本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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ネフェリア、学園編

プロント公爵家次男

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黄色い光輝いた金髪に涼しげな切れ長の目、黄金に輝く瞳は、全ての人を跪かせるであろう王族の証……。

氷の王子とも呼ばれる方、笑顔はお見せにならないけど、民のことを思い、生徒のことを思う優しく、強いお方。

私はあの方と共に歩むと言われ、思ってきた…きたのに!!

壇上に立つあの方との埋まらない距離!
しかも、公爵令嬢の私がAクラス!!

あの方が入学の歳に婚約を打診したが、出来ず、1年遅れで入学した。入学し、お側にいられれば、私の美貌や優秀さを理解してお考えも変わるのでは? 
…そう思い2年。あの方はSクラス、私はAクラスから上に上がれず、距離は開いたまま!!
壇上の貴方を見つめるだけの日々!

しかも今年入学した弟は、Sクラス!!
身体が弱く、今日だって体調不良で保健室直行なくせして、頭だけいいんだからムカつく!!

…でも、カウディリアン様と同じクラスよね。第一皇子がダメなら…それか、そこから第一皇子と関わりを!!


「ネフェリア・プロント 。私に集中しなさい。」

えっ?

思考を巡らせていたら、挨拶を読み上げていたはずの愛しのあの方が、どなたかの名前を苛立った声で呼んだ。

なんて言ったの?ネフェリア?

壇上のあの方を見つめると、あの方は何処か一点を見つめていた。

そして、微笑んだ!!

「それで良し。」

優しい声色を発し微笑んだあの方!!

私は2年間見たことないわ!

幻かと思ったけど、周りもざわついて、幻じゃないことを理解する。

ネフェリア……

確か、プロント公爵家の次男がそのような名前だった気が…

プロント家の妖精などと大それた二つ名が付いていた…。

殆どの方が見たこと無いはずなのに、私より綺麗な男性がいるはずないわ。



私より……そう!ヤード公爵家令嬢、イザベラより美しいはずはない!!

イザベラは苛々と爪を噛み、ヴィヴァリアンの微笑んだ顔を思い出していた。

すると、いつのまにか会は終了し、集団が動き始めていた。まだ壇上の端にいるエスティリオとヴィヴァリアンを見ると、視線が一点に注がれ続けていた。

イザベラはその視線の先を探して、2年の列からはみ出る。

徐々に周りの視線もヴィヴァリアンと同じ方向を見ていることに気付き、胸をざわつかせながら進む。

周りは女性であるイザベラより、違うものに顔を赤らめ、うっとりとした眼差しをしている。

その人物を視線に捉えたとたん、イザベラは驚愕に足を止め固まった。

白いプラチナブロンド、白い肌、ぷるんとした木苺のような唇に魅了する紫色の瞳、長い手足が制服を引き立て、彼の為に作られたように思わせる。

神秘的な白い光を発しているようにそこだけ輝いている。

吸い込まれそうなほどの魅力に、イザベラ自身もうっとりと頬を染めた。

しかし、隣を歩くカウディリアンに気付き、ハッと我にかえる。

カウディリアンの優しい瞳にヴィヴァリアンと同じものを感じた。

そして、直感的に理解した。

ネフェリアの存在がイザベラの障害となったことを…

ネフェリア・プロント!!

貴方が、私の邪魔をしていたのね!!

ギリギリと歯を軋ませ、スカートを握り締める。

じっとりと睨みつけていると、1人の青年が不審な動きをしていることに気付く。

何よ、あいつ…

…!?カウディリアン様にワザとぶつかろうと??

きっかけを作ろうとしているのね!?
そうはさせないわ!!  

イザベラは青年がカウディリアン目掛けて転ぼうとした瞬間、ネフェリアの方へ突き飛ばした。

イザベラはカウディリアンへのきっかけを崩し、尚、ネフェリアを怪我させようとしたのだ。

だが、結果は鼻を打った程度、そして駆けつけたヴィヴァリアンに連れられ、消えていくネフェリア。

な、何よ!これっ!許せないわ!!



カウディリアン様といたってことは、Sクラス!!
弟に調べさせないと!!


イザベラは保健室に向かった。


********

ヤード公爵家令息、マリックは深い溜息をついた。

本の読み過ぎでサボって寝ていたところ、イザベラに叩き起こされ、プロント公爵家の次男を探れと言われたのだ。

マリックは幼少期は身体が弱かったが今は違う。だが、姉からの嫉妬に逃れる為、体調を理由に適度にサボる事を覚えた。姉より全てにおいて器用にこなすが、姉には勉学だけが取り柄の弱い弟と思わせておくのが面倒くさくなくて良い。
入学早々嫌味を聞きたくなく、保健室に篭ったが、知らない間により面倒な事に…。

寮へと向かいつつ、まだ起きていない頭でイザベラが怒鳴っていた名前を思い出そうとする。

ハァァ、イザベラはなんて言ってたっけ?

プロント公爵家の………

ハッと、目の前に現れた、プラチナブロンドにマリックは息を飲む。

あの時より背が伸びているが、間違えるはずがない!何度、もう一度会いたいと夢見たか!!

僕は胸を高鳴らせながら、呟いてしまった。


「……天使様?」


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