35 / 107
ネフェリア、学園編
罪悪感
しおりを挟む
「ヴィヴァリアン皇子様、カウディリアン皇子様!もしよろしければ、僕も昼食ご一緒してもよろしいでしょうか?」
ピンクの髪を靡かせながら走ってくるフィフィル。
この光景を最近何度見たか。
「フィフィル・カトローザ…。昼は生徒会専用ルームで食べると何度も伝えているだろう?すまんが生徒会ではない、君を入れることは出来ない。」
ヴィヴァリアンは冷たい口調で伝えながら、溜息をつく。
「で、でも僕…一緒に食べてくれる人がいなくて…。」
ぐすん…とピンクの瞳いっぱいに涙を溜めて、垂れ目をより下げた。
「だからと言って、何故君と親しくない、それも一般生徒が立ち寄れない場所で食べる私達に話しかける?」
ヴィヴァリアンは眉を寄せ、不快そうにフィフィルを見る。
「えっ?そ、それは…。」
ヴィヴァリアンの質問にフィフィルは目をキョロキョロと動かして、言葉に詰まらす。
そうなんだよね。ワザとじゃなかったけど、出会いイベントも、親密になるイベントも壊しちゃって罪悪感はあるんだが、普通に考えて、関わりのない、しかも男爵の位で皇子様達に話掛けるって、なんかおかしいんだよね。
ゲームのヒロインだからかな?
カウディリアンに好意がある事は、あの時わかったけど、学園だからいいが、普通は不敬に当たる。
だから、皆関わりたくても皇子様達とは距離をおいているのに。
それに、僕はフィフィルを虐めてないのに、食べる人がいないの??
そこがちょっと心配。
ヒロインであるフィフィルは僕に虐められて、カウディリアン達が守って一緒にいてくれたはずなのに、虐めてないにせよ、ひとりぼっちにさせたのが僕なら…
うっ!罪悪感が半端ない。
僕が一緒に食べるのはダメかな?
「あの…」
ネフェリアが口を開こうとすると、キリウスの大きい手で口を塞がれた。
へ?
キョトンとキリウスを見ると、首を横に振る。
ううっ…僕が口出しちゃダメなんだね。
「で、でも!入学の時からネフェリア様も、アリウス様達も、専用ルーム使ってたじゃないですか!!僕だって、ご一緒するくらっ…!!」
フィフィルは勢いに任せて話出したが、ヴィヴァリアン、カウディリアンの鋭い視線に、途中で言葉を失った。
鋭く、冷たい視線にフィフィルは蒼ざめる。
「……あの時は、誰かがぶつかったせいでネフェリアが鼻を怪我したからだ。それに生徒会専用ルームと言っても、王族を守る為に作られた部屋だ。私達の側近候補達を入れて何が悪い?しかも、私の権限内の事を、何故君に言われなければならんのだ?」
こんな怒ったヴィヴァリアン…初めて見た…。
「…それに、君と私の大事なネフェリアを同じに考えるな。比べものにもならん。」
ヴィヴァリアンはネフェリアの手を取り、先へと歩き出した。
「……もう、私達に話掛けるな。」
カウディリアンはガクガクと震えるフィフィルに耳打ちし、ヴィヴァリアン達の後へと続いた。
ネフェリアは心配になり、振り返るが、そこには禍々しいオーラを放ちピンクの瞳でネフェリアを睨みつけるフィフィルの姿があった。
ネフェリアはゾッとして、慌てて前を向くと、アリウスがネフェリアの肩を叩きながら、後ろのフィフィルを牽制するかのように睨みつけた。
食堂で食事をしながらも、あんな丸わかりの敵意を向けられた事の無いネフェリアは不安でしょうがなかった。
前回立川はあんな瞳を死ぬ前に受けたんだろうか…。
「ネフェリア?大丈夫か?」
心配そうに尋ねるヴィヴァリアンに、ネフェリアはニコッと微笑んだ。
「先程、フィフィル・カトローザが、ネフェリアを殺気だった表情で睨んでいたので、それで不安なんですよ。」
アリウスは食事をしながら、ネフェリアの代わりに説明する。
「ほう…。ネフェリアを。万が一の為、ネフェリアの周りを強化しろ。サリファン、アリウス良いな?」
「ハッ!」
ヴィヴァリアンの指示に、アリウス、サリファンは真剣な面持ちで答えた。
「そんな大丈夫ですよ。それに、僕も昔より強いし!」
「そうだな、剣術の授業はサリファンより良いからな。」
「アリウス!」
ニヤニヤ笑うアリウスにサリファンはムッと顔を歪めた。
「遅くなりました。」
そこへ、エスティリオとナヴィルリアンが遅れて到着した。
「留学生の手続きに手間取りまして、申し訳ございません。」
ナヴィルリアンが行くはずであった隣国から留学として第四皇子様が来る事になり、何度か隣国に見学に行っていたナヴィルリアンと、そのサポートとしてエスティリオが対応していたのだ。
僕はちょっと不安なんだよね。
芳子さんのノートに留学生の話はなかったんだ。
手紙に書いてみようかなぁ。
ピンクの髪を靡かせながら走ってくるフィフィル。
この光景を最近何度見たか。
「フィフィル・カトローザ…。昼は生徒会専用ルームで食べると何度も伝えているだろう?すまんが生徒会ではない、君を入れることは出来ない。」
ヴィヴァリアンは冷たい口調で伝えながら、溜息をつく。
「で、でも僕…一緒に食べてくれる人がいなくて…。」
ぐすん…とピンクの瞳いっぱいに涙を溜めて、垂れ目をより下げた。
「だからと言って、何故君と親しくない、それも一般生徒が立ち寄れない場所で食べる私達に話しかける?」
ヴィヴァリアンは眉を寄せ、不快そうにフィフィルを見る。
「えっ?そ、それは…。」
ヴィヴァリアンの質問にフィフィルは目をキョロキョロと動かして、言葉に詰まらす。
そうなんだよね。ワザとじゃなかったけど、出会いイベントも、親密になるイベントも壊しちゃって罪悪感はあるんだが、普通に考えて、関わりのない、しかも男爵の位で皇子様達に話掛けるって、なんかおかしいんだよね。
ゲームのヒロインだからかな?
カウディリアンに好意がある事は、あの時わかったけど、学園だからいいが、普通は不敬に当たる。
だから、皆関わりたくても皇子様達とは距離をおいているのに。
それに、僕はフィフィルを虐めてないのに、食べる人がいないの??
そこがちょっと心配。
ヒロインであるフィフィルは僕に虐められて、カウディリアン達が守って一緒にいてくれたはずなのに、虐めてないにせよ、ひとりぼっちにさせたのが僕なら…
うっ!罪悪感が半端ない。
僕が一緒に食べるのはダメかな?
「あの…」
ネフェリアが口を開こうとすると、キリウスの大きい手で口を塞がれた。
へ?
キョトンとキリウスを見ると、首を横に振る。
ううっ…僕が口出しちゃダメなんだね。
「で、でも!入学の時からネフェリア様も、アリウス様達も、専用ルーム使ってたじゃないですか!!僕だって、ご一緒するくらっ…!!」
フィフィルは勢いに任せて話出したが、ヴィヴァリアン、カウディリアンの鋭い視線に、途中で言葉を失った。
鋭く、冷たい視線にフィフィルは蒼ざめる。
「……あの時は、誰かがぶつかったせいでネフェリアが鼻を怪我したからだ。それに生徒会専用ルームと言っても、王族を守る為に作られた部屋だ。私達の側近候補達を入れて何が悪い?しかも、私の権限内の事を、何故君に言われなければならんのだ?」
こんな怒ったヴィヴァリアン…初めて見た…。
「…それに、君と私の大事なネフェリアを同じに考えるな。比べものにもならん。」
ヴィヴァリアンはネフェリアの手を取り、先へと歩き出した。
「……もう、私達に話掛けるな。」
カウディリアンはガクガクと震えるフィフィルに耳打ちし、ヴィヴァリアン達の後へと続いた。
ネフェリアは心配になり、振り返るが、そこには禍々しいオーラを放ちピンクの瞳でネフェリアを睨みつけるフィフィルの姿があった。
ネフェリアはゾッとして、慌てて前を向くと、アリウスがネフェリアの肩を叩きながら、後ろのフィフィルを牽制するかのように睨みつけた。
食堂で食事をしながらも、あんな丸わかりの敵意を向けられた事の無いネフェリアは不安でしょうがなかった。
前回立川はあんな瞳を死ぬ前に受けたんだろうか…。
「ネフェリア?大丈夫か?」
心配そうに尋ねるヴィヴァリアンに、ネフェリアはニコッと微笑んだ。
「先程、フィフィル・カトローザが、ネフェリアを殺気だった表情で睨んでいたので、それで不安なんですよ。」
アリウスは食事をしながら、ネフェリアの代わりに説明する。
「ほう…。ネフェリアを。万が一の為、ネフェリアの周りを強化しろ。サリファン、アリウス良いな?」
「ハッ!」
ヴィヴァリアンの指示に、アリウス、サリファンは真剣な面持ちで答えた。
「そんな大丈夫ですよ。それに、僕も昔より強いし!」
「そうだな、剣術の授業はサリファンより良いからな。」
「アリウス!」
ニヤニヤ笑うアリウスにサリファンはムッと顔を歪めた。
「遅くなりました。」
そこへ、エスティリオとナヴィルリアンが遅れて到着した。
「留学生の手続きに手間取りまして、申し訳ございません。」
ナヴィルリアンが行くはずであった隣国から留学として第四皇子様が来る事になり、何度か隣国に見学に行っていたナヴィルリアンと、そのサポートとしてエスティリオが対応していたのだ。
僕はちょっと不安なんだよね。
芳子さんのノートに留学生の話はなかったんだ。
手紙に書いてみようかなぁ。
85
お気に入りに追加
3,074
あなたにおすすめの小説
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中

お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる