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B介

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ネフェリア10歳

キラキラの飴細工。

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上機嫌でガツガツ肉を食べるアリウスと逆に、すっかり落ち込んでしまったネフェリアはアーロンに抱かれて蹲っている。
アーロンとしては役得だが、あんなに楽しみにしていた王都、そして既に手にも持たない絵本。流石に可哀想になる。

「ネフェリア様。必ず花なお姫様みたいに可愛いくて、優しい子はいますよ。」

アーロンが慰めるが、ネフェリアはアーロンの肩に頭を乗っけたまま動かない。

大分傷ついているな。
1番気にしていた身長の事言われたしな…。ネフェリア様、最初に比べればかなり成長したのだが、近くにいるのが、ハイスペックな方々ばかりな為、なかなかコンプレックスが消えない。

国王も団長も身長高いし、宰相様も長身だが、ネフェリア様は幼少期、あまり外に出なかった分成長が遅れているのだろう…。

どうしたら良いやら…。

アーロンが悩んでいると、サイクスが屈み、アーロンに抱かれているネフェリアに視線を合わした。

「ネフェリア様、飴はお好きでしょうか?」

ネフェリア、飴という言葉に、顔は上げずに頷いた。

「あちらに、好きな形を作ってくれる飴細工屋がございます。よろしければ見に行きませんか?」

ネフェリアはおでこをアーロンの肩に乗せたまま、チラッと視線をサイクスに向けた。

その瞳は涙に濡れて真っ赤になっていた。

サイクスはキュンと胸を締め付けられながら、口元を優しく笑わした。

「好きな形?」

「はい、そうです。見に行きませんか?」

するとネフェリアは頷いた。

「待て、サイクス。アリウス様がまだ食事中だ。終えてから行こう。」

アーロンの言葉にアリウスも慌てて食べる。

「すぐそこですので、私がネフェリア様を連れて行きます。アーロン様とアリウス様は食べ終えたら来ていただければ。時間は限られていますし、少しでも楽しんで頂きたい。飴を作っているのを見れば、少しは気分が晴れるでしょう。」

サイクスが手を広げると、ネフェリアはサイクスの方に手を伸ばした。

そのネフェリアの行動に、アーロンも名残惜しいが、サイクスにネフェリアを託した。

アーロンはサイクスに飴の場所を聞き、アリウスと残った。

サイクスは片手に焼き菓子を持ちながら、もう片手で大事そうにネフェリアを抱えて、小走りで飴細工に向かった。

サイクスの小走りで身体が揺れるので、ネフェリアはがしりとサイクスに掴まる。

「ネフェリア様、こちらです。」
ネフェリアはサイクスの声に反応して、サイクスの視線を辿ると、黄金色の綺麗な飴が色々な形で飾られていた。

花や動物、空想の生き物など。

「うわー…」

ネフェリアは赤くなってしまった紫の瞳をキラキラさせながら、見入った。

サイクスはそんなネフェリアの表情を見て、クスリと笑い、背後の離れた位置にいるアーロンに視線を送った。

アーロンもネフェリアの位置を確認し、サイクスに頷く。

念のため、二手に分かれてしまったのでお互いの意思確認ができる距離かを確かめたのだ。

ネフェリアは身を乗り出して、店主が今作っている飴細工を興味津々で見ていた。

「えっと、犬かな?猫?何だろうねサイクス。」

ネフェリアが考えながらサイクスを見る。
そのネフェリアの困ったような真剣な顔に、サイクスはつい、可笑しくて噴いてしまった。

「プッハハ、何でしょうね?四つ足ですから、あっ!首が長くなりましたよ?」

急に笑い出したサイクスにキョトンとしながらも、ハッと飴に目をやる。

「あっ!!馬だよ!馬!すごい!!」

ネフェリアは大喜びで、馬の形をした飴を見た。

「さあ、何をつくりましょうか?」
店主がフードをかぶったネフェリアを覗くように伺う。

ネフェリアは自分に聞いてきた事に気づき、必死に考える。

「えっと!えっと!うさぎ!!」
絵本に出てくるウサギを思い出し、ネフェリアは大きい声で叫んだ。

すると店主は頷き、黄金色のウサギをあっという間に作った。

可愛いウサギに大喜びのネフェリア。

「うわ!うわ!ウサギだ!すごいね!あっという間に出来たよ!!」

キラキラしながらサイクスにウサギを見せる。

サイクスはお金を払い、ネフェリアに微笑む。

「これはネフェリア様に私からのプレゼントです。初めての王都を楽しんでもらう為の。」
ネフェリア、いじけていた自分に照れながら、サイクスに微笑む。

「ありがとう。サイクス。」
ヘヘッ!と笑うネフェリアの可愛さに悶えつつ、平然を装って頷くサイクス。

「ネフェリア!ウサギにしたんだ。俺も作る!」

いつのまにか来ていたアリウスにネフェリアは自慢げにウサギを見せた。

アーロンにも見せると、アーロンは食べるフリをする。それにネフェリアは驚いて、慌ててウサギを隠した。

「冗談です。ネフェリア様、元気になって良かったです。」

にっこりと笑うアーロンに、ネフェリアは嬉しそうに頷いた。

「ねー、僕からもお礼したいから、皆に飴をプレゼントするよ。アーロン、サイクス!何がいい?」

「いえ、私どもは護衛です。お気になどなさらず、ネフェリア様が楽しんで頂けるだけで。」

すると、ネフェリアはムスッと唇を尖らす。

「僕は皆で楽しみたい。じゃあ、勝手に作るね。アーロンは犬ね!サイクスは猫!アリウスは何にする?」

「俺もいいの?じゃあ強そうなドラゴン!」

店主は頷き、作り始めた。
黄金色の犬、猫、ドラゴンに大満足なネフェリアとアリウス。

大喜びで帰りは飴の話で盛り上がっていた。そして馬車の中、眠ってしまった2人に、アーロンとサイクスは優しく微笑む。

「サイクス、助かった。あのままでは、ネフェリア様は落ち込んだまま帰るところだった。」

「いえ、弟がいまして。いつも泣いた後、あれを見せるとすぐ笑顔になるので試して見て良かった。」

サイクスの表情がこんなにも変わるとは…普段あまり、変わらず無口なサイクス。
少し柔らかくなったか?とアーロンは思う。これもネフェリア様のお力かな?サイクスと少し関わり易くなりアーロンも嬉しく思った。

サイクスはネフェリアからもらった飴細工を光に当て、愛おしそうに見つめている。

アーロンもそれを見て笑いながら、自分の手にある犬の飴細工を見る。

「食べれないな。これは。」
アーロンの呟きにサイクスも頷く。

「家宝にする。」
そのサイクスの発言にまたアーロンは笑った。

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