本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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ネフェリア10歳

初恋?

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アリウスの案内のおかげで、本屋に着いたネフェリアは、新作の絵本を必死に探した。

人気が無いのか、中々見つからない。

ええ!?無いよ…確か今日発売って聞いたのに!!

必死に探すと、棚にあるのを見つけて手を伸ばす。

すると、自分より少し大きい手と重なった。

へ?

僕は横を向くと、赤髪の男の子と目が合った。赤髪のふわふわした短髪に少し優しげな垂れ目、黄色に近い茶色?琥珀色かな?の瞳。
彼も、僕も固まる。

同じ絵本探していたのかな?
新刊は2冊ある。
僕は2冊棚から出して、一冊を彼に差し出した。

「はい。君もコレ好きなの?」
にっこり笑って差し出すと、彼はコクリと頷いた。

「僕も好きなんだ!一緒だね。でも、人気無いのかな?2冊しか棚にないよ。」

自分の好きな物が少ないことにしょんぼりすると、彼は首を横に振った。

「平民の中でかなり人気。だから午前中にすぐ無くなると思ってた。だけど予定があって…あったの奇跡。」

声は透き通るようでとても聞きやすかった。

「そうなんだ!!じゃあ、あって僕たちラッキーだね!!」
彼はコクリと頷いた。

「僕は、ネフェリア。君は?」
ネフェリアはフードを取り、挨拶した。

「マリック…。」
マリックは僕を凝視した。

「マリック、また会えたらどこかで!!」

ネフェリアはお会計をして、外で待つ、アリウス達の元へ駆けていく。

暫く固まっていた。マリックの元へ、従者が近づく。

「マリック様、どうなさいましたか?外で待っていましたが、中々お戻りにならないので。」

「僕、天使を見た。」
真剣な瞳で従者を見るマリック。

「天使ですか?」

ここから出てきたのはフードをかぶった子供のみ、確か王宮に勤める騎士団と、カリウス様の御子息がフードの子供といたが…

「お姫様みたいだった…」
うっとりするマリックに首を捻る従者。

これがマリックの初恋だった。

******

ネフェリア達は屋台に向かっていた。
おなかすいたと叫ぶアリウスの為にだ。

お肉の焼ける匂いに誘われて、アリウスは屋台に近寄る。

「ここにしよう!!」
アリウスが並ぶのに付き合おうと、屋台に近づいて、ネフェリアは驚く。
肉を焼く店主の横に、小さな同じ歳くらいの女の子がいた。

金髪のふわふわロングで絵本の通り、お花の髪飾りをつけている。

「花のお姫様だ。」
ネフェリアの声に敏感に反応したアリウスは、女の子を見て眉を寄せる。

絵本の?確かに、絵本通りの格好だが、全く可愛くない。ネフェリアの方が100倍可愛い!!

だけど、愛読書と似ているだけで、ネフェリアは意識している。

面白くない!!

「やはり、違う屋台にする!!」
アリウスの発言に、ネフェリアはショックを受ける。

「えー!ここにしようよ!!」
「この量、ネフェリア1人で食べれるならいい!!俺は違うのにする!」

ネフェリアはうっ!と唸る。かなり山盛りな焼肉なのだ。アリウスが食べないなら、1人じゃ難しい。

唇を尖らすと、中にいた女の子が出てきた。

花のお姫様の格好をした女の子が近づき、ネフェリアはドキドキした。

「ねえ、あなた達!私の焼肉が食べれないっていうの?花の姫の焼肉よ?」

アリウスはニヤリと笑う。

ネフェリアの好みが絵本の女の子と知ってから、かなり読み込んだ。
優しく、ふんわりしたお姫様だ。
彼女は格好は似ているが違いすぎる。

案の定、ネフェリアはショックを受けた顔で固まる。

「わかったひとつもらおう。」
アリウスが答えると気を良くしたのか。

「まあ、さすが男らしいだけありますね。そちらの小さな方と違って。」

「ミーサ!!」
店主が怒鳴る。

彼女は平民だ、貴族にしちゃいけない言葉使い。姫になり切っているのだろう。
父親であろう店主が平謝りをする。

それよりおかしいのが、ネフェリアのコンプレックスに触れたこと。

1番気にしている身長に触れたのだ。
ネフェリアは目を潤ませ、大事に抱えていた絵本をサイクスに渡して、アーロンに抱っこされている。

ふふふ!花の姫!破れたり!!
これで、ネフェリアの初恋は潰れた。

アーロンに抱っこされているのは面白く無いし、傷ついたネフェリアは可哀想だが、この女のおかげでネフェリアの中で最上級だった女性像が崩れたのだ!!

楽しくて楽しくて仕方がない。

クスクス笑う俺をアーロンとサイクスが冷たい視線で見てくる。

しょうがないだろ!嬉しいんだから。

「はい!出来ましたよ焼肉山盛りよ?花の姫の私は、貴方となら結婚してあげても良くってよ。」

まだお姫様になり切る娘を店主はゲンコツを頭に浴びせた。

「痛い!お父様!!」

涙を流す女の子に、アリウスは笑う。

「俺は顔はもちろん、心も醜い相手なんてごめんだよ。」

女の子は、その言葉に、わーんと泣きじゃくる。

フン!ネフェリアを泣かせた罰だ。

ネフェリアは目を真っ赤にして、泣き出した女の子に、焼き菓子を差し出した。

女の子は泣きながらも受け取る。

「あ、ありがとう。ぐすん。」

ネフェリアは頷くと、またアーロンに抱きついて、頭を擦り付けた。

アーロンはネフェリアの頭を愛おしそうに撫でた。

やはりネフェリアは最高だ。優しくて、綺麗!!

アリウスはネフェリアにまた惚れた瞬間だった。

ああ、ネフェリア。皇子様方や兄上より、俺を選んでくれないかな。

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