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ネフェリア、学園編
イザベラの弟。
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「あれ?君は…」
ネフェリアが振り返ると、赤い髪の青年が立っていた。
琥珀色の瞳で、いつかの本屋であった少年を思い出す。
「…マリック?」
ネフェリアに名前を呼ばれ、パァァと顔を輝かせた。
「天使……、ネフェリア!!」
やっぱり、あの子だ。
「本屋で会ったよね?久しぶり!身長高くなってたから、一瞬迷ったけど、赤髪で琥珀色の瞳だったからマリックかな?って、…天使って??」
ニコニコとマリックに近づくネフェリア。
マリックはドキドキが止まらない。
ずっと夢見ていた、いつかまた会えると信じていた天使がより美しくなり目の前にいるのだ。
「何でもないよ…ネフェリア、君がここにいるって事はSクラス?…あっ学年は?」
「そう、Sクラス。今年入学したんだ。あっ、もしかして年上ですか?」
ネフェリアは、朝クラスでマリックのことを見かけていない事に気付き、慌てて年上に対しての言葉使いに直す。
「ふふ、僕も1年だよ。保健室で寝てたんだ。寝不足でね。」
慌てた様子のネフェリアが可愛いくて、マリックは笑う。
「あっ、じゃあ自己紹介時にいなかった生徒1人って?」
ネフェリアは首を傾げながら聞くと、マリックは頷く。
「うん。改めまして。マリック・ヤード、ヤード公爵家の長男です。」
「僕はネフェリア・プロント。プロント公爵家次男です。」
あれ?ヤード公爵家って何か聞いたな?あれ?なんだっけ?
そして、マリックはプロント家という言葉に顔を青くしてネフェリアを見た。
それに気付いたネフェリアはどうしたのか?と小首を傾げたが、すぐににこやかなマリックに戻ったので、安心した。
「ネフェリアはどこかに向かう予定だったの?」
「あっ、特には無いんだけど暇だから探検しようかと思って。」
「じゃあ、僕も付いて行っていい?ネフェリアは、1人で行動はしない方が良いと思うし。」
マリックはネフェリアの隣に行き、一緒に歩き出す。
確かに…。軽率だったな。サリファンやアリウス、カウディリアンに怒られそう。
ブルッと想像に震えた。
「…じゃあ、プロント家の妖精って噂、ネフェリアのことだったんだね。嬉しいな妖精に会えて…。」
フワッと笑うマリックに、ネフェリアは恥ずかしそうに笑う。
「あんまり、そう言わないで?僕、知らなかったんだよ。プロント家の妖精って噂になっているの…。妖精っぽく無いのにさ!噂でガッカリされたく無いな。」
ネフェリアは数々のことから、自分の容姿が美しいと思われている事は理解していたが、妖精とまではいかないと思っている。
何より、ネフェリアが求める理想の男性像はカリウスやキリウスの様な男らしい、キリッとした美形であり、好みは、トラウマではあるが、金髪ふわふわロングの可愛い女の子なのだ。あれ以来、女性も怖いが……。
そうなると、自分の容姿は、猫目に色白、華奢に感じて、好ましくは思わなかった。
そんなネフェリアに、マリックは内心、噂以上の魅力だと思っていた。
自分の初恋の人だからというのもあるが、ネフェリアの美しさは神秘的に感じた。
あの傲慢でプライドの高い姉が、ネフェリアに興味を持った理由が理解出来た。
公爵令嬢とチヤホヤされ育ち、自分の美しさを疑わないイザベラ。だが、3度の婚約話も無くなった。
その相手が第一、第二皇子とプロント家の長男。
もしかして、ネフェリアが何かしら関わっているのかも知れない。
プロント家は公爵の中でも1番上、筆頭公爵であり、宰相を務めている。王宮とも深い繋がりがある。
そして、この容姿に性格も良さそうだ。
姉が敵うはずがない。
姉が今日、ネフェリアを何処かで見て、先程の行動だろう。
ネフェリアに何もしていないといいが…。
「ねえ、ネフェリア。イザベラ・ヤードって知っているかい?」
マリックの質問に、ネフェリアはうーん…と考える仕草をするが首を振った。
「ごめん、イザベラって人は知らないけど、弟?妹さん?…僕、あまり外に出た事無いからわからないこと多くて…。」
申し訳無さそうにネフェリアを眉を下げる。
「ううん、大丈夫だよ。イザベラは僕の姉で公爵家の長女だよ。」
マリックの発言に、ネフェリアはピタリと立ち止まった。
待てよ、ヤード公爵…、女性?公爵令嬢!?
「あっっっ!?婚約の!!」
目をまん丸くしてマリックを見るネフェリア。
マリックは苦笑しながら頷く。
「そう、婚約出来なかったけどね。プロント家のエスティリオ様とも話は上がったでしょう?」
コクリと目を丸くしたまま頷くネフェリア。
「そう、それが姉さ。でもネフェリアがプロント家なら、しなくて良かったって思うよ。弟の僕が言うのも何だけど、イザベラは性格悪いしプライドも高いから、ネフェリアが虐められたかもね?」
ふふっと笑うマリック。
ネフェリアはより驚愕した。
女性ってそうなの?以前の子も言葉がキツい子だったけど、アルタとかは変だけど優しいけどな。
「そっか、ごめんよ。ヤード公爵って聞いたけど、全く気づかなかったよ。」
しゅんっとしてしまったネフェリアに慌てるマリック。
「大丈夫だよ!!気にしないで!プロント家に比べたら、ウチなんて!!」
「ネフェリア!何している。」
その声にマリックとネフェリアは振り向くと、ヴィヴァリアンがキリウスとエスティリオを連れて、立っていた。
マリックは慌てて頭を下げる。
それを見てネフェリアも、本来なら頭を下げる立場だと気付いた。
毎回、一緒にいたから忘れてた!!
慌てて頭を下げたネフェリアに、ヴィヴァリアンは不機嫌さを露わにした。
「ネフェリア!!何をしている頭を上げろ!!」
ツカツカとネフェリアに近づき、肩を抱くヴィヴァリアン。
「そこの者、顔を上げよ。ここは学園で私も一生徒、そこまでの礼儀はしなくて良い!!ネフェリアが真似をするだろう。」
マリックはゆっくりと顔を上げた。
「……お前は、ヤード公爵の!?」
ヴィヴァリアンとエスティリオは顔をしかめる。
そして、ネフェリアをより抱き寄せるヴィヴァリアン。
「ネフェリアに何かしていたのではあるまいな?」
ヤード家との婚約話を蹴ってから、念の為、ネフェリアに害が行かないよう、エスティリオとヴィヴァリアンはイザベラの事を調べておいた。
するとかなりの性格だと知り、一応ブラックリストに入れておいたのだ。その弟がネフェリアに近づいていたと知り、疑ってもしょうがない。
「待って下さい!マリックとはお友達です。以前知り合って、お互い今日、家名は知りましたが!」
慌てるネフェリアに、よりヴィヴァリアンの顔は険しくなる。
「以前からだと?お前はそんなに外出しないはず、何処で出会う?エスティリオ!!」
エスティリオは後ろに控えていたが、ヴィヴァリアンに抱かれているネフェリアを覗き込む。
「ヴィヴァリアン様、私も報告は受けていません。…ネフェリア?どういうこと?」
いつもの優しい兄様と違い、冷たい視線を向けられ、ネフェリアはヴィヴァリアンの胸の中で縮こまる。
「兄様…以前、絵本を買いに王都へ行った時、本屋でお会いしました。同じ花のお姫様の本を買いに来ていて…。」
ビクビクと小さい声で説明するネフェリアに、エスティリオはキリウスを見た。
「確か、騎士団2名とアリウスと行った日だな。アリウスからは何か?」
キリウスは無表情だが、やはりどことなく冷気を発している。
「…聞いていない。」
「いや、あの!本屋の外で3人は待ってて、僕とマリックはちょっと話したくらいで、えっとえっと!今偶然会って、また自己紹介したの!!」
あわあわと焦るネフェリア。とにかくこの場をどうにかしたいが、上手く説明が出来ない。
多分、兄達がピリピリしているのはイザベラの件があるからだろうと、ネフェリアも理解していた。
「ほう、俺達と友人になるのは最初あんなに渋っていたのに、此奴とは、ちょっと話して再会しただけで友人か~。ふ~ん…。」
キリウスは切れ長の瞳を細めてネフェリアを覗き込む。
うっ!痛いところを!
ネフェリアを抱くヴィヴァリアンの指先が身体に食い込み、痛さに顔を上げると、めちゃくちゃ冷ややかな眼差しをネフェリアに向けていた。
あっ、これヤバイやつ…
助けを求めてエスティリオに視線を向けるが、兄様に報告をしなかった罰なのか、ツーンとそっぽを向いていた。
ヒィィ!!
「兄様……。」
助けてよー…。
「マリック・ヤード。この件はまた後ほど。悪いがネフェリアとみっちり、きっちり話し合わないといけない案件が出来たので、話の途中で悪いが連れていくぞ。……ネフェリア、行くぞ。」
「ネフェリア…」
マリックの呼ぶ声がして振り向くが、キリウスに邪魔され、マリックが見えなかった。
ごめんよマリック……。
連れて行かれたネフェリアを見て、マリックは眉を寄せた。
「ネフェリア…。」
自分の初恋を実らせるのは簡単にいきそうに無いこと。
姉が鬼の形相で来た理由はあの光景を何処かで見たのだということ。
間違い無ければ、ヴィヴァリアン様はネフェリアに惚れている、キリウス様もだ。
そして、ヴィヴァリアン様が惚れていることをプロント家は知っている。だから、エスティリオ様も姉との婚約話を断ったのだ。
だとすると、カウディリアン様も?
ギリッと歯を喰いしばるマリック。
そんな強敵達の中で自分に勝てる見込みは有るだろうか?
「まず、姉上、イザベラをどうにかしなきゃな。」
マリックが初めて、今まで適当に流していた姉と向き合った瞬間だった。
ネフェリアが振り返ると、赤い髪の青年が立っていた。
琥珀色の瞳で、いつかの本屋であった少年を思い出す。
「…マリック?」
ネフェリアに名前を呼ばれ、パァァと顔を輝かせた。
「天使……、ネフェリア!!」
やっぱり、あの子だ。
「本屋で会ったよね?久しぶり!身長高くなってたから、一瞬迷ったけど、赤髪で琥珀色の瞳だったからマリックかな?って、…天使って??」
ニコニコとマリックに近づくネフェリア。
マリックはドキドキが止まらない。
ずっと夢見ていた、いつかまた会えると信じていた天使がより美しくなり目の前にいるのだ。
「何でもないよ…ネフェリア、君がここにいるって事はSクラス?…あっ学年は?」
「そう、Sクラス。今年入学したんだ。あっ、もしかして年上ですか?」
ネフェリアは、朝クラスでマリックのことを見かけていない事に気付き、慌てて年上に対しての言葉使いに直す。
「ふふ、僕も1年だよ。保健室で寝てたんだ。寝不足でね。」
慌てた様子のネフェリアが可愛いくて、マリックは笑う。
「あっ、じゃあ自己紹介時にいなかった生徒1人って?」
ネフェリアは首を傾げながら聞くと、マリックは頷く。
「うん。改めまして。マリック・ヤード、ヤード公爵家の長男です。」
「僕はネフェリア・プロント。プロント公爵家次男です。」
あれ?ヤード公爵家って何か聞いたな?あれ?なんだっけ?
そして、マリックはプロント家という言葉に顔を青くしてネフェリアを見た。
それに気付いたネフェリアはどうしたのか?と小首を傾げたが、すぐににこやかなマリックに戻ったので、安心した。
「ネフェリアはどこかに向かう予定だったの?」
「あっ、特には無いんだけど暇だから探検しようかと思って。」
「じゃあ、僕も付いて行っていい?ネフェリアは、1人で行動はしない方が良いと思うし。」
マリックはネフェリアの隣に行き、一緒に歩き出す。
確かに…。軽率だったな。サリファンやアリウス、カウディリアンに怒られそう。
ブルッと想像に震えた。
「…じゃあ、プロント家の妖精って噂、ネフェリアのことだったんだね。嬉しいな妖精に会えて…。」
フワッと笑うマリックに、ネフェリアは恥ずかしそうに笑う。
「あんまり、そう言わないで?僕、知らなかったんだよ。プロント家の妖精って噂になっているの…。妖精っぽく無いのにさ!噂でガッカリされたく無いな。」
ネフェリアは数々のことから、自分の容姿が美しいと思われている事は理解していたが、妖精とまではいかないと思っている。
何より、ネフェリアが求める理想の男性像はカリウスやキリウスの様な男らしい、キリッとした美形であり、好みは、トラウマではあるが、金髪ふわふわロングの可愛い女の子なのだ。あれ以来、女性も怖いが……。
そうなると、自分の容姿は、猫目に色白、華奢に感じて、好ましくは思わなかった。
そんなネフェリアに、マリックは内心、噂以上の魅力だと思っていた。
自分の初恋の人だからというのもあるが、ネフェリアの美しさは神秘的に感じた。
あの傲慢でプライドの高い姉が、ネフェリアに興味を持った理由が理解出来た。
公爵令嬢とチヤホヤされ育ち、自分の美しさを疑わないイザベラ。だが、3度の婚約話も無くなった。
その相手が第一、第二皇子とプロント家の長男。
もしかして、ネフェリアが何かしら関わっているのかも知れない。
プロント家は公爵の中でも1番上、筆頭公爵であり、宰相を務めている。王宮とも深い繋がりがある。
そして、この容姿に性格も良さそうだ。
姉が敵うはずがない。
姉が今日、ネフェリアを何処かで見て、先程の行動だろう。
ネフェリアに何もしていないといいが…。
「ねえ、ネフェリア。イザベラ・ヤードって知っているかい?」
マリックの質問に、ネフェリアはうーん…と考える仕草をするが首を振った。
「ごめん、イザベラって人は知らないけど、弟?妹さん?…僕、あまり外に出た事無いからわからないこと多くて…。」
申し訳無さそうにネフェリアを眉を下げる。
「ううん、大丈夫だよ。イザベラは僕の姉で公爵家の長女だよ。」
マリックの発言に、ネフェリアはピタリと立ち止まった。
待てよ、ヤード公爵…、女性?公爵令嬢!?
「あっっっ!?婚約の!!」
目をまん丸くしてマリックを見るネフェリア。
マリックは苦笑しながら頷く。
「そう、婚約出来なかったけどね。プロント家のエスティリオ様とも話は上がったでしょう?」
コクリと目を丸くしたまま頷くネフェリア。
「そう、それが姉さ。でもネフェリアがプロント家なら、しなくて良かったって思うよ。弟の僕が言うのも何だけど、イザベラは性格悪いしプライドも高いから、ネフェリアが虐められたかもね?」
ふふっと笑うマリック。
ネフェリアはより驚愕した。
女性ってそうなの?以前の子も言葉がキツい子だったけど、アルタとかは変だけど優しいけどな。
「そっか、ごめんよ。ヤード公爵って聞いたけど、全く気づかなかったよ。」
しゅんっとしてしまったネフェリアに慌てるマリック。
「大丈夫だよ!!気にしないで!プロント家に比べたら、ウチなんて!!」
「ネフェリア!何している。」
その声にマリックとネフェリアは振り向くと、ヴィヴァリアンがキリウスとエスティリオを連れて、立っていた。
マリックは慌てて頭を下げる。
それを見てネフェリアも、本来なら頭を下げる立場だと気付いた。
毎回、一緒にいたから忘れてた!!
慌てて頭を下げたネフェリアに、ヴィヴァリアンは不機嫌さを露わにした。
「ネフェリア!!何をしている頭を上げろ!!」
ツカツカとネフェリアに近づき、肩を抱くヴィヴァリアン。
「そこの者、顔を上げよ。ここは学園で私も一生徒、そこまでの礼儀はしなくて良い!!ネフェリアが真似をするだろう。」
マリックはゆっくりと顔を上げた。
「……お前は、ヤード公爵の!?」
ヴィヴァリアンとエスティリオは顔をしかめる。
そして、ネフェリアをより抱き寄せるヴィヴァリアン。
「ネフェリアに何かしていたのではあるまいな?」
ヤード家との婚約話を蹴ってから、念の為、ネフェリアに害が行かないよう、エスティリオとヴィヴァリアンはイザベラの事を調べておいた。
するとかなりの性格だと知り、一応ブラックリストに入れておいたのだ。その弟がネフェリアに近づいていたと知り、疑ってもしょうがない。
「待って下さい!マリックとはお友達です。以前知り合って、お互い今日、家名は知りましたが!」
慌てるネフェリアに、よりヴィヴァリアンの顔は険しくなる。
「以前からだと?お前はそんなに外出しないはず、何処で出会う?エスティリオ!!」
エスティリオは後ろに控えていたが、ヴィヴァリアンに抱かれているネフェリアを覗き込む。
「ヴィヴァリアン様、私も報告は受けていません。…ネフェリア?どういうこと?」
いつもの優しい兄様と違い、冷たい視線を向けられ、ネフェリアはヴィヴァリアンの胸の中で縮こまる。
「兄様…以前、絵本を買いに王都へ行った時、本屋でお会いしました。同じ花のお姫様の本を買いに来ていて…。」
ビクビクと小さい声で説明するネフェリアに、エスティリオはキリウスを見た。
「確か、騎士団2名とアリウスと行った日だな。アリウスからは何か?」
キリウスは無表情だが、やはりどことなく冷気を発している。
「…聞いていない。」
「いや、あの!本屋の外で3人は待ってて、僕とマリックはちょっと話したくらいで、えっとえっと!今偶然会って、また自己紹介したの!!」
あわあわと焦るネフェリア。とにかくこの場をどうにかしたいが、上手く説明が出来ない。
多分、兄達がピリピリしているのはイザベラの件があるからだろうと、ネフェリアも理解していた。
「ほう、俺達と友人になるのは最初あんなに渋っていたのに、此奴とは、ちょっと話して再会しただけで友人か~。ふ~ん…。」
キリウスは切れ長の瞳を細めてネフェリアを覗き込む。
うっ!痛いところを!
ネフェリアを抱くヴィヴァリアンの指先が身体に食い込み、痛さに顔を上げると、めちゃくちゃ冷ややかな眼差しをネフェリアに向けていた。
あっ、これヤバイやつ…
助けを求めてエスティリオに視線を向けるが、兄様に報告をしなかった罰なのか、ツーンとそっぽを向いていた。
ヒィィ!!
「兄様……。」
助けてよー…。
「マリック・ヤード。この件はまた後ほど。悪いがネフェリアとみっちり、きっちり話し合わないといけない案件が出来たので、話の途中で悪いが連れていくぞ。……ネフェリア、行くぞ。」
「ネフェリア…」
マリックの呼ぶ声がして振り向くが、キリウスに邪魔され、マリックが見えなかった。
ごめんよマリック……。
連れて行かれたネフェリアを見て、マリックは眉を寄せた。
「ネフェリア…。」
自分の初恋を実らせるのは簡単にいきそうに無いこと。
姉が鬼の形相で来た理由はあの光景を何処かで見たのだということ。
間違い無ければ、ヴィヴァリアン様はネフェリアに惚れている、キリウス様もだ。
そして、ヴィヴァリアン様が惚れていることをプロント家は知っている。だから、エスティリオ様も姉との婚約話を断ったのだ。
だとすると、カウディリアン様も?
ギリッと歯を喰いしばるマリック。
そんな強敵達の中で自分に勝てる見込みは有るだろうか?
「まず、姉上、イザベラをどうにかしなきゃな。」
マリックが初めて、今まで適当に流していた姉と向き合った瞬間だった。
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