勇者は可愛すぎるキメラたんに夢中です。

B介

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屋台に興奮

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「あれ!あれーん!」

ただ今大興奮のキメラたん。

町の屋台の匂いに誘われて、フラフラ歩き回るが、大人の中、ちっちゃいキメラは、なんの食べ物か見えず、指差してこちらに訴える。


「ほしいのか?」

「ほちー!!」

ジンクの問いに、ぴょんぴょん飛び跳ねて訴えるキメラ。

「どんな食べ物か見えるのか?」

「みーにゃい!」

「見たいか?」

「たい!!!」


わざとらしく焦らすジンクに苦笑するメンバー達。


先程抱っこを拒まれた仕返しだろうか。
大人気ない。


「見たくて、欲しいなら、抱っこして下さいと頼むんだ。」


「だっこちてくーしゃい!!」

ピョンピョン手を広げるキメラに口元を笑わせて、耳を近づける。

「ん?聞こえないな?」


「じんきゅ!だっこちてくーしゃい!」

目を潤ませて必死に叫ぶキメラにニヤニヤのジンクはしょうがないなと、脇に手を入れ、抱き上げる。


「これからは、俺の抱っこを断るなよ?返事は。」

「あい!!」

ピシッと手を挙げるキメラに満足気に頷く。


「あれ、あれーん!」

やっと見えた屋台に近づけとジンクのシャツを引っ張りながら、屋台を指差す。


屋台は串焼き肉だった。


「肉食うか?」

「くーう!」

ワクワクと頬をピンクに染めて鼻息荒く答えるキメラ。


「こういう時は、お願いします。大好きジンクと言って、ほっぺにキスをするんだ。」

「きしゅ?」

「唇をつけることだ、大好きの証だ。」

おい!何を教えてんだ!

明らかに欲望の含まれた物に、ライラックは注意するが、ガン無視。


コクコクと頷くキメラは、ジンクの瞳を見つめた。

「おねーしゃます!だいしゅき、じんきゅ!」


ぷちゅっ!!

勢いよく、ほっぺに唇をくっつけた。

キメラの唇の柔らかさに、ボンッと顔を赤くするジンク。


「おい!親父!串焼き、あるだけよこせ!!」


じ、ジンクが金を使ってる!!


自分の財布から金を出すジンクに驚愕する。


「あの、ケチでがめついジンクが…」

「他人の金自分の金と思ってるジンクが…。」

「人に金を使ってる!?」


「ほら、キメラ!」

大量の串焼きを袋につめ、一本をキメラに渡す。


「あーとじゃまーす!」

キラキラと串焼きを見つめ、パクりとお肉に食いつくと、蕩けんばかりに大きな瞳を潤ませて、幸せそうに頬を掌で触るキメラ。


「おーちー。」

うっとりと呟くキメラに、また、満足気にジンクは見つめた。


「そうか、俺が買った肉うまいか?」


「うーま!!じんきゅ!うーま!」

手をパタパタさせて大興奮のキメラに、うんうんと頷くジンク。


「じんきゅ!だーしゅき!」

ぷちゅっ!!


予期せぬキメラねほっぺちゅうに、ジンクは驚きのあまり、ポタリと鼻から血を垂らす。


「じんきゅ!ちー!ちー!」

ギョッとキメラは驚き慌てる。

ヨシュアも慌てて、布をジンクに差し出すが、呆けたジンクは一向に布を受け取らず、キメラがその布をジンクの鼻に押し当てる。


じんわりと赤く染まる布に、キメラは眉を下げる。


「いちゃい?いちゃいの?」

心配そうに見つめるキメラの顔をみると、より血が吹き出して、一向に止まる気配がない。


「勇者、鼻血で死すってかっこ悪くね?」


どくどくと止まらない鼻血に、フラフラのジンク。

顔を白くし、頬は串焼きのタレがべっとり…。

だが、幸せそうなジンクだった。
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