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ア、アンチ王道って?
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ー崎原グループ韓国支社のとある一室ー
海斗は窓面に立ち、先程届いた報告書を手に眉を寄せていた。
そして、グシャッと潰し、ゴミ箱へと投げ入れ、舌打ちをする。
「くそっ!…おい、今すぐ帰るぞ!」
不機嫌に秘書へと伝えて、側にあるデスクに拳を叩きつけた。
********
ー生徒会室ー
白樺は、先程受け取った書類を確認し、立ち上がった。
「晴臣、本日転校生が来るようで、校門まで迎えに行かなければいけなのですが、私が行きますね。」
「転校生?普通もっと早く連絡来ないか?」
晴臣は、白樺から受け取った書類を目にしながら、眉を寄せた。
「まあ、そうですね。」
「わかった…頼む。…そう言えば、今日だよな睡蓮が戻ってくるの。」
書類から目を離し、外を見る西園寺。
その様子に白樺も口元を笑わせて、同じ様に外に視線を向けた。
「たった1週間ですが、寂しく感じましたね。」
白樺の問いに答えず、西園寺はフッと笑みだけ浮かべた。
「では、迎えに行ってきます。」
白樺は制服を直して、校門へと向かった。
********
時は少し前、偶然職員室で、本日転校生が来ることを掴んだ僕!
念のためにまた、木の上で待機中であります。
「まさか、まさかな!睡蓮たんが王道で間違いないのに、何故また転校生!?しかも期末前に!」
ブツブツと、考えていると、門の前にタクシーが止まり、中からボサボサのマリモヘッドに瓶底眼鏡が現れた。
何ー!!ど、どんな展開!?ま、また王道がキター!
いや、いや!待て待て待て!落ち着け小倉!睡蓮たんは王道の様で、王道じゃなかった!結果王道だったが!ん?僕、何言ってんだろ?
「やっと!入れたぜ☆」
ボサボサ頭は急に、門の扉を登り始めた。
えっ!目の前にでかい、インターホンがあるでしょ?なんで、ちょっとも待たずに上るの!?
ん?あまりの高さにビビっちゃったのかな?途中でプルプル震えてるね…た、助けた方が良いのかな?
あっ!副会長が来た!
……えー!!やっぱり王道やん!?王道展開じゃん!!ヤダヤダヤダ!今更ヤダよ!もう僕の中で、ヒロインこと主人公は睡蓮たんなんだ!
…今更、主要メンバー達が睡蓮たん以外を好きになるのかなあ?
「あなた!何をしているんだ!」
副会長白樺はまたしても扉を上る転校生にデジャブを感じて駆け寄るが、ふと、前回睡蓮の時の事を踏まえて立ち止まる。
下りれるなら、邪魔になるしな。
だが、一向に動く気配の無い転校生を不審に思い、白樺は近寄った。
「あの、もしかして怖くなってしまいましたか?」
中途半端な所で固まる転校生に声を掛けると、激しく肯いている。
困ったな。まだ、扉を越えて、こっちに来てくれていればなんとかなりそうだが…
「から下りれませんか?そうしたら、開けますので。」
白樺が言うと、転校生は下を見て、青ざめながらゆっくりと下りていく。
その様子に白樺はクスッと笑う。普通、あんな高いの上れませんよね。あの人が特別だったんだ。
睡蓮が軽やかに飛び降りた光景を思い出し、おかしくなったのだ。
ゆっくりと下りた転校生を確認し、扉を開けた。
転校生は蒼白くなりながら、中に入る。
「あなたが牧原幹太君だね?」
副会長の問いに頷きく転校生。
ジッと白樺は転校生を観察する。
ボサボサマリモヘッド、これはどう見てもカツラ。瓶底眼鏡。身長は165?がたいもあまり良くないな。
青白いが、怖かったからだろう。最初、睡蓮を思い出したが、全然違う。
ボサボサで眼鏡は一緒だが、175の身長にすらっとした手足、筋肉が分かるがしなやかな身体。色気が滲み出ていた。
「なあ、アンタだれ?」
転校生の高い声に、思い出から呼び戻された白樺。
わ、私としたことが!!睡蓮と比べるとは!
慌てて作り笑いをした。
「し、失礼した。私は白樺柳一郎。ここの生徒会副会長をしている。君を迎えに来たから、一緒に職員室へ行こう。」
転校生は、ジロジロと副会長を見て、ニカっと笑う。
「俺の前で、無理して笑う必要ないぜ!作り笑いなんかすんなよ!」
作り笑い…バレたか!慌てて作ったしな!てか、声量がデカいな…睡蓮と同じこと言われたが…こんなにも同じような言葉でも違うのか…。
白樺はまた、睡蓮を思い出して笑うと…
ぶちゅ!!
「!?」
白樺の口に転校生、牧原の口がくっついた。
そう、キスをされたのだ。
転校生はゆっくりと唇を離すと、
「そうだ!そんな風に自然に笑った方がかっこいいぜ?俺が本当の友達になってやる!ミキって呼んでもいいぜ!?」
こ、こいつは何を言っているんだ?ミキ?カンタだろ?お前は!
あまりの事に呆然としていると、ハッと一つの視線に気がついた。
「#&kp?@x&!!!」
なんと、扉から睡蓮が気まずそうにこちらを見つつ入って来たのだ。
白樺は声にならない叫びを上げた。
そう言えば、姉を見送ってから来るから、遅刻届が提出されていた…。
誤解を解こうと、睡蓮の方に向かおうとしたが、腕を掴まれた。
「柳!早く行こうぜ⭐︎」
な!勝手にあだ名つけるな!
もう一度睡蓮を見ると、軽く頭を下げて校舎に向かってしまった。
青ざめた顔で、睡蓮の背中を見る白樺。
そしてその白樺を可哀想な瞳で見つめる木の上の小倉。
「アンチ王道だったか…!」
海斗は窓面に立ち、先程届いた報告書を手に眉を寄せていた。
そして、グシャッと潰し、ゴミ箱へと投げ入れ、舌打ちをする。
「くそっ!…おい、今すぐ帰るぞ!」
不機嫌に秘書へと伝えて、側にあるデスクに拳を叩きつけた。
********
ー生徒会室ー
白樺は、先程受け取った書類を確認し、立ち上がった。
「晴臣、本日転校生が来るようで、校門まで迎えに行かなければいけなのですが、私が行きますね。」
「転校生?普通もっと早く連絡来ないか?」
晴臣は、白樺から受け取った書類を目にしながら、眉を寄せた。
「まあ、そうですね。」
「わかった…頼む。…そう言えば、今日だよな睡蓮が戻ってくるの。」
書類から目を離し、外を見る西園寺。
その様子に白樺も口元を笑わせて、同じ様に外に視線を向けた。
「たった1週間ですが、寂しく感じましたね。」
白樺の問いに答えず、西園寺はフッと笑みだけ浮かべた。
「では、迎えに行ってきます。」
白樺は制服を直して、校門へと向かった。
********
時は少し前、偶然職員室で、本日転校生が来ることを掴んだ僕!
念のためにまた、木の上で待機中であります。
「まさか、まさかな!睡蓮たんが王道で間違いないのに、何故また転校生!?しかも期末前に!」
ブツブツと、考えていると、門の前にタクシーが止まり、中からボサボサのマリモヘッドに瓶底眼鏡が現れた。
何ー!!ど、どんな展開!?ま、また王道がキター!
いや、いや!待て待て待て!落ち着け小倉!睡蓮たんは王道の様で、王道じゃなかった!結果王道だったが!ん?僕、何言ってんだろ?
「やっと!入れたぜ☆」
ボサボサ頭は急に、門の扉を登り始めた。
えっ!目の前にでかい、インターホンがあるでしょ?なんで、ちょっとも待たずに上るの!?
ん?あまりの高さにビビっちゃったのかな?途中でプルプル震えてるね…た、助けた方が良いのかな?
あっ!副会長が来た!
……えー!!やっぱり王道やん!?王道展開じゃん!!ヤダヤダヤダ!今更ヤダよ!もう僕の中で、ヒロインこと主人公は睡蓮たんなんだ!
…今更、主要メンバー達が睡蓮たん以外を好きになるのかなあ?
「あなた!何をしているんだ!」
副会長白樺はまたしても扉を上る転校生にデジャブを感じて駆け寄るが、ふと、前回睡蓮の時の事を踏まえて立ち止まる。
下りれるなら、邪魔になるしな。
だが、一向に動く気配の無い転校生を不審に思い、白樺は近寄った。
「あの、もしかして怖くなってしまいましたか?」
中途半端な所で固まる転校生に声を掛けると、激しく肯いている。
困ったな。まだ、扉を越えて、こっちに来てくれていればなんとかなりそうだが…
「から下りれませんか?そうしたら、開けますので。」
白樺が言うと、転校生は下を見て、青ざめながらゆっくりと下りていく。
その様子に白樺はクスッと笑う。普通、あんな高いの上れませんよね。あの人が特別だったんだ。
睡蓮が軽やかに飛び降りた光景を思い出し、おかしくなったのだ。
ゆっくりと下りた転校生を確認し、扉を開けた。
転校生は蒼白くなりながら、中に入る。
「あなたが牧原幹太君だね?」
副会長の問いに頷きく転校生。
ジッと白樺は転校生を観察する。
ボサボサマリモヘッド、これはどう見てもカツラ。瓶底眼鏡。身長は165?がたいもあまり良くないな。
青白いが、怖かったからだろう。最初、睡蓮を思い出したが、全然違う。
ボサボサで眼鏡は一緒だが、175の身長にすらっとした手足、筋肉が分かるがしなやかな身体。色気が滲み出ていた。
「なあ、アンタだれ?」
転校生の高い声に、思い出から呼び戻された白樺。
わ、私としたことが!!睡蓮と比べるとは!
慌てて作り笑いをした。
「し、失礼した。私は白樺柳一郎。ここの生徒会副会長をしている。君を迎えに来たから、一緒に職員室へ行こう。」
転校生は、ジロジロと副会長を見て、ニカっと笑う。
「俺の前で、無理して笑う必要ないぜ!作り笑いなんかすんなよ!」
作り笑い…バレたか!慌てて作ったしな!てか、声量がデカいな…睡蓮と同じこと言われたが…こんなにも同じような言葉でも違うのか…。
白樺はまた、睡蓮を思い出して笑うと…
ぶちゅ!!
「!?」
白樺の口に転校生、牧原の口がくっついた。
そう、キスをされたのだ。
転校生はゆっくりと唇を離すと、
「そうだ!そんな風に自然に笑った方がかっこいいぜ?俺が本当の友達になってやる!ミキって呼んでもいいぜ!?」
こ、こいつは何を言っているんだ?ミキ?カンタだろ?お前は!
あまりの事に呆然としていると、ハッと一つの視線に気がついた。
「#&kp?@x&!!!」
なんと、扉から睡蓮が気まずそうにこちらを見つつ入って来たのだ。
白樺は声にならない叫びを上げた。
そう言えば、姉を見送ってから来るから、遅刻届が提出されていた…。
誤解を解こうと、睡蓮の方に向かおうとしたが、腕を掴まれた。
「柳!早く行こうぜ⭐︎」
な!勝手にあだ名つけるな!
もう一度睡蓮を見ると、軽く頭を下げて校舎に向かってしまった。
青ざめた顔で、睡蓮の背中を見る白樺。
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「アンチ王道だったか…!」
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