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長き耐えたダムの崩壊2
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「美味しいかい?睡蓮くん。」
花を飛ばしながら、キャラメルフラペチーノの生クリームもほうばる睡蓮をクスクスと笑いながら、車のハンドルを握る海斗。
「美味しいー!海斗はブラック?甘いの嫌いじゃなかったよね?前はよく俺のアイスかじってだよね?」
「嫌いじゃないよ?そのフラペチーノも美味しそうだね?一口くれる?」
「いいけど…生クリームはたべちゃった…。飲むだけでいい?」
申し訳無さそうに、眉を下げる睡蓮の顔をチラ見し、可愛さに口元を緩める海斗は、大丈夫だと睡蓮に伝える。
口元近くに持ってきてくれたストローからキャラメルの甘さが伝わる。
ゴクリと飲み込むと、冷たさと甘さに、口元を覆う。
今、睡蓮の口の中は、この味なんだ。
ペロッと唇を赤い舌で舐めると、真っ赤な顔をした睡蓮に気づく。
チッ…
自然と小さく舌打ちが出る。
今まではこんな事に、反応すらしなかったのに……。
甘いのは基本苦手だ。
だが、睡蓮は別。
睡蓮の口の中と同じならと、何度か欲した事がある。
冷たい飲み物やアイスの方が一瞬で消えるから、お菓子の甘さよりマシで、つい睡蓮から一口もらっていた。
俺はそれほどまでして我慢していたのに……。
イライラとし出し、つい、運転が雑になる。
「わっ!海斗!!」
「つい、考えごとしちゃった。ごめんよ。大丈夫だよ。」
少し慌てた睡蓮も可愛い。
暫く走らせていると、朝が早かったせいかうとうとし出す睡蓮に、寝てもいいよと声をかけると、ゆっくりと頷いた。
*****
「……蓮」
「睡蓮!」
海斗の声に反応し、重い瞼を開ける。
「…ん…着いた?」
「ああ、着いたよ。」
ふかふかの布団に包まれていることから、ベッドの中である事に気づき、目を擦る。
運んでくれたのかな?
…ってか、爺ちゃん家に、ベッドなんてあったか?
和式だったから、布団のはず…変えたのかな?
ボーっとする頭で考えながらも、周りを見渡す。
あれ?
何か様子が……
徐々に覚醒する頭と、サーッと下がる血液に、睡蓮の動揺が窺え、海斗は面白そうにベッドに腰を掛けて観察する。
「か、海斗…ここは?」
爺ちゃん家は昔ながらの和風豪邸であり、こんな大きな窓から見える地上から離れた景色ではない。
そして、明らかにモデルルームの様な生活感が無い作りをしたタワマンではない!!
「…先週買った俺の家さ。」
お、俺?
海斗は一人称を使い分けてる。
俺や家族、身近な人の時は僕、仕事は私、そして、俺と使ったのは…あの時しか無い…。
バクバクとなる心臓。
睡蓮はゆっくりと後ずさる。
「蓮花が爺ちゃんに行きたいって…だから、早めに集まるんじゃ…。」
心臓の音が煩くて、自分の声が弱く、小さく聞こえる。
「可愛い睡蓮。…まだ、蓮花はまだ帰ってないよ。…クスッ、連絡すればすぐわかるのに…はぁ…可愛いね。」
蕩けんばかりの笑みでゆっくり伸ばした手で睡蓮の震える頬を撫でる。
「か、海斗?」
「睡蓮、約束したの、覚えてる?」
約束?
「言ったはずだよ…二度と我慢しないと…。」
蕩けんばかりの瞳がギラリと獣の瞳に変わったのは一瞬の事だった。
そして、気づくと…覆い被さる海斗の鋭い視線と香水の香りに包まれていた。
花を飛ばしながら、キャラメルフラペチーノの生クリームもほうばる睡蓮をクスクスと笑いながら、車のハンドルを握る海斗。
「美味しいー!海斗はブラック?甘いの嫌いじゃなかったよね?前はよく俺のアイスかじってだよね?」
「嫌いじゃないよ?そのフラペチーノも美味しそうだね?一口くれる?」
「いいけど…生クリームはたべちゃった…。飲むだけでいい?」
申し訳無さそうに、眉を下げる睡蓮の顔をチラ見し、可愛さに口元を緩める海斗は、大丈夫だと睡蓮に伝える。
口元近くに持ってきてくれたストローからキャラメルの甘さが伝わる。
ゴクリと飲み込むと、冷たさと甘さに、口元を覆う。
今、睡蓮の口の中は、この味なんだ。
ペロッと唇を赤い舌で舐めると、真っ赤な顔をした睡蓮に気づく。
チッ…
自然と小さく舌打ちが出る。
今まではこんな事に、反応すらしなかったのに……。
甘いのは基本苦手だ。
だが、睡蓮は別。
睡蓮の口の中と同じならと、何度か欲した事がある。
冷たい飲み物やアイスの方が一瞬で消えるから、お菓子の甘さよりマシで、つい睡蓮から一口もらっていた。
俺はそれほどまでして我慢していたのに……。
イライラとし出し、つい、運転が雑になる。
「わっ!海斗!!」
「つい、考えごとしちゃった。ごめんよ。大丈夫だよ。」
少し慌てた睡蓮も可愛い。
暫く走らせていると、朝が早かったせいかうとうとし出す睡蓮に、寝てもいいよと声をかけると、ゆっくりと頷いた。
*****
「……蓮」
「睡蓮!」
海斗の声に反応し、重い瞼を開ける。
「…ん…着いた?」
「ああ、着いたよ。」
ふかふかの布団に包まれていることから、ベッドの中である事に気づき、目を擦る。
運んでくれたのかな?
…ってか、爺ちゃん家に、ベッドなんてあったか?
和式だったから、布団のはず…変えたのかな?
ボーっとする頭で考えながらも、周りを見渡す。
あれ?
何か様子が……
徐々に覚醒する頭と、サーッと下がる血液に、睡蓮の動揺が窺え、海斗は面白そうにベッドに腰を掛けて観察する。
「か、海斗…ここは?」
爺ちゃん家は昔ながらの和風豪邸であり、こんな大きな窓から見える地上から離れた景色ではない。
そして、明らかにモデルルームの様な生活感が無い作りをしたタワマンではない!!
「…先週買った俺の家さ。」
お、俺?
海斗は一人称を使い分けてる。
俺や家族、身近な人の時は僕、仕事は私、そして、俺と使ったのは…あの時しか無い…。
バクバクとなる心臓。
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「蓮花が爺ちゃんに行きたいって…だから、早めに集まるんじゃ…。」
心臓の音が煩くて、自分の声が弱く、小さく聞こえる。
「可愛い睡蓮。…まだ、蓮花はまだ帰ってないよ。…クスッ、連絡すればすぐわかるのに…はぁ…可愛いね。」
蕩けんばかりの笑みでゆっくり伸ばした手で睡蓮の震える頬を撫でる。
「か、海斗?」
「睡蓮、約束したの、覚えてる?」
約束?
「言ったはずだよ…二度と我慢しないと…。」
蕩けんばかりの瞳がギラリと獣の瞳に変わったのは一瞬の事だった。
そして、気づくと…覆い被さる海斗の鋭い視線と香水の香りに包まれていた。
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