本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

文字の大きさ
上 下
102 / 107
ネフェリア、学園編

僕がヒロインだ!

しおりを挟む
「ダーウィング様!!ナヴィルリアン様!!」

振り向く漆黒の髪にペリドットの瞳。他国の王子を守るように隣に立つ金髪のナヴィルリアン。

カウディリアン様より、まだ幼さが残る顔だけど、やっぱり綺麗だな。
カウディリアンと違うつり目も魅力的に感じる。

そして黒髪のエキゾチックな端正な顔に吸い込まれる様に魅惑のペリドットの瞳が輝くシークレットキャラのダーウィング様。


なんて素敵なんだろう。

「キミハ?タシカ…。」

優しげな声に胸がドキドキする。

「カトローザ男爵令息だよ。ダーウィング。」

ナヴィルリアンがつり目を細めて冷たくフィフィルを見下ろす。


フンッ!カッコイイけど、君よりカウディリアン様の方が素敵なんだから!

それに、今はネフェリアに夢中な君よりダーウィング様に用があるんだ!!


「フィフィル・カトローザです。フィフィルって呼んで下さい!!」

ニコッと華やかな笑顔を向けるフィフィルに、ダーウィングも口角を上げる。

「フィフィル。ドウシマシタカ?」

わぁ!素敵!!

さすが、シークレット!雰囲気が違う!
褐色の肌のハリや艶やかに光る黒髪、笑うと輝く瞳が細まり、口元から白い歯が映える。


「あ、あの!僕、アピア国について話を伺いたくって!お話聞かせて頂けませんか?」

キョトンとした顔も素敵!!


瞳を丸くしてフィフィルを見下ろすダーウィング。

「アピアニキョウミガ?ウレシイデスネ。イイデスヨ。チカイウチニジカンヲツクリマショウ。イイデショ?ナヴィル皇子。」 

ナヴィルリアンは疑わしげにフィフィルを見るが、アピアの第四王子が許可をするなら何も言えない。

フーと溜息を付き、了承し、時間調整をするとダーウィングに話した。


フィフィルは内心ガッツポーズをしながら、キラキラと輝くピンクの瞳で上目遣いにダーウィングを見つめた。


「ありがとうございます!!嬉しいです!楽しみにしていますね?」


「アア。ワタシモタノシミダ。」

にこりと微笑むダーウィングの顔を惚けて見つめるフィフィルにナヴィルは舌打ちを小さくし、先を急ぐようダーウィングを促した。


「デハ、マタ…」

先へと進む為、向きを変えたダーウィングの背中を見送るフィフィル。

すると、一瞬振り向いたダーウィングのペリドットの瞳と目が合った。

たった一瞬の出来事だったが、先程の優しさが消え、冷えたペリドットの瞳が妖しく光った様に感じ、ドキリと心臓が強張った気がした。


え?

何だったんだ今の?

強張った胸に手を翳すが、通常に動く心臓にホッとする。



ダーウィング・アピア、シークレットキャラ。

何度ゲームしても出せなかったキャラ。

確か、友人が泣きながら出せたと報告を受けた。だけど悔しくて、見なかったんだよな。

確か、友人が…まさか、こんなルートがあるとは…って言っていたっけ…。

くそッ!聞いとけばよかった…!


まぁ、いいや。

約束の言質は取った。王子が放った言葉程重いものは無い。


フィフィルはふと、窓の外に目を向けた。

そこには馬車に乗り込もうとするネフェリアがいた。

そして、サリファンの姿。

皇子様らとキリウスが乗り込み、別荘へと向かうのであろう馬車をサリファンは笑顔で見送った。

馬車が走り去り、目で見えなくなるまで見送ると、サリファンの横顔が儚げに、赤い瞳が沈んだ様に感じた。


フィフィルはグッと唇を噛み締めた。


そんなに好き?

そんなに寂しく悲しいのに好きなの?

そんな…顔をするほどネフェリアが好き?



ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!


見てろよ!ネフェリア!

見てろよ!カトローザ男爵!

見てろよ!サリファン!



僕が!ヒロインだ!!

しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話

甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。 王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。 その時、王子の元に一通の手紙が届いた。 そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。 王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

処理中です...