本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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ネフェリア、学園編

ヒロインの本性

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僕の名前はフィフィル・カトローザ。
ピンク色のふわふわした髪、ピンク色の瞳の絶世の美少年だ。

実は僕には前世の記憶がある。

入学のちょっと前に高熱を出して思い出したんだ。

ここがBLゲームの世界で、僕がヒロインだってこと!

当たり前だよね?こんな可愛いもん!

思い出したとして、自分が誰だったかまでは分からない。

ただゲームの事は覚えてるだけ。

えっ?なんでそんなにすぐ、受け入れられるかって??


だって、最高じゃん!チヤホヤされてイケメンの男が僕を取り合うんでしょ?


それに僕の人格が変わったわけじゃないし?

情報だけ思い出したっていうめちゃくちゃラッキー♡


僕はもともと平民でなんとか育てた野菜を売って生活していた。

だけど、こんなに可愛い俺が平民なんてあり得ない!!!

いつか、貴族の坊ちゃんでも捕まえて、豪華に生活するのが目標だった。

そんな時にある転機が!

カトローザ男爵が僕を一目見て気に入って、養子にならないか?ってさ!

カトローザ男爵には子供がいないらしくちょうど養子を探していた時に、この美貌よ!!


しかもカトローザ男爵、僕と同じで、より成り上がり希望!

目をつけた理由も、より爵位の上の貴族を捕まえられそうだから!

やはり僕の美貌は凄いらしいw

平民の時では考えられない綺麗な服に宝石、そして貴族の坊ちゃん達のイケメン度♡

その中でも皇子様達は遠目から見ても綺麗だった…その側近達も。


僕は一目見て恋をした。

男爵の爵位では皇子様達に近づくのは難しいと言われて…

それでも諦めきれず、貴族学校で多分会えるはず…と計画を立てていた。

そんな時に高熱を出して、起きたらヒロインだったって!マジで神に愛されてるかと思うよ!


しかも僕が立てた計画通りにゲーム内も上手くいっていた。

一推しはカウディリアン皇子だけど狙うはハーレムエンド!

この国は重婚もOKだしね。

ただ気になるのは、第一皇子の婚約が発表されない事。

確かゲームでは婚約があるはずなんだけど…第一皇子もタイプだったから攻略出来ないのが残念だった。

でも、婚約が発表されないなら狙える??





そして、やっと学園入学!


よし、Bクラス。ゲーム通り!

あれ?悪役令息も確か同じクラスだったはず…

悪役令息、ワガママ、僕より劣るけど美形と言われている。

ネフェリア・プロント…忌々しい僕の推しのカウディリアンの婚約者!

だが、こちらも婚約の発表はなかった、
それにクラスにもいない。


どういうこと?

僕を引き立てるには必要なのに。

まあ、いないなら他を適当に探せばいいか。


それより……
ワクワクドキドキ入学式!


確かここで皇子の前で転ぶのが第一ステージ!


壇上に立つヴィヴァリアン皇子の美しさに見惚れていると……


皇子の顔が少し変わった。

「ネフェリア・プロント 。私に集中しなさい。」


え?ネフェリア??


うそ?どこ?

しかもこんなシーン無かったはず……


動揺したせいか、皇子に近づくのが遅れ、慌てて皇子を探す。


目立つ容姿にすぐ見つけ、わざとらしくならないように近づく…


ドンッ!!


へ??

ドカッ!

ベシャッ!


イテテ!!


誰かに押された!?



「ネフェリア!?」


えっ?ネフェリア?


僕は誰かの足の上にいた。

顔を上げると、うつ伏せに倒れた青年が、振り向きこちらを見ている。

紫色の瞳に、一瞬吸い込まれそうになり固まる。

すると、近くにいた人物が紫色の瞳の青年と何か話している。

「おい!お前!ネフェリアが起き上がれないではないか!無礼だぞ!早く起きろ!」

僕はその若草色の瞳を持つ男に怒鳴られ、慌てて起き上がる。

「ご、ごめん!わざとじゃ!」

あっ、攻略対象のアリウスだ。


えっ?ネフェリア?


彼を見ると赤くなった鼻を押さえていた。

プラチナブロンドと紫色の瞳…

確かにネフェリアの特徴。

ただ、彼はゲーム内の彼より、とても美しく、身長も高い…


一瞬惚けていると、

いつの間にか来たヴィヴァリアン達にネフェリアは連れて行かれ、カウディリアンも行ってしまった。


えっ……??

どういうこと?


すると、目の前に手が差し出され、その人物を見ると、栗色の髪に赤い瞳…

サリファンだ!!

攻略対象の登場に僕は顔を赤くしてしまった。

うう!やっぱり攻略対象達、めちゃくちゃかっこいい!!

「あ、ありがとう。」

なんか、少し違うけどサリファンルートは確保できそう!

「君、わざとだったよね?」


ギクッ!!


「ネフェリアに今後近づくな。」

僕は唖然とサリファンを見た。


赤い瞳が冷たく光る。


「何、コレ…!?」


なんで、こんなに違うの!?





それからも、イベントが悉く上手くいかない!!


どうして!?

しかもネフェリアはSクラスだった。

僕は頑張ってAクラスなのに!!

しかも虐めて来ないし、プロントの妖精と言われて攻略対象達にチヤホヤされてるし!!


なんなの!?

カウディリアン皇子も冷たい!僕がヒロインなのに!!


くそ!!


こうなったら!!

中庭の渡り廊下を歩くカウディリアンとアリウスを見つけた。

僕は何度も呼ぶが無視される。

何とか振り向いてもらったが、やはり2人とも冷たい。

悔しくて……

「僕はカウディリアン皇子様と、もちろんアリウス様とも仲良くなりたくて、いやなるはずなんです!」

「仲良くなるはずとはなんだ?俺はお前と仲良くなる気なんてないぞ?」

アリウスの発言に、フィフィルはカッと顔を赤くした。

「なぜ!?僕を見ても何とも思わない!?」

僕はヒロインだよ!?

自分の胸に手を当て、潤んだピンクの瞳でアリウス、カウディリアンを見つめるフィフィル。


「先程から、何を言っているんだ。なぜ、俺達がお前を見て興味が湧くと思うんだ?何とも思うわけないだろ?。」

フィフィルは精一杯のアプローチにも靡かない2人に瞳を見開く。

「え!?僕を可愛いとは思わない?何で!?…まさか、ネフェリア・プロント に何か僕のこと吹き込まれたんじゃ!!信じないで!今は無害そうだけど、あの方は悪役なんだから!!」

やはり、僕には分からないようにあいつが何かしているんだ!!


「……今何と?…おまえ、私の大事なネフェリアを悪役と申したのか?」

怒りを露わにするカウディリアンに、フィフィルは負け時と食らいつく。

「そうでなければおかしいんだ!こんな状況!貴方達はネフェリアに騙されている!」
僕は瞳に涙を溜め、必死に訴えた。

「貴様!!まだ言うか!!しかも、ネフェリアは公爵家だぞ!!お前ごときが呼び捨てにしていいわけないだろ!!」

アリウスの怒鳴り声に、フィフィルはビクッと身体を強張らせる。

「アリウスの言う通りだ。そしてネフェリアはそんな人では無いことを私達は知っている。……それに、ネフェリアになら騙されてもいいとも思うほど大切だ。お前にとやかく言われる覚えはない。」

カウディリアンの鋭い視線から怒りを感じる。

ネフェリアはここまで洗脳しているのか!!

「オヤ、カウディリアン皇子、ドウシマシタ?」

その声に、なぜか、カウディリアン、アリウスは気まずそうに顔を歪める。

フィフィルは潤んでいた瞳がこぼれ落ちそうなほど大きく見開き、ダーウィングを見つめていた。

その視線に気付いたダーウィングはにっこり笑いかける。

「あ、あ、貴方は?」

こんなキャラが皇子様達の近くにいるなど見たことない…

また、僕の知らない事が起きている?


「ハジメマシテ。ダーウィング・アピア。アピア国カラキマシタ。」

アピア国?

えっ……

嘘だろ!?

「シークレットキャラ!!!!」


まさか!シークレットが現れたるなんて!!


あのエキゾチックな魅力…素敵だ。

涙もびっくりして引っ込んだ。


くそ!俄然燃える!!

ネフェリア!見ていろ!

絶対にハーレムエンドしてやる!!!

お前の悪事を暴いてやるからな!




















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