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ネフェリア、学園編
兄心
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「ネフェリア!!」
執事から連絡がいったのだろう、兄様とヴィヴァリアン様、キリウス様がまだ昼過ぎなのに現れた。
「兄様!!」
僕はベッドサイドまで来てくれた兄様に抱きつく。
「ごめんなさい、心配掛けて…。」
僕は兄様に抱きついたまま、2人にも謝った。
「大丈夫だよ。体調は大丈夫か?」
兄様は背中と頭を撫でながら優しい声で聞いてくれる。
「うん。ちょっと思い出しちゃっただけ。執事さんに悪いことしちゃった…。」
「気にすることは無い。私の方からも言っておく。」
僕がしゅんっとすると、ヴィヴァリアン様が、にっこり微笑んでくれたので、少し安心した。
「ん?なんだ…これは?」
エスティリオはベッドに転がる2体のぬいぐるみに眉を寄せる。
すると、何を思ったか、ベッドから投げ捨てた。
「あっ!おい!!何すんだよ!!」
「エスティリオ、貴様!!」
慌てて取りに行く2人をエスティリオを目を細めて見ていた。
「なんかムカつくと思えば、そう言うことか。…どうりで。」
に、兄様…。
「ネフェリア、私が新しいぬいぐるみを買ってあげるから、アレは捨てなさい。」
ニッコリと美しい笑顔を向けられる。
「兄様…。」
「アレは、ネフェリアの肌には合わない。一緒に寝るなんてとんでもない。綺麗なネフェリアが汚されてしまう。」
「おい!エスティリオ!遠回しに俺達の事を言ってねえよな?」
「ネフェリア、キリウスのは捨てていいぞ。」
「ヴィヴァリアン!!」
ネフェリアはハラハラしながら見守っていると、キリウスに睨まれた。
「っていうか、約束破ったな?ネフェリア!ベッドにライオンは置くなと言っただろう?」
えっと、それは、約束してないです!
口を開こうとしたら、ヴィヴァリアン様がキリウスに詰め寄った。
「何!?貴様、なんと姑息な!!エスティリオ!黒豹を捨てろ。」
「言われなくても、2体とも捨てます。」
に、兄様達の関係性ってすごい!!
呆然とやり取りに見入っていると、兄様は優しく頭を撫でてくれる。
「ネフェリア、今日は私が一緒に寝てあげようか?」
「兄様が?」
ネフェリアがパァァと嬉しそうに笑顔を作ると、ヴィヴァリアンが傷ついた顔で固まる。
ネフェリアはヴィヴァリアンとエスティリオを見てオロオロとしてしまうが、エスティリオは満面の笑みでネフェリアの頬に触れた。
「兄様がいいだろ?ネフェリア。…ああ、早く婚約候補解消したいね?ネフェリアにはもっと相応しい者を探してあげるよ。いなかったとしても、私がずっと一緒にいてあげよう。」
兄様が、ずっと一緒…?
僕は少し、ドキッとした。兄様も攻略対象者。だけど、前回は僕のせいで罰せられている。
もし、皆の運命の相手が現れても、兄様は一緒にいてくれるのだろうか?
ネフェリアは紫色の瞳でエスティリオをジッと見つめた。
エスティリオは弟だと理解しながらも、ネフェリアの瞳に見つめられると、魅了され、のめり込みそうになる自分を抑えるのに必死になる。
美しき弟。
「ネフェリア!」
エスティリオはヴィヴァリアンの声にハッと我に帰る。
本当に神や妖精なのでは?と、疑い持ってしまう弟の容姿に、エスティリオは自分を落ち着かせるように大きく息を吐いた。
すると、ヴィヴァリアンが私の腕の中のネフェリアを不安そうな面持ちで覗き込んでいる。
「ネフェリア、私では…嫌か?」
氷の皇子と言われる男が、情けない顔を。生徒達に見せてやりたいな。
ネフェリアは視線を泳がせながら少し考えているようだ。
チラッと私を見るから、笑顔で答えると意を決したように真剣な顔をして私と向き合った。
「兄様、今日はヴィヴァリアン様とのお約束がありますので、今度一緒に寝てもらっても良いですか?」
私は耳を疑ってしまった。
今まで、私の背中に隠れていたネフェリア。
皇子達から逃げ、全て私を第一にしていたネフェリアが、ヴィヴァリアンを選んだ。
ネフェリアは申し訳無さそうに、こちらを見ている。
私の動揺が伝わってしまったのか?
視点が定まらない、自分の瞳を一度閉じて、無理矢理笑顔を作る。
「わかった。次は私を選んでくれよ?」
上手く笑えただろうか?
ネフェリアはホッとした表情を浮かべたので、私も胸を撫で下ろす。
ヴィヴァリアンの嬉しそうな顔に、モヤモヤと渦巻く感情が溢れてくる。
弟離れ出来ていないからだろうか?
するつもりもない。
だが、ネフェリアは兄離れをしようと考えているのかもしれない。
嫌だと思うのは兄としてダメな事だろうか?
「兄様、ありがとうございます。」
ギュッと抱きつくネフェリアに、この感情は悟られないように、笑顔を向ける。
嫉妬しそうだよヴィヴァリアン、キリウス。
やはりまだ、渡せそうに無い。
いや、永遠に渡せないかもしれない。
まずはぬいぐるみをどうにかするか?
執事から連絡がいったのだろう、兄様とヴィヴァリアン様、キリウス様がまだ昼過ぎなのに現れた。
「兄様!!」
僕はベッドサイドまで来てくれた兄様に抱きつく。
「ごめんなさい、心配掛けて…。」
僕は兄様に抱きついたまま、2人にも謝った。
「大丈夫だよ。体調は大丈夫か?」
兄様は背中と頭を撫でながら優しい声で聞いてくれる。
「うん。ちょっと思い出しちゃっただけ。執事さんに悪いことしちゃった…。」
「気にすることは無い。私の方からも言っておく。」
僕がしゅんっとすると、ヴィヴァリアン様が、にっこり微笑んでくれたので、少し安心した。
「ん?なんだ…これは?」
エスティリオはベッドに転がる2体のぬいぐるみに眉を寄せる。
すると、何を思ったか、ベッドから投げ捨てた。
「あっ!おい!!何すんだよ!!」
「エスティリオ、貴様!!」
慌てて取りに行く2人をエスティリオを目を細めて見ていた。
「なんかムカつくと思えば、そう言うことか。…どうりで。」
に、兄様…。
「ネフェリア、私が新しいぬいぐるみを買ってあげるから、アレは捨てなさい。」
ニッコリと美しい笑顔を向けられる。
「兄様…。」
「アレは、ネフェリアの肌には合わない。一緒に寝るなんてとんでもない。綺麗なネフェリアが汚されてしまう。」
「おい!エスティリオ!遠回しに俺達の事を言ってねえよな?」
「ネフェリア、キリウスのは捨てていいぞ。」
「ヴィヴァリアン!!」
ネフェリアはハラハラしながら見守っていると、キリウスに睨まれた。
「っていうか、約束破ったな?ネフェリア!ベッドにライオンは置くなと言っただろう?」
えっと、それは、約束してないです!
口を開こうとしたら、ヴィヴァリアン様がキリウスに詰め寄った。
「何!?貴様、なんと姑息な!!エスティリオ!黒豹を捨てろ。」
「言われなくても、2体とも捨てます。」
に、兄様達の関係性ってすごい!!
呆然とやり取りに見入っていると、兄様は優しく頭を撫でてくれる。
「ネフェリア、今日は私が一緒に寝てあげようか?」
「兄様が?」
ネフェリアがパァァと嬉しそうに笑顔を作ると、ヴィヴァリアンが傷ついた顔で固まる。
ネフェリアはヴィヴァリアンとエスティリオを見てオロオロとしてしまうが、エスティリオは満面の笑みでネフェリアの頬に触れた。
「兄様がいいだろ?ネフェリア。…ああ、早く婚約候補解消したいね?ネフェリアにはもっと相応しい者を探してあげるよ。いなかったとしても、私がずっと一緒にいてあげよう。」
兄様が、ずっと一緒…?
僕は少し、ドキッとした。兄様も攻略対象者。だけど、前回は僕のせいで罰せられている。
もし、皆の運命の相手が現れても、兄様は一緒にいてくれるのだろうか?
ネフェリアは紫色の瞳でエスティリオをジッと見つめた。
エスティリオは弟だと理解しながらも、ネフェリアの瞳に見つめられると、魅了され、のめり込みそうになる自分を抑えるのに必死になる。
美しき弟。
「ネフェリア!」
エスティリオはヴィヴァリアンの声にハッと我に帰る。
本当に神や妖精なのでは?と、疑い持ってしまう弟の容姿に、エスティリオは自分を落ち着かせるように大きく息を吐いた。
すると、ヴィヴァリアンが私の腕の中のネフェリアを不安そうな面持ちで覗き込んでいる。
「ネフェリア、私では…嫌か?」
氷の皇子と言われる男が、情けない顔を。生徒達に見せてやりたいな。
ネフェリアは視線を泳がせながら少し考えているようだ。
チラッと私を見るから、笑顔で答えると意を決したように真剣な顔をして私と向き合った。
「兄様、今日はヴィヴァリアン様とのお約束がありますので、今度一緒に寝てもらっても良いですか?」
私は耳を疑ってしまった。
今まで、私の背中に隠れていたネフェリア。
皇子達から逃げ、全て私を第一にしていたネフェリアが、ヴィヴァリアンを選んだ。
ネフェリアは申し訳無さそうに、こちらを見ている。
私の動揺が伝わってしまったのか?
視点が定まらない、自分の瞳を一度閉じて、無理矢理笑顔を作る。
「わかった。次は私を選んでくれよ?」
上手く笑えただろうか?
ネフェリアはホッとした表情を浮かべたので、私も胸を撫で下ろす。
ヴィヴァリアンの嬉しそうな顔に、モヤモヤと渦巻く感情が溢れてくる。
弟離れ出来ていないからだろうか?
するつもりもない。
だが、ネフェリアは兄離れをしようと考えているのかもしれない。
嫌だと思うのは兄としてダメな事だろうか?
「兄様、ありがとうございます。」
ギュッと抱きつくネフェリアに、この感情は悟られないように、笑顔を向ける。
嫉妬しそうだよヴィヴァリアン、キリウス。
やはりまだ、渡せそうに無い。
いや、永遠に渡せないかもしれない。
まずはぬいぐるみをどうにかするか?
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