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ネフェリア、学園編

14歳のネフェリア

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爽やかな風にプラチナブロンドの髪を靡かせ、紫色のアメジストのような瞳は太陽の光りでキラキラと輝き、前だけを見つめている。
颯爽と歩く姿が皆の視線を奪う。

「ネフェリア！！」

以前に比べて、低く男らしい声となったナヴィルリアンが、皆の視線の先にいるネフェリアの後ろ姿に声を掛けた。

「ナヴィルリアン様！」

少し驚きつつ、ネフェリアは花のような笑顔でナヴィルリアンと向き合った。

「制服、とてもお似合いです。入学おめでとうございます。」

第三皇子、ナヴィルリアンは留学せず、ネフェリアと同じ学校に通う事になった。
記憶に無い、ナヴィルリアンの制服姿は新鮮で、一年の間にぐんぐんと伸びた背と鍛え上げられた身体にとても似合っていた。

「これで、毎日ネフェリアに会えるな！」

ニカッと笑う笑顔は、まだ少し幼さが残る笑顔で、ネフェリアも笑ってしまう。

「ふふっ、身長は伸びましたが、やはりナヴィルリアン様でお間違い無い可愛い笑顔ですね。」

「歳下扱いはするな！…ネフェリアは、本当にどんどん美しくなる…。」

この一年でネフェリアも変わった。
毎日欠かさずに行った、素振りと筋トレで出来たしなやかな筋肉は細かったネフェリアの身体をより、魅力的にした。
それでいて繊細さを感じる白い肌と長い手足は指先が動くだけで、人々の視線を集める。

「美しく？男らしくの間違いでは？」

むんっ！と、力拳を作って見せるネフェリアに、ナヴィルリアンは面白そうに笑った。

「まだ、俺の方があるな！」

13歳と思えない筋肉にネフェリアは嫉妬の視線を送る。

「ナヴィルリアン！」

ナヴィルリアンはネフェリアとの時間を邪魔する人物の登場に顔を曇らす。

振り向き、その人物に軽くお辞儀をした。

「ヴィヴァリアン兄上、カウディリアン兄上。おはようございます。」

そう、ネフェリアとナヴィルリアンの前に現れたのは、この学園の生徒会長でもあるヴィヴァリアン第一皇子と、今年から生徒会書記となったカウディリアン第二皇子だ。

「…留学せず来るとは。…入学おめでとう。ナヴィルリアン。」

17歳となり、大人となってきたヴィヴァリアンは、より一層第一皇子の品格と、男としての魅力に溢れていた。

カウディリアンも少し残っていた幼さも消えていき、垂れた瞳に色気が増している。

「ありがとうございます。兄上。」

そんな2人の成長を少し悔しく思いながらも、ナヴィルリアンは負ける気にはならなかった。

「ネフェリア…。入学式の準備がある。急ごう。では、また後ほどにな。ナヴィルリアン。」

華麗にネフェリアをエスコートし、先を急ぐヴィヴァリアンとカウディリアンの背を睨みつけるナヴィルリアンは、踵を返し、その場を立ち去った。

「こっからが勝負だ。」

ネフェリアも今年からヴィヴァリアンの推薦で生徒会庶務として勤める。

入学式の準備は大体終わったはずだが、何かあったのだろうか？

「ヴィヴァリアン様？何か、足らない事がございましたか？」

ヴィヴァリアンは少し、気まずそうに笑い、ネフェリアの腰に手を回した。

ヴィヴァリアンは男らしく成長したナヴィルリアンに焦っていたのだ。

ヴィヴァリアンは後ネフェリアと入れるのは約１年。
カウディリアンだけでも苛つくのに、ナヴィルリアンまで入学したのだ。

自分より遥かにネフェリアと一緒にいれる2人に、悔しいが嫉妬心はある。

「いや、最後の確認をと思ってな。」

ヴィヴァリアンの言葉に、なるほどと、頷くネフェリア。

そんなヴィヴァリアンとネフェリアのやり取りをカウディリアンは無言で見つめていた。

兄がナヴィルリアンへの牽制の為、ネフェリアをその場から連れ去ったのは気付いた。

カウディリアンも成長したナヴィルリアンの姿には眉を寄せた。

カウディリアンは邪魔なヴィヴァリアンが卒業したら、ゆっくり口説こうと思っていたが、弟が留学をやめ、学校にかようとなると厄介であった。

それに、カウディリアンは最近不吉な夢を見ていた。
その夢が何故か、鮮明で、カウディリアンを不安にさせていた。

夢の内容は、ネフェリアがカウディリアンをあの大きな紫色の瞳を歪ませ、何かを訴えているのだが、話を聞かずに去ろうとする。すると、泣き崩れたネフェリアが、首を切られる。
いつも、ここで飛び起きる。

何故、そのような夢を見るか、分からないが、ネフェリアが何処かに行ってしまうのでないかという、恐怖に襲われる。

万が一あのような事になるなら、自分はネフェリアの側にいるべきでは無いのでは？と、カウディリアンは自問自答を繰り返していた。

それでも出る答えは、ネフェリアの側にいたい。愛したいというものだった。

未来は分からないが、ネフェリアの隣には自分が立っていたいという思いは消えないのだ。

「カウディリアン様、どうしたの？」

ネフェリアの紫色の大きな瞳がカウディリアンに向けられる。

この瞳をあのように絶対歪ませない。ネフェリアの話は全て聞いてやる。

ネフェリアが死ぬような事があれば、共に行こう……

「なんでもないよ。ネフェリア。」

にっこりと優しく微笑むカウディリアンだった。

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