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「まあ、冗談はそれくらいにしてだ。ネフェリアよ。怖い目にあったと聞いた。プロント家に歯向かう事など通常、無理なはずなのだが、其方の美貌はそれ以上の魅力があるようだ。…そこでだ、今後怖い目に2度と合わせないようにする為、私の息子達と婚約するのはどうだ?」

き、キター!!ここ!ここが正念場!
あれ?息子達って言った?第二皇子じゃないの??

ちょっとの間考えていたら、いつの間にか、国王の横に皇子様が…あれ?
1人…2人……3人!!だ、第三皇子まで、出てきてる!? 

僕は余りの事にお父様の後ろに隠れてしまった。不敬だけど、7歳って事で許して!!

「おや、隠れてしまったか。」
国王は、椅子から少し身を乗り出して、宰相の後ろに隠れてしまったネフェリアを覗くように動いた。

「陛下、皇子様方、大変申し訳ございません。…コラッ、ネフェリア?」
国王と皇子に頭を下げ、お父様は後ろの僕を覗き込んだ。

僕は、まさかの皇子3人にビビり、泣きそうに目を潤ませて、顔を赤くした。

ゔー…第二皇子だけでも厄介なのに…なんでー…断罪が…ゔっゔ…

お父様は泣くのを必死に耐えながら、背中にしがみつく僕を見て、ふにゃっと顔を緩ませた。

「ゴホッ!陛下、申し訳ございません。まだ、心の傷が癒えていないようで、男性が多くなり、少し気遅れしてしまったようです。」

「バロン…長い付き合いだが、お前のそんな緩んだ顔初めて見たわ。」

陛下は緩みきった宰相を珍しそうに見た。

その様子から、第一皇子は宰相の近くまで歩みより、怖がらせないように、宰相の背後を覗き込んだ。
皇子にギリギリ見えたのは、小さな白い手が、必死に宰相の背中の服を握りしめている所だった。

「はじめまして。ネフェリア・プロント。私は第一皇子のヴィヴァリアン・レイ・ハフィストン。よろしく。」

お、皇子様の声が!近いとこからする!
しかも、先に挨拶させちゃった!

ネフェリアはゆっくりとバロンの背中から顔を出した。

大きな宰相の背中から顔を出した、ネフェリアに国王、皇子達の息が止まる。一番近い距離で目撃したヴィヴァリアンは心臓も止まりそうだった。

綺麗な紫色の瞳がうるうると涙を溜めて輝き、白に近いプラチナブロンドの髪とお揃いの長いまつ毛が濡れて光る。
白い柔らかそうな肌は泣くのを耐えている為、真っ赤に色づいていた。可愛い赤い唇は耐えているせいか、キュッと突き出し震えている。

か、可愛い!!

国王の顔は、緩みまくり、皇子達は赤くして凝視していた。

ネフェリアは宰相の服伝いに少しずつ前に回り、膝をついた。宰相の服の端を掴んだまま。

「ゔっ…お、皇子しゃま方、ひっく…プロント筆頭公爵家次男、ネフェリア・プロントと申しましゅ御しょん顔拝し、恐悦至ぎょく存じ奉りましゅ…ひっく。」

ネフェリアは父に迷惑を掛けないよう、泣くのを我慢して挨拶をした。

か、可愛すぎる!!耐えてる!必死に耐えてる!!

「バロン!!ネフェリアをここまで連れてこい!!」

国王に言われたバロンはネフェリアを抱き上げ、国王の元へと近づく。

国王は椅子から立ち上がり、ネフェリアに手を伸ばした。

バロンは何をする気だと、陛下を睨むが、無理矢理ネフェリアをバロンから奪った。

衝撃にネフェリアは固まった。
まさかの国王に抱っこされたのだ。

赤かった顔を青くして、硬直する。
そのネフェリアの様子をデレデレと見つめる国王。

「陛下…そのようなことお辞め下さい。」
バロンは青筋を立てながら陛下を注意するが聞く気がない。

「もう、畏らんでいい。どうせ私たちしかいないのだ!ネフェリア可愛いな♡息子達も年齢は近いし、ヴィヴァリアンとお前んとこの長子は同い年だし、親交もある。行く行くは私達の様な関係性になるのだから、楽にしろ。あー可愛い♡」

バロンに向け、話しているが目線はネフェリアに向けている国王を睨むバロン。

「じゃあ、返せ。私の子だ。」
ネフェリアに手を差し出すバロン。ネフェリアは慌てて父の方に手を伸ばすが、抱きこまれてしまった。

「いいじゃないか!少しくらい!私の息子の婚約者になるんだから!」

「やらん!!絶対にやらん!!」

ネフェリアは国王に抱きこまれながらアワアワしていると、婚約の話が出て、身体をまた硬直させる。

お、お父様!!頑張って!僕を渡さないでー!!

「何!?国王に歯向かうのか!?」

「陛下が、畏るなと言ったんだろ!楽にしろと!いつものように!」

ギャーギャー、ネフェリアを挟んだ攻防は暫く続いた。


「エスティリオ…久しいな。」
「お久しぶりです。ヴィヴァリアン様、カウディリアン様、ナヴィルリアン様。」

エスティリオは近づいて来た皇子達に挨拶をする。皇子達とは、剣の訓練時などで顔を合わせた事があった。

「お前も楽にしろ。」
第一皇子の言葉にエスティリオは頷いた。

「お前の弟、ネフェリアを俺にくれないか?」

「兄上!!ズルイです!」
「そうです!兄上!父上はまだ誰の婚約者か決めていません!」

「ネフェリアはあげません。父上もあのように断っていますし。しかも、このまま行けば、貴方が王太子でしょう、男同士で子が作れる妙薬があるとしても、しっかり子を成す女が婚約者として選ばれるのでは?」

「いや、俺はネフェリアがいい。将来、お前は俺の側近となる。より、繋がりが増えていいじゃないか?」

ヴィヴァリアンは国王に抱っこされている、魅惑の妖精に熱い視線を送る。

この姿…他に見せたら卒倒しそうだな。

王族特有の金色の瞳に鮮やかな黄色に近い金髪、切れ長の瞳はとても美しい。第二、第三皇子も瞳、髪色は一緒だが、雰囲気がそれぞれ違う。第三皇子は、まだ6歳ということもあるが、猫目でやんちゃな雰囲気を醸し出し、第二皇子は垂れ目がちのふんわとした優しい雰囲気、そして美貌の皇子達の中で群を抜いて輝く第一皇子は切れ長の瞳が冷たい印象を与える。

氷の皇子と呼ばれている奴が、あんな熱い視線を送るとは…。

その視線にまだ気づいていないネフェリアは、挟まれてそろそろ泣きそうである。

ふぇ~
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