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36. カロリナ、報酬の林檎を貰う。
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カロリナ達が歩き始めると霧が晴れてきた。
ティンポル・ディムスの村?
同じ山の景色が広がっているが何か違う。
家がボロい。
周りに木々は余り生えていない。
エルもオルガもいない。
死体は村外れの方を指差している。
男は歩くしかないので歩いた。
あの林檎を食べる為には付いて行くしかない。
男は死体を背負いながらずずずと引き摺りながら進んでゆく。
村を出ると小さな丘があり、丘の上に木の柵がある。
柵の中に木の棒がいくつも立っている。
どうやら墓のようだ。
「あと少しです。がんばって下さい」
「あぁ、もう少しだ」
柵の中に入った。
男は死体を置こうとするが、死体が首をロックして放してくれない。
「背負ったままで穴を掘れというのか?」
「そういうことでしょう」
「そこの木の根ものに鍬があるので、あれで掘れというのでしょう」
「お嬢ちゃんも手伝ってくれ!」
「どうして私が?」
「そういう流れだろう」
「嫌です」
「……………」
「早くしないと日が暮れますよ」
「そうか、仕方ない」
男は諦めたのか、鍬を持って地面を掘り始めた。
がっ、がっ、がっ、手慣れたものだ。
少し掘ると、土の方がぼこぼこと盛り上がってくる。
そして、がさっと死体が起き上がった。
“誰だ、眠りを覚ます奴は”
背負っている死体よりドロドロに溶けた死体が起き上がった。
だらりと腕を前にして近づいてくる。
「悪かった。そこに眠っているとは知らなかった」
“恨めしい”
「すぐに元に戻す。だから!?」
男は後に下がる。
ゾンビだ。
触れるだけで嫌な感じがする。
「近づくな!」
後ろにいたカロリナは余裕を持って口の中で高速詠唱を終えて叫ぶ。
『紅蓮の業火よ。燃やし尽くせ! ファイラー』
ぷすぅ、目が点になる。
魔力を消費した感覚はあったが炎が出ない。
この感覚!?
封印されている。
ゾンビが迫ってくる。
さぁさぁさぁとカロリナは戦略的撤退だ。
「お嬢ちゃん、待ってくれ!」
そして、ずずっずと下がって、下がって、下がって、柵に外に出ると死体が元の穴に戻って行き、土の中に消えた。
「助かった」
「どうして?」
「もしかして、木の杭がない場所にも眠っているのでは?」
「おい、恐ろしいことを言うな!」
問題ない。
掘るのは男であって、カロリナではない。
カロリナは柵の外から声援を送ることにした。
男は墓杭のない場所を何度も掘ったが、やはり死体が飛び出してくる。
はっ、はっ、はっ、男は疲れたのか、息を切らし始めた。
「どこを掘ればいいんだ?」
「もしかして、この墓はもう一杯なのかも?」
「埋める所がないというのか」
「判りません。でも、そうじゃないかと思いました」
「嘘だろ。そうだ、墓地の外なら!」
男が鍬を持って柵を出ようとすると、背負っている死体が男の首を絞めつけます。
どうやら、墓地の外は駄目みたいです。
説得できたら!?
女の言っていた意味をカロリナは気づきました。
説得が必要なのは背負っている死体さんの方です。
「がんばって下さい」
「苦しい」
「説得して下さい。死体を説得できれば助かります」
「本当か?」
「おそらく」
「判った。墓地の外に埋めない。だから、腕を緩めてくれ!」
残念。
男の方が死体さんに説得されたようです。
説得は失敗です。
仕方ないので、次の墓地に移動することにします。
村を出るとまた霧が濃くなり、死体さんの指差す方に向かって歩きます。
一体、どれくらい歩いたのでしょう。
キャリハッド・ヴィコルスです。
ごろごろとした岩山を下りてゆくと、向こうに草原の丘が見えてきました。
丘は十六夜月のような形であり、もっと高くなった所が突き出しており、そこに教会が立っています。
男とカロリナは緑の絨毯を上ってゆき、教会に付くと男は入ってきません。
「何をしているのですか?」
「入れないんだ!」
カロリナは易々と入れたのに、男には透明な壁があり、中に入れないと言います。
何度も入ろうとしますが駄目です。
そして、どこから声がします。
“不浄な者は帰れ!”
教会は死体を埋める場所ですから死体が不浄という訳ではありません。
男が不浄なのか、死体の生まれが不浄なのか判りませんが、とにかく入れてくれません。
「仕方ありません。ティンポル・コナンに向かいましょう」
そういうと死体さんが次の場所を指差します。
また、とぼとぼと歩いてゆきます。
丘を下り、谷間を向けて歩いてゆくと開けた場所が見えてきました。
岩がごつごつとした丘です。
近づくと黒いモノが立ち上がり、ぶんぶんと飛んでいます。
丘に入ると、黒いモノが襲ってきます。
“飯だ。それを横せ!”
蠅です。
カロリナは思わず、『ファイラー』と叫びますが、ぷすっと言って炎ができません。
駄目です。
戦略的撤退です。
何故か、男も付いてきます。
墓はこの丘の上ですが、再び近づこうとすると死体さんが男の首を絞めつけます。
どうやら死体さんは蠅に喰われたくないようです。
「仕方ありません。イムログ・ファダに向かいましょう」
辺りはすっかり暗くなっていた。
ライトの魔法は付くようで足元くらいは照らすことができました。
白い霧が晴れてくるとぼんやり次の丘が見えてきます。
丘に入ると。
ぼわぁ、ぼわぁと大人や子供の幽霊が寄ってきた。
“鬼さん、鬼さん、御用ですか?”
“鬼ちゃん、鬼ちゃん、遊びましょう”
“鬼さん、お茶でもどうですか?”
声を聴く度に背筋が凍った。
心臓を掴まれたように冷たくなってゆく。
「お嬢ちゃん」
「…………」
「お嬢ちゃん!?」
カロリナは丘に入った所で足を止めていました。
おかしいと思ったのか、男が戻ろうとすると幽霊が男を引き留めた。
“遊ぼう”
“行っちゃ駄目”
“お菓子も用意しました”
まるで重石を背負ったように引っ張られます。
しかし、丘の出口に近づくほど楽になったのです。
「どうして付いて来ない」
「霊体の中を歩くのは無理ですよ」
「霊体?」
「幽霊のことです。浄化するか、神官の結界を張っていない状態で中に入れば、出て来られなくなりますよ」
ダンジョンでもレイス(霊体)は厄介な敵だ。
物理的な攻撃が利かない。
魔法が使えれば、大した相手ではないのですが、今のカロリナにはどうすることもできません。
「先に言え!」
「おじさんは何か護符でも持っているのかと思いました」
「あるか! それにおじさんじゃない。お兄さんと呼べ!」
「おじさんです」
近づけないのでキル・ブリージャに向かうことにした。
男はかなり疲れていた。
目の下にクマができています。
「妹さんはそんなに素敵な人なのですか?」
「あぁ。そう言えば、そんな理由ではじめたのだったな」
「妹さんは?」
「そんなこともうどうでもいい。早く終わらせたい」
「埋めるのを諦めますか?」
「それは駄目だ」
男は妹のことはどうでもいいようだが、死体は最後まで面倒を見るつもりみたいだ。
夜が明けないことを見ると、まだ1日も立っていないようだが、随分と長く歩いている。
霧が晴れて、次の丘が…………!?
見えて来たのは湖に浮かぶ大きな島であった。
死体は島を指差している。
「どうやって行けと?」
「あの舟を使えませんか?」
「なるほど!」
舟で渡り、島の一番高い所に行ってみた。
すると、死体が力を失ってずり落ちた。
「おい!」
「死体に話し掛けても答えないと思いますよ」
「そりゃ、そうだが。墓が判らんだろう」
カロリナも少し考える。
あのお姉さんは“キル・ブリージャ辺りか”と言った。
「おじさん、お姉さんは『キル・ブリージャ』と言わず、『キル・ブリージャ辺り』と言っていました」
「それがどうした?」
「つまり、はっきりとした墓が存在しないのではないですか? だから、『辺り』という曖昧な言い方をした。この方が最初の一人じゃないですか?」
「そうか、そういうことか」
そういうと男は手で穴を掘り、死体を穴に埋めると、石を積んで墓とした。
「おじさん」
「お兄さんだ」
「どうして途中で止めなかったのですか? 妹さんはどうでもいいのでしょう」
「一度でも関われば、ケリが付くまで関わるさ」
浮気症で多くの女性に目移りするのはどうかと思うが悪い人ではないようだ。
「お嬢ちゃんこそ、付き合ってくれてありがとうよ」
「いえ、いえ、こちらの都合です」
「そんな都合があったのか?」
「報酬の七色の林檎を貰う為です」
「そんなことの為にか?」
「それ以外に何がありますか!」
カロリナはブレない。
『いいでしょう! 約束を守りましょう』
突然、声が聞こえるとお姉さんが現れた。
その姿が神々しく、女神か、天使のような出で立ちであった。
そして、報酬の林檎がカロリナの手に現れた。
ティンポル・ディムスの村?
同じ山の景色が広がっているが何か違う。
家がボロい。
周りに木々は余り生えていない。
エルもオルガもいない。
死体は村外れの方を指差している。
男は歩くしかないので歩いた。
あの林檎を食べる為には付いて行くしかない。
男は死体を背負いながらずずずと引き摺りながら進んでゆく。
村を出ると小さな丘があり、丘の上に木の柵がある。
柵の中に木の棒がいくつも立っている。
どうやら墓のようだ。
「あと少しです。がんばって下さい」
「あぁ、もう少しだ」
柵の中に入った。
男は死体を置こうとするが、死体が首をロックして放してくれない。
「背負ったままで穴を掘れというのか?」
「そういうことでしょう」
「そこの木の根ものに鍬があるので、あれで掘れというのでしょう」
「お嬢ちゃんも手伝ってくれ!」
「どうして私が?」
「そういう流れだろう」
「嫌です」
「……………」
「早くしないと日が暮れますよ」
「そうか、仕方ない」
男は諦めたのか、鍬を持って地面を掘り始めた。
がっ、がっ、がっ、手慣れたものだ。
少し掘ると、土の方がぼこぼこと盛り上がってくる。
そして、がさっと死体が起き上がった。
“誰だ、眠りを覚ます奴は”
背負っている死体よりドロドロに溶けた死体が起き上がった。
だらりと腕を前にして近づいてくる。
「悪かった。そこに眠っているとは知らなかった」
“恨めしい”
「すぐに元に戻す。だから!?」
男は後に下がる。
ゾンビだ。
触れるだけで嫌な感じがする。
「近づくな!」
後ろにいたカロリナは余裕を持って口の中で高速詠唱を終えて叫ぶ。
『紅蓮の業火よ。燃やし尽くせ! ファイラー』
ぷすぅ、目が点になる。
魔力を消費した感覚はあったが炎が出ない。
この感覚!?
封印されている。
ゾンビが迫ってくる。
さぁさぁさぁとカロリナは戦略的撤退だ。
「お嬢ちゃん、待ってくれ!」
そして、ずずっずと下がって、下がって、下がって、柵に外に出ると死体が元の穴に戻って行き、土の中に消えた。
「助かった」
「どうして?」
「もしかして、木の杭がない場所にも眠っているのでは?」
「おい、恐ろしいことを言うな!」
問題ない。
掘るのは男であって、カロリナではない。
カロリナは柵の外から声援を送ることにした。
男は墓杭のない場所を何度も掘ったが、やはり死体が飛び出してくる。
はっ、はっ、はっ、男は疲れたのか、息を切らし始めた。
「どこを掘ればいいんだ?」
「もしかして、この墓はもう一杯なのかも?」
「埋める所がないというのか」
「判りません。でも、そうじゃないかと思いました」
「嘘だろ。そうだ、墓地の外なら!」
男が鍬を持って柵を出ようとすると、背負っている死体が男の首を絞めつけます。
どうやら、墓地の外は駄目みたいです。
説得できたら!?
女の言っていた意味をカロリナは気づきました。
説得が必要なのは背負っている死体さんの方です。
「がんばって下さい」
「苦しい」
「説得して下さい。死体を説得できれば助かります」
「本当か?」
「おそらく」
「判った。墓地の外に埋めない。だから、腕を緩めてくれ!」
残念。
男の方が死体さんに説得されたようです。
説得は失敗です。
仕方ないので、次の墓地に移動することにします。
村を出るとまた霧が濃くなり、死体さんの指差す方に向かって歩きます。
一体、どれくらい歩いたのでしょう。
キャリハッド・ヴィコルスです。
ごろごろとした岩山を下りてゆくと、向こうに草原の丘が見えてきました。
丘は十六夜月のような形であり、もっと高くなった所が突き出しており、そこに教会が立っています。
男とカロリナは緑の絨毯を上ってゆき、教会に付くと男は入ってきません。
「何をしているのですか?」
「入れないんだ!」
カロリナは易々と入れたのに、男には透明な壁があり、中に入れないと言います。
何度も入ろうとしますが駄目です。
そして、どこから声がします。
“不浄な者は帰れ!”
教会は死体を埋める場所ですから死体が不浄という訳ではありません。
男が不浄なのか、死体の生まれが不浄なのか判りませんが、とにかく入れてくれません。
「仕方ありません。ティンポル・コナンに向かいましょう」
そういうと死体さんが次の場所を指差します。
また、とぼとぼと歩いてゆきます。
丘を下り、谷間を向けて歩いてゆくと開けた場所が見えてきました。
岩がごつごつとした丘です。
近づくと黒いモノが立ち上がり、ぶんぶんと飛んでいます。
丘に入ると、黒いモノが襲ってきます。
“飯だ。それを横せ!”
蠅です。
カロリナは思わず、『ファイラー』と叫びますが、ぷすっと言って炎ができません。
駄目です。
戦略的撤退です。
何故か、男も付いてきます。
墓はこの丘の上ですが、再び近づこうとすると死体さんが男の首を絞めつけます。
どうやら死体さんは蠅に喰われたくないようです。
「仕方ありません。イムログ・ファダに向かいましょう」
辺りはすっかり暗くなっていた。
ライトの魔法は付くようで足元くらいは照らすことができました。
白い霧が晴れてくるとぼんやり次の丘が見えてきます。
丘に入ると。
ぼわぁ、ぼわぁと大人や子供の幽霊が寄ってきた。
“鬼さん、鬼さん、御用ですか?”
“鬼ちゃん、鬼ちゃん、遊びましょう”
“鬼さん、お茶でもどうですか?”
声を聴く度に背筋が凍った。
心臓を掴まれたように冷たくなってゆく。
「お嬢ちゃん」
「…………」
「お嬢ちゃん!?」
カロリナは丘に入った所で足を止めていました。
おかしいと思ったのか、男が戻ろうとすると幽霊が男を引き留めた。
“遊ぼう”
“行っちゃ駄目”
“お菓子も用意しました”
まるで重石を背負ったように引っ張られます。
しかし、丘の出口に近づくほど楽になったのです。
「どうして付いて来ない」
「霊体の中を歩くのは無理ですよ」
「霊体?」
「幽霊のことです。浄化するか、神官の結界を張っていない状態で中に入れば、出て来られなくなりますよ」
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物理的な攻撃が利かない。
魔法が使えれば、大した相手ではないのですが、今のカロリナにはどうすることもできません。
「先に言え!」
「おじさんは何か護符でも持っているのかと思いました」
「あるか! それにおじさんじゃない。お兄さんと呼べ!」
「おじさんです」
近づけないのでキル・ブリージャに向かうことにした。
男はかなり疲れていた。
目の下にクマができています。
「妹さんはそんなに素敵な人なのですか?」
「あぁ。そう言えば、そんな理由ではじめたのだったな」
「妹さんは?」
「そんなこともうどうでもいい。早く終わらせたい」
「埋めるのを諦めますか?」
「それは駄目だ」
男は妹のことはどうでもいいようだが、死体は最後まで面倒を見るつもりみたいだ。
夜が明けないことを見ると、まだ1日も立っていないようだが、随分と長く歩いている。
霧が晴れて、次の丘が…………!?
見えて来たのは湖に浮かぶ大きな島であった。
死体は島を指差している。
「どうやって行けと?」
「あの舟を使えませんか?」
「なるほど!」
舟で渡り、島の一番高い所に行ってみた。
すると、死体が力を失ってずり落ちた。
「おい!」
「死体に話し掛けても答えないと思いますよ」
「そりゃ、そうだが。墓が判らんだろう」
カロリナも少し考える。
あのお姉さんは“キル・ブリージャ辺りか”と言った。
「おじさん、お姉さんは『キル・ブリージャ』と言わず、『キル・ブリージャ辺り』と言っていました」
「それがどうした?」
「つまり、はっきりとした墓が存在しないのではないですか? だから、『辺り』という曖昧な言い方をした。この方が最初の一人じゃないですか?」
「そうか、そういうことか」
そういうと男は手で穴を掘り、死体を穴に埋めると、石を積んで墓とした。
「おじさん」
「お兄さんだ」
「どうして途中で止めなかったのですか? 妹さんはどうでもいいのでしょう」
「一度でも関われば、ケリが付くまで関わるさ」
浮気症で多くの女性に目移りするのはどうかと思うが悪い人ではないようだ。
「お嬢ちゃんこそ、付き合ってくれてありがとうよ」
「いえ、いえ、こちらの都合です」
「そんな都合があったのか?」
「報酬の七色の林檎を貰う為です」
「そんなことの為にか?」
「それ以外に何がありますか!」
カロリナはブレない。
『いいでしょう! 約束を守りましょう』
突然、声が聞こえるとお姉さんが現れた。
その姿が神々しく、女神か、天使のような出で立ちであった。
そして、報酬の林檎がカロリナの手に現れた。
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