺は耳を見て、頷く。

「アル!一番に駆けつけてくれてありがとう!」
ブレスレットを付けて、高く上げて眺めているアルは嬉しそうだった。

「赤茶がこんなに嬉しいとは!ありがとう!ヒヨリ!」
頭を撫でてくれたアルにニマニマする俺。

そして立ち上がって待つガル。落ち着けよ。
「ホラッ!なんだかんだ、いつも気にしてくれてありがとう!」
ガルの首に首飾りを掛けると、いつも無表情の顔が、ゆっくりと微笑んだ。
「ヒヨリ!」
ギュッと抱っこして、クルクル回るガルに、俺は振り回された。
目が回る~!!
俺は下ろしてもらい、ダイナにブローチを差し出した。
「さっきのはお返しだから、これは、勉強手伝ってくれてありがとう!」
2個目に、感動しすぎて、無言で震えるダイナ。

皆、気に入ってくれて良かった。

ジーーー…

ん?

ジーーー…

へ?なんですかティーンさん?

ジーーー…

ま、まさか!!

「あ、あのティーンさん!」

ティーンは名前を呼ばれてピクッと耳を動かして期待の眼差しを向けた。

やはり!期待されてる!でも、ティーンさん!帰ってくると知らなかったし…

俺は慌ててアイテムボックスを漁る!
えっと!えっと!あっ!お菓子と、確か小分け用の袋もらったんだ!
俺はアイテムボックスの中で慌ててお菓子を袋に入れ直した。

「はい!今日はありがとうございます!」
お菓子を受け取ると、コクリと頷き、モリモリと食べ始めた。口いっぱいに詰め込んで食べているので気に入ってくれたようだ。
よかったー!!

「あら、ティーンお腹空いているのね。あなたからの報告は食事しながらにしましょうか。ウランも帰ってくるし。今日は準備する時間もないから、飲み会は明日ね?では、30分後にここに集合よ?」

俺達は頷いて、部屋に一度戻った。皆んな、俺の為に武装してくれてたしな。俺も身軽な格好に着替えた。

いつも、会議に俺は参加してないけど、良いのかな?
ダメだったら他のテーブルで食事しよ!!

アイテムボックスの整理やらなんやらしていたら、30分経っていて慌てて下に降りた。
ウランも帰ってきており、もう皆んな席に着いていた。1席空いているが、俺が座っていいか迷っていると、アリアナさんが手招きしてくれた。

「今回はヒヨリくんも聞いてね?2回狙われた人攫いの話だから。」

あ、その節は申し訳ございません!

「ほえはひほぉひふふへはほ」
「ティーン、口の中の無くなってから話して。」
アリアナさんの言葉に口の中の食べ物をモゴモゴと動かして飲み込んだ。

「今回の依頼、色んなギルドに出しているらしく、何回か鉢合わせたぞ。まぁ、俺が仕留めたがな。ガージム国の衛兵に渡したから、後ほど依頼金がくるだろう。」
「よくやった国からの依頼だからかなりデカいな。」
ティーンの言葉に、シスがニヤッと笑う。

「えっ?国からの依頼って隣国でしょ?」
俺はつい、口を挟んでしまった。

「ガージムは一応協定を結んでいるから、ギルドに依頼もできるのよ。ギルドは討伐の他にダンジョンという、魔法の迷宮も現れることも、モンスターとはちょっと違う魔物も倒す場合があるから冒険ギルドという、国を跨げる資格もあるの。敵対してる国の場合はギルドが直接交渉しなきゃ行けないから一苦労なのよね!」
アリアナさんの説明を俺は早速メモった。
ようするに、何かしらの理由で国を跨がなきゃいけない場合に使える資格が冒険ギルドで、この資格があれば、俺の世界でいう、ビザが要らない!冒険ギルド資格がパスポートか!!なるほど!敵対、まあ戦争の場合、国を背負っては入れないから、ギルド名で交渉が必要なのね!
よし、まとめられた!

「ガージムはまだ、奴隷制度が廃止を完全に出来ていないから本拠地にされたんだろ、闇市が月1で開かれていた。取引相手はさまざまだが、ツーウィン国に流れている。本拠地を叩いたはいいが、何グループかに分かれて行動していたようで、完全ではない。だからこの町にも残党が残っていた。今回はガージム内の人攫い討伐だから、それは終了だ。」
ティーンは、一気に話して、スープをすごい勢いで飲み干す。

「それは?ってのは何だ。」
ウランがエールを飲みながら、片眉を上げる。

「うむ、闇市に侵入した時、面白い話を聞いてな。」
「面白い話?」
アルが続く。
「今回の人攫いは盗賊の仕業だが、それがどの盗賊かが分からんから、人数が絞れない。だが、闇市の情報では闇獅子の咆吼という、あの有名な盗賊の名を聞いた。」
「闇獅子の咆吼って、何万もいるのに足取りも掴めないと言う?だが、奴らは奴隷制度は嫌っている筈だろう?奴隷商を壊しまくって、闇獅子マークを付けてる噂は有名だ。」
ダイナは信じられないと、ティーンを見る。

「確かに、闇獅子は自分が行ったことを恥じていない。証拠を残すが見つからない。だから、情報が流れること自体おかしい。闇獅子にしろ何にしろ、現在王都に潜んでいると情報は入った。だから、俺は行く。この話をギルドマスターの権限で、国王に話をつけ、依頼として下ろしてくれ。ただ、大分規模がデカい盗賊だ。どこに潜んでいるか分からんからな。何人か一緒に来て欲しいがな。」
ティーンはエールを飲み干して、ガルを見た。
ガルはティーンと暫く視線を合わせ、息を大きく吐いた。
「わかった。国王には俺から連絡する。暫し待て。アリアナ、明日1番で手紙を出せ。」
「かしこまりました。マスター♡」

な、な、なんか!ガルがギルマスっぽい!ギルマスだけど!

「じゃあ、俺は報告書作成するから先に失礼する。」
ティーンは立ち上がり、2階へ向かった。

俺はその背中を見て、ちょっと、その討伐に着いて行きたいなー…なんて思っちゃったり…

「バリアを完璧にしないと無理だ。」

ダイナさん!何故、俺の思考がわかった!!
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