こんなはずじゃなかった

B介

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水族館4

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「うめー!!」

叫ぶ圭介に笑いつつ、海老に食らいつく。

「やっぱり海鮮といえば海老だな!」

「俺は貝かな。網焼きが美味い。」

横でサザエを器用に穿り出している兵藤。

「うぇ!!何だそのキモい奴!!」

西園寺が兵藤が取り出したサザエの身と肝を見て、顔を顰める。


「お前、肝をしらねえの?俺ん家じゃあ、皆、これで一杯酒飲むぜ?」


「俺の親父も好きだったな!親父、上手く肝まで取り出せなくて、いつも悔しがってた。兵藤上手いな!」

確かにグロテスクだが、懐かしい思い出に、サザエに興味をそそられると、兵藤がもう一つの焼けたサザエを掴み、俺に渡した。


「コツを教えてやるからお前も食ってみろよ。親父さんの好きな味、知りたいだろ?」

親父の好きな味か…


俺は頷き、兵藤に教えてもらいながら、やってみると、少しずつ身が出てきた。最後の肝が切れない様に慎重にやると、プリンッと綺麗に全部が出てきた。


「おぉ!出来た!!」


感動に浸っていると、食ってみろよ!と兵藤に促される。


サザエの身は好きだが、肝は初めてだ。
グロい。

南無三!!


パクッ!

「んー!!苦い!でも美味い!」

身はぷりぷりだけど、肝は苦い。大人の味かな。


「これを美味いと言うなら、お前酒飲みになるぞ?今度一緒に飲むか?」

「おい!一応俺達高校生!」

確かに、親父とふざけて、一口もらったことあるし、高校生でも隠れて飲む奴はいるが、、こいつ!!


「ハハッ!じゃあ、20歳になったら一緒に飲もうな。メニューはサザエで決まりだ。」

兵藤はニカッと歯を見せて嬉しそうに笑う。

これは、卒業しても、20歳になっても付き合っていこうという約束なんだろう。


少しドキドキしながら頷くと、兵藤はより一層、ご機嫌に笑う。


「俺達共だぞ!睡蓮!」

圭介が念を押す様に言ってくる。

「わかってるよ!!」


そんな中、西園寺は必死にサザエと戦い、失敗して、身だけになり兵藤に笑われていた。


「ギャハハ!ヘッタクソ!!」

兵藤の笑いにイラついたのかもう一つのサザエと戦い出した。


そんなやり取りを見ながら、天気のいい青空に平和だと感じた。


なんか、いいな。



親父の事を思い出したからか、先程のモヤモヤが消えたからか。


何か心地よく感じる。







「じゃあ!次は何するか!ショーまで時間あるだろう?」

圭介が満腹からか、腹を叩きながらパンフレットを開く。


「お!イルカと触れあえるらしいぞ!?」


イルカ?


「じゃあ、そこ行くか。」

パンフレットにシロイルカがいて、めちゃくちゃドキドキワクワクする。


ふれあいラグーンにつくと、柵の低い水槽があり、上から覗けるらしい。


てか、背びれが水面から出てる!!


うわ!こっちに向かってくる!!


な、なんか、サメみたいでコエー!!

昔の映画?ジョーズみたいだ!!


ちょっとビビるとニョキッとイルカが顔を出した。


「か、可愛い!!な、な、見て!可愛い!可愛いよ!」


俺は興奮して、皆を見るが、温かい目を向けられた。

「な、なんだよ!!可愛いだろ?こんな、側で見ることないから!!」

子供を見るような視線に、恥ずかしくなる。




(可愛いのはお前だ!!)


と、4人が思っている事に気づかない睡蓮だった。



「今のはバンドウイルカだ。あっちがシロイルカだろう?」


睡蓮はシロイルカゾーンに早歩きで向かう。


豪はそんな睡蓮の様子を笑いながら追いかける。


「あー!可愛いー!ヤリタイ!」

「圭介、黙れ。…だが、くそっ!気持ちはわかる。マジでホテル泊まるか?」

「イルカより、睡蓮を触りたい。」

癒しのゾーンで、欲望まみれの会話をする3人に、バンドウイルカさんはキュイキュイと声をあげて注意を促すようだった。


「イルカが何か言ってるぞ?」

「お前が馬鹿面だとさ。」


「何ー!!」

兵藤の言葉に圭介が怒りだすと、向こうから、睡蓮が嬉しそうに手を振っているのが見える。




「早くー!!シロイルカ!可愛いーぞ!」



あー!!どっかに引き込んで、触りたい!!


「今行く。」



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