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B介

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ネフェリア、学園編

お茶会

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暫くして、ダーウィング様からお茶会の招待状が届いた。

場所は、寮の裏手にある薔薇園の奥を貸してもらったらしい。 

気合を入れて華奢な身体を引き立てるタイトなジャケットスーツとダーウィング様の瞳の色のリボン。



「ダーウィング様!!この度はご招待頂き……!!」


フィフィルは目を大きく見開いた。

そこには攻略対象者達ネフェリアがいたのだ。


「フィフィル・カトローザ…」


向こうも知らなかった様だ。


「何故、彼が?」

ヴィヴァリアンが向ける視線にニコッと笑みを作り答える。


「ハイ、カレトモヤクソクシタカラ、ヨビマシタ!」


「ダーウィング殿!しかし、我々との交友の場に男爵を呼ぶのは…」

ナヴィルリアンの言葉を遮る様に立ち上がり、フィフィルをエスコートして隣に座らせるダーウィング。


「キョウハワタシノタメノオチャカイデス。イイデショウ?」

パチンとウィンクをフィフィルに贈ると、フィフィルはポッと白い頬を赤らめた。


その顔が可愛くて、思わずネフェリアは魅入ってしまった。

さすが、ヒロイン。やはり可愛いな…。
前世と同じ顔にネフェリアは少し不安を感じつつ、彼の愛嬌ある顔を見つめた。

周りも今の顔を見たら、少なからず何か思ったんじゃ無いかな…。


不安げに周りを見渡したが、皆普通にお茶を飲んでいた。
後ろを振り向けば、キリウスとアリウスがにっこりとこちらに微笑んでいる。

ホッと安堵に溜息を溢すと、心配そうにサリファンに顔を覗かれた。


「大丈夫??」


「うん。」


サリファンに笑顔を向けると、目線にフィフィルの姿があった。

ピンクの瞳を歪ませてこちらを見るフィフィルに、ビクリと跳ねそうな身体をグッと押さえた。

僕が知っているフィフィルは、泣き顔と幸せそうな笑顔だけだ。あんな歪んだ顔は見た事は無かった。

だけど、今世はこの顔ばかり。これは僕の所為なのかな。


人は環境で変わるのだろうか。


そんな事を思いながらお茶を含むと、ふと、視線を感じた。

顔を上げると、ダーウィングの瞳とバチッと合う。


ニッと笑い、細めるペリドットにドキッと心臓が弾んだ。


「ダーウィング様!!」


直ぐにフィフィルがダーウィングの腕を引っ張ったので、それは一瞬だった。


やっぱり、あの瞳は苦手だ。


ドキドキする心臓に胸を置き、静まる様大きく息を吐いた。


「ネフェリア、これ美味いぞ。」

カウディリアンは小さなベリーのケーキをネフェリアに渡す。

「わー!美味しそう!」

目の前のベリーケーキを口に含むと甘酸っぱくて本当に美味しかった。


気にしない!気にしない!

夢中でケーキを頬張るネフェリアの後ろで、キリウスとアリウスは眉を寄せる。


「兄上…。」

「ああ…。」


あの視線は厄介だ。



全てを見ていたキリウス達は、ダーウィングの視線に何かを感じた。


本日はお茶会出席のはずだったが、人払もしているため、警護に当たる事にしたキリウス達。

その為、ネフェリアに寄せられるフィフィルの禍々しい視線と、ダーウィングの視線に気付いたのだ。



「ヴィヴァリアン皇子、モウスグ、王太子トナラレマスネ。」


「ああ、このまま行けばそうでしょうね。」

ダーウィングの言葉に口元を笑わせてヴィヴァリアンは答える。


「スバラシイ!!ソレジャア、コンヤクシャモキメマシタカ?」


ピクッとヴィヴァリアンの動きが止まり、ダーウィングに鋭い視線を向ける。


「私の婚約者はネフェリアだと知っているはずでは?」


「ソウナノデスカ?ワタシハ、コンヤクシャコウホトキキマシタガ。」

お茶を飲むダーウィングの様子に空気がピリついた。

「何が言いたい?」

明らかに怒りを含んだ言葉に、ダーウィングは困ったと言うように笑い、カップを置いた。


「モウシワケゴサイマセン。ワタシは王太子妃キョウイクナド、カンガエルト、スデニキメタホウガト。」

ヘラッと笑うダーウィングに、ギリッと歯をきしますヴィヴァリアン。


ネフェリアは居た堪れず、俯くしか無い。


「ドウデスカ?ワタシノイモウトハ?キョウイクモシッカリトシテアルノデ…」


「ネフェリアは既に王太子妃教育は済んでいますよ。」


ダーウィングの言葉を遮る様にエスティリオは発した。


「え?」


兄様?


「エスティリオ!誠か??」

ヴィヴァリアンも驚き、身を乗り出す。


「ええ。婚約はお断りしましたが、国王からの命令で念のためにって事で。もし、ネフェリアが王宮に入るのであれば、後は王妃教育を王妃様から受けるだけです。」

ま、じ、か!!


ネフェリアもびっくり!!


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