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74. カロリナ、逃げるが勝ちですわ!(それで勝てるから不思議だ?)
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ペニンスラ半島には深い森が広がっている。
魔力を吸って巨木になる大陸の森と違って、太陽の光と適度な雨によって育っていった。
天然の大森林であった。
冷たい北海の湿った空気が西風に運ばれて雨を呼んだ。
梅雨なると沼地のように水が溢れた。
西海岸はそうやって見渡す限りの大森林。
樹海が生まれた。
東海岸は冬になるとセーチェー湾から立ち上がる霧に包まれる。
大地をしっとりと包んでくれた。
雪解け水も豊富だ。
山があり、森があり、海もある。
森林と草原が広がっていた。
戦火に巻き込まれなければ、もっと多くの人が住んでいただろう。
しかし、今年の夏は暑かった。
西風が吹けば、雨を運んでくれると言うのに!
スコールすら降らない。
異常な暑さだった。
乾いた熱気を持つ南西の風はすべてのモノをカラカラに乾かせた。
大地も木々も!
カロリナ・ファン・ラーコーツィ侯爵令嬢は天使か、悪魔か?
そのキャンプファイヤーの火は天に昇って火竜に代わった。
龍の鱗から生まれた白い天使の羽が空から降っていた。
◇◇◇
撤退するカロリナは雪を見た。
ふんわりと落ちてくる白きモノが落ちてきた。
「この季節に雪ですか?」
手の平で取るとちょっと熱い。
雪じゃない!?
「これは灰のようです」
「灰ですか?」
「カロリナ様、急ぎましょう。嫌な予感がします」
「ラファウ、説明して下さい」
「説明は後です。フォウはいるか?」
「もういません」
ラファウが木葉を呼んだ理由は1つだけ!
街道を走るより、木々を跳んで移動する方が速いのが木葉だからだ。
森の中なら影より速い。
街道を無視して最短距離で砦村に行って貰おうと思ったようだ。
因みに木葉は暗器の扱いが影より巧いらしい。
「フォウは海岸街道の敵の偵察に戻りました」
「そうか、仕方ない。アンブラ、カロリナ様の命で砦村を放棄すると伝えて来てくれ!」
「畏まりました!」
影も森の中をショートカットして行った。
この街道は無駄に蛇行が多すぎる。
もう少し直線的に作れなかったのかしらと?
カロリナは思った。
徒歩のマリンドル伯にはすぐに追い付いてしまった。
先頭の風がもっと真剣に走れと檄を飛ばしている。
疲労の限界に達しているのか?
足取りが重そうだ。
「ラファウ、砦村を放棄するのですか?」
「敵は大軍です。ここで援軍を待つのは悪手でしょう。海岸側の街道からも敵が攻めて来ております」
「火の壁をもう1つ作りましょうか?」
「駄目です。それは止めて下さい」
「ラファウが駄目というなら止めておきましょう」
「問題は援軍用の備蓄です。砦村には砦の援軍が到着した時の為に食糧が用意されております。私の独断で放棄できません」
「いいでしょう! 私は命じます。すべて放棄させなさい」
「そう言って頂けると助かります。これで心置きなく退却できます」
砦村は無事であった。
風とニナとジクで後背を襲うと、敵は挟撃を避けて撤退してくれた。
こちらの隊長は優秀のようだ。
すぐにレフに率いられた30人が合流し、マリンドル伯爵の80人も入った。
砦村の小隊長が駆け寄ってくる。
「この砦を放棄とはどういうことですか?」
「カロリナ様の命令だ。二個軍団以上が迫っている」
「二個軍団以上ですか!」
「どう足掻いて凌ぐことはできない。砦の兵と住人はカロリナ様の護衛の為に北方港町まで付き従うことを命ずる。拒否しても軍規違反とならない。但し、援軍は期待するな!」
「援軍はありませんか?」
「敵は大軍だ。西側のみから攻めてくるとは考えられない」
「そなたの言う通りだ。我々はカロリナ様の警護に入ります」
ラファウが作った逃げ道に乗ってくれた。
敵を見ない内に砦を放棄したとなれば、後で罪が問われるかもしれない。
しかし、ラーコーツィ侯爵令嬢の護衛以上に大切なことはない。
少なくともラーコーツィ領では!
そして、ペニンスラ半島はラーコーツィ領なのだ。
「砦の門を壊せ! 荷物は今日・明日の食糧のみを持って直ちに撤退を開始する」
「カロリナ様、お待ち下さい」
「マリンドル伯、何でしょうか?」
「我が兵は夜通し駆けて逃げてきました。すでに疲労の限界を超えております。撤退を明日の朝にして頂きたい」
「なりません。敵はすぐに追い付いてきます。付いて来られないと言うならば、置いてゆきます。どうしますか?」
「承知致しました。同行致します」
「安心なさい。気休めのおまじないくらいはして上げます」
カロリナ達はマリンドルの兵に体力・怪我を治す回復と気分一新の状態回復を掛けて回った。
気休めに過ぎないが、これで体は動かせるだろう。
砦村に歩けないほどの老人はない。
片足を失くした兵士などは馬に乗せて運ぶ。
日が高い内に砦を放棄した。
食糧に目が眩んで、足を止めてくれることを期待した。
皆、徒歩だ。
200人を超えると進みが遅い。
荷物をあまり持つなと言っても捨てられないようだ。
隊長らが檄を飛ばす。
でも、早歩きが限界だった。
日が暮れると、影が報告に戻って来た。
「カロリナ様、どうやら山火事が発生しているようです」
「この時期に山火事ですか?」
「方向は!」
「東の山です。随分先まで火事が広がっているようですから、急いだ方がよろしいと思います」
「やはり、こうなったか!」
ラファウの推測は、テンペストで舞い上がった火の粉が季節風の西南の風で広がったと言う。
森が乾燥しているので種火程度でも発火するかもしれないと気に掛けて、影を偵察に出していた。
そして、それが現実となった。
風に飛ばされた火の粉は南西の風に乗って、カロリナ達より随分と先に進んでいた。
「山を越えて火事が広がっているとは思いませんが、山に当たって末の方に向かって次第に広がったのでしょう」
「アンブラはどう思いますか?」
「判りません。かなり先まで赤い線が広がっております」
「休憩は中止です。状態回復を掛けます。すぐに歩きなさい」
自分の魔法で焼け死ぬなんて恥だ!
一晩中、歩き続けた。
翌朝には次の砦村に到着できた。
影達が戻ってきた。
「後ろの街道は火に包まれており、もう追撃の心配はありません」
「東の山火事は上流の湖で止まって、もう追い越される心配はありません」
「それが幸いです」
「カロリナ様、火事は後ろからも迫ってきます。余裕ができた訳ではありません」
「判っています」
「海岸部に敵影なし!」
「はい、は~い、次の砦村の撤退命令書を渡してきまし~た。村と漁村にも山火事の事を告げるように言っておきまし~た」
「開発村の撤退も言いましたか?」
「大丈夫で~す。向こうの隊長さんが先に言いまし~た」
これで港町への撤収の準備が済んだ。
港町の周辺は岩と草原しかないので、火事が港町を襲うことはない。
「アンブラ、ヴェンとフォウを少し借りてよいか?」
「どうぞ!」
「ヴェンは代官に書状を届けてほしい! 東海岸も避難をするように書いておく、状況を聞かれたなら説明しておくように!」
「了解です」
「フォウは山に入って、谷を抜けて東海岸の開拓村に避難を呼びかけてくれ! カロリナ様の命令書を渡す。東に火が回るかどうかをよく見極めて欲しい」
「あいよ」
どこまで燃え広がるか判っていない。
西風の風が吹いている限り、森林火事が迫ってくると考えられた。
半島の先端に近づくと山も低くなる。
山を越えて東海岸まで火が回るかもしれない。
警戒するに越したことはない。
巨大な湖があったのは運がよかった。
その湖の貯水量が60%を切っているのは別の話だが、ともかく、山裾に広がってカロリナ達を追い越す心配がなくなった。
マリンドルや夜通し歩いてきた皆に半日の休憩を与える余裕が生まれた。
「では、マリンドル伯。皆の事をよろしくお願いします」
「お任せあれ! 全員を無事に港町に送り届けてみせます」
「普通に歩けば、火事に追い付かれることはないと思います。しかし、警戒を怠らないようにお願いします」
「承知しております」
カロリナ達は馬を先行することになった。
マリンドル伯も最後尾をカロリナに任せている事が心苦しかったのか、大いに喜んでくれた。
魔力を吸って巨木になる大陸の森と違って、太陽の光と適度な雨によって育っていった。
天然の大森林であった。
冷たい北海の湿った空気が西風に運ばれて雨を呼んだ。
梅雨なると沼地のように水が溢れた。
西海岸はそうやって見渡す限りの大森林。
樹海が生まれた。
東海岸は冬になるとセーチェー湾から立ち上がる霧に包まれる。
大地をしっとりと包んでくれた。
雪解け水も豊富だ。
山があり、森があり、海もある。
森林と草原が広がっていた。
戦火に巻き込まれなければ、もっと多くの人が住んでいただろう。
しかし、今年の夏は暑かった。
西風が吹けば、雨を運んでくれると言うのに!
スコールすら降らない。
異常な暑さだった。
乾いた熱気を持つ南西の風はすべてのモノをカラカラに乾かせた。
大地も木々も!
カロリナ・ファン・ラーコーツィ侯爵令嬢は天使か、悪魔か?
そのキャンプファイヤーの火は天に昇って火竜に代わった。
龍の鱗から生まれた白い天使の羽が空から降っていた。
◇◇◇
撤退するカロリナは雪を見た。
ふんわりと落ちてくる白きモノが落ちてきた。
「この季節に雪ですか?」
手の平で取るとちょっと熱い。
雪じゃない!?
「これは灰のようです」
「灰ですか?」
「カロリナ様、急ぎましょう。嫌な予感がします」
「ラファウ、説明して下さい」
「説明は後です。フォウはいるか?」
「もういません」
ラファウが木葉を呼んだ理由は1つだけ!
街道を走るより、木々を跳んで移動する方が速いのが木葉だからだ。
森の中なら影より速い。
街道を無視して最短距離で砦村に行って貰おうと思ったようだ。
因みに木葉は暗器の扱いが影より巧いらしい。
「フォウは海岸街道の敵の偵察に戻りました」
「そうか、仕方ない。アンブラ、カロリナ様の命で砦村を放棄すると伝えて来てくれ!」
「畏まりました!」
影も森の中をショートカットして行った。
この街道は無駄に蛇行が多すぎる。
もう少し直線的に作れなかったのかしらと?
カロリナは思った。
徒歩のマリンドル伯にはすぐに追い付いてしまった。
先頭の風がもっと真剣に走れと檄を飛ばしている。
疲労の限界に達しているのか?
足取りが重そうだ。
「ラファウ、砦村を放棄するのですか?」
「敵は大軍です。ここで援軍を待つのは悪手でしょう。海岸側の街道からも敵が攻めて来ております」
「火の壁をもう1つ作りましょうか?」
「駄目です。それは止めて下さい」
「ラファウが駄目というなら止めておきましょう」
「問題は援軍用の備蓄です。砦村には砦の援軍が到着した時の為に食糧が用意されております。私の独断で放棄できません」
「いいでしょう! 私は命じます。すべて放棄させなさい」
「そう言って頂けると助かります。これで心置きなく退却できます」
砦村は無事であった。
風とニナとジクで後背を襲うと、敵は挟撃を避けて撤退してくれた。
こちらの隊長は優秀のようだ。
すぐにレフに率いられた30人が合流し、マリンドル伯爵の80人も入った。
砦村の小隊長が駆け寄ってくる。
「この砦を放棄とはどういうことですか?」
「カロリナ様の命令だ。二個軍団以上が迫っている」
「二個軍団以上ですか!」
「どう足掻いて凌ぐことはできない。砦の兵と住人はカロリナ様の護衛の為に北方港町まで付き従うことを命ずる。拒否しても軍規違反とならない。但し、援軍は期待するな!」
「援軍はありませんか?」
「敵は大軍だ。西側のみから攻めてくるとは考えられない」
「そなたの言う通りだ。我々はカロリナ様の警護に入ります」
ラファウが作った逃げ道に乗ってくれた。
敵を見ない内に砦を放棄したとなれば、後で罪が問われるかもしれない。
しかし、ラーコーツィ侯爵令嬢の護衛以上に大切なことはない。
少なくともラーコーツィ領では!
そして、ペニンスラ半島はラーコーツィ領なのだ。
「砦の門を壊せ! 荷物は今日・明日の食糧のみを持って直ちに撤退を開始する」
「カロリナ様、お待ち下さい」
「マリンドル伯、何でしょうか?」
「我が兵は夜通し駆けて逃げてきました。すでに疲労の限界を超えております。撤退を明日の朝にして頂きたい」
「なりません。敵はすぐに追い付いてきます。付いて来られないと言うならば、置いてゆきます。どうしますか?」
「承知致しました。同行致します」
「安心なさい。気休めのおまじないくらいはして上げます」
カロリナ達はマリンドルの兵に体力・怪我を治す回復と気分一新の状態回復を掛けて回った。
気休めに過ぎないが、これで体は動かせるだろう。
砦村に歩けないほどの老人はない。
片足を失くした兵士などは馬に乗せて運ぶ。
日が高い内に砦を放棄した。
食糧に目が眩んで、足を止めてくれることを期待した。
皆、徒歩だ。
200人を超えると進みが遅い。
荷物をあまり持つなと言っても捨てられないようだ。
隊長らが檄を飛ばす。
でも、早歩きが限界だった。
日が暮れると、影が報告に戻って来た。
「カロリナ様、どうやら山火事が発生しているようです」
「この時期に山火事ですか?」
「方向は!」
「東の山です。随分先まで火事が広がっているようですから、急いだ方がよろしいと思います」
「やはり、こうなったか!」
ラファウの推測は、テンペストで舞い上がった火の粉が季節風の西南の風で広がったと言う。
森が乾燥しているので種火程度でも発火するかもしれないと気に掛けて、影を偵察に出していた。
そして、それが現実となった。
風に飛ばされた火の粉は南西の風に乗って、カロリナ達より随分と先に進んでいた。
「山を越えて火事が広がっているとは思いませんが、山に当たって末の方に向かって次第に広がったのでしょう」
「アンブラはどう思いますか?」
「判りません。かなり先まで赤い線が広がっております」
「休憩は中止です。状態回復を掛けます。すぐに歩きなさい」
自分の魔法で焼け死ぬなんて恥だ!
一晩中、歩き続けた。
翌朝には次の砦村に到着できた。
影達が戻ってきた。
「後ろの街道は火に包まれており、もう追撃の心配はありません」
「東の山火事は上流の湖で止まって、もう追い越される心配はありません」
「それが幸いです」
「カロリナ様、火事は後ろからも迫ってきます。余裕ができた訳ではありません」
「判っています」
「海岸部に敵影なし!」
「はい、は~い、次の砦村の撤退命令書を渡してきまし~た。村と漁村にも山火事の事を告げるように言っておきまし~た」
「開発村の撤退も言いましたか?」
「大丈夫で~す。向こうの隊長さんが先に言いまし~た」
これで港町への撤収の準備が済んだ。
港町の周辺は岩と草原しかないので、火事が港町を襲うことはない。
「アンブラ、ヴェンとフォウを少し借りてよいか?」
「どうぞ!」
「ヴェンは代官に書状を届けてほしい! 東海岸も避難をするように書いておく、状況を聞かれたなら説明しておくように!」
「了解です」
「フォウは山に入って、谷を抜けて東海岸の開拓村に避難を呼びかけてくれ! カロリナ様の命令書を渡す。東に火が回るかどうかをよく見極めて欲しい」
「あいよ」
どこまで燃え広がるか判っていない。
西風の風が吹いている限り、森林火事が迫ってくると考えられた。
半島の先端に近づくと山も低くなる。
山を越えて東海岸まで火が回るかもしれない。
警戒するに越したことはない。
巨大な湖があったのは運がよかった。
その湖の貯水量が60%を切っているのは別の話だが、ともかく、山裾に広がってカロリナ達を追い越す心配がなくなった。
マリンドルや夜通し歩いてきた皆に半日の休憩を与える余裕が生まれた。
「では、マリンドル伯。皆の事をよろしくお願いします」
「お任せあれ! 全員を無事に港町に送り届けてみせます」
「普通に歩けば、火事に追い付かれることはないと思います。しかし、警戒を怠らないようにお願いします」
「承知しております」
カロリナ達は馬を先行することになった。
マリンドル伯も最後尾をカロリナに任せている事が心苦しかったのか、大いに喜んでくれた。
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