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B介

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ネフェリア、学園編

朝露に濡れた薔薇

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朝露に濡れた薔薇の香りに誘われて、朝稽古を済ませたネフェリアは目を輝かせながら色とりどりの薔薇を眺めていた。

すると、庭師が何輪かくれるとの言葉に嬉しそうに笑顔浮かべ、頂いた薔薇を抱えて、生徒会室に向かった。


1番乗りらしい。ネフェリアは花瓶に薔薇を生けて、朝稽古の汗を流す為、生徒会備え付けのシャワーを浴びる。

出た頃には、カウディリアンが書類に目を通しながら、優雅にお茶を飲んでいた。


「おはようございます。カウディリアン様。」


「おはようネフェリア。」

カウディリアンは濡れたプラチナブロンドの髪をタオルで擦りながら、近づくネフェリアを見つめ、徐に手を握り、ソファへと座らせる。

「朝稽古か?」

カウディリアンはネフェリアからタオルを奪うと、優しく髪を拭き始める。

「カウディリアン様!いけません!」

カウディリアンの行為に慌て、タオルを奪おうとするが、カウディリアンの優しいが意志の強い金の瞳に、ネフェリアは怯み、タオルから手を離す。

「私がやりたいんだ。ネフェリア。」

「申し訳ございません…ありがとうございます。」


瞳とは裏腹に柔らかな手つきが心地よく、ネフェリアは瞼を閉じて、カウディリアンの指先に身を任せた。


チュッ…


突然訪れた柔らかい感触に唇がぷるっと震える。


えっ?


驚きにパチリと長い睫毛を持ち上げ、目を見開くと、目の前には美しいカウディリアンの顔、そして先程より熱を含んだ瞳と絡み合う。

近くで見る金の瞳は同じ瞳でもヴィヴァリアンのと少し違った。

ヴィヴァリアンの瞳は黄金の輝きで、目が合うと飲み込まれそうな…そんな瞳。

カウディリアンのはヴィヴァリアンより明るい、光の反射でキラキラ光る。うっとりと眺めてしまう様なそんな瞳…。

ほう…と美しき瞳を、ついそんな事を考えながら見てしまい、また近くカウディリアンの唇に抗えなかった。

あっ…キスされてる…


されてから気付く程、瞳に夢中になっていた自分に驚きつつ、カウディリアンの胸を押すが、カウディリアンはギュッとネフェリアを抱き込み、より深く唇を合わせた。

ネフェリアはカウディリアンの薄く柔らかい唇の感触に心地良さを感じ、押す手の力が弱まる。


カウディリアンは7歳から焦がれたネフェリアの唇に、胸を熱くする。

ネフェリアの力が緩んだ事をいい事に、ネフェリアをより一層抱きしめ、上唇をはむっと唇で挟む。

ビクッと震え、緩やかに開いた口に、舌を差し込むと、ネフェリアの甘い唾液にビリビリと痺れた。

欲望に負け、激しく、舌で口内を貪る。

逃げ惑うネフェリアの可愛らしい舌を追いかけて、絡め取る。

ああ…ネフェリア、なんて甘いんだ。

ケーキより、蜂蜜より甘く、舐めて、飲み込めば、体内がマグマのように沸騰する。


カウディリアンはそのまま、欲望のまま、ネフェリアをソファに押し倒す。

歯並びに沿って舐めまわし、上顎をくすぐると、可愛い吐息を感じる。

「ハアッ」

キュンと高鳴る胸に、カウディリアンは激しく舌を擦り合わせる。

どのくらい貪っただろうか、ゆっくりと唇を離すと銀の糸が互いの唇を結び、ゆっくりと消えていく。

とろんとアメジストを潤ませ、ピンクの頬のネフェリアに、理性が完全に飛びそうになりながら、必死に頭を振る。

まだ、大事な事を伝えていない。

グッとつながり合い、少し腫れた唇を一瞬噛み締め、ゆっくりと口を開いた。


「ネフェリア…好きだ、愛してる。」

甘く、囁くように、言葉にすると、より感じてが込み上げてくる。

私の言葉にネフェリアは戸惑っているのかアメジストの瞳を揺らす。

「カウディリアン様…カウディリアン様が本当に僕を?」


どう言った反応なのか、信じられないのだろうか?

戸惑いながら切な気に眉を寄せるネフェリア。


「ああ。ずっと君が大切だと伝えていたはずだが?」

そっと、寄せられた眉にキスをするが、ネフェリアの瞳をはまだ揺れる。


「…幼き頃は感じましたが…学園では大切にはされているとは感じても、ヴィヴァリアン様と張り合っているだけだと…。」

いや、ネフェリアはカウディリアンからの好意は感じてはいた。

だが前回のカウディリアンを知っているからこそ自分の勘違いだと言い聞かせていた。

知らず知らずに蓋をしてしまっていたのだ。


その蓋が少し開く事でネフェリアの中で戸惑いが大きく膨らみ、カウディリアンの気持ちに動揺が隠せずにいた。


「…私はずっとお前を想っているよ。ただ…私の弱さが…お前と向き合うのを恐れた。私がお前を愛していいのか、不安が消えなかったんだ。」


カウディリアン様も不安が?

カウディリアンの言葉にネフェリアは、戸惑い揺れる視線をキラキラ光る金の瞳と視線を合わせた。


「やっと、視線があった…。」

嬉しそうに笑うカウディリアンの表情にネフェリアの胸が高鳴る。


「…ネフェリア、考えてくれるだけでいい。理解してくれるだけでいい…お前が好きだ。わかったな?」


ネフェリアは、自分より不安そうに、そして熱が籠った眼差しに、自然と頷いてしまった。


その頷きに、花が開く様に綻ぶ笑顔が蕩けそうなほど甘く、ネフェリアは込み上げてくる熱に顔を赤く染めた。


「ふふっ。真っ赤にして、そこに飾られた…朝露に濡れた薔薇のようだ…美しく可愛いらしい。」

頬を撫でるカウディリアンに、慌ててソファから起き上がり、カウディリアンを押しのける。

「も、もう皆さんが来る時間です!一旦身だしなみを整えてきます!!」


バタバタと走り去るネフェリアに、カウディリアンは笑顔で見送った。

「一歩前進だ。」

まだ誰にも見せたことの無い、無邪気な笑顔でグッと拳を握りしめ、ネフェリアの可愛さにソファに寝転び悶えた。


「…何やっている…気でも触れたか?」

ハッと扉に目を向けると、冷たい表情のヴィヴァリアンが立っていた。


「…あ、兄上!?」

ガバッとソファから身体を起こす。


「…お前は…ネフェリアや、他の前では皇子らしく振る舞うが……ハア…花の皇子と呼ばれている様だが…全く…。いつその幼き中身がバレるかな。」


グッ…と顔を赤くして、ヴィヴァリアンを睨みつけるが、ヴィヴァリアンは気にせず、席へと向かう。

そして、窓枠に飾られた薔薇を目にして、クスリと口元を笑わせた。


「可憐だな。ネフェリアの様だ…」


その兄の言葉に、また小さく拳を作る。


ふふっ…兄上…兄上より先に私がネフェリアに伝えましたよ。


二歩前進かな。
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