第一機動部隊

桑名 裕輝

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グアム占領作戦

完遂‼グアム島上陸作戦

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五月三日第二次マリアナ沖海戦が終結した直後に上陸を命じられた陸軍上陸部隊はグアム島に上陸を開始した。本来なら二日の早朝より上陸する予定だったが新たな要塞が上陸地点付近に多数存在したため艦砲射撃、空襲によって破壊しつくした。
 指揮官である橘樹大佐は突撃命令を下した。
 午前三時四五分帝国陸軍上陸部隊の乗る揚陸船一二〇隻が上陸地点に向けて突撃を開始した。突撃を開始すると小高い丘から砲声とともに閃光が走った。先頭で突撃していた隊長の乗った船が被弾し、燃え上がった。
 指揮系統が崩れるということは上陸部隊の壊滅を意味する。陸軍の兵士たちは燃え盛る船に気をとられているが操艦している海軍の兵士は当たり前のような平然とした顔で操艦している。揚陸船に乗っていた陸軍の兵士が操艦する海軍の兵士に顔を真っ赤にして怒鳴りつけた。
「貴様、我らの上官があの船にまだいるんだぞ。それでも貴様帝国軍人か!」
 操艦していた海軍の兵士も内心は同胞を救助したいのだが、何しろ一二〇隻が三四ノットという高速で突撃しているのだ。底度を落とすことは簡単だが、後続の揚陸船が衝突してしまう。現に停止しようとして衝突した揚陸船が三隻も出てしまった。勿論その揚陸船が大破して後続の揚陸船が減速を余儀なくされている。その中には大型戦車が搭載されているもののあったが道を譲ってゆっくりと別の地点に向かった。
 上陸した直後、物陰から敵歩兵が機銃掃射を加えたが、装甲車の装甲に弾かれて逆に弾丸の雨を喰らって悲鳴をあげながら倒れた。島は今や帝国海軍の水上打撃部隊が完全に包囲を完了して第一機動部隊の彩雲偵察機が報告していた陣地に榴弾の雨を降らせた。陸軍の揚陸艦にまだ乗っているある隊長は苦笑しながら言った。
「海軍さんも本気になったか。砲声はできるだけ抑えてほしいものだな。」
 その揚陸艦に乗っていた兵士たちの空気が少し和んだ。戦場では常に平常心を持っていることが重要である。戦闘を経験したこのない兵士たちは自動小銃を見ただけで震えていたが緊張感をなくすことを第一に考えた隊長たちは冗談を言って緊張感を解こうと努力した。
前線を行く陸軍揚陸部隊は全員が上陸し、市街地の最後の機関銃陣地に突撃を開始した。敵は繊維を喪失したみたいで白旗を掲げて降伏した。陸軍上陸司令部は近くの体育館に捕虜を収容して二個小隊を監視につけて進撃を開始するとした。
 橘樹大佐は敵軍を完全に包囲して戦意を奪い、投降するように仕向けたかったのだが、それを実行するにしては数が少なすぎ、結局、敵司令部を占領し、後に残党掃討作戦を行うしかなくなった。
 それから一週間後、第一機動部隊に電信が来た。
 「我が上陸部隊は島を完全に占領せり!」
  グアム島を占領したことによって帝国本土への爆撃作戦が難しくなった。故に占領を完了したその日から沖縄を除いた地域では空襲がなくなった。所々に展開していた哨戒駆    逐隊は第二戦略空母機動部隊の空襲によって壊滅してしまった。
 グアム島占領作戦によって帝国海軍は航空機を五三機失い、その他艦隊もとても小さいとはいえない損害を被った。帝国陸軍も四〇〇名の人員を失った。その他重火器を二一台使用不能となった。
 グアム島を失った米国陸海軍空軍は太平洋における拠点をオーストラリア北部に展開させようとしたが、戦争に巻き込まれることを危惧したオーストラリア政府は拠点設置を拒否したためビキニ諸島、ハワイ、ミッドウェー、アラスカに最前線基地を移した。
 日米開戦を受けて世界はいくつもの派閥に分かれようとしていた。
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