本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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ネフェリア、学園編

フィフィル

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「カウディリアン皇子様!!」

またかと、げんなりしつつ、足を止めることもなく歩くカウディリアン。

アリウスがさりげなく、カウディリアンの背後に回り、後ろから必死に追いかけてくるフィフィルとの間に入る。

「カウディリアン皇子様!!」

中庭から別校舎へと移動中、フィフィルの大きな声が響き渡る。

気付けば、周りからの好奇な視線。

溜息をつき、足を止める。

それにアリウスも反応し、背後にカウディリアンを守る形でフィフィルと対峙する。

「何のようだ。大声で皇子の名を呼ぶとは!」

アリウスの鋭い視線に、フィフィルはビクンと身体を震えさせた。

「も、申し訳ございません!!だけど…!!」


だけど、なんだよ!!

私は急いでいるのだ!


職員室に呼ばれて、用を済ませてこれから、生徒会室に戻るのだ。

カウディリアンはネフェリアをヴィヴァリアンの側に置いてきた事が落ち着かず、急いで戻っていた途中だった。


「僕はカウディリアン皇子様と、もちろんアリウス様とも仲良くなりたくて、いやなるはずなんです!」

何を言っているんだこいつは?




すると、そんな大声は窓を開けていた生徒会室にも届いて、ヴィヴァリアンが顔を出す。

「……カウディリアンがまた絡まれているな。」

ヴィヴァリアンの一言に紅茶の準備をしていたネフェリアが覗くと、フィフィルとカウディリアン、アリウスが中庭の渡り廊下で行き交う生徒の視線を集めていた。

「あらら、目立ってるなー。あのピンク、毎回声でかいもんな。」

ヒョイッとネフェリアの頭の上から顔を出したキリウスは、完全に人ごと。

暫く様子を伺うと、アリウスが呆れた顔で、フィフィルに詰め寄った。

「仲良くなるはずとはなんだ?俺はお前と仲良くなる気なんてないぞ?」

はっきり伝えられて、フィフィルはカッと顔を赤くした。

「なぜ!?僕を見ても何とも思わない!?」

自分の胸に手を当て、潤んだピンクの瞳でアリウス、カウディリアンを見つめるフィフィル。

フワフワのピンクの艶やかな髪、髪より少し濃いピンクの瞳、白い肌、華奢な姿はとても可愛らしい。

「先程から、何を言っているんだ。なぜ、俺達がお前を見て興味が湧くと思うんだ?何とも思うわけないだろ?。」

今度はカウディリアンが眉を寄せて、フィフィルの潤んだ瞳に冷たい眼差しを送る。

「え!?僕を可愛いとは思わない?何で!?…まさか、ネフェリア・プロント に何か僕のこと吹き込まれたんじゃ!!信じないで!今は無害そうだけど、あの方は悪役なんだから!!」


ネフェリアはギョッとした。

まさかの自分の名前、しかも悪役と言われたのだ。

こんなとこで、いきなり断罪フラグが上がったのではと、顔を蒼ざめた。

そんなネフェリアを他所に周りの空気が一気に変わった。


興味なさげに仕事をしていたエスティリオも、愛する弟を貶める発言に、窓からフィフィルを睨みつけた。


「……今何と?…おまえ、私の大事なネフェリアを悪役と申したのか?」

怒りを露わにするカウディリアンに、フィフィルは負け時と食らいつく。

「そうでなければおかしいんだ!こんな状況!貴方達はネフェリアに騙されている!」


「貴様!!まだ言うか!!しかも、ネフェリアは公爵家だぞ!!お前ごときが呼び捨てにしていいわけないだろ!!」

アリウスは我慢ならないと、フィフィルを怒鳴りつける。


周りの視線があったから抑えていたが、ネフェリアのことに関して抑えが聞かなかった。

「アリウスの言う通りだ。そしてネフェリアはそんな人では無いことを私達は知っている。……それに、ネフェリアになら騙されてもいいとも思うほど大切だ。お前にとやかく言われる覚えはない。」

いつもの優しい瞳が冷酷なものへと変わり、フィフィルを見下ろした。



「ほう…あいつもあんな目を出来たか。面白い…優しい弟だと思っていたが。」

口元を笑わすヴィヴァリアン。
新しい弟の一面を見た事が面白かったようだ。

ネフェリアも、予期せぬフィフィルの発言に戸惑い、恐怖していたが、カウディリアンの言葉に恐怖より嬉しさで胸がいっぱいになった。


こんなにもネフェリアを大切に思ってくれていた。

信じてくれているんだと。


「オヤ、カウディリアン皇子、ドウシマシタ?」

渡り廊下に現れたダーウィングに、カウディリアンとアリウスが困ったように眉を寄せた。

他国の者の前で皇子が怒りを露わにするべきでは無い、だがまだフィフィルへの怒りが収まらない為、対処に困ったのだ。

「ダーウィングか…困るタイミングだな。」

キリウスも、ダーウィングの姿に顔を歪ませた。


ただ、ネフェリアだけが、ダーウィングよりもフィフィルの異変に視線が奪われた。


フィフィルは潤んでいた瞳がこぼれ落ちそうなほど大きく見開き、ダーウィングを見つめていた。

その視線に気付いたダーウィングはにっこり笑いかける。

「あ、あ、貴方は?」

震える声でフィフィルはダーウィングに話しかける。

またしても、礼儀の無いフィフィルにアリウスは睨みつけ、発しようと口を開いた瞬間、ダーウィングはアリウスを片手で静止、フィフィルを見た。

「ハジメマシテ。ダーウィング・アピア。アピア国カラキマシタ。」

雰囲気を見れば異国と気付き、留学生となれば爵位も高いはず、よく考えれば男爵が、気軽に、しかも自分は名乗らず聞く相手ではない。

だが、フィフィルは驚愕からか、決して可愛いと言えないほど顔を変貌させ、ふるふると震えながらダーウィングを指差し、まさかの言葉を叫んだのだ。

「シークレットキャラ!!!!」


その言葉にネフェリアは息を呑み、窓から数歩、自然と後退る。

「ネフェリア?」

心配そうに向けら視線にも気付かず、ネフェリアの頭に巡る、答えに全身の血の気が下がった。





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