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ネフェリア、学園編
愛称
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「ふふふ~ん♪」
ご機嫌に鼻歌を歌うカウディリアンに鋭い視線を送るヴィヴァリアンとキリウス。
明らかに昨日の閨で何かがあったのだろう。
カウディリアンの隠す気のない、上機嫌な態度で、それが自分達にとっては最悪な出来事であると思うと、筆圧が強くなり、何度も書類を破ってしまった。
その度に無言でさっと修正するサリウスの無機質な表情も恐ろしい。
キリウスもわざわざ、朝のカウディリアンの様子から、ネフェリアの護衛をアリウスに託し、カウディリアンの様子を鋭い眼光で監視するかの如く、手持ちぶたさで、足を譲りながら、今か今かとカウディリアンが話すのを待っている。
このままでは、ブチギレたキリウスが暴れ出してしまう。
ヴィヴァリアンは溜息を付き、聞きたくないが、自ら話を振った。
「…ご機嫌だな、カウディリアン。何かあったか?」
話を振られ、待ってましたとばかりに、花を飛ばす笑顔で、書類から顔を上げた。
「兄上、やはりわかりますか?」
イラッ!!
ピキッと青筋がヴィヴァリアンとキリウスの男性な顔に際立つ。
「いや~…フフッ!!」
「何だ…早く言え。」
思い出し笑いをするカウディリアンに対して、少し低い声となってしまった。
「昨日、少しばかりチャレンジ致しまして…良い夜を過ごさせて頂きました。」
「な、何だと!!?」
惚けた顔で、色気を振りまくカウディリアンに、ガタンと音を立て、立ち上がる。
「私は、兄上やキリウスに遅れて候補者となりましたので、もう少し意識してもらいたく…そしたら…フフッ!」
口元を押さえつつ、漏れる笑いが幸せいっぱいだと主張しているようで、どす黒い感情が体内を巡る。
無機質な表情でいた、サリファンも眉を寄せ、赤い瞳を細めていた。
「…どこまでしたのですか?」
どこから声を出しているのかわからないほど低い地獄ボイスのキリウスの顔が凄いことになっていた。
流石の幸せいっぱいカウディリアンもキリウスの顔にギョッとし、青ざめる。
「あ、兄上達がどこまでかは存じませんが、ふ、触れ合う程度です。ハハッ」
切られるのではと、キリウスに意識を集中しながら、乾いた笑いをするカウディリアンに、ヴィヴァリアンは眉を寄せる。
触れる程度…。
いい、いい方だな。触れるの定義は色々ある。
まして、あのようなご機嫌な姿など今まで、一度しか見たことが無い。
初めて、ネフェリアにあった日だけだ。
何をしたか、詳しく聞こうと、口を開いた瞬間、生徒会室の扉が開いた。
「戻りました。…あれ?」
異様な雰囲気に、キョトンとするネフェリアと、まだ話が終わってなかったのだと、察するアリウスの気まずそうな顔がそこにあった。
「ネフィ!」
朝の時間は予定が合わず、会えなかったネフェリアに、嬉しさのあまり駆け寄るカウディリアン。
「カウディ…様!」
カウディリアンの姿を見たとたん、ボッと赤くなるネフェリア。
いやいやいや!待て待て!!
「ネフィ…だと?」
しかも、ネフェリアも昔の呼び方で…。
ピキピキと鬼と化すのではないかと思うほど、顔を歪ませるキリウスも気になるが、それよりも…だ!
「ああ、ネフィは昔の我が家の愛称です。」
どこから共なく現れたエスティリオに説明される。
「ネフェリアは女の様で嫌だと言い出したので呼ばなくなりましたが、母上はまだ時々呼んでいますがね。」
「ネフィ…。」
可愛い…愛称だ。
「昨日許可を貰いまして、愛称で呼び合う事になりました!」
嬉しそうに言われたが…こちらは吐きそうになるほど嫉妬で気持ち悪い。
「ネフェリア!俺も愛称で、いいか?」
歪んだ顔を必死に取り繕い、引き攣りながら笑みを浮かべるキリウスに、ネフェリアは、恥ずかしそうにコクンと頷いた。
「じゃあ、俺は、俺だけの呼び方で呼ぶ。…ネフェリア……ネア…ネアと呼ぶ。」
キリウスはネフェリアの手を取り、口元へ近づけると、キスを落とす。
チュッと言うリップ音に、ポンッと更に赤らめたネフェリアは激しく頷く。
「ネフェリアも、俺に愛称を付けてくれ。幼少時代はキリと呼ばれていた。…それ以外で頼む。私の様に、最初と最後の文字を繋げても良い。」
切れ長の瞳で、ジッとネフェリアを見つめるキリウスの視線に、あわあわと慌てて、頭を巡らせるネフェリア。
えと、えっと、キリウスだから…キとス…
「キス!」
パッとキリウスの指示通りに作った愛称を口に出すネフェリアに、怪しい笑みを浮かべたキリウス。
あれ?
自分の発言に何か変だと首を傾げたところ、後頭部を大きな手に包まれ、気づくと、柔らかい感触が唇に当たる。
「ん!?」
合わさる唇の間から熱い舌が侵入して口内を順繰りと舐められた。
プハッ!!
スポンッと離された唇がやけに熱く、一体何が起きたのかと、唖然とするネフェリアの前で、濡れた唇を舌で舐め、親指で拭うキリウスの姿が妖艶であった。
「ネアがキスをせがむから悪い。」
キスをせがむ?
「!!?」
意味をやっと理解したネフェリアが、ワナワナと震えながらゆでタコに変身を遂げる。
「キ、キリウス様がそう呼べと!!」
「ん?俺が何と呼べと?」
コテンと首を傾げるキリウス。
全く可愛くない。
「だから、キスと!ん!ンン~!!」
またも罠に掛かったネフェリアの唇はキリウスに貪られた。
そんな2人をベリッと引き剥がしたヴィヴァリアンの顔も既に民には絶対見せられない顔であった。
「キリウス…いい加減にしろ。」
「畏まりました。我が主人の仰せのままに。」
満面の笑みで騎士の礼を取るキリウスに、嘘つけ!!と叫びたいヴィヴァリアンだった。
※いつもお世話になっております!!
びすけです!
今現在ペースダウンで不定期投稿となり申し訳ございません。
仕事の合間に書いており、忙しいのもあるのですが、悩んでおり、中々進みません。
ラストや途中までの設定は決まっていますが、文才が無さすぎて上手く伝えられて無いのでは?進みが遅く感じられてるのでは?と深く悩んでおります。
書きたいことが沢山あるため、進みはゆっくりですが、頑張って書いていきますので、今後ともよろしくお願いします!!
本当に申し訳ございません!
ご機嫌に鼻歌を歌うカウディリアンに鋭い視線を送るヴィヴァリアンとキリウス。
明らかに昨日の閨で何かがあったのだろう。
カウディリアンの隠す気のない、上機嫌な態度で、それが自分達にとっては最悪な出来事であると思うと、筆圧が強くなり、何度も書類を破ってしまった。
その度に無言でさっと修正するサリウスの無機質な表情も恐ろしい。
キリウスもわざわざ、朝のカウディリアンの様子から、ネフェリアの護衛をアリウスに託し、カウディリアンの様子を鋭い眼光で監視するかの如く、手持ちぶたさで、足を譲りながら、今か今かとカウディリアンが話すのを待っている。
このままでは、ブチギレたキリウスが暴れ出してしまう。
ヴィヴァリアンは溜息を付き、聞きたくないが、自ら話を振った。
「…ご機嫌だな、カウディリアン。何かあったか?」
話を振られ、待ってましたとばかりに、花を飛ばす笑顔で、書類から顔を上げた。
「兄上、やはりわかりますか?」
イラッ!!
ピキッと青筋がヴィヴァリアンとキリウスの男性な顔に際立つ。
「いや~…フフッ!!」
「何だ…早く言え。」
思い出し笑いをするカウディリアンに対して、少し低い声となってしまった。
「昨日、少しばかりチャレンジ致しまして…良い夜を過ごさせて頂きました。」
「な、何だと!!?」
惚けた顔で、色気を振りまくカウディリアンに、ガタンと音を立て、立ち上がる。
「私は、兄上やキリウスに遅れて候補者となりましたので、もう少し意識してもらいたく…そしたら…フフッ!」
口元を押さえつつ、漏れる笑いが幸せいっぱいだと主張しているようで、どす黒い感情が体内を巡る。
無機質な表情でいた、サリファンも眉を寄せ、赤い瞳を細めていた。
「…どこまでしたのですか?」
どこから声を出しているのかわからないほど低い地獄ボイスのキリウスの顔が凄いことになっていた。
流石の幸せいっぱいカウディリアンもキリウスの顔にギョッとし、青ざめる。
「あ、兄上達がどこまでかは存じませんが、ふ、触れ合う程度です。ハハッ」
切られるのではと、キリウスに意識を集中しながら、乾いた笑いをするカウディリアンに、ヴィヴァリアンは眉を寄せる。
触れる程度…。
いい、いい方だな。触れるの定義は色々ある。
まして、あのようなご機嫌な姿など今まで、一度しか見たことが無い。
初めて、ネフェリアにあった日だけだ。
何をしたか、詳しく聞こうと、口を開いた瞬間、生徒会室の扉が開いた。
「戻りました。…あれ?」
異様な雰囲気に、キョトンとするネフェリアと、まだ話が終わってなかったのだと、察するアリウスの気まずそうな顔がそこにあった。
「ネフィ!」
朝の時間は予定が合わず、会えなかったネフェリアに、嬉しさのあまり駆け寄るカウディリアン。
「カウディ…様!」
カウディリアンの姿を見たとたん、ボッと赤くなるネフェリア。
いやいやいや!待て待て!!
「ネフィ…だと?」
しかも、ネフェリアも昔の呼び方で…。
ピキピキと鬼と化すのではないかと思うほど、顔を歪ませるキリウスも気になるが、それよりも…だ!
「ああ、ネフィは昔の我が家の愛称です。」
どこから共なく現れたエスティリオに説明される。
「ネフェリアは女の様で嫌だと言い出したので呼ばなくなりましたが、母上はまだ時々呼んでいますがね。」
「ネフィ…。」
可愛い…愛称だ。
「昨日許可を貰いまして、愛称で呼び合う事になりました!」
嬉しそうに言われたが…こちらは吐きそうになるほど嫉妬で気持ち悪い。
「ネフェリア!俺も愛称で、いいか?」
歪んだ顔を必死に取り繕い、引き攣りながら笑みを浮かべるキリウスに、ネフェリアは、恥ずかしそうにコクンと頷いた。
「じゃあ、俺は、俺だけの呼び方で呼ぶ。…ネフェリア……ネア…ネアと呼ぶ。」
キリウスはネフェリアの手を取り、口元へ近づけると、キスを落とす。
チュッと言うリップ音に、ポンッと更に赤らめたネフェリアは激しく頷く。
「ネフェリアも、俺に愛称を付けてくれ。幼少時代はキリと呼ばれていた。…それ以外で頼む。私の様に、最初と最後の文字を繋げても良い。」
切れ長の瞳で、ジッとネフェリアを見つめるキリウスの視線に、あわあわと慌てて、頭を巡らせるネフェリア。
えと、えっと、キリウスだから…キとス…
「キス!」
パッとキリウスの指示通りに作った愛称を口に出すネフェリアに、怪しい笑みを浮かべたキリウス。
あれ?
自分の発言に何か変だと首を傾げたところ、後頭部を大きな手に包まれ、気づくと、柔らかい感触が唇に当たる。
「ん!?」
合わさる唇の間から熱い舌が侵入して口内を順繰りと舐められた。
プハッ!!
スポンッと離された唇がやけに熱く、一体何が起きたのかと、唖然とするネフェリアの前で、濡れた唇を舌で舐め、親指で拭うキリウスの姿が妖艶であった。
「ネアがキスをせがむから悪い。」
キスをせがむ?
「!!?」
意味をやっと理解したネフェリアが、ワナワナと震えながらゆでタコに変身を遂げる。
「キ、キリウス様がそう呼べと!!」
「ん?俺が何と呼べと?」
コテンと首を傾げるキリウス。
全く可愛くない。
「だから、キスと!ん!ンン~!!」
またも罠に掛かったネフェリアの唇はキリウスに貪られた。
そんな2人をベリッと引き剥がしたヴィヴァリアンの顔も既に民には絶対見せられない顔であった。
「キリウス…いい加減にしろ。」
「畏まりました。我が主人の仰せのままに。」
満面の笑みで騎士の礼を取るキリウスに、嘘つけ!!と叫びたいヴィヴァリアンだった。
※いつもお世話になっております!!
びすけです!
今現在ペースダウンで不定期投稿となり申し訳ございません。
仕事の合間に書いており、忙しいのもあるのですが、悩んでおり、中々進みません。
ラストや途中までの設定は決まっていますが、文才が無さすぎて上手く伝えられて無いのでは?進みが遅く感じられてるのでは?と深く悩んでおります。
書きたいことが沢山あるため、進みはゆっくりですが、頑張って書いていきますので、今後ともよろしくお願いします!!
本当に申し訳ございません!
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