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B介

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ネフェリア、学園編

握られた手のぬくもり

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エスティリオ兄様と手を繋いで寝た日は怖い夢を見ると夢の中まで兄様が助けにきてくれた。

そして目を開けると、優しく頬笑む兄様がいた。

僕はホッとして兄様の胸に擦り寄ると、ギュッと抱きしめてくれたんだ。

14歳にもなって…って言われるかもだけど、兄様にもう少し甘えていたい。


「ねえ、兄様…。僕も皆みたいに、そろそろ兄上、父上って呼ばないとだよね。」

「確かにな。可愛くてそのままにしていたが…。じゃあ、お前に本当の婚約者が出来たらにしようか?」

婚約者… 


ふと、候補となった2人を思い出す。


「…ねえ、兄様…僕、ヴィヴァリアン様とキリウス様の候補になったんだよね。」

兄様に頭を撫でてもらうと気持ちいい~…。


「今までと何が違うんだろ?」


「候補だからそこまで違わないよ。大丈夫…安心しなさい。」


「でも、ね、閨とか…その、僕、わかんないから…。」

カアアアと顔を赤くすると、クスッと笑われた。

「大丈夫だから、ネフェリアが嫌がることはアイツらがするはず無いだろ?…まぁ医師は今後お前が王妃候補とも考えて、恐怖で他人と触れ合えないのはまずいと判断したんだよ。…王妃で無くても、好きな人と触れ合う事が出来ない事はお前にとっても辛いだろ?…本当は触れ合う事はとても良い事だ。このように、愛しい者の温もりに安心し、癒される。…あんな者達の感触に怯えるなど、ネフェリアは幸せにならなくては。
医師の言ういい思い出とは、まだ心を決めてない相手に無理する事ではない。こうやって手を繋いだり、抱き合ったり…
どうだ?」


エスティリオにギュッとされると、ネフェリアはとても安心する。

「気持ちいいよ。あったかい。」


「ふふっ私もだ。…こうやって忘れていけばいい。…本当は私がこうやって一緒に寝ればいいと思うのだが、それもあまり良くは無い。…私と父上的にはまだネフェリアを離したくないが、仕方ない。お前は嫁ぐのだからな。…皇子は他人と簡単には触れ合うこと、寝夜を共にする事ができないから…閨となったのだ。一応は釘を刺しておいたし、閨となると、プロント家は反対した。だが、皇子達はネフェリアに従うと言うので、私と寝るようなものだと思えばいい。何か嫌な事をされたら、私が殺してやろう。」

ニヤッと笑うエスティリオの口を慌てて押さえた。


「に、兄様!誰かに聞かれたら!!」

だけど、少し緊張していた分安心した。

兄様に、僕が嫁ぐ側だと思われていたのはちょっと…思うところがあるが…






それから、僕は暫く療養の為、学園の近くに建つ王族専用の別荘へと映った。学園滞在中の王族が急な来客や何かあった時に使う場所らしく、警備も万全。馬車でたった20分の距離にある。


学園内では僕とヴィヴァリアン様方との婚約者候補となる話が広まったらしい。

噂は一時その話で持ちきりとなったそうだ。

僕はもう少し状況が落ち着いてから学園に行くことになった。



そして、僕にとって、初の閨が本日…と、言っても本格的とは違うので、学園からこちらにわざわざ皇子が移動してくるらしい。なんか申し訳ない。


何か話し合いでキリウス交互に行くらしい。


緊張しながら、待つと、ヴィヴァリアン様がノックをして現れた。

なんだかヴィヴァリアン様も緊張しているようで、表情がいつもより硬く、少し赤い。

「は、入っても良いか?」


いえいえ、ここは元々ヴィヴァリアン様の部屋ですが?


僕は頷くと、ソファに案内した。

僕はメイドが用意してくれたお茶をポットから注ぎ、ヴィヴァリアン様に出した。


それから、今日の生徒会のお仕事の話やサリファンが纏めてくれた授業の内容などを渡してくれた。

実はアリウスが学園を抜け出して会いに来てくれた時、少し話してくれたんだけどね。

それからめたわいの無い話が続いたが、ヴィヴァリアン様とこんなに長く話した事が無く、かなり楽しかった。 

チラッと時計を見ると、もうそろそろ寝る時間だが、言い出しにくい。

先程からヴィヴァリアン様も時計を確認しながらも、話を続けている。

ヴィヴァリアン様も言い出し難いんだと思うと、少し安心して笑えた。

あんなにも完璧な人でも緊張するのだと…。

クスッ


僕が笑ってしまい、ヴィヴァリアン様は気付いたのか顔を赤くして、手で覆った。


「~!!わ、私だって緊張ぐらいする。…嫌がられるのでは…とか、私も怖く思われたら…とか。」


ヴィヴァリアン様…

僕はヴィヴァリアン様の手を取った。

「…怖い事をしますか?」

僕がジッと見つめると、ヴィヴァリアン様は一瞬固まってから首を降ってくれた。


そして、手を引いてベッドへ。

ベッドに入ると、ヴィヴァリアン様はギュッともう一度手を握りしめた。

「ネフェリア…今日は…手を握っていて…いいか?」

キラキラ光る金の瞳、少し頬を染めたヴィヴァリアン様。

僕は手から伝わる熱さに少し緊張するが、その緊張もドキドキと高鳴る方が強く、こくりと頷いた。


静かな寝室にお互いの鼓動が聞こえそうで少し恥ずかしい。

緊張のせいかなかなか寝付けなかったけど、手から伝わる温もりに、徐々に夢の中へと引きずられた。


ヴィヴァリアン様が側にいると思うと、夢の中に出てきた、トビーとフレディーに一瞬怯えたが、ヴィヴァリアン様が倒してくれた。


ホッとして、お礼を言うと、笑顔を向けてくれた…。


そこで夢が終わり、目覚めると、握られた手はそのままに、美しい男の寝顔が側にあった。

僕はまだ目覚めないヴィヴァリアン様にこっそりとお礼を言った。


「ありがとうございます。」





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