46 / 63
43.意外と気の合う夫人でした。
しおりを挟む
王家の晩餐会でセーチェー家の舞踏会に呼ばれた。
そのお返しに我が家の舞踏会に招待した。
お礼のお礼として、セーチェー侯爵夫人のお茶会に招待された。
セーチェー家の屋敷に到着すると、テレーズ嬢がお茶会の庭に案内してくれた。
今日のお土産はセーチェー侯爵夫人の希望で、パン菓子と今年の目玉だった苺ケーキだ。
「まぁ、まぁ、まぁ、これが本当のパン菓子だったのね!」
「はい、本物は砂糖を使って甘みを増しております」
「お見舞いで貰ったパン菓子はほんのり甘くって美味しかったけれど、こちらは本当に甘いのね」
「庶民に砂糖は高く、小麦で作った水飴を甘味に使用しておりました」
「そんな所まで! エリザベートは凄いわ」
「ウルシュラ夫人、どうかエリザベートを褒めないで下さい。これ以上、騒がれて私の身が持ちません」
「こんな素晴らしい物を作れる娘さんを褒めて上げないの! もっと自慢しないさい。娘のテレーズと交換したいくらいよ」
「お母様がそう言われるのでしたから構いませんわ」
「滅相もございません。美しく聡明であり、優雅さを忘れない。家の娘と比べるなんてもったいないお言葉です」
「まぁ、まぁ、まぁ、そんなことはございません。巧く隠しておりますが、テレーズは食いしん坊なのよ」
「お母様、そう言うことは言わないで下さい。でも、本当です。ヴォワザン家なら美味しい物が頂けそうなので、私は喜んで交換に応じますわ」
「娘を庇って頂いて、ありがとうございます」
「本当のことよ。いずれ皆がエリザベートに感謝する日がきます」
「はい、お母様。こんな甘いお菓子が毎日食べられるなんて素敵です」
随分と持ち上げてくれた。
セーチェー侯爵夫人の要望はエリザベート商会に融資する条件に、自分が考えたレシピを元にお菓子を作って貰いたいという。
「よろしいのですか? わたくしはよろしいですが、ウルシュラ様のレシピがこちらに無償で提供して貰うことになってしまします。買い取りに致しましょうか?」
「その必要はないわ。料理人を一から育てるとなると時間が掛かるでしょう。私は次の舞踏会や晩餐会から披露したいのよ」
「すでにセーチェー家の舞踏会や晩餐会は終わったと心得ますが?」
「エリザベート様、違います」
「テレーズ様、どうかわたくしのことはエリザベートとお呼び下さい」
「では、私のこともテレーズとお呼び下さい」
「畏まりました」
「それでね! お母様がいう舞踏会や晩餐会は一族が行う舞踏会のことです」
「なるほど、承知しました」
セーチェー侯爵家の一族には伯爵家や子爵家が多くある。
そこに自分のお菓子を置かせるつもりなのだ。
「美味しい物が広がるのは素敵だと思わない」
「そうですね。それに刺激された料理人がさらに新しい料理を考えれば、もっと素敵だと思います」
「やはり、エリザベートなら判ってくれると思ったわ」
「お菓子だけでなく、ワインタワーなどやってみませんか?」
「あら、あら、それは何かしら?」
シャンパンタワーのワインバージョン。
但し、使うのはシュワシュワと呼ばれるシャンパンのようなワインだ。
その場にグラスを持って来させて披露してみせる。
「まぁ、まぁ、まぁ、素敵だわ!」
セーチェー侯爵夫人は大喜び、母上はこめかみを押さえている。
屋敷に帰ると、母上になんてことを教えるのときつくお叱りを貰う。
セーチェー侯爵夫人を誑かし、笑い者でもなれば、その怒りの矛先は我が家に向かう。
セーチェー侯爵の不評を買うことを母上は恐れた。
でも、派手な演出はお菓子を美味しく見せる。
セーチェー侯爵夫人は新しいお菓子を布教するつもりだから演出は派手な方がいい。
広告は最大の武器だ。
翌日、セーチェー侯爵夫人はエリザベート商会の菓子店の調理場に現れた。
舞踏会に間に合わせる為だ。
我が家の料理人は貴族が調理場に入ることを拒絶しないが、料理人としてのプライドまで捨てた訳じゃない。
素人のレシピをそのまま使うようなことはしない。
料理人たちによって素人のレシピが宮廷でも使えるレシピへと変換されてゆく。
「まぁ、まぁ、まぁ、こうやって料理は作られてゆくのね! 勉強になるわ!」
「お好きな時にお越し下さい」
「毎日、来てしまうわ」
「申し付けておきましょう」
セーチェー侯爵夫人は大喜びだ。
家庭教師に雇った料理人を抱えていたが、本物の料理人は貴族に料理を教える者はいない。
間違って火傷でもさせれば首が飛ぶ。
比喩でなく、本当に!
その点、我がヴォワザン家では毎年の2月に新規採用者の料理対決が行われる。
審査員は新規採用者自身だ。
そこで私のレシピに敗れて、心を入れ替えるという儀式が行われている。
元宮廷料理の手が加わっているから新人で勝てる見込みはない。
2月と言えば、魔の森で特訓中だ。
戻ってくると、今年の新しい料理を私が披露する。
神と崇められる私の料理だ。
だから、我が家の料理人たちは貴族が調理場に入ってくることを拒まない。
セーチェー侯爵夫人は本当に足繁く通うことになった。
貴族の料理学校でもはじめようかしら?
そんなことを言うと母上に怒られた。
「料理を覚えたがる上級貴族なんていません」
「ウルシュラ様やテレーズは喜んでいますが」
「ちょっとお待ちなさい。まさか、ご夫人らを調理場に立たせている訳ではないでしょうね?」
「本人のご希望でしたから!」
「エリザベート、貴方って子はなんてことをしているの!」
「拙いですか?」
「当然です」
セーチェー侯爵夫人を調理場に立たせていると聞いて、2度怒られた。
今更、止まられません。
セーチェー侯爵夫人がエリザベート商会に通う。
これは貴族社会に大きな衝撃を与えた。
『聞いたか、聞いた、聞いた』
『テレーズ様がアンドラ様に嫁ぐそうだ』
『逆に、エリザベート様がセーチェー侯爵家の養女になるらしい』
誰だ?
こんな根も葉もない噂を流した奴は?
意図して流した貴族は見つからない。
だが、偶然とは思えない。
この噂に焦ったのがラーコーツィ家だ。
武のセーチェー家と財のヴォワザン家が結ばれると、ラーコーツィ家に十分に対抗できる。
私がセーチェー家の養女になれば、王妃になる障害がなくなる。
セーチェー家の面目も立つ。
仕掛け人はセーチェー侯爵夫人か?
そんな陰謀めいたことを考える人ではない。
陰謀とは遠く、天然過ぎて何を考えているのか判らない。
おそらく、二人とも深く考えていない。
でも、いつも間にか取り込まれているような感じなのだ。
そのお返しに我が家の舞踏会に招待した。
お礼のお礼として、セーチェー侯爵夫人のお茶会に招待された。
セーチェー家の屋敷に到着すると、テレーズ嬢がお茶会の庭に案内してくれた。
今日のお土産はセーチェー侯爵夫人の希望で、パン菓子と今年の目玉だった苺ケーキだ。
「まぁ、まぁ、まぁ、これが本当のパン菓子だったのね!」
「はい、本物は砂糖を使って甘みを増しております」
「お見舞いで貰ったパン菓子はほんのり甘くって美味しかったけれど、こちらは本当に甘いのね」
「庶民に砂糖は高く、小麦で作った水飴を甘味に使用しておりました」
「そんな所まで! エリザベートは凄いわ」
「ウルシュラ夫人、どうかエリザベートを褒めないで下さい。これ以上、騒がれて私の身が持ちません」
「こんな素晴らしい物を作れる娘さんを褒めて上げないの! もっと自慢しないさい。娘のテレーズと交換したいくらいよ」
「お母様がそう言われるのでしたから構いませんわ」
「滅相もございません。美しく聡明であり、優雅さを忘れない。家の娘と比べるなんてもったいないお言葉です」
「まぁ、まぁ、まぁ、そんなことはございません。巧く隠しておりますが、テレーズは食いしん坊なのよ」
「お母様、そう言うことは言わないで下さい。でも、本当です。ヴォワザン家なら美味しい物が頂けそうなので、私は喜んで交換に応じますわ」
「娘を庇って頂いて、ありがとうございます」
「本当のことよ。いずれ皆がエリザベートに感謝する日がきます」
「はい、お母様。こんな甘いお菓子が毎日食べられるなんて素敵です」
随分と持ち上げてくれた。
セーチェー侯爵夫人の要望はエリザベート商会に融資する条件に、自分が考えたレシピを元にお菓子を作って貰いたいという。
「よろしいのですか? わたくしはよろしいですが、ウルシュラ様のレシピがこちらに無償で提供して貰うことになってしまします。買い取りに致しましょうか?」
「その必要はないわ。料理人を一から育てるとなると時間が掛かるでしょう。私は次の舞踏会や晩餐会から披露したいのよ」
「すでにセーチェー家の舞踏会や晩餐会は終わったと心得ますが?」
「エリザベート様、違います」
「テレーズ様、どうかわたくしのことはエリザベートとお呼び下さい」
「では、私のこともテレーズとお呼び下さい」
「畏まりました」
「それでね! お母様がいう舞踏会や晩餐会は一族が行う舞踏会のことです」
「なるほど、承知しました」
セーチェー侯爵家の一族には伯爵家や子爵家が多くある。
そこに自分のお菓子を置かせるつもりなのだ。
「美味しい物が広がるのは素敵だと思わない」
「そうですね。それに刺激された料理人がさらに新しい料理を考えれば、もっと素敵だと思います」
「やはり、エリザベートなら判ってくれると思ったわ」
「お菓子だけでなく、ワインタワーなどやってみませんか?」
「あら、あら、それは何かしら?」
シャンパンタワーのワインバージョン。
但し、使うのはシュワシュワと呼ばれるシャンパンのようなワインだ。
その場にグラスを持って来させて披露してみせる。
「まぁ、まぁ、まぁ、素敵だわ!」
セーチェー侯爵夫人は大喜び、母上はこめかみを押さえている。
屋敷に帰ると、母上になんてことを教えるのときつくお叱りを貰う。
セーチェー侯爵夫人を誑かし、笑い者でもなれば、その怒りの矛先は我が家に向かう。
セーチェー侯爵の不評を買うことを母上は恐れた。
でも、派手な演出はお菓子を美味しく見せる。
セーチェー侯爵夫人は新しいお菓子を布教するつもりだから演出は派手な方がいい。
広告は最大の武器だ。
翌日、セーチェー侯爵夫人はエリザベート商会の菓子店の調理場に現れた。
舞踏会に間に合わせる為だ。
我が家の料理人は貴族が調理場に入ることを拒絶しないが、料理人としてのプライドまで捨てた訳じゃない。
素人のレシピをそのまま使うようなことはしない。
料理人たちによって素人のレシピが宮廷でも使えるレシピへと変換されてゆく。
「まぁ、まぁ、まぁ、こうやって料理は作られてゆくのね! 勉強になるわ!」
「お好きな時にお越し下さい」
「毎日、来てしまうわ」
「申し付けておきましょう」
セーチェー侯爵夫人は大喜びだ。
家庭教師に雇った料理人を抱えていたが、本物の料理人は貴族に料理を教える者はいない。
間違って火傷でもさせれば首が飛ぶ。
比喩でなく、本当に!
その点、我がヴォワザン家では毎年の2月に新規採用者の料理対決が行われる。
審査員は新規採用者自身だ。
そこで私のレシピに敗れて、心を入れ替えるという儀式が行われている。
元宮廷料理の手が加わっているから新人で勝てる見込みはない。
2月と言えば、魔の森で特訓中だ。
戻ってくると、今年の新しい料理を私が披露する。
神と崇められる私の料理だ。
だから、我が家の料理人たちは貴族が調理場に入ってくることを拒まない。
セーチェー侯爵夫人は本当に足繁く通うことになった。
貴族の料理学校でもはじめようかしら?
そんなことを言うと母上に怒られた。
「料理を覚えたがる上級貴族なんていません」
「ウルシュラ様やテレーズは喜んでいますが」
「ちょっとお待ちなさい。まさか、ご夫人らを調理場に立たせている訳ではないでしょうね?」
「本人のご希望でしたから!」
「エリザベート、貴方って子はなんてことをしているの!」
「拙いですか?」
「当然です」
セーチェー侯爵夫人を調理場に立たせていると聞いて、2度怒られた。
今更、止まられません。
セーチェー侯爵夫人がエリザベート商会に通う。
これは貴族社会に大きな衝撃を与えた。
『聞いたか、聞いた、聞いた』
『テレーズ様がアンドラ様に嫁ぐそうだ』
『逆に、エリザベート様がセーチェー侯爵家の養女になるらしい』
誰だ?
こんな根も葉もない噂を流した奴は?
意図して流した貴族は見つからない。
だが、偶然とは思えない。
この噂に焦ったのがラーコーツィ家だ。
武のセーチェー家と財のヴォワザン家が結ばれると、ラーコーツィ家に十分に対抗できる。
私がセーチェー家の養女になれば、王妃になる障害がなくなる。
セーチェー家の面目も立つ。
仕掛け人はセーチェー侯爵夫人か?
そんな陰謀めいたことを考える人ではない。
陰謀とは遠く、天然過ぎて何を考えているのか判らない。
おそらく、二人とも深く考えていない。
でも、いつも間にか取り込まれているような感じなのだ。
0
お気に入りに追加
335
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい
斯波@ジゼルの錬金飴②発売中
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。
※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。
※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる