刺殺からはじまる侯爵令嬢、カロリナだってがんばります!

牛一/冬星明

文字の大きさ
上 下
62 / 103

51. 救国の英雄。(第3場 プロローグ)

しおりを挟む
旧聖ミレス帝国は東の魔族と戦った。
そして、戦いに敗れた。
帝国は失墜し、聖ミレス王国、プロイス帝国、オリテラ帝国に分裂した。
帝国の威信を取り戻そうとしたのはプロイス帝国の皇帝。
皇帝は東征を進める。

討伐軍の指揮官であったアール将軍は半島北東の異教徒ジャジーラ族と和議を独断し、新興国ジャジーラを建国した。
プロイス帝国から離脱であった。
兵も少なく、食糧もない。
それでどう戦えという。

増援、そんな場合でない。
プロイス帝国は兄弟・親族・家臣が造反し、崩壊の危機に直面していた。
皇帝は自ら皇帝の座を降り、独立を認め、自ら王となることで鎮めた。
ジャジーラ国のアール代表はプロイス王より王の称号を貰い、アール王国となる。
魔族討伐の東征の時代が終わった。

プロイス王国騎士団はそれを認めない。
魔族の亜種、亜人どもと共存などあり得ないし、聖ミレス法王に従わないプロイス王を認めない。
騎士団長プーは国王に叛旗を翻し、騎士国家プー王国を宣言して、プロイス帝国に戦争を仕掛けた。
そして、亜人の住む異教徒の国をアール王国に宣戦布告した。
初代アール王は建国直後に首都ジャジーラを奪われ、東へと逃げた。
森の民、妖精族のラーコーツィ。
海の民、海洋族のセーチェー。
二つの部族と契約を交わし、プー王国騎士団を追い返して、東に新たな王都アールを築いた。
騎士国家プー王国は建国以来、500年の敵であった。
聖地ジャジーラ奪還が悲願であった。

100年前、ラーコーツィ領都の賢者ナータンが予言した。

『聖地ジャジーラ奪還を成し遂げる救国の乙女が天より遣わされる』

人は涙した。
彼らの祖先の多くは土地を追われてやってきた。
子から孫へ、その孫へと伝えられた。
神の啓示の日は近い。
ラーコーツィ領都の大司教が言う。

「聖女が降臨しました。聖女が英雄を導いて、この地にやってくるでしょう」

人々は歓喜した。
先祖から悲願、夢、希望。
西の楽園エデンに帰ろう。
聖女が誰を差し、英雄が誰か!
そんなこと、聞かなくても判る。
大司教様に認められた聖女様は一人しかいない。
また、英雄『ゴブリン・スレイヤ―』も一人しかいない。
約束の日が近づいていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました

toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。 残酷シーンが多く含まれます。 誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。 両親に 「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」 と宣言した彼女は有言実行をするのだった。 一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。 4/5 21時完結予定。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...