本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

文字の大きさ
上 下
64 / 107
ネフェリア、学園編

理性との戦い

しおりを挟む
ヴィヴァリアンはベッドの上に増えているぬいぐるみを目にして、顔を引き攣らせた。


そこには真っ白な大きな狼のぬいぐるみが一体増えていた。


「ネフェリア…これは?」  

「先程兄様から届きました!可愛いでしょ?ふわふわです!」

先程って…昼過ぎに一度来て、その後直ぐってことか!?

持ち上げると、確かにエスティリオぐらいの大きさ。179センチ…。

しかも、瞳の色がムカつく!

右目が青色のガラス玉、左目が紫色のガラス玉。

「綺麗ですよね?僕と兄様の色です。兄様も同じの買ったらしく、瞳の色は逆だと言っていました。」


あいつ!!

ヴィヴァリアンはギリギリと狼の首を絞める。


「ヴィヴァリアン様!ダメです!」

ネフェリアは慌ててヴィヴァリアンから狼を奪った。


「なあ、せめて、私がいる時は黒豹と狼は退けてくれ。」

ヴィヴァリアンは2体を持ち上げ、ソファを指差した。

「畏まりました。ヴィヴァリアン様。」


ネフェリアは2体を受け取ると、優しくソファに置いた。


ヴィヴァリアンはやっと自分だけのネフェリアになり、満足気に抱きしめる。

しかし、いきなり抱き締めた事に気づき、ネフェリアの様子を伺った。

「今朝、あのような事があったのに、急に抱き締めてしまった。具合は大丈夫か?」


ネフェリアはふふっと笑いらヴィヴァリアンの胸に擦り寄った。

「ネ、ネフェリア!?」
 
胸元に擦り寄る可愛らしいネフェリアに、ヴィヴァリアンは夢では無いかと、戸惑いつつ、胸を高鳴らせた。

「ヴィヴァリアン様。…僕、急に思い出して、震えが止まらなくなった時、何を考えたと思いますか?」


身長差からヴィヴァリアンを見つめると、見上げる形となる。

上目遣いで見つめられ、心臓が壊れるのではと、心配でならない。

「…エスティリオの事などか?」


ネフェリアは首を振る。


「本日いらっしゃるヴィヴァリアン様に、早く抱きしめて欲しいと思いました。」

ネフェリアは恥ずかしいそうに呟いた。


「ですから…ヴィッ…!!」

話を続けようと、開いた唇はヴィヴァリアンによって塞がれた。

荒々しく奪われた唇は、声をも飲み込まれる。

そのままベッドへと押し倒され、貪られると、ネフェリアは苦しそうに身を捩る。

ヴィヴァリアンはネフェリアの唇の柔らかさを角度を変えて、何度も堪能した後、ゆっくりと顔を離した。赤く染めた頬と、欲情に塗れた瞳でネフェリアを息荒く、見つめた。

ヴィヴァリアンの明らかに自分への情を燃やし、欲する瞳にネフェリアは息を飲む。

本能からだろうか、ネフェリアの身体が自然と力が入る。

だが、ヴィヴァリアンは気にしない。そんな事より、このうちに目覚めた猛獣をどう、理性で抑えるか…耐え難い欲望と戦っている。


「ネフェリア…今のは君が悪い…。」

ヴィヴァリアンはそう呟くと、ネフェリアの身体の上には重なるように身を預けた。


何とか、抑え込んだ。

大きく息をして、荒れ狂う熱を放出する。


ネフェリアはヴィヴァリアン様の重みが直に伝わり、重さより胸の鼓動の激しさがバレないかが気になった。


「ネフェリア…あの様なこと、お前に焦がれている男に言うべきでは無い。言われて嫌な訳でなく、覚悟して言って欲しい…。私は、もう一度自分を抑えられる自信は無い。……この意味わかるか?」

ヴィヴァリアはネフェリアの首筋に鼻を押し付け、甘える様な吐息で懇願する。


ネフェリアは擽ったさに身を捩りつつ、同じ男性として、ヴィヴァリアンの言いたい事を理解した。

「わ、わかりました…。申し訳ございません…。」


ネフェリアが謝ると、ヴィヴァリアンは顔を上げ、嬉しそうに微笑んだ。

「謝ることは無い。天にも上る程嬉しかった。…理性が吹っ飛びそうになるくらいな。」

先程の荒々しさとは違う優しいキスをヴィヴァリアンはネフェリアに贈る。

そして、ネフェリアを抱き締めた。

「これで怖く無いだろ?」

ネフェリアはヴィヴァリアンの香りと温もりに包まれ、自分の安心の地を手に入れると、うつらうつらしながら、コクリと頷き、瞳を閉じた。

「ネフェリア?」

返答が無いので顔を覗き込むと、安らかな寝息をたて、眠っている。

「安心したのか…可愛い奴だな。」

ヴィヴァリアンは腕の中にネフェリアを捕らえたまま、横に身体をずらした。

隣で気持ち良さそうに寝るネフェリアを感じながら、一部なかなか治らない高まりのせいで、眠ることが出来ないヴィヴァリアンは大きな溜息を吐いた。

この、小悪魔め…

しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話

甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。 王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。 その時、王子の元に一通の手紙が届いた。 そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。 王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

処理中です...