87 / 107
ネフェリア、学園編
紙切れ
しおりを挟む
ドファスと生徒会室で合流すると、ドファスは指に折り畳まれた紙を挟み、フリフリと振っていた。
「おお!!あったか!!」
アリウスは興奮を隠さず、拳を握りしめた。
小さい折られた紙を開くと、小さく書かれた文字。
「現状そのまま」
と書かれていた。
「…この字は女性か?」
ドファスは眉を寄せて、筆圧と線の細さから女性と判断。
サリファンも同意見らしい。
「…確かに女性のようだ。このぐらいのやりとりで有れば代わりに置いた紙にも気づかないでしょう。」
「代わりの紙には何と記入したんだ?」
「何も。定期的連絡のようだから、白紙でも、問題無いと踏んだ。勝手に向こうが解釈するだろう。おかしいと気付き、近寄った場合も相手がわかるしな。」
「さすが、サリファン!頭いい!!」
「…サリファン様は敵に回したくないですね。つくづく取引して良かったと思う。」
ドファスは苦笑しながら肩をすくめた。
「とにかく、この文字を女性限定…男爵、子爵以上の位で調べよう。」
「どうやって調べる?」
サリファンの言葉にアリウスは首を傾げる。
「……それなら、私が何とかしましょう。詳しくは言えないが、ある教師のネタがありましてね。協力してもらいます。」
「僕も貴方を味方に付けて良かったと思います。全てはネフェリアのお陰ですね。」
赤い瞳が愛しい人を思い出したかのように優しく輝く。
「まったくです。」
ドファスはサリファンの優しい瞳に口元を緩ませ、笑みを浮かべた。
ネフェリア様は罪深いな。
ドファスは大きく息を吐き、生徒会室を後にした。
サリファンとアリウスはソファに座り、ポットから紅茶を注いだ。
「もうすぐネフェリアも返ってくるだろう。」
「そうだな。早く癒されたい。」
アリウスは背もたれに身体を預けて、瞳を閉じた。
瞳を閉じると、すぐにネフェリアの笑顔が浮かぶ。
たった少し離れただけなのに、こんなにも切なく思うとは思わなかった。
「なぁ、サリファン。…どうすれば、皇子達に勝てるかな…。」
アリウスの言葉にサリファンは瞳を細めた。
「…それはネフェリアの気持ち次第だ。…僕は、ネフェリアと添い遂げたいし、諦めるつもりは無いが…ネフェリアが幸せなら、それでいいとも、思える。」
アリウスは閉じていた若草色の瞳をサリファンに向ける。
「俺も、ネフェリアが幸せなのが1番いい。だが、ネフェリアを幸せにする役目は俺だと思っている。」
アリウスの真剣な瞳にサリファンは口角を上げた。
「…そういう顔すると、カリウスに似ているね。」
「えー!!父上に!?」
嫌そうに眉を寄せるアリウスにサリファンは苦笑する。
「そんな顔していいの?…多分だけど、ネフェリアの理想は男らしい人だと思うからカリウスだと思うよ?」
「え!?だから、ネフェリア、兄上に懐いてんの?!…でも、俺だって男らしい顔だと思うけど?」
キリッと引き締めた表情でサリファンを見る。
「確かに僕やカウディリアンより、凛々しいと思うけど、何だろう?頼もしさ?威圧感?隙のなさ?が足りないんじゃない?性格も違うしね。」
「父上も兄上も、クールって言われてるけど、周りに全く興味ないだけだし、ぶっちゃけムッツリだし!ネフェリアに対してだけ!!あんな、冷徹感より、俺のが明るくていいじゃん!!」
ムスッと顔を顰めるアリウスにサリファンはクスクスと楽しそうに笑う。
「顔は似てるけど、性格が顔に出るって本当なんだね。…まぁ、ネフェリアは自分が男らしくなりたい願望で憧れてるだけだから気にしなくていいんじゃない?僕だって筋肉質になりたいけど難しいしさ。」
納得出来ないアリウスは自分の顔をペタペタと触りながら難しい顔をしている。
「…だけどよく分かったな。ネフェリアが父上に憧れているって。」
アリウスの質問にサリファンは少し切なげに紅茶を口にした。
「…ずっと見ていたらわかるさ。…僕の腕じゃカリウスに勝てないから、だから勉学を選んだ訳だしね。」
「……サリファン…お前、10歳でそんな事考えてたの?」
「お前より頭がいいから、無駄な争いはしないんだよ。」
ニッと悪戯に笑う顔にアリウスはまたムッと唇を突き出す。
「あー!!俺も勉学にしときゃー良かった!!」
頭をぐしゃぐしゃと掻き乱すアリウスに、お前じゃ無理だろとサリファンは内心思ったが、そこは口に出さなかった。
窓から少し沈みかけた空を見つめるサリファン。
「ネフェリア…早く、会いたい。」
「おお!!あったか!!」
アリウスは興奮を隠さず、拳を握りしめた。
小さい折られた紙を開くと、小さく書かれた文字。
「現状そのまま」
と書かれていた。
「…この字は女性か?」
ドファスは眉を寄せて、筆圧と線の細さから女性と判断。
サリファンも同意見らしい。
「…確かに女性のようだ。このぐらいのやりとりで有れば代わりに置いた紙にも気づかないでしょう。」
「代わりの紙には何と記入したんだ?」
「何も。定期的連絡のようだから、白紙でも、問題無いと踏んだ。勝手に向こうが解釈するだろう。おかしいと気付き、近寄った場合も相手がわかるしな。」
「さすが、サリファン!頭いい!!」
「…サリファン様は敵に回したくないですね。つくづく取引して良かったと思う。」
ドファスは苦笑しながら肩をすくめた。
「とにかく、この文字を女性限定…男爵、子爵以上の位で調べよう。」
「どうやって調べる?」
サリファンの言葉にアリウスは首を傾げる。
「……それなら、私が何とかしましょう。詳しくは言えないが、ある教師のネタがありましてね。協力してもらいます。」
「僕も貴方を味方に付けて良かったと思います。全てはネフェリアのお陰ですね。」
赤い瞳が愛しい人を思い出したかのように優しく輝く。
「まったくです。」
ドファスはサリファンの優しい瞳に口元を緩ませ、笑みを浮かべた。
ネフェリア様は罪深いな。
ドファスは大きく息を吐き、生徒会室を後にした。
サリファンとアリウスはソファに座り、ポットから紅茶を注いだ。
「もうすぐネフェリアも返ってくるだろう。」
「そうだな。早く癒されたい。」
アリウスは背もたれに身体を預けて、瞳を閉じた。
瞳を閉じると、すぐにネフェリアの笑顔が浮かぶ。
たった少し離れただけなのに、こんなにも切なく思うとは思わなかった。
「なぁ、サリファン。…どうすれば、皇子達に勝てるかな…。」
アリウスの言葉にサリファンは瞳を細めた。
「…それはネフェリアの気持ち次第だ。…僕は、ネフェリアと添い遂げたいし、諦めるつもりは無いが…ネフェリアが幸せなら、それでいいとも、思える。」
アリウスは閉じていた若草色の瞳をサリファンに向ける。
「俺も、ネフェリアが幸せなのが1番いい。だが、ネフェリアを幸せにする役目は俺だと思っている。」
アリウスの真剣な瞳にサリファンは口角を上げた。
「…そういう顔すると、カリウスに似ているね。」
「えー!!父上に!?」
嫌そうに眉を寄せるアリウスにサリファンは苦笑する。
「そんな顔していいの?…多分だけど、ネフェリアの理想は男らしい人だと思うからカリウスだと思うよ?」
「え!?だから、ネフェリア、兄上に懐いてんの?!…でも、俺だって男らしい顔だと思うけど?」
キリッと引き締めた表情でサリファンを見る。
「確かに僕やカウディリアンより、凛々しいと思うけど、何だろう?頼もしさ?威圧感?隙のなさ?が足りないんじゃない?性格も違うしね。」
「父上も兄上も、クールって言われてるけど、周りに全く興味ないだけだし、ぶっちゃけムッツリだし!ネフェリアに対してだけ!!あんな、冷徹感より、俺のが明るくていいじゃん!!」
ムスッと顔を顰めるアリウスにサリファンはクスクスと楽しそうに笑う。
「顔は似てるけど、性格が顔に出るって本当なんだね。…まぁ、ネフェリアは自分が男らしくなりたい願望で憧れてるだけだから気にしなくていいんじゃない?僕だって筋肉質になりたいけど難しいしさ。」
納得出来ないアリウスは自分の顔をペタペタと触りながら難しい顔をしている。
「…だけどよく分かったな。ネフェリアが父上に憧れているって。」
アリウスの質問にサリファンは少し切なげに紅茶を口にした。
「…ずっと見ていたらわかるさ。…僕の腕じゃカリウスに勝てないから、だから勉学を選んだ訳だしね。」
「……サリファン…お前、10歳でそんな事考えてたの?」
「お前より頭がいいから、無駄な争いはしないんだよ。」
ニッと悪戯に笑う顔にアリウスはまたムッと唇を突き出す。
「あー!!俺も勉学にしときゃー良かった!!」
頭をぐしゃぐしゃと掻き乱すアリウスに、お前じゃ無理だろとサリファンは内心思ったが、そこは口に出さなかった。
窓から少し沈みかけた空を見つめるサリファン。
「ネフェリア…早く、会いたい。」
50
お気に入りに追加
3,074
あなたにおすすめの小説
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中

お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる