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ネフェリア、学園編
僕も学校へ。
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キンッ!!ガキンッ!!
振り下ろされた剣を去なして、喉元に突きつける。
「そこまで!!」
カリウスの合図に剣を下ろした。
「うー!!クソッ!やられた!!」
悔しそうに顔を歪ますアリウスは蹲み込んで頭を掻く。
アリウスに剣を向けていた相手は、大きく息を吐き、手で額の汗を拭う。
「アリウス、お前、全く集中出来ていなかったぞ。だからだょ。」
男性にしては透き通る声でアリウスに話かける。
「ネフェリア、腕を上げたな。それに比べてうちの愚息は!!」
そう、アリウスの首元に剣を突きつけていたのはネフェリアだ。
「だって、集中出来るかよ!」
ムスッと唇を尖らすアリウス。不貞腐れ方は幼い時と同じだが、もう身長、ガタイとも可愛らしさの欠片も無いほどの男前となった。瞳の色もあり、カリウスにより似てきた。
そんな彼が集中出来ていない理由はネフェリアにあった。
「何で集中出来ないのさ?言い訳は見苦しいぞ?」
フンッと腰に手を当て、蹲み込んだアリウスを見下ろすネフェリア。
その様子に、カリウスは頬を掻き、アーロン達も黙り込む。
アリウスが集中出来ない事も分からないでも無いと思うからだ。
白髪に近いプラチナブロンドは絹糸のようにサラサラで綺麗にカットされているので白い頸が視線を誘う。前髪は睫毛にかかり、より、紫色の瞳を際立たせる。成長と共に猫目がちになり、より色気が増した。
こんなにも太陽のしたで稽古をしているのに、きめ細かい白い肌は黒子一つ無い。赤く熟れた木苺のような唇に、激しく動く為、吐く息の隙間から小さなピンクの舌が覗く。小さかった身体も長い手足に程よく付いた筋肉はしなやかに動き、相手を魅了する。身長も皇子達や側近達には及ばないが、スタイルの良さが分かるほどには伸びた。
「いや、子供の時可愛くても、大人になれば…と言うが。より股間にヒットする見た目になったな。」
フムッとしみじみ思うカリウス。
「だから、勃起させながら平然と言わないで下さい。」
アーロンはカリウスに注意をする。
そんなアーロンも前屈みになっている。
そうなのだ、あれだけ訓練場に毎日通っていたネフェリア。少し団員達も慣れか、悟りか、忍耐か分からないが、勃起する事が少しの間治っていた。
だが年々、倍に膨らむフェロモンと魅力に、どんどん勃起率が高くなった。
それでもネフェリアと剣を交える稽古をすれば自然とそちらに集中する。流石騎士団。
だが、まだ未熟で若いアリウス、その他もだが、剣を交える度に、ネフェリアの滴る汗が頸を伝ったり、高揚するネフェリアの顔に集中は乱れてしまうのだ。
「でもまあ、アリウス。お前、そろそろしっかりしなきゃ、ネフェリアに抜かされるぞ。お前の集中力を抜きにしても、ネフェリアは大分強くなった。サリファンよりは上だろう。情けねえ奴なんて嫌われるぜ?お前に頭はねえんだから。」
ガーン!!と傷つくアリウス、そして流れ弾に傷つくサリファン。
サリファンもまた、大人っぽく育った。栗色の髪、意志の強そうな赤い瞳はそのまま、骨格が徐々に男らしく出来上がってきている。まあ、アリウスと比べるとかっこいいというより美形の方がしっくりくる。
ある程度の剣術を習得すると勉学に力を入れていた為ネフェリアよりは筋力はあるが比べると細い方で、メキメキと上達するネフェリアに焦り、最近また剣術に力を入れ始めたのだ。筋トレも密かにやっているらしい。
「ネフェリア、俺とも一戦お願いしたい。」
「ナウディ様。」
第三皇子ナウディリアンが剣を持って現れた。
ナウディリアンの剣の腕前は他の皇子と比べても群を抜いている。
キリウスと比べると、まだキリウスには勝てない。
流石未来の騎士団団長候補。
ネフェリアは年下のナウディに胸を借りるつもりで挑むが、やはり強く、集中力もある。
ほんの数分で勝負は決まる。
「ナウディ様…お強いです!」
剣を払われた威力に倒れ込むネフェリア。
ナウディは、そんなネフェリアに手を差し出す。
「ハハッ、私は剣術しかないからな。公務や勉学は兄上達が行っている。これで剣術まで弱ければネフェリアに合わす顔がない。」
ナウディはネフェリアより年下だが、身長は高く、肉体も出来上がりつつある。幼き頃の猫目は切れ長いつり目となり、同じ切れ長い目の第一皇子の涼しげな印象と違い、金の瞳がより鋭さを増している。短く切り上げた金髪が男らしさを増してみせる。
「ネフェリアやカウディリアン兄上達は明日出発して学校向かうんだろ?寂しくなる。」
ナウディの寂しげな瞳にネフェリアは微笑んだ。
「まとまってお休みには帰ってきますので、またお相手してください。」
「ああ、それに来年には一緒に通えるしな。」
あれ?ナウディ様は確か留学じゃ?
「ナウディ様、留学…!!」
まずい!これはゲームの!
「何故、ネフェリアは知っている?誰かから聞いたか?確かに俺は公務で動けないであろう兄上達の代わりに他国の様子を学びに留学を視野に入れていたが…まだ大事な勝負が終えていないから、やめたんだ。留学しなくても学べるしな。視察として行けるし。勝負がついてからまた考える事にした。」
「勝負とは?」
ネフェリアの問いに、ナウディは金の瞳でネフェリアをジッと見つめ、口元を笑わせた。
「とても重要で決して負けられない、誰にも負けれない勝負だ。」
口元は笑っているが、金の瞳が燃えるように熱く感じた。
そんな勝負、前回あったかな?と頭を悩ませるネフェリアと、ナウディと視線を交わすアリウスとサリファン。
「まあ、男には負けられない戦いがあるよな?くう!!俺も参戦してえ。なんたって、賞品が女神だろ?」
「父上は黙ってろ!親父はお呼びじゃねえ!」
アリウスがニヤニヤ笑うカリウスを睨む。
「何!?俺はまだ現役だ!」
睨み合う親子はほっといて、女神って女性?
あっ、婚約者の女性を取り合っているのかな?だから、まだ皇子様達の婚約話が出ないのかな?
そんな綺麗なら、見てみたいな。学校で見れるかな?
明日からが楽しみだ。
振り下ろされた剣を去なして、喉元に突きつける。
「そこまで!!」
カリウスの合図に剣を下ろした。
「うー!!クソッ!やられた!!」
悔しそうに顔を歪ますアリウスは蹲み込んで頭を掻く。
アリウスに剣を向けていた相手は、大きく息を吐き、手で額の汗を拭う。
「アリウス、お前、全く集中出来ていなかったぞ。だからだょ。」
男性にしては透き通る声でアリウスに話かける。
「ネフェリア、腕を上げたな。それに比べてうちの愚息は!!」
そう、アリウスの首元に剣を突きつけていたのはネフェリアだ。
「だって、集中出来るかよ!」
ムスッと唇を尖らすアリウス。不貞腐れ方は幼い時と同じだが、もう身長、ガタイとも可愛らしさの欠片も無いほどの男前となった。瞳の色もあり、カリウスにより似てきた。
そんな彼が集中出来ていない理由はネフェリアにあった。
「何で集中出来ないのさ?言い訳は見苦しいぞ?」
フンッと腰に手を当て、蹲み込んだアリウスを見下ろすネフェリア。
その様子に、カリウスは頬を掻き、アーロン達も黙り込む。
アリウスが集中出来ない事も分からないでも無いと思うからだ。
白髪に近いプラチナブロンドは絹糸のようにサラサラで綺麗にカットされているので白い頸が視線を誘う。前髪は睫毛にかかり、より、紫色の瞳を際立たせる。成長と共に猫目がちになり、より色気が増した。
こんなにも太陽のしたで稽古をしているのに、きめ細かい白い肌は黒子一つ無い。赤く熟れた木苺のような唇に、激しく動く為、吐く息の隙間から小さなピンクの舌が覗く。小さかった身体も長い手足に程よく付いた筋肉はしなやかに動き、相手を魅了する。身長も皇子達や側近達には及ばないが、スタイルの良さが分かるほどには伸びた。
「いや、子供の時可愛くても、大人になれば…と言うが。より股間にヒットする見た目になったな。」
フムッとしみじみ思うカリウス。
「だから、勃起させながら平然と言わないで下さい。」
アーロンはカリウスに注意をする。
そんなアーロンも前屈みになっている。
そうなのだ、あれだけ訓練場に毎日通っていたネフェリア。少し団員達も慣れか、悟りか、忍耐か分からないが、勃起する事が少しの間治っていた。
だが年々、倍に膨らむフェロモンと魅力に、どんどん勃起率が高くなった。
それでもネフェリアと剣を交える稽古をすれば自然とそちらに集中する。流石騎士団。
だが、まだ未熟で若いアリウス、その他もだが、剣を交える度に、ネフェリアの滴る汗が頸を伝ったり、高揚するネフェリアの顔に集中は乱れてしまうのだ。
「でもまあ、アリウス。お前、そろそろしっかりしなきゃ、ネフェリアに抜かされるぞ。お前の集中力を抜きにしても、ネフェリアは大分強くなった。サリファンよりは上だろう。情けねえ奴なんて嫌われるぜ?お前に頭はねえんだから。」
ガーン!!と傷つくアリウス、そして流れ弾に傷つくサリファン。
サリファンもまた、大人っぽく育った。栗色の髪、意志の強そうな赤い瞳はそのまま、骨格が徐々に男らしく出来上がってきている。まあ、アリウスと比べるとかっこいいというより美形の方がしっくりくる。
ある程度の剣術を習得すると勉学に力を入れていた為ネフェリアよりは筋力はあるが比べると細い方で、メキメキと上達するネフェリアに焦り、最近また剣術に力を入れ始めたのだ。筋トレも密かにやっているらしい。
「ネフェリア、俺とも一戦お願いしたい。」
「ナウディ様。」
第三皇子ナウディリアンが剣を持って現れた。
ナウディリアンの剣の腕前は他の皇子と比べても群を抜いている。
キリウスと比べると、まだキリウスには勝てない。
流石未来の騎士団団長候補。
ネフェリアは年下のナウディに胸を借りるつもりで挑むが、やはり強く、集中力もある。
ほんの数分で勝負は決まる。
「ナウディ様…お強いです!」
剣を払われた威力に倒れ込むネフェリア。
ナウディは、そんなネフェリアに手を差し出す。
「ハハッ、私は剣術しかないからな。公務や勉学は兄上達が行っている。これで剣術まで弱ければネフェリアに合わす顔がない。」
ナウディはネフェリアより年下だが、身長は高く、肉体も出来上がりつつある。幼き頃の猫目は切れ長いつり目となり、同じ切れ長い目の第一皇子の涼しげな印象と違い、金の瞳がより鋭さを増している。短く切り上げた金髪が男らしさを増してみせる。
「ネフェリアやカウディリアン兄上達は明日出発して学校向かうんだろ?寂しくなる。」
ナウディの寂しげな瞳にネフェリアは微笑んだ。
「まとまってお休みには帰ってきますので、またお相手してください。」
「ああ、それに来年には一緒に通えるしな。」
あれ?ナウディ様は確か留学じゃ?
「ナウディ様、留学…!!」
まずい!これはゲームの!
「何故、ネフェリアは知っている?誰かから聞いたか?確かに俺は公務で動けないであろう兄上達の代わりに他国の様子を学びに留学を視野に入れていたが…まだ大事な勝負が終えていないから、やめたんだ。留学しなくても学べるしな。視察として行けるし。勝負がついてからまた考える事にした。」
「勝負とは?」
ネフェリアの問いに、ナウディは金の瞳でネフェリアをジッと見つめ、口元を笑わせた。
「とても重要で決して負けられない、誰にも負けれない勝負だ。」
口元は笑っているが、金の瞳が燃えるように熱く感じた。
そんな勝負、前回あったかな?と頭を悩ませるネフェリアと、ナウディと視線を交わすアリウスとサリファン。
「まあ、男には負けられない戦いがあるよな?くう!!俺も参戦してえ。なんたって、賞品が女神だろ?」
「父上は黙ってろ!親父はお呼びじゃねえ!」
アリウスがニヤニヤ笑うカリウスを睨む。
「何!?俺はまだ現役だ!」
睨み合う親子はほっといて、女神って女性?
あっ、婚約者の女性を取り合っているのかな?だから、まだ皇子様達の婚約話が出ないのかな?
そんな綺麗なら、見てみたいな。学校で見れるかな?
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