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ネフェリア10歳
え!?ヴィヴァリアンに婚約者がいない?
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「そういえば、第一皇子ヴィヴァリアン様の婚約者はどうなったんでしょうね。」
アルタこと芳子が、ネフェリアの寝室を掃除しながら呟く。
ネフェリアは好きなストロベリーティーの香りを楽しんでいたが、芳子の発言に目を見開いた。
確かに!この間あったヴィヴァリアン様の誕生日パーティーでも発表が無かった。
「確か、13の時だったはずなのに…。」
「まあ、少しズレもあるかもしれませんし、もう少し様子を見ましょう。」
芳子の言葉に僕は頷き、またストロベリーティーの香りを楽しみながら、味わった。
しかし、その日の夕方頃、ネフェリアが王宮から帰り自室に入るなり、芳子が訪ねてきた。
ネフェリアが呼ぶ前に芳子が来るのは珍しく、嫌な予感がした。
「芳子さんどうしたの?」
蒼ざめた芳子の顔に、自分の予感が当たっていたことに、震えが走る。
「たまたま…旦那様と奥様の話を聞いていたメイドから、こっそり聞きだしまして……あっ!!そのメイドも外には漏らしていませんので、罰しないで頂けませんでしょうか!!」
あわあわしている芳子さんの様子に僕は唾を飲み込みながら頷く。
「わかった…何かな?」
「ヴィヴァリアン皇子様と公爵令嬢の婚約話は無くなったそうです…。」
僕は口を開けたまま固まってしまった。
「ああ!!ネフェリアたん!!戻ってきて!?」
ハッと意識を取り戻すが、顔はどんどん蒼ざめていく。
「な、な、な、な、んで?」
「そこまでは詳しく……。そして、もう一つ!その婚約話の無くなった、ヤード家の令嬢との婚約話がエスティリオ様とカウディリアン様に上がっているらしく
…」
「えぇぇー!?」
どういう展開!?頭がついていかない!!
公爵家、しかも令嬢なら王族からしたらいい縁談のはずが、話が無くなった?いや、公爵から断れるはずがない!国王からだろう…!
女が少ないこの世界で、公爵令嬢程の価値がある者はいないはず!!それが断られた事でヤード家が焦って縁談をどうにか繋げようとしているんだ!!
第一皇子の次に…確かに兄様とカウディリアン様になる!!
兄様、前回婚約者はいたっけ?自分の事でいっぱいいっぱいだったし、嫌われていたから覚えていない!!
でも、カウディリアンが婚約したら…!
あれ?これ、断罪免れるんじゃない!?
僕は自然と笑みが溢れ、蒼ざめていた顔が色づき始めた。
「ネフェリアたん、何を考えているか一目瞭然ですね…。ですが、ここまで流れが変わると、私には今後の事は予測不能です。少し怖いですね。あ、ちなみになんですが、エスティリオ様もお断りしたようですよ?」
「え!兄様も!?てか、そんなにすんなり断れるもんなの?」
自分には万々歳だが、少し驚く。令嬢だよ?令嬢!
「まあ、断り難い事は確かですが、プロント家の方が上ですのでそこは大丈夫なはずです。ヤード家としては王族かもしくは公爵辺りを狙っていますので、後はカウディリアン様ナウディリアン様…。しかし、カウディリアン様にも断られたら、第三皇子には縁談持っていき難いでしょうね。」
フーと大きく息を吐く芳子さん。
「公爵令嬢が、こんなにも振られるなんて…。前回は無かったことだょね?いくらBLゲームの中だとしても、後継とかで女性は貴重だったはず!だから僕は第二皇子との婚約だったんだから。」
ちょっと難しい顔をする芳子にネフェリアも眉を寄せた。
「ネフェリア様、少し真面目なお話ですが、前回の断罪ではゲームには無い毒殺未遂と死罪があり、今回も大きく流れが変化しています。これが、私達が変えた変化であり良い方に動くならいいんですが、私は前回の毒という物がずっと気になっております。ネフェリア様はそのような事はしていない、そうなるとプロント家は嵌められた形になります。その理由が何か、明確ではない為、婚約者にならなければ危険が去るのか、はたまたプロント家を狙っているのか…。ゲーム中の流れでおかしいところを気づければ、自ずと分かると思っていました。ですが、ここまで変化すると、私には判断が難しくなります。」
そうだ…。僕は殺された事が大きすぎて、毒の件を考えてはいなかった。
確かに毒なんて怖いものを用意した覚えは無い、あの時は僕に恨みがあった人物だと考えていて、自業自得とも思っていた。
「…前回の僕は悪役令息、恨みをかって、仕組まれたんだと思うけど、もし、婚約者の立場が欲しかった者、プロント家に恨みがある者、他に理由がある者。確かに色々考えられる。僕は、今後この事も踏まえて行動しなきゃならないんだね?」
芳子は悲しそうに顔を歪め頷く。
「ネフェリアたん…怖いかも知れないけど、私がしっかりサポートするから!!
大丈夫だよ!!こんなにもいい子なんだから、恨まれるなんてしないです!!」
芳子は不安から震えるネフェリアをギュッと抱きしめた。
ネフェリアも、怖い考えが頭を巡るが、芳子の温もりに少しホッとした。
「ありがとう。芳子さん。大丈夫!僕頑張るから、プロント家の為に!芳子さんの為に!最悪な未来を変えて見せるさ!だって、前回より、僕強いもん!騎士になるんだから!もしも王族狙いなら、皇子様達だって守ってやるさ!」
芳子に抱きつきながら、えへへ!と笑うネフェリアに、芳子の胸はキューンと締め付けられた。
「ああ!!カワユス!!ネフェリアたん!ハアハア!必ずや拙者、姫を守るでござるよ!」
芳子さん。僕の頭にヨダレが…。
「でも、カウディリアンと令嬢が婚約したら、令嬢が危ないこともあるよね?なんだか、申し訳ないな…。」
しょぼんとするネフェリアにまたしても、キュンキュンさせられる芳子。
「ハアハアなんてお優しい!ネフェリアたんざます!大丈夫ですよ!そんな事にはならないから!」
「へ?」
話を聞く限り、第一皇子が断ったのもネフェリアが原因でしょう。そうなれば、第二皇子とて本気なはず、ヤード家とネフェリアたんは可哀想だが、婚約話は難しいでしょう。
ああ、優しくて、可愛いくて、おバカなネフェリアたん!!
必ず守ってあげますからね、BL以外は!!
アルタこと芳子が、ネフェリアの寝室を掃除しながら呟く。
ネフェリアは好きなストロベリーティーの香りを楽しんでいたが、芳子の発言に目を見開いた。
確かに!この間あったヴィヴァリアン様の誕生日パーティーでも発表が無かった。
「確か、13の時だったはずなのに…。」
「まあ、少しズレもあるかもしれませんし、もう少し様子を見ましょう。」
芳子の言葉に僕は頷き、またストロベリーティーの香りを楽しみながら、味わった。
しかし、その日の夕方頃、ネフェリアが王宮から帰り自室に入るなり、芳子が訪ねてきた。
ネフェリアが呼ぶ前に芳子が来るのは珍しく、嫌な予感がした。
「芳子さんどうしたの?」
蒼ざめた芳子の顔に、自分の予感が当たっていたことに、震えが走る。
「たまたま…旦那様と奥様の話を聞いていたメイドから、こっそり聞きだしまして……あっ!!そのメイドも外には漏らしていませんので、罰しないで頂けませんでしょうか!!」
あわあわしている芳子さんの様子に僕は唾を飲み込みながら頷く。
「わかった…何かな?」
「ヴィヴァリアン皇子様と公爵令嬢の婚約話は無くなったそうです…。」
僕は口を開けたまま固まってしまった。
「ああ!!ネフェリアたん!!戻ってきて!?」
ハッと意識を取り戻すが、顔はどんどん蒼ざめていく。
「な、な、な、な、んで?」
「そこまでは詳しく……。そして、もう一つ!その婚約話の無くなった、ヤード家の令嬢との婚約話がエスティリオ様とカウディリアン様に上がっているらしく
…」
「えぇぇー!?」
どういう展開!?頭がついていかない!!
公爵家、しかも令嬢なら王族からしたらいい縁談のはずが、話が無くなった?いや、公爵から断れるはずがない!国王からだろう…!
女が少ないこの世界で、公爵令嬢程の価値がある者はいないはず!!それが断られた事でヤード家が焦って縁談をどうにか繋げようとしているんだ!!
第一皇子の次に…確かに兄様とカウディリアン様になる!!
兄様、前回婚約者はいたっけ?自分の事でいっぱいいっぱいだったし、嫌われていたから覚えていない!!
でも、カウディリアンが婚約したら…!
あれ?これ、断罪免れるんじゃない!?
僕は自然と笑みが溢れ、蒼ざめていた顔が色づき始めた。
「ネフェリアたん、何を考えているか一目瞭然ですね…。ですが、ここまで流れが変わると、私には今後の事は予測不能です。少し怖いですね。あ、ちなみになんですが、エスティリオ様もお断りしたようですよ?」
「え!兄様も!?てか、そんなにすんなり断れるもんなの?」
自分には万々歳だが、少し驚く。令嬢だよ?令嬢!
「まあ、断り難い事は確かですが、プロント家の方が上ですのでそこは大丈夫なはずです。ヤード家としては王族かもしくは公爵辺りを狙っていますので、後はカウディリアン様ナウディリアン様…。しかし、カウディリアン様にも断られたら、第三皇子には縁談持っていき難いでしょうね。」
フーと大きく息を吐く芳子さん。
「公爵令嬢が、こんなにも振られるなんて…。前回は無かったことだょね?いくらBLゲームの中だとしても、後継とかで女性は貴重だったはず!だから僕は第二皇子との婚約だったんだから。」
ちょっと難しい顔をする芳子にネフェリアも眉を寄せた。
「ネフェリア様、少し真面目なお話ですが、前回の断罪ではゲームには無い毒殺未遂と死罪があり、今回も大きく流れが変化しています。これが、私達が変えた変化であり良い方に動くならいいんですが、私は前回の毒という物がずっと気になっております。ネフェリア様はそのような事はしていない、そうなるとプロント家は嵌められた形になります。その理由が何か、明確ではない為、婚約者にならなければ危険が去るのか、はたまたプロント家を狙っているのか…。ゲーム中の流れでおかしいところを気づければ、自ずと分かると思っていました。ですが、ここまで変化すると、私には判断が難しくなります。」
そうだ…。僕は殺された事が大きすぎて、毒の件を考えてはいなかった。
確かに毒なんて怖いものを用意した覚えは無い、あの時は僕に恨みがあった人物だと考えていて、自業自得とも思っていた。
「…前回の僕は悪役令息、恨みをかって、仕組まれたんだと思うけど、もし、婚約者の立場が欲しかった者、プロント家に恨みがある者、他に理由がある者。確かに色々考えられる。僕は、今後この事も踏まえて行動しなきゃならないんだね?」
芳子は悲しそうに顔を歪め頷く。
「ネフェリアたん…怖いかも知れないけど、私がしっかりサポートするから!!
大丈夫だよ!!こんなにもいい子なんだから、恨まれるなんてしないです!!」
芳子は不安から震えるネフェリアをギュッと抱きしめた。
ネフェリアも、怖い考えが頭を巡るが、芳子の温もりに少しホッとした。
「ありがとう。芳子さん。大丈夫!僕頑張るから、プロント家の為に!芳子さんの為に!最悪な未来を変えて見せるさ!だって、前回より、僕強いもん!騎士になるんだから!もしも王族狙いなら、皇子様達だって守ってやるさ!」
芳子に抱きつきながら、えへへ!と笑うネフェリアに、芳子の胸はキューンと締め付けられた。
「ああ!!カワユス!!ネフェリアたん!ハアハア!必ずや拙者、姫を守るでござるよ!」
芳子さん。僕の頭にヨダレが…。
「でも、カウディリアンと令嬢が婚約したら、令嬢が危ないこともあるよね?なんだか、申し訳ないな…。」
しょぼんとするネフェリアにまたしても、キュンキュンさせられる芳子。
「ハアハアなんてお優しい!ネフェリアたんざます!大丈夫ですよ!そんな事にはならないから!」
「へ?」
話を聞く限り、第一皇子が断ったのもネフェリアが原因でしょう。そうなれば、第二皇子とて本気なはず、ヤード家とネフェリアたんは可哀想だが、婚約話は難しいでしょう。
ああ、優しくて、可愛いくて、おバカなネフェリアたん!!
必ず守ってあげますからね、BL以外は!!
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