第一機動部隊

桑名 裕輝

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グアム占領作戦

決着‼第二次マリアナ沖海戦

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第二波攻撃隊が帰投してきた第一機動部隊は進路を西にとり、機動部隊の距離を詰めるため三八ノットで進撃を開始した。
 一方、第十七任務部隊も東に進路をとり、三五ノットで進撃を開始した。これで両機動部隊の距離は一時間に七三浬という速さで減っていくのだった。一時間後には両機動部隊は六七浬という距離では艦載機での波状攻撃は不可能で常に艦載機を繰り出さねばならない状況下に陥る。一回の攻撃隊で格納庫の艦載機を出撃させねば、万が一空襲にあった時、誘爆の恐れが出てくる。攻撃隊を出すのは一回で、その一回で決着のつける必要があった。まさに指揮官の出撃命令のタイミングによって全てが決まるのだった。勿論、この決着のつけ方は空母決戦では不合理で避けるべきだったが両駆動部隊は位置と存在がばれてしまったので距離を稼ぎ敵の索敵機から逃げる必要はなくなる。短距離での攻撃は搭乗員にとっても警戒をして飛行する時間が短くなりより、集中して飛行することができる。これからの戦略について両司令部は議論していた。
 第一機動部隊司令長官角田中将は、最初からこういった作戦はどうだろうかと言った。
「我が機動部隊はこのまま針路を変えずに進撃し、烈風をはじめ流星、彗星で機銃弾と燃料を積ませ、艦隊上空で防空戦闘を行う。貴様らはどうだ。」
 艦長の杉本中佐が反論した。
「空母戦では先手必勝です。今までその手で戦ってきたではありませんか。そのおかげで九隻もの敵空母を撃沈するといった戦果をあげてきました。それなのに何故、後手にまわるようなことをするのですか。自分にはこの作戦の意味が分かりません。」
「確かに。これまでは攻撃に専念して九隻の空母を撃沈した。だが今や敵機動部隊との距離は一三二浬だ。あと一時間もすれば少なくとも五〇浬までに縮まる。そうなれば、我が艦隊も敵艦隊も一回の攻撃に賭けるしかない。そこからは、随伴艦隊が敵艦隊との砲雷撃戦を始める。ならば接近中は防空戦に徹し、敵艦載機を漸減し、攻撃隊を出せなくした後全力で叩く。攻撃隊を発艦及び装備換装を行いながら距離をおく。第二水雷戦隊の駆逐艦に煙幕を展開させる。」
「万が一、失敗したら大日本帝国海軍は主力機動部隊を失う大損害を被ってしまいます。そうなれば上陸船団は壊滅するどころか陸軍と海軍での内乱にもなりかねません。そうなってしなえば、アメリカ軍の思うつぼです。」
「もう私は決めたのだよ。全艦に通達。我が機動部隊は敵機動部隊に向けて突撃する。」
 決断が下った以上議論することは出来なかった。
 第十七任務部隊旗艦エンタープライズでも同様の議論が行われていた。水上レーダー見張り員から敵機動部隊が我が機動部隊に向けて突撃を開始した、という情報を得たが随伴艦の多さから砲雷撃戦に持ち込み、距離が八〇浬にまで迫った時に全力で艦載機を発艦させ、ケリをつけるといった一か八かの作戦だった。空母が敵艦隊に突撃する行為は自殺行為であってすぐに撃沈される戦法だったが、敵航空隊の練度は十分にあり、真っ向勝負を挑めば自軍航空隊は消耗し、最悪の場合味方艦隊は空からの援護なしで戦うはめになってしまう。そこで両機動部隊は一回しか攻撃隊を出せなくし、その一回で決着をつけるということになった。
 五月四日午後五時二〇分
両機動部隊の運命を決める八〇浬になった。第一機動部隊旗艦加賀のマストにZ旗が掲げられ、帝国海軍及び上陸船団全艦艇に激励電を放った。
「皇国の興廃この一戦にあり。各員一層に奮励努力せよ。」
 全空母に伝達後、飛行甲板では艦戦だけではなく艦爆に艦攻が発艦を始めた。その数五〇〇機以上。五〇〇機もの大編隊が発艦し終えたのは発艦開始から三〇分後だった。
 一方、第一機動部隊の迎撃航空隊が発艦し終えた一〇分後第十七任務部隊の攻撃隊が発艦を始めた。飛行甲板には、整備兵が移動できないほどの間隔で整列している。艦戦一三九機、艦爆九六機、艦攻一五〇機の三八五機だった。発艦し終えたのは発艦開始から二〇分後だった。
 これで両機動部隊の発艦作業が終了し、第一機動部隊上空には迎撃航空隊、第十七任務部隊の攻撃隊は第一機動部隊を撃滅すべく進撃を開始した。両機動部隊は発艦作業に時間を取り、衝突予定時刻がずれた。だが、発艦作業を終え、再び衝突予定時刻のカウントダウンが始まったのだった。
 第十七任務部隊から発艦した攻撃隊は遅れて艦爆隊を敵機動部隊上空に侵入する命令を与えた。それは艦攻で敵直掩機をひきつけ、その間隙を突き、艦爆隊で空母の飛行甲板を叩き、機能を喪失させ、その後の艦隊決戦によって決着をつけるといった艦攻を囮にして艦爆で空母を叩く奇襲作戦はミッドウェー海戦で機動部隊を叩いた戦法だった。そこに艦隊決戦の要素を追加した完全な艦爆隊による奇襲作戦だ。
 この指示が聞こえたかのように角田中将はミッドウェーでの敗因を考慮し赤城烈風隊、加賀流星隊、翔鶴彗星隊が急降下爆撃隊警戒のため、艦隊前方高度二〇〇〇メートルに待機した。
 空母決戦の結末を決める両航空隊が衝突するまで残り二〇秒。艦隊直掩航空隊長末永中尉は突撃命令を発令するタイミングをうかがっていた。両航空隊が衝突する一〇秒前。末永少尉がいよいよ闘劇命令を発令した。
「全機突撃。一機も撃ち逃すな。」
 第一七任務部隊攻撃隊長ブッカー中尉は艦隊上空直掩隊をレーダーで発見し、艦攻に捨て身の攻撃を命じた。
「艦攻隊、全機突撃。直掩隊をひきつけるぞ。艦戦隊突撃。幸運を。」
 第一機動部隊旗艦赤城司令部では攻撃隊が艦隊上空直掩隊に襲われていることが見張り員から報告を受け、大勝だと湧き上がっていた。
 そんな中、角田中将は戦闘が続いている空を不安げに見上げていた。それを見た参謀がどうしたのか聞くと角田はこう答えた。
「今、艦隊上空直掩隊に襲われているのは艦戦と艦攻だ。艦爆はまだだ。」
「空中戦は激しさを今も増しています。敵機の機種を確認できないかもしれません。」
「そうかもしれない。だが、全機に艦爆を発見しだい報告するように言っている。米機動部隊が艦戦と艦攻以外の艦載機を持っていないはずがない。」
 言い終わったのと同時に艦爆の警戒にあたっていた航空隊が発見の報を入れた。
「敵急降下爆撃隊発見。数一〇〇機。機動部隊に向かう。」
 角田は全艦に急降下爆撃隊の接近を警戒するように命じた。ブッカー中尉は、艦爆隊が敵直掩隊に発見され、襲われてすでに二一機が撃墜されたことが分かり、作戦は完全に失敗したことは感じた。だが、今更撤退は許されない。
「くそっ。ジャップめ。」
 ブッカーが愚痴った時、後ろから流星に喰いつかれて猛烈な機銃の射撃を受け、機が木っ端みじんに吹き飛んだ。
 多くの損害を受けても突撃を続ける攻撃隊。すでに撃墜された数は一〇〇機を超えたが大きな獲物が目の前にあるのに撤退できるはずがない。艦攻隊の陣形の左翼先端の艦攻が是枝滅し、右翼も半壊し、今度の標的は中央に違いなかった。彗星に激しい攻撃を受けながらも一機を撃墜した。攻撃してきていた彗星が急上昇し他の攻撃機の攻撃に向かった。艦攻は助かったと思ったが、残念ながら違った。機動部隊からの対空射撃に巻き込まれないように撤退しただけで恐れて撤退したのではなかった。
 第一機動部隊所属第三防空駆逐艦隊旗艦秋月より敵艦攻接近の報を受けた角田は全艦に対空射撃を命じた。
 第三防空駆逐艦隊旗艦秋月艦長秋波少佐は射撃準備を命じた。
「対空戦闘開始。対空ミサイル一七発射後各艦各個射撃を開始せよ。」
 秋月型防空駆逐艦の対空ミサイル発射装置は一〇本。およそに斉射に分けて行われる。
 全艦から発射用意よし、の報が届いた。秋波は発射命令を下した。
「第一斉射。撃てー‼」
 次々と対空ミサイルが発射され迫りくる艦攻に突入する。艦攻はフレアを射出しミサイルを回避しようとしたが高度があまりに低く、フレアが海面に着水し効果を失い、ミサイルは再び艦攻に突入は開始する。
 輪陣形右翼第三防空駆逐艦隊二番艦照月からは次々とハエのように火を噴いて墜ちていく艦攻隊を見ていた。望遠鏡で見ていた者が叫んだ。
「まだ、四〇機近く残っている。近接信管で対抗するぞ。」
  秋波は対空射撃開始を命じ、近接信管の使用を許可した。
「敵艦攻接近を確認。近接信管使自由。」
 秋月型防空駆逐艦は対空戦闘に特化した艦で最大速力四三ノットを誇り、武装は主砲が一〇センチ連装高角速射砲三基六門、CIWS(シウス)十九基、二十ミリ三連装機銃、六十二センチ四連装水素魚雷発射管二基八門といった艦隊決戦には向かないものの機動部隊に付き添い、空の脅威から守ることは出来るように設計された駆逐艦だ。
 近接信管が対空射撃に加わり、さらに弾幕が濃くなっていく。依然、敵艦攻は進路を変更することなく突撃してくる。近接信管の砲弾が敵機付近に到達したようで次々と爆発が生じ、黒煙が消えた時には艦攻は姿を消していた。
 一方、艦隊上空直掩隊は敵艦爆の殲滅にあたっていた。ハエのように叩き落されていく艦爆を前に第十七任務部隊の搭乗員は少なからず恐怖で満たされていた。雲の中を通り、流星の追撃を振り切った一小隊の艦爆は雲を抜けた時目を剥く光景があった。眼下には群がるように敵空母がいるではないか。いまだ艦爆の存在に気が付いてなく対空射撃を受けていない。飛行隊長は攻撃目標は中央の最も大きい空母を攻撃せよと命じ、急降下を開始した。ようやく、艦爆の存在に気が付いた空母と随伴艦が対空射撃を開始した。急降下を開始した艦爆は背後を見て凍りついた。自機の背後にぴったりと敵戦闘機が張り付いているのだから。逃げなくてはと思った時には遅かった。背後から機銃を受け、操縦席ごと吹っ飛んだのだった。
 だが、残りの二機は小癪にも烈風の追撃と対空射撃をかわし、爆弾を投下した。狙われたのは翔鶴。翔鶴の対空見張り員が悲鳴のような声で叫んだ。
「敵機艦尾。急降下ッー‼」
 翔鶴艦長の菊川中佐が面舵を命じた。
「最大戦速、面舵いっぱい。」
 だが、回避するには遅すぎたが、一発は外れたが、もう一発は飛行甲板中央のエレベーターに命中し格納庫で爆発したが艦載機は空襲時の格納庫に退避させて銃弾、燃料を抜いていて収まらない艦載機は艦隊上空直掩隊として上空に上げていたため誘爆による沈没は免れたものの飛行甲板により火災が発生したが、消火作業は三〇分かかり、エレベーターの復旧に二時間かかり、翔鶴から発艦した艦隊上空直掩隊は陸軍の要請によって佐世保鎮守府より極秘に出撃した第二戦略空母機動部隊によって収容されたのだった。第二戦略機動部隊は大型の艦載機を運用し、陸上攻撃機並みの攻撃力を有するまさに海上の大型飛行場だった。戦略空母は最高軍事機密にあたる軍機であり、海軍上層部でも存在を知っているのは二人ほどだった。戦略空母は大型攻撃機六九機と艦上戦闘機紫電五九機だが、一般空母の艦載機を搭載すると艦上戦闘機烈風七九機、爆撃機五〇機攻撃機四九機といった大型空母約二隻分にもなり、軽空母だと四隻分もの戦力になる優れものだが、速力が悲惨で最大で三〇ノットまでしか出せないため最前線で戦うよりも通常の空母の後方で支援を行うのが最もよい方法だった。第二戦略空母機動部隊の編成は以下のものである。
第二戦略空母機動部隊
 旗艦 戦略空母葛城
    戦略空母大鳳
    大型空母信濃
その他重巡九隻、軽巡二一隻、駆逐二〇隻
空襲を終えて帰投予定時刻になっても三機しか帰投してこないことを不思議に思った。
ハル大将が艦橋に上がると皆が泣いて喜んだが航空参謀が泣きながら言った。
「長官。申し訳ございません。先ほど敵艦隊に強行偵察を行った駆逐艦により我が航空隊全滅を確認。空母一隻黒煙上るが戦闘行動に支障なしとみる。」
 この報告を受け、艦橋は静まり返った。その口火を切ったのは空母ワシントン艦長サレック中佐だった。
「もう我が艦隊には攻撃隊を送り出せる力はなくなりました。故に撤退し、再起を計りましょう。」
 ハル大将が撤退命令を下そうとした刹那空母ニューラインの周辺に巨大な水柱が乱立した。さすがのハルもなによるの水柱が何か分からなかった。
「いっ、一体これはなんだね。」
 だが、この水柱が何か分かる者はいなかったが、これは帰投中だった第三水上打撃部隊の戦艦が放った主砲弾だった。第三水上打撃部隊は帰投中に対水上電探に大規模艦隊を示す反応があり、索敵機を発進させたところ空母機動部隊ということが判明し、電探観測射撃を行ったのだった。第十七任務部隊の全艦には対空、水上電探と逆探を装備していたが、第一機動部隊の空襲時に破壊され第三水上打撃部隊の発見が出来なかった。応急修理班より全種の電探が破壊されていることに気付きこれは敵艦隊との夜戦を行うしかないといった決断を下した直後ニューラインの横を航行していた重巡クインシーが爆沈した。
「くそっ、このままでは全滅してしまう。各艦各個戦闘を開始せよ。」
 各艦が陣形を解いたため第三水上打撃部隊の放った第三斉射は一発も命中しなかった。
 第三水上打撃部隊も敵艦隊が散開したことを受け、各艦各個戦闘を命じた。
 敵艦隊は第三水上打撃部隊の主力である扶桑、山城になだれ込んでいく。それを主砲で片っ端から駆逐していくことを繰り返していたがとうとう扶桑に敵の魚雷が命中し、中破していた扶桑はゆっくり傾いていったがそれでも主砲、副砲は射撃し続け、傾斜が二十五度を超えた時には射撃するたびに艦が大きく揺れ、十五隻目を葬った時にとうとう転覆し、乗員の九割が艦と運命を共にした。
 第三水上打撃部隊二番艦山城指揮官中将は悔し涙と共に敵艦隊残り八隻の内、先頭にいる二隻に集中砲火を浴びせるように命じた。
「全艦、敵艦隊先頭の二隻に砲火を集中せよ。なんとしても扶桑の仇をとるのだ。」
 その命令を受けた全艦は主砲を指定された艦に向けた。ゆっくりと旋回してゆき扶桑の将兵の魂を乗せた弾を放った。全艦一斉射撃の迫力はすさまじく、急速に接近していた艦隊の陣形がかすかに崩れ、弾幕も薄くなった刹那、音速を超える速さの砲弾が空気を切り裂いて突入した。山城は中破して、火災も発生していたが狙い違わず敵艦のバイタルを貫き見事撃沈した。この二隻の乗組員は全員戦死したのだった。集中砲火を喰らって瞬沈する艦から脱出できるはずがなかった。
 集中砲火で水柱が消えた後には真っ赤に染まった海水が残っていたのを見た敵艦隊の全将兵は瞬間的に戦意を喪失し、遁走し始めた。艦動詞が衝突したりしてなかなか陣形前衛にいた艦は次々と大破したり大火災を発生させ沈む艦もいたが、目もくれずに撤退した。
 その後も戦艦山城が射撃したものの重巡三隻を撃沈、駆逐艦二隻を撃沈したのにとどまった。
 遁走する敵艦隊は残念ながら朝までに第一機動部隊及び第二戦略空母機動部隊の空襲圏内から脱出することがかなわず、あっさりと索敵機に発見されて発見から一時間後には第二次第一波攻撃隊が到達し、半数以上が撃沈され、第一次第二波攻撃隊が到達し駆逐艦三隻を残して全滅した。
 グアム島付近の敵艦隊は一掃され、グアム島への上陸が可能となった。グアム島に立てこもるは三〇〇〇〇人の兵と民間人三〇〇〇人がいて重火器の数は未知数だが、要塞砲や海岸砲は既に艦砲射撃によって七割が破壊され、占領は時間の問題だった。呉海軍司令部は第一機動部隊と第二戦略空母機動部隊はそのまま敵艦隊の哨戒を命じられ、さらに第二戦略空母機動部隊はグアム島への空襲を命じられた。呉陸軍司令部は上陸部隊に上陸を許可した。
米軍からしてみれば背水の陣。大日本帝国にしてみれば絶対に勝たなければならない戦いが始まった。
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