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ネフェリア10歳
兄様、学校行かないで!
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「兄様、行っちゃヤダ!!」
うるうるお目々のネフェリアはエスティリオの腰に抱きつく。
エスティリオは本日から学校へ通う。学校は馬車で2日かかる為寮へと入ることになるので、まとまった休みでしか帰って来れないのだ。
「ネフェリア…俺も寂しいが、貴族として、プロントとしてまなばなくては。」
分かってる!分かってるよ兄様!!
だけどね、最近カウディリアン達の様子がおかしいんだ!!第一皇子が学校入るのは良いけど、守ってくれる兄様がいないのが不安だよ!!
ってか、抱きついて気付いたけど、兄様デカくない?僕も伸びたのに、差が埋まらない!!ぐすん…。
「か、可愛いな。ネフェリア!!そんなに、俺が行くの嫌か!!分かった!来年からにする!!」
僕が涙流した理由を誤解したみたいだが、嬉しい!!
「何、馬鹿なことを!!早く行きなさい!」
べりっと父様に剥がされ、エスティリオを馬車へと乗せる。
母様は、あらあらと笑っていた。
「兄様ー!!行かないでー!!」
わーん!!と泣きながら手を伸ばすが、馬車は動き出した。
「ネフェリアー!!」
兄様の叫びが、遠ざかっていく。
「わーん!!お父様のバカー!!」
ふぇぇんと泣きじゃくるネフェリアを抱っこしながら、頭を撫でて落ちつかせる。
「ネフェリア、学校には行かなければいけないんだ。何がそんなに悲しい??エスティリオとも会えるだろう。この前までは、一緒に学校の準備して手伝ってただろ?」
「ぐすん…だって、最近カウディ様達がおかしいんだ。」
ネフェリアは目を擦りながら、小さく話した。
「何がおかしいんだ?」
バロンはネフェリアを優しく見つめながら聞いた。
「お友達って言ったのに…後ろから抱きついたり、お菓子が口に付いてるってチューしてきたり、僕の耳を触ったり…カウディ様も、アリアスも、サリファンも…。前までは手を繋いだり、あーんって食べさせてくれるぐらいだったし、兄様がしつこいと助けてくれた。兄様が居ないと僕不安で!」
バロンに抱きつくネフェリア。
バロンは溜息をついた。
「鬼(エスティリオ、ヴィヴァリアン)のいぬまに…か。」
皇子達がネフェリアとの婚約を諦めていない事は知っていた。国王も諦めていないからだろう。薄々キリウス達もとは思っていたが。
だが、まさか第一皇子が本気だとはな。
王位継承権の問題から女性の婚約者を取るから、暫くしたら熱も覚めるだろ。と思っていたが、上がっていた、ヤード家との婚約話を断ったのがつい最近だ。
国王もすんなり承知したことから、事前に話は済んでいたのだろう。
ネフェリアを望んでのことだが、妙薬にも相性がある。何年も出来ない家庭もあるのだ。第一皇子との婚約が決まればネフェリアは大変だろう。
多分、それで第一皇子の本気を知った皇子らが、学校への入学を機に、いない間でモノにしようと、動き始めたんだろう。厄介だな。
だが、1番厄介なのは重婚だ。
貴族は国王が認めれば重婚も可能だ。
うちや、カリウスのとこは違うが、一夫多妻、多夫一妻も多くいる。
カリウスがそこを狙ってないか、心配だがな。
ネフェリアにそれが耐えれるか。こんなにも泣いているのに…。
まあ、ある程度の家柄ならプロント家なら断れるが。厄介な者達に好かれたな。
可哀想なネフェリア…
「わかった。私から国王に話そう。」
ネフェリアはバロンの胸から、顔を上げて紫の瞳でバロンを見つめた。
「本当?」
「ああ、本当だ。ただ皇子達もネフェリアが可愛くて好きだから、くっつきたいだけかもしれない。あまり嫌わないでやってくれ。」
皇子達も必死なんだ。
ネフェリアは下を向き、暫く考えた後、コクンと頷いた。
それに、バロンはホッとする。流石に皇子達には配慮しなければならない。
「良い子だ。」
バロンはギュッと抱きしめ、その後ゆっくり下ろした。
「ホラ、いらっしゃい。もう、泣き虫ね。」
お母様がハンカチで涙を拭いてくれた。
「もう、10歳なんだから泣き虫は卒業しないとね?」
うっ!!確かに…。何ですぐ泣いちゃうんだろ?
「お母様、泣かないよう頑張ります。」
ぐっ!と涙を止めて母を見た。
「そう、良い子ね。身長も伸びてきたし、益々お兄さんになるわね?」
そうだ!僕は男らしくなるんだ。兄様みたいに、筋肉質で長身に!!
「僕、お庭で素振りしてくる!!お父様、お母様!失礼致します!」
ネフェリアはお辞儀をすると庭へと向かった。
その後ろ姿を見送りながら、2人は微笑む。
「あなた…皇子達はネフェリアを?」
バロンの妻、エフィネは心配そうに聞いた。
「ああ。他にも数名いると思う。」
フーと深く息を吐く。
「でも、ネフェリアは初恋の絵本のお姫様みたいな子を求めているわ。私はネフェリアの幸せが1番よ。私達で、先に婚約者を見つけるのはどう?」
「いや、ヴィヴァリアン皇子が婚約を断った時点でかなり本気だと分かった。こちらが下手に動くと無理矢理にでも、婚約させられてしまう。ネフェリアがもう少し大きくなるまで様子を見よう。」
「わかりました。ああ、ネフェリア…皇子に惚れてくれれば良いですが…。」
このままだと、好きではない方と婚約になりそう。ネフェリアは小さい頃から男性に怖い思いをさせられてきたわ。本当は優しい女性を婚約者にしてあげたい…。無理ならせめて、ネフェリア好きになった方と……。
母はネフェリアの味方だからね。
うるうるお目々のネフェリアはエスティリオの腰に抱きつく。
エスティリオは本日から学校へ通う。学校は馬車で2日かかる為寮へと入ることになるので、まとまった休みでしか帰って来れないのだ。
「ネフェリア…俺も寂しいが、貴族として、プロントとしてまなばなくては。」
分かってる!分かってるよ兄様!!
だけどね、最近カウディリアン達の様子がおかしいんだ!!第一皇子が学校入るのは良いけど、守ってくれる兄様がいないのが不安だよ!!
ってか、抱きついて気付いたけど、兄様デカくない?僕も伸びたのに、差が埋まらない!!ぐすん…。
「か、可愛いな。ネフェリア!!そんなに、俺が行くの嫌か!!分かった!来年からにする!!」
僕が涙流した理由を誤解したみたいだが、嬉しい!!
「何、馬鹿なことを!!早く行きなさい!」
べりっと父様に剥がされ、エスティリオを馬車へと乗せる。
母様は、あらあらと笑っていた。
「兄様ー!!行かないでー!!」
わーん!!と泣きながら手を伸ばすが、馬車は動き出した。
「ネフェリアー!!」
兄様の叫びが、遠ざかっていく。
「わーん!!お父様のバカー!!」
ふぇぇんと泣きじゃくるネフェリアを抱っこしながら、頭を撫でて落ちつかせる。
「ネフェリア、学校には行かなければいけないんだ。何がそんなに悲しい??エスティリオとも会えるだろう。この前までは、一緒に学校の準備して手伝ってただろ?」
「ぐすん…だって、最近カウディ様達がおかしいんだ。」
ネフェリアは目を擦りながら、小さく話した。
「何がおかしいんだ?」
バロンはネフェリアを優しく見つめながら聞いた。
「お友達って言ったのに…後ろから抱きついたり、お菓子が口に付いてるってチューしてきたり、僕の耳を触ったり…カウディ様も、アリアスも、サリファンも…。前までは手を繋いだり、あーんって食べさせてくれるぐらいだったし、兄様がしつこいと助けてくれた。兄様が居ないと僕不安で!」
バロンに抱きつくネフェリア。
バロンは溜息をついた。
「鬼(エスティリオ、ヴィヴァリアン)のいぬまに…か。」
皇子達がネフェリアとの婚約を諦めていない事は知っていた。国王も諦めていないからだろう。薄々キリウス達もとは思っていたが。
だが、まさか第一皇子が本気だとはな。
王位継承権の問題から女性の婚約者を取るから、暫くしたら熱も覚めるだろ。と思っていたが、上がっていた、ヤード家との婚約話を断ったのがつい最近だ。
国王もすんなり承知したことから、事前に話は済んでいたのだろう。
ネフェリアを望んでのことだが、妙薬にも相性がある。何年も出来ない家庭もあるのだ。第一皇子との婚約が決まればネフェリアは大変だろう。
多分、それで第一皇子の本気を知った皇子らが、学校への入学を機に、いない間でモノにしようと、動き始めたんだろう。厄介だな。
だが、1番厄介なのは重婚だ。
貴族は国王が認めれば重婚も可能だ。
うちや、カリウスのとこは違うが、一夫多妻、多夫一妻も多くいる。
カリウスがそこを狙ってないか、心配だがな。
ネフェリアにそれが耐えれるか。こんなにも泣いているのに…。
まあ、ある程度の家柄ならプロント家なら断れるが。厄介な者達に好かれたな。
可哀想なネフェリア…
「わかった。私から国王に話そう。」
ネフェリアはバロンの胸から、顔を上げて紫の瞳でバロンを見つめた。
「本当?」
「ああ、本当だ。ただ皇子達もネフェリアが可愛くて好きだから、くっつきたいだけかもしれない。あまり嫌わないでやってくれ。」
皇子達も必死なんだ。
ネフェリアは下を向き、暫く考えた後、コクンと頷いた。
それに、バロンはホッとする。流石に皇子達には配慮しなければならない。
「良い子だ。」
バロンはギュッと抱きしめ、その後ゆっくり下ろした。
「ホラ、いらっしゃい。もう、泣き虫ね。」
お母様がハンカチで涙を拭いてくれた。
「もう、10歳なんだから泣き虫は卒業しないとね?」
うっ!!確かに…。何ですぐ泣いちゃうんだろ?
「お母様、泣かないよう頑張ります。」
ぐっ!と涙を止めて母を見た。
「そう、良い子ね。身長も伸びてきたし、益々お兄さんになるわね?」
そうだ!僕は男らしくなるんだ。兄様みたいに、筋肉質で長身に!!
「僕、お庭で素振りしてくる!!お父様、お母様!失礼致します!」
ネフェリアはお辞儀をすると庭へと向かった。
その後ろ姿を見送りながら、2人は微笑む。
「あなた…皇子達はネフェリアを?」
バロンの妻、エフィネは心配そうに聞いた。
「ああ。他にも数名いると思う。」
フーと深く息を吐く。
「でも、ネフェリアは初恋の絵本のお姫様みたいな子を求めているわ。私はネフェリアの幸せが1番よ。私達で、先に婚約者を見つけるのはどう?」
「いや、ヴィヴァリアン皇子が婚約を断った時点でかなり本気だと分かった。こちらが下手に動くと無理矢理にでも、婚約させられてしまう。ネフェリアがもう少し大きくなるまで様子を見よう。」
「わかりました。ああ、ネフェリア…皇子に惚れてくれれば良いですが…。」
このままだと、好きではない方と婚約になりそう。ネフェリアは小さい頃から男性に怖い思いをさせられてきたわ。本当は優しい女性を婚約者にしてあげたい…。無理ならせめて、ネフェリア好きになった方と……。
母はネフェリアの味方だからね。
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