こんなはずじゃなかった

B介

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猛獣より可愛いワンコがいい!2

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「はーい!皆さんお待たせしました♪集計も終わったので、結果発表ー☆それでは、キララキお願いします!」

マリマリ先輩の声に、壇上に上がる双子。

「まず、鬼役の上位3名はーーーーー」
盛り上がる中、疲労でウトウト。座りながら船を漕ぐ。
「…続いて逃げ切った逃げ役はーーーーー」

こっくり、こっくり…
「おい!睡蓮!呼ばれた、立つぞ!」

へ?あ、そういえば俺逃げ切ったから…学食!!
俺はガバッと勢いよく立ち上がった。

「逃げ役の方は後日お願いごとか学食かを、生徒会の前の箱に投函してくださいー!」

「「スイスイ!逃げ切りおめでとー!」」

ありがとうございまーす!

「それでは、新入生諸君!!今後も空咲の学生として健闘しろ!以上!歓迎会を終了する!」

会長の挨拶で幕を閉じた。

やっと地獄の鬼ごっこが終わった…。疲れたよー。
フラフラしながら体育館を出ようとした時、入り口で躓いてしまった。
ヤベッ!!受け身が!!

顔面から行く覚悟をしたが、痛みが来ない。

あれ? そーっと目を開けると、誰かの腕が身体を支えてくれていた。

顔を上げてみると、豪が眉間にシワを寄せて俺の身体を支えてくれている。

「ありがとう豪。」
「……………。」

豪は無言のまま、俺の前にしゃがむ。
あ、デジャヴ…。ん?合っているかな?

先程の二階堂のように、おんぶの体勢だ。合っているか、分からないが無言の圧に負けて乗ってみた。

すると豪は立ち上がり、スタスタと歩きだした。
よくよく見ると耳がめちゃくちゃ赤い。
なんか、小倉とはまた違う野生の可愛いさに安心して身を預けた。

「あーーー!ちょっと目を離した隙に!!川嶋!代われ!!」

圭介、さっきから煩い。今は静かにして欲しいから豪の側がいいんだ。

広い背中の少し温度の高い温もりが心地よかった為、俺は豪の背中で寝入ってしまった。

はっ!!気づいた時には、自分の部屋と似た天井が目に入った。
ガバッと起き上がるとコーヒーのいい香りがした。
自分の部屋では無いこと、作りから寮であることは間違い無い。

カチャッと扉が開くと、豪が入ってきた。

「………起きたか。」
あ、豪の部屋?
最後の記憶が豪の背中だった事を思い出した。
「ごめん!俺、寝ちゃったか…。」
慌てて、ベッドから起き上がる。

「……部屋に勝手には入れないから、俺の部屋に連れてきた。圭介がうるさかったがな。」

また、耳を赤くして眉間にはシワ。豪を見ていると自然に笑みが溢れる。
「ありがとう。…なんかコーヒーのいい香り。」
くんくんと香りを楽しんでいると、豪も嗅ぐような仕草をした。それがTVで以前見た野生の狼の様で、あながち二つ名は間違っていないと思う。

「……同室のやつがコーヒー好きで今入れているんだ。」

「へー!じゃあ挨拶しないと、同室者いるのに、勝手に上がり込んで!」

すると、豪は少し考えるように下を向き、俺をまた見た。

「………大丈夫か?」

何が?主語が無いのでわかりません。
首を傾げると、豪はため息を一つ付き、リビングの方を顎で指した。

俺は豪の部屋を出て、リビングに入ると、コーヒーを片手に座る人物と目が合った。

あ!!君は!!

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