何故私が呼ばれたの?彼らに望まれたチート級聖女!

B介

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ポスンッ


「いたたたっ…」

急に光ったと思えば…なんなんだ?


眩い光に包まれ、しかも何処かに落ちた様だ。
お尻の痛みからして、大した高さでは無い。


光はフワッと消えて無くなった。


まだ光の影響で眩しさが残る目を薄らと開けると、そこは確実に家ではなかった。


薄暗く、蝋燭の光に囲まれ、冷たい石畳。

しかも、何故か大勢の男達に囲まれている。

やっと慣れた瞳を大きく開くと、何やら向こうも驚きの表情だ。

状況の飲み込めない高嶺は、とにかく情報を得ようと辺りを見渡す。


窓の無い、かなり広い薄暗い部屋。

地下かな?


男しかいない。

床の紋様の周りを囲う5人とその周りを白装束みたいな格好の男性が10人か?


しかも…でかい!!

こんな大きい人達見たことない!!

見下ろされているから余計かな?


私も驚いているけど、皆、口も目もこれでもかと開いて固まっている。


そろそろ動いて欲しいんだけど。


「…あ、あの?」


恐る恐る声をかけると、ハッと我に帰った男の1人が、急に高嶺を抱き上げた。


「ひゃあ!!」


急な事に対処出来ず、慌てて男の首に腕を回す。

男と視線が合うて、その瞳の色に驚く。水色、綺麗な水色に藍色の短髪。

多分、この中で1番ガタイがいい。

肌も褐色で、綺麗な水色が映える。

そんな事を思っていると、抱えたまま、男はズンズンと歩き出し、その場から去ろうとしていた。

「え?え?」


どこに行くの?



「おい!ジン!待て!ジンフェネック!」


この人がジン?


ジンの背に向かい、慌てて叫ぶ男達の髪色も鮮やかだ。

走り、ジンの肩を掴む男性は、多分ジンより年上、赤髪を後ろで束ねた美丈夫。ジンと同じ褐色の肌に金の瞳がとても綺麗。逞しいガタイと、顎に少し残る無精髭が何故か似合うワイルド感。


「おい!ジン!どこに連れて行く気だ!?」   


「ゼライヤ様、離して下さい。これは私が拾いました。私のです。」

淡々と答えるジンの頭をポカリッと殴るゼライヤ。


「お前ののはずあるか!!そのまま抱えてていいから、戻れ!」


えっ?抱えられたままなの?


「あの…下ろして下さい。」


現在、ジンという人物に片腕で抱っこされている状態だ。

片腕の怖さに首に腕を回している。

目線は私の方が少し高い。


おずおずと綺麗な水色の瞳を見つめて頼むが、頬を少し赤らめて首を振られた。


あ、この人もあまり表情動かないのかも?


渋々といった感じで元の位置に戻ると、白装束の皆様が泣いていた。

ちょっと怖い。


「うわわわわ!!や、やっと!やっと聖女様が現れた!!」


号泣に少し引いてしまい、ジンの首に巻きつく腕を強めてしまう。


「ダダ!煩い!黙らせろ!聖女の前だぞ!」

ダダと言われた白装束のお爺さんに、男の1人が怒鳴ると、慌てた様子でダダが周りに促す。


「失礼致した。聖女様。500年ぶりの召喚成功に皆感動していまして。」

黒髪に金の瞳の青年がゆっくりと側に近づく。

何となくなんだけど、この中で1番偉いのこの人かな?

着ている服も真っ黒に金の刺繍かわ入って、さらに装飾品もお高そう。さっき1人だけ椅子に座ってたし。

黒髪の短髪だからか?眉は前髪で隠れているが、クールな感じとカリスマ感が半端ない。


うん。やはり1番偉そう。


この人も高身長で抱えられた私ともそんな大差ない身長だ。


「私はこの国、ターツランド国の皇太子、ルセフィールド・ターツランド。聖女様、よく来て下さった。」


いや、来てないからね。

来させられたんだよ。


「ターツランド国?王太子様ですか。よろしくお願い致します。花田高嶺です。私が、聖女なのですか??」   

王太子は優しく口元を笑わせて、コクンと頷いた。


「ああ。たった今召喚の儀式をした。呼ばれたのなら間違いない。ハナダ?タカネ?どっちが名前だ?」


「タカネです。」


聖女とは?色々聞かなければならないが、ここが日本ではなく、違う世界だという事は確かだ。

余りの事に口の中が乾くがパニックになってもしょうがない。

とにかく落ち着け!

ゴクリと出ない唾を飲み込む。


少し震えていたのがバレたのか、ジンの抱く腕が強くなる。


この感じ、悪い人らでは無い。


「殿下、聖女様には説明が必要です。一度この寒い中でなく、部屋へご案内しましょう。」


ダダの提案に頷き、地下から上へと案内された。

その間も抱かれたままだ。


重く無いかな?
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