こんなはずじゃなかった

B介

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モノホンの鬼じゃないですか?3

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俺はまだ校舎を全て熟知していないことに気付いてしまった…

なので、校庭、体育館、校舎が見える絶好の位置の木の上にいます。はい。

校庭を走り回っている小柄な子達…確か小倉がチワワたんとか言っていたな。確かにチワワみたい。

校舎からもバタバタ足音が響いているし。もう少し様子を見るか…。

昼過ぎの日差しにウトウトしながら幹に寄りかかっていると、一瞬小さな悲鳴が聞こえた。

自分の耳を疑いつつ下を見ると、木の茂みでがたいの良い男3人が小柄な子を1人抑えてつけていた。口元を押さえつけ、制服を脱がしにかかっている。

げっ!本当にあんの!こんな事!?

俺は木から飛び降り、必死にズボンを脱がそうとしている男の背後に着地した。口と手を押さえていた男達が俺に気付いた瞬間、ズボン男の頭頂にかかと落としを決め、残り2人が立ち上がった瞬間、右の男に回し蹴り、その勢いで左の男も蹴り上げる。

やはり、勢いと先手必勝ならがたいで負けていてもどうにかなるな。

チラッと襲われていた青年に視線を向けるが、こういう時、どう声掛けていいかが分からない。俺ならプライドも傷つくしな。

眉まである前髪とふわふわな茶髪、大きな瞳の猫目は涙でうるうるしていた。抑えられていた口の周りと手首は赤くなっており、ブレザーは土で汚れていた。

顔を赤くしながらズボンを履くが震えている手ではベルトがうまく出来ないらしい。
俺はスッとしゃがみ込み、ベルトに手をやると、青年はビクッと震えだす。
俺は怖がらせないよう、ゆっくりとベルトを閉めてあげ、シャツのボタンを止めてあげた。

一回り小柄な青年には大きいかもしれないが、土塗れのブレザーよりいいだろうと、俺のを羽織らす。
青年は怯えて下を見ていたがチラッと顔を上げたので、安心させる為、精一杯優しく微笑む。

すると、ガサリッと茂みが揺れた事でまた、緊張が走った。そこには副会長が立っていた。

「おや、やっと睡蓮を見つけたと思ったが、それどころじゃ無さそうだね。」

倒れた3人の男を見て、少し目を大きくした後、震える青年に目を向けた。

「君は確か…親衛隊の…? まぁ、それはいい、まずはこの状況についてかな。転がっている3人は例のアメフト部員ですね。そして、彼が襲われたところを睡蓮が倒したと?」

あまり暴力行為は認めたくないが、コクリと頷く。

「睡蓮…貴方は本当に何者なんですかね。こんな大男3人を…しかも見たところ無傷ですし…。」

何者と言われても…。相手が構える前だったからまぐれ的に上手く行っただけだしな。

副会長はフゥーと息をついた。
「睡蓮を捕まえられる絶好のチャンスですが、この件はこちらも関係してるので、暴力行為共に見逃します。後はこちらが対処するので、他に見つかる前に行きなさい。見逃すのは今だけだよ?」

おお!ありがたい!俺は頭を下げ、チラッと青年を見た後その場から走って離れた。

しかし、隠れるとこも無いし…どうしたもんかな?とキョロキョロしていると、日本家屋のような場所に出た。あれ、コレ弓道場じゃ?
パンッと音がする方にヒョコッと顔を出すと…

長身の男が弓を構えていた。黒髪短髪、涼しげで男らしい瞳、肩幅は広いが姿勢が綺麗な為、スラッとして見える。道着がよく似合っていて、構えた姿から強さが伝わってくる。

パンッ!
命中!

つい拍手をしてしまったら、涼しげな瞳をこちらに向けてきた。

「す、すみません!邪魔して!」
慌てて謝るが、男は無言でじっと見てくる。

「…こ、ぶがいしゃ、あぶ…だ、、め」

へ?なんかボソボソ喋ってますね。

ポクポクポク…チーン!

「ここ、部外者、危ないからダメ?」
俺が確認の為聞くと、コクコクと頷いた。
なんか見た目男らしいのに行動可愛いなこの人。

「すみません!今出て行きますね!あまりにも綺麗だったから、つい見てしまいました!俺、鬼ごっこで逃げてる途中なので、行きますね!邪魔してごめんなさい。」

多分、先輩だろうと思い、ペコリと頭を下げた。

「き、、いわ、…は、うっ、あ…がと。」

綺麗と言われたの初めてだ嬉しい、ありがとう?

ふふっと自然と笑みが出る

「どういたしまして!」
ヘラっと笑い、弓道場を後にした。
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