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5.回復魔法って、拷問アイテム?
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私はずっとアンドラに心の中で謝っていた。
悪役令嬢でいたい。
でも、本当に必要なのだろうか?
疑問と覚悟が錯綜していた。
でも、止める訳にいかない。
「姉さん、止めて!」
「アンドラ、貴方は馬鹿なの?」
この凶悪さに冷や汗が止まらない。
アンドラは恐怖に怯えているけれど、私も嫌悪で体が膠着している。
少しでも早く終わらせて楽にして上げようと思う。
でも、心が言うことを体が聞いてくれない。
私も試されているの?
皆が私の一挙手一投足に注目しているのが判る。
家令が私を試しているのね!
持っているだけで手が震える。
赤く燃える鉄の色が私の目に焼き付いている。
鞭打ちを終えたアンドラは従者たちに体を起こされて、肩から腕をがっしりと固められてテーブルに手を置かれた。
何が起こっているのか判らないアンドラは怯えた。
「何ぃ、誰か助けて! シャルロッテ」
「アンドラ様、お許し下さい。私らはアンドラ様の従者・侍女でございます。領主様とアンドラ様以外の命は聞きません。ですが、上位者であられるエリザベート様の邪魔をすることは許されておりません」
「何をするのぉ?」
アンドラが問う。
シャルロッテが私の許可を求めた。
「エリザベート様!?」
「いいわ、説明して上げて!」
「はい」
私は許可を出した。
説明はシャルロッテにさせよう。
「エリザベート様は無礼に対して罰をお与えになられます」
「また、打たれるの?」
「いいえ、先ほどの鞭はアンドラ様への教育でございます」
「じゃあ?」
「罰でございます」
アンドラが疑問に思っている間に暖炉の火の中から真っ赤に染まった『焼きごて』が届けられた。
その熱気だけで辺りの温度が何度か上がった。
げぇ、熱そう!
皆は涼しい顔をしている。
私の従者はヴァルテルの部下に替えられた。
メルルはお気に入りだから据えおいて貰ったわ。
アンドラの従者もヴァルテルの部下だ。
「アンドラ、貴族において名前を呼び間違うなどあってはなりません。間違うと、一族が、家臣が、領民が路頭に迷います。貴方はそういう立場の人間になったのです。さっきも言いましたね」
「お願いです。止めて下さい。ひぇ、嫌です」
「貴方は私のことを『姉さん』と気軽く呼びました。親しみを込めて大変に嬉しい呼び方なのですが、私がそれをいつ許しましたか? 上位の方には必ず継承を付けなさい。姉様か、姉上です」
言い終えると、私は従者から『焼きごて』を渡された。
タオルを巻いてあっても手が焼かれるように熱い。
私はそれを持って近づき、アンドラの手の甲に向けた。
「姉さん、止めて!」
「アンドラ、貴方は馬鹿なの?」
「お願いです。止めて下さい」
謝らなかっただけ、まだマシか!
アンドラを打ったときのような高揚感は湧いて来ない。
ドレスが汗でびっしょりとなっている。
特に背中が!
「また、私のことを『姉さん』と呼びました。アンドラ、貴方はこれもでに3回、それに1回追加せねばなりません」
アンドラの口から言葉が消えた。
身動きできないので、必死に首を横に振っている。
私も生唾を飲み込んだ。
手は振るえるのに動かない。
「エリザベート様」
「判っているわ!」
シャルロッテの声で覚悟を決めた。
間々よ!
ぎゃあぁぁぁぁぁ!
アンドラの手の甲とジュジュジューっと焼ける音をした。
嫌な臭いが上がってくる。
肉を焼くと香ばしい匂いが漂うのに、この臭いは気持ちが悪い。
絶叫するアンドラも美しくない。
早く終わらせよう。
一度使った『焼きごて』は交換される。
徹底しているな!
ぎゃあぁぁぁぁぁ、ぎゃあぁぁぁぁぁ、ぎゃあぁぁぁぁぁ!
焼きごてを手の甲に当てるごとに心が冷たくなってゆく。
絶叫を繰り返すアンドラ!
私も目を背けることが禁じられている。
シャルロッテは頭を下げたままで控えて、私の様子を監視しているのだろう。
エフェアブスト(状態異常回復)は恐ろしい魔法だ。
アンドラは気絶することを許されずに痛みに耐えないといけない。
可哀想なアンドラ!
やっと終わって、最後の『焼きごて』を返した。
同時にアンドラの拘束が解かれる。
手は焼き爛れて炭のようになっている。
露出した一部が白いのは骨じゃないか?
グロ過ぎるぞ!
私はエフェアブスト(状態異常回復)を掛けて貰ってないから気を抜くと気絶する。
これからこんなことが沢山あるだろう。
媚びないと決めた私には針の山が待っている。
王家を騙し、貴族を躱し、多くの人を犠牲にして進むことになる。
その覚悟が私にある。
そう、ヴァルテルは聞いているのだろうか?
ホント、鬼だ!
駆け寄ったシャルロッテがアンドラを抱きかかえて『エクストラヒール(大回復)』を発動させる。青い光の粒が眩しいくらいに集まって輝きを増すと、焼き爛れた使い物にならなくなっていた手に触手が伸びるようにもこもこと生えてくるのもエグかった。
胸から上がってくる悪寒!
朝食が喉を通らなかったのが幸いだった。
斬られた腕を繋ぎ合わせ、腹を抉り刺されても回復できる。
頭を潰すとか、首を切るとか、死んでしまい。
回復させることが無理らしい。
だから、殺さないで下さいとシャルロッテに念を押された。
どうやったら殺せるの?
でも、死んだ者を蘇生させる『リカバリー(超回復)』という魔法も存在するらしい。
残念だが、我が家の魔法士にその使い手はいない。
いつか、お目に掛かりたい。
エフェアブスト(状態異常回復)を掛けてなかったらアンドラもショックで死んでいたかもしれない。
魔法は偉大だ!
あれぇ?
殺す痛みを与えて回復させれば、滅茶苦茶ヤバい拷問ができるよ。
こんな拷問に耐えられる人がいるの?
ヤバくない?
というか、今、やっているよ。私!
完全に肉体は回復したが、アンドラの目に精気がない。
あのキラキラとした瞳の色が消えた。
一瞬だったけど、アンドラの髪の毛の色も白くなっていたような気がする。
それも元に戻った。
これか!
ヴァルテルが言ったトラウマにトラウマを上書きするって!
『エリザベート様、今のままではアンドラ様はいつ裏切るか判らないと考えます』
『信頼を得るだけでは無理ということですか?』
『アンドラ様のトラウマを使えば、いつでも裏切らせることが可能でございます』
『では、どうしますか?』
『トラウマにトラウマを上書きします。そうすれば、滅多なことで裏切らないでしょう。それはアンドラ様が優秀な魔法士になったとしても、エリザベート様に逆らおうとしない保険となります』
『必要ですか?』
『必要です』
『判りました。任せます』
そりゃ、死を超える拷問って滅多にできない。
最強のトラウマだ。
ヴァルテルは本当に鬼だ、悪魔だ。
回復魔法って、最強の拷問アイテムじゃない。
私は悪役令嬢を目指しています。
悪女です。
女王様も目指しているけど、『〇〇の女王』は目指してない。
もうさせないでよ!
悪役令嬢でいたい。
でも、本当に必要なのだろうか?
疑問と覚悟が錯綜していた。
でも、止める訳にいかない。
「姉さん、止めて!」
「アンドラ、貴方は馬鹿なの?」
この凶悪さに冷や汗が止まらない。
アンドラは恐怖に怯えているけれど、私も嫌悪で体が膠着している。
少しでも早く終わらせて楽にして上げようと思う。
でも、心が言うことを体が聞いてくれない。
私も試されているの?
皆が私の一挙手一投足に注目しているのが判る。
家令が私を試しているのね!
持っているだけで手が震える。
赤く燃える鉄の色が私の目に焼き付いている。
鞭打ちを終えたアンドラは従者たちに体を起こされて、肩から腕をがっしりと固められてテーブルに手を置かれた。
何が起こっているのか判らないアンドラは怯えた。
「何ぃ、誰か助けて! シャルロッテ」
「アンドラ様、お許し下さい。私らはアンドラ様の従者・侍女でございます。領主様とアンドラ様以外の命は聞きません。ですが、上位者であられるエリザベート様の邪魔をすることは許されておりません」
「何をするのぉ?」
アンドラが問う。
シャルロッテが私の許可を求めた。
「エリザベート様!?」
「いいわ、説明して上げて!」
「はい」
私は許可を出した。
説明はシャルロッテにさせよう。
「エリザベート様は無礼に対して罰をお与えになられます」
「また、打たれるの?」
「いいえ、先ほどの鞭はアンドラ様への教育でございます」
「じゃあ?」
「罰でございます」
アンドラが疑問に思っている間に暖炉の火の中から真っ赤に染まった『焼きごて』が届けられた。
その熱気だけで辺りの温度が何度か上がった。
げぇ、熱そう!
皆は涼しい顔をしている。
私の従者はヴァルテルの部下に替えられた。
メルルはお気に入りだから据えおいて貰ったわ。
アンドラの従者もヴァルテルの部下だ。
「アンドラ、貴族において名前を呼び間違うなどあってはなりません。間違うと、一族が、家臣が、領民が路頭に迷います。貴方はそういう立場の人間になったのです。さっきも言いましたね」
「お願いです。止めて下さい。ひぇ、嫌です」
「貴方は私のことを『姉さん』と気軽く呼びました。親しみを込めて大変に嬉しい呼び方なのですが、私がそれをいつ許しましたか? 上位の方には必ず継承を付けなさい。姉様か、姉上です」
言い終えると、私は従者から『焼きごて』を渡された。
タオルを巻いてあっても手が焼かれるように熱い。
私はそれを持って近づき、アンドラの手の甲に向けた。
「姉さん、止めて!」
「アンドラ、貴方は馬鹿なの?」
「お願いです。止めて下さい」
謝らなかっただけ、まだマシか!
アンドラを打ったときのような高揚感は湧いて来ない。
ドレスが汗でびっしょりとなっている。
特に背中が!
「また、私のことを『姉さん』と呼びました。アンドラ、貴方はこれもでに3回、それに1回追加せねばなりません」
アンドラの口から言葉が消えた。
身動きできないので、必死に首を横に振っている。
私も生唾を飲み込んだ。
手は振るえるのに動かない。
「エリザベート様」
「判っているわ!」
シャルロッテの声で覚悟を決めた。
間々よ!
ぎゃあぁぁぁぁぁ!
アンドラの手の甲とジュジュジューっと焼ける音をした。
嫌な臭いが上がってくる。
肉を焼くと香ばしい匂いが漂うのに、この臭いは気持ちが悪い。
絶叫するアンドラも美しくない。
早く終わらせよう。
一度使った『焼きごて』は交換される。
徹底しているな!
ぎゃあぁぁぁぁぁ、ぎゃあぁぁぁぁぁ、ぎゃあぁぁぁぁぁ!
焼きごてを手の甲に当てるごとに心が冷たくなってゆく。
絶叫を繰り返すアンドラ!
私も目を背けることが禁じられている。
シャルロッテは頭を下げたままで控えて、私の様子を監視しているのだろう。
エフェアブスト(状態異常回復)は恐ろしい魔法だ。
アンドラは気絶することを許されずに痛みに耐えないといけない。
可哀想なアンドラ!
やっと終わって、最後の『焼きごて』を返した。
同時にアンドラの拘束が解かれる。
手は焼き爛れて炭のようになっている。
露出した一部が白いのは骨じゃないか?
グロ過ぎるぞ!
私はエフェアブスト(状態異常回復)を掛けて貰ってないから気を抜くと気絶する。
これからこんなことが沢山あるだろう。
媚びないと決めた私には針の山が待っている。
王家を騙し、貴族を躱し、多くの人を犠牲にして進むことになる。
その覚悟が私にある。
そう、ヴァルテルは聞いているのだろうか?
ホント、鬼だ!
駆け寄ったシャルロッテがアンドラを抱きかかえて『エクストラヒール(大回復)』を発動させる。青い光の粒が眩しいくらいに集まって輝きを増すと、焼き爛れた使い物にならなくなっていた手に触手が伸びるようにもこもこと生えてくるのもエグかった。
胸から上がってくる悪寒!
朝食が喉を通らなかったのが幸いだった。
斬られた腕を繋ぎ合わせ、腹を抉り刺されても回復できる。
頭を潰すとか、首を切るとか、死んでしまい。
回復させることが無理らしい。
だから、殺さないで下さいとシャルロッテに念を押された。
どうやったら殺せるの?
でも、死んだ者を蘇生させる『リカバリー(超回復)』という魔法も存在するらしい。
残念だが、我が家の魔法士にその使い手はいない。
いつか、お目に掛かりたい。
エフェアブスト(状態異常回復)を掛けてなかったらアンドラもショックで死んでいたかもしれない。
魔法は偉大だ!
あれぇ?
殺す痛みを与えて回復させれば、滅茶苦茶ヤバい拷問ができるよ。
こんな拷問に耐えられる人がいるの?
ヤバくない?
というか、今、やっているよ。私!
完全に肉体は回復したが、アンドラの目に精気がない。
あのキラキラとした瞳の色が消えた。
一瞬だったけど、アンドラの髪の毛の色も白くなっていたような気がする。
それも元に戻った。
これか!
ヴァルテルが言ったトラウマにトラウマを上書きするって!
『エリザベート様、今のままではアンドラ様はいつ裏切るか判らないと考えます』
『信頼を得るだけでは無理ということですか?』
『アンドラ様のトラウマを使えば、いつでも裏切らせることが可能でございます』
『では、どうしますか?』
『トラウマにトラウマを上書きします。そうすれば、滅多なことで裏切らないでしょう。それはアンドラ様が優秀な魔法士になったとしても、エリザベート様に逆らおうとしない保険となります』
『必要ですか?』
『必要です』
『判りました。任せます』
そりゃ、死を超える拷問って滅多にできない。
最強のトラウマだ。
ヴァルテルは本当に鬼だ、悪魔だ。
回復魔法って、最強の拷問アイテムじゃない。
私は悪役令嬢を目指しています。
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