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ネフェリア、学園編
カトローザ男爵
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何で!!何で上手く行かないんだ!!
こんなにも原作と違うなんて!!
イベントすら起きないってどういうこと!?
これがリアルだから??
ガリッと悔しげに爪を噛むフィフィルの脳裏に浮かぶサリファンの顔。
以前はサリファンにさほど興味は無かったが、自分の1番好きなハーレムエンドでサリファンルートをやった時は綺麗な青年というイメージしか無かった。
一推しはカウディリアンだ。
だけど…実際近くで見た赤い瞳は綺麗で吸い込まれそうだった。
そう言えば、1番最初の出会いの時も最後まで側に居てくれたなって思ったら、頭にはサリファンが常にいる。
クソッ!!邪魔しやがって!!ネフェリアめ!!
確かにネフェリアはゲームのキャラより数倍綺麗だ。
そこからしてゲームと違う。
ゲームと似ているところは邪魔者だという事実のみ。
フィフィルはポケットに入っていた1通の手紙をグシャリと握る。
カトローザ男爵からの手紙だ。
「チッ…どいつもこいつも!!」
ボソリと呟くフィフィルの声にいつもの高さはなかった。
カトローザ男爵は上へとのし上がる為、フィフィルの美貌を買い養子にした。
ザナンス・カトローザ、男爵の位の中でも幅広く手を広げて商いに力を入れ、裕福な方だ。闇業にも手を出していると、きな臭い噂もある人物。
幼少期から我が強く、次男であったが男爵の位欲しさに兄を嵌めて、当主となった。
そんな彼は現在の妻も、欲望のまま、他の婚約者から奪い取ったのだ。
セミウル・カトローザ、性別は男であるが、美しい青年だった。歌手として劇場で声を披露したところ、見事ザナンスのハートを奪った。すぐさま動いたザナンスは金やあらゆる手を使いセミウルを手に入れる事が出来た。
だが、美しいセミウルは自分の美貌を良く知り、元婚約者がいながらも他の男とも身体を重ねていた。
それはザナンスが夫となっても変わらなかった。
怒ったザナンスは薬物で彼の性器を使い物にならなくしたのだった。
それが問題だったのか、何度試しても子が出来ず、跡継ぎを作る事が出来なかった。
男同士は元々出来にくいのもあるが、彼の最終目的の為にはどうしても子が必要だったのだ。
一夫多妻制が認められているにせよ、それには爵位が必要だった。
伯爵以上から認められており、伯爵未満の爵位の者が一夫多妻制を使うには、伯爵以上の位を持つ妻を娶らなければならない決まりがある。
身分の下の者に嫁ぐ者を探すのは極めて大変である。
まずは大体は上の爵位か、同等。次に一つ下に声をかける。
男爵は貴族でも最下位の爵位。伯爵以上の者が、男爵まで婚約者が見つからない程、断られた者を娶る事はさすがにザナンスのプライドが許さないだろう。
ザナンスの目的は子であり、我が子で無くても良い。
ザナンスの最終目的は伯爵の爵位だ。
その為に娘か美しい息子だ。
勿論、後継ぎも欲しいが、嫁ぐ側が最適なのだ。
嫁ぐ場合は爵位などは関係無い。政略的なモノはあるが、基本当主は自分の爵位に問題は起きない。
娘なら、高位貴族からも求められるだろう。王家だってチャンスはある。
美しい息子もそうだ。
そして、結婚まで繋がれば、男爵位ではあるが、親族となり、嫁ぎ先の爵位の補償が受けれるのだ。
これをザナンスは狙っているのだ。
補償とは、伯爵位以上の爵位の名を借りれる事だ。
一夫多妻制の様にある程度の爵位のみにしか許されていない規則がある。
その場合、親族の赦しを得れば爵位を借りる事が出来る補償だ。
ザナンスは他国との貿易を行いたいが、その為には伯爵位以上が必要だった。
その為の子が必要なのだ。
侯爵以上の高位貴族だと、妻の爵位が低い場合稀に爵位が上がる事もある。
だからフィフィルを養子として迎えたのだ。
娘より美しい男として…。
故に、息子が使えない場合、価値が無いと判断した場合…、男爵はどう動くか。
フィフィルの1番の問題はそこである。
自分が主人公だと、自信と絶対なる余裕があった。
しかし、蓋を開けてみれば…。
ギリギリと爪から血が出るほど歯を食い込ませるフィフィル。
手紙には、現在の状況と誰と寝たかなど息子に送るとは思えない内容が記されている。
これは必ず3ヶ月に一回報告する決まりであり、フィフィルも守り、報告出来るよう相手を見繕い、必ず新しい相手を作っていた。
しかし、前回の報告時、爵位が低すぎると言われ、伯爵位以上を捕まえられていない事実をフィフィルはザナンスによって気付かされたのだ。
伯爵位以上を今までも誘ってみたが、応じず、彼達の視線の先には必ずネフェリアがいる。
伯爵位以上の者達は知識、権力など求める者が多く、選ぶ範囲は広いが、お眼鏡に敵う人物は少ない。
その選ばれしトップがネフェリア・プロント だ。
次男であの容姿だ。嫁ぐ側である事がわかる。
優秀な頭脳、美貌、爵位。誰もが欲している。
「どこがいいんだ!!あんな奴!!」
サリファンも、カウディリアンも!!
忌々しい!!
とにかく!今はネフェリアに構っていられない…伯爵位以上をどうにか!!
イライラと顔を歪ませたフィフィルの目ある人物を捉えた。
あれは…
「…みーつけた!」
こんなにも原作と違うなんて!!
イベントすら起きないってどういうこと!?
これがリアルだから??
ガリッと悔しげに爪を噛むフィフィルの脳裏に浮かぶサリファンの顔。
以前はサリファンにさほど興味は無かったが、自分の1番好きなハーレムエンドでサリファンルートをやった時は綺麗な青年というイメージしか無かった。
一推しはカウディリアンだ。
だけど…実際近くで見た赤い瞳は綺麗で吸い込まれそうだった。
そう言えば、1番最初の出会いの時も最後まで側に居てくれたなって思ったら、頭にはサリファンが常にいる。
クソッ!!邪魔しやがって!!ネフェリアめ!!
確かにネフェリアはゲームのキャラより数倍綺麗だ。
そこからしてゲームと違う。
ゲームと似ているところは邪魔者だという事実のみ。
フィフィルはポケットに入っていた1通の手紙をグシャリと握る。
カトローザ男爵からの手紙だ。
「チッ…どいつもこいつも!!」
ボソリと呟くフィフィルの声にいつもの高さはなかった。
カトローザ男爵は上へとのし上がる為、フィフィルの美貌を買い養子にした。
ザナンス・カトローザ、男爵の位の中でも幅広く手を広げて商いに力を入れ、裕福な方だ。闇業にも手を出していると、きな臭い噂もある人物。
幼少期から我が強く、次男であったが男爵の位欲しさに兄を嵌めて、当主となった。
そんな彼は現在の妻も、欲望のまま、他の婚約者から奪い取ったのだ。
セミウル・カトローザ、性別は男であるが、美しい青年だった。歌手として劇場で声を披露したところ、見事ザナンスのハートを奪った。すぐさま動いたザナンスは金やあらゆる手を使いセミウルを手に入れる事が出来た。
だが、美しいセミウルは自分の美貌を良く知り、元婚約者がいながらも他の男とも身体を重ねていた。
それはザナンスが夫となっても変わらなかった。
怒ったザナンスは薬物で彼の性器を使い物にならなくしたのだった。
それが問題だったのか、何度試しても子が出来ず、跡継ぎを作る事が出来なかった。
男同士は元々出来にくいのもあるが、彼の最終目的の為にはどうしても子が必要だったのだ。
一夫多妻制が認められているにせよ、それには爵位が必要だった。
伯爵以上から認められており、伯爵未満の爵位の者が一夫多妻制を使うには、伯爵以上の位を持つ妻を娶らなければならない決まりがある。
身分の下の者に嫁ぐ者を探すのは極めて大変である。
まずは大体は上の爵位か、同等。次に一つ下に声をかける。
男爵は貴族でも最下位の爵位。伯爵以上の者が、男爵まで婚約者が見つからない程、断られた者を娶る事はさすがにザナンスのプライドが許さないだろう。
ザナンスの目的は子であり、我が子で無くても良い。
ザナンスの最終目的は伯爵の爵位だ。
その為に娘か美しい息子だ。
勿論、後継ぎも欲しいが、嫁ぐ側が最適なのだ。
嫁ぐ場合は爵位などは関係無い。政略的なモノはあるが、基本当主は自分の爵位に問題は起きない。
娘なら、高位貴族からも求められるだろう。王家だってチャンスはある。
美しい息子もそうだ。
そして、結婚まで繋がれば、男爵位ではあるが、親族となり、嫁ぎ先の爵位の補償が受けれるのだ。
これをザナンスは狙っているのだ。
補償とは、伯爵位以上の爵位の名を借りれる事だ。
一夫多妻制の様にある程度の爵位のみにしか許されていない規則がある。
その場合、親族の赦しを得れば爵位を借りる事が出来る補償だ。
ザナンスは他国との貿易を行いたいが、その為には伯爵位以上が必要だった。
その為の子が必要なのだ。
侯爵以上の高位貴族だと、妻の爵位が低い場合稀に爵位が上がる事もある。
だからフィフィルを養子として迎えたのだ。
娘より美しい男として…。
故に、息子が使えない場合、価値が無いと判断した場合…、男爵はどう動くか。
フィフィルの1番の問題はそこである。
自分が主人公だと、自信と絶対なる余裕があった。
しかし、蓋を開けてみれば…。
ギリギリと爪から血が出るほど歯を食い込ませるフィフィル。
手紙には、現在の状況と誰と寝たかなど息子に送るとは思えない内容が記されている。
これは必ず3ヶ月に一回報告する決まりであり、フィフィルも守り、報告出来るよう相手を見繕い、必ず新しい相手を作っていた。
しかし、前回の報告時、爵位が低すぎると言われ、伯爵位以上を捕まえられていない事実をフィフィルはザナンスによって気付かされたのだ。
伯爵位以上を今までも誘ってみたが、応じず、彼達の視線の先には必ずネフェリアがいる。
伯爵位以上の者達は知識、権力など求める者が多く、選ぶ範囲は広いが、お眼鏡に敵う人物は少ない。
その選ばれしトップがネフェリア・プロント だ。
次男であの容姿だ。嫁ぐ側である事がわかる。
優秀な頭脳、美貌、爵位。誰もが欲している。
「どこがいいんだ!!あんな奴!!」
サリファンも、カウディリアンも!!
忌々しい!!
とにかく!今はネフェリアに構っていられない…伯爵位以上をどうにか!!
イライラと顔を歪ませたフィフィルの目ある人物を捉えた。
あれは…
「…みーつけた!」
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