本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

文字の大きさ
上 下
106 / 107
ネフェリア、学園編

愛称

しおりを挟む
「ふふふ~ん♪」

ご機嫌に鼻歌を歌うカウディリアンに鋭い視線を送るヴィヴァリアンとキリウス。

明らかに昨日の閨で何かがあったのだろう。

カウディリアンの隠す気のない、上機嫌な態度で、それが自分達にとっては最悪な出来事であると思うと、筆圧が強くなり、何度も書類を破ってしまった。

その度に無言でさっと修正するサリウスの無機質な表情も恐ろしい。


キリウスもわざわざ、朝のカウディリアンの様子から、ネフェリアの護衛をアリウスに託し、カウディリアンの様子を鋭い眼光で監視するかの如く、手持ちぶたさで、足を譲りながら、今か今かとカウディリアンが話すのを待っている。


このままでは、ブチギレたキリウスが暴れ出してしまう。


ヴィヴァリアンは溜息を付き、聞きたくないが、自ら話を振った。


「…ご機嫌だな、カウディリアン。何かあったか?」


話を振られ、待ってましたとばかりに、花を飛ばす笑顔で、書類から顔を上げた。


「兄上、やはりわかりますか?」


イラッ!!


ピキッと青筋がヴィヴァリアンとキリウスの男性な顔に際立つ。


「いや~…フフッ!!」


「何だ…早く言え。」

思い出し笑いをするカウディリアンに対して、少し低い声となってしまった。



「昨日、少しばかりチャレンジ致しまして…良い夜を過ごさせて頂きました。」


「な、何だと!!?」


惚けた顔で、色気を振りまくカウディリアンに、ガタンと音を立て、立ち上がる。



「私は、兄上やキリウスに遅れて候補者となりましたので、もう少し意識してもらいたく…そしたら…フフッ!」


口元を押さえつつ、漏れる笑いが幸せいっぱいだと主張しているようで、どす黒い感情が体内を巡る。


無機質な表情でいた、サリファンも眉を寄せ、赤い瞳を細めていた。


「…どこまでしたのですか?」

どこから声を出しているのかわからないほど低い地獄ボイスのキリウスの顔が凄いことになっていた。


流石の幸せいっぱいカウディリアンもキリウスの顔にギョッとし、青ざめる。


「あ、兄上達がどこまでかは存じませんが、ふ、触れ合う程度です。ハハッ」

切られるのではと、キリウスに意識を集中しながら、乾いた笑いをするカウディリアンに、ヴィヴァリアンは眉を寄せる。


触れる程度…。


いい、いい方だな。触れるの定義は色々ある。

まして、あのようなご機嫌な姿など今まで、一度しか見たことが無い。


初めて、ネフェリアにあった日だけだ。



何をしたか、詳しく聞こうと、口を開いた瞬間、生徒会室の扉が開いた。


「戻りました。…あれ?」

異様な雰囲気に、キョトンとするネフェリアと、まだ話が終わってなかったのだと、察するアリウスの気まずそうな顔がそこにあった。


「ネフィ!」

朝の時間は予定が合わず、会えなかったネフェリアに、嬉しさのあまり駆け寄るカウディリアン。


「カウディ…様!」

カウディリアンの姿を見たとたん、ボッと赤くなるネフェリア。



いやいやいや!待て待て!!


「ネフィ…だと?」


しかも、ネフェリアも昔の呼び方で…。


ピキピキと鬼と化すのではないかと思うほど、顔を歪ませるキリウスも気になるが、それよりも…だ!


「ああ、ネフィは昔の我が家の愛称です。」

どこから共なく現れたエスティリオに説明される。


「ネフェリアは女の様で嫌だと言い出したので呼ばなくなりましたが、母上はまだ時々呼んでいますがね。」


「ネフィ…。」

可愛い…愛称だ。


「昨日許可を貰いまして、愛称で呼び合う事になりました!」

嬉しそうに言われたが…こちらは吐きそうになるほど嫉妬で気持ち悪い。


「ネフェリア!俺も愛称で、いいか?」


歪んだ顔を必死に取り繕い、引き攣りながら笑みを浮かべるキリウスに、ネフェリアは、恥ずかしそうにコクンと頷いた。


「じゃあ、俺は、俺だけの呼び方で呼ぶ。…ネフェリア……ネア…ネアと呼ぶ。」


キリウスはネフェリアの手を取り、口元へ近づけると、キスを落とす。

チュッと言うリップ音に、ポンッと更に赤らめたネフェリアは激しく頷く。


「ネフェリアも、俺に愛称を付けてくれ。幼少時代はキリと呼ばれていた。…それ以外で頼む。私の様に、最初と最後の文字を繋げても良い。」


切れ長の瞳で、ジッとネフェリアを見つめるキリウスの視線に、あわあわと慌てて、頭を巡らせるネフェリア。

えと、えっと、キリウスだから…キとス…


「キス!」


パッとキリウスの指示通りに作った愛称を口に出すネフェリアに、怪しい笑みを浮かべたキリウス。


あれ?



自分の発言に何か変だと首を傾げたところ、後頭部を大きな手に包まれ、気づくと、柔らかい感触が唇に当たる。


「ん!?」


合わさる唇の間から熱い舌が侵入して口内を順繰りと舐められた。


プハッ!!


スポンッと離された唇がやけに熱く、一体何が起きたのかと、唖然とするネフェリアの前で、濡れた唇を舌で舐め、親指で拭うキリウスの姿が妖艶であった。


「ネアがキスをせがむから悪い。」


キスをせがむ?


「!!?」


意味をやっと理解したネフェリアが、ワナワナと震えながらゆでタコに変身を遂げる。


「キ、キリウス様がそう呼べと!!」


「ん?俺が何と呼べと?」


コテンと首を傾げるキリウス。


全く可愛くない。


「だから、キスと!ん!ンン~!!」


またも罠に掛かったネフェリアの唇はキリウスに貪られた。


そんな2人をベリッと引き剥がしたヴィヴァリアンの顔も既に民には絶対見せられない顔であった。


「キリウス…いい加減にしろ。」



「畏まりました。我が主人の仰せのままに。」


満面の笑みで騎士の礼を取るキリウスに、嘘つけ!!と叫びたいヴィヴァリアンだった。



※いつもお世話になっております!!

びすけです!

今現在ペースダウンで不定期投稿となり申し訳ございません。

仕事の合間に書いており、忙しいのもあるのですが、悩んでおり、中々進みません。


ラストや途中までの設定は決まっていますが、文才が無さすぎて上手く伝えられて無いのでは?進みが遅く感じられてるのでは?と深く悩んでおります。

書きたいことが沢山あるため、進みはゆっくりですが、頑張って書いていきますので、今後ともよろしくお願いします!!


本当に申し訳ございません!
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話

甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。 王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。 その時、王子の元に一通の手紙が届いた。 そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。 王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

処理中です...