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25.カロリナ、どうやら助かったらしい。
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カロリナは詠唱を唱える。
マグナ・クロコディールスは分厚い皮で身を包んでいる獰猛な魔物であった。
確実な魔法は上級魔法の業火『インフェルノ』だが、成功率は10回に1回とお粗末な状態であり、とても実践に使えない。
だから、使うのは!
『ファイラー・ランス』
炎の矢より大きな炎の槍。
オークも一突きできる強力な火の魔法だ。
だが、マグナ・クロコディールスは分厚い皮を破ることができない。
そんなことはカロリナも承知。
狙う目だ。
魔法をピンポイントで当てるのは難しい魔力操作の技法が必要になる。
カロリナの技量ではない。
でも、でも、でも、最高食材を奪われたという憎悪がそんな常識を打ち破った。
信じられない集中力で本来あり得ない細かい作業を完璧に行い、マグナ・クロコディールスの目を突き破った。
ぐぎゃあぁぁぁ!
マグナ・クロコディールスが暴れる。
痛みで暴れ狂う。
『ファイラー・ランス』
連続詠唱!?
一度できた頭内魔法陣の回路をもう一度詠唱する技法。
同じ魔法を続けて打ち出す時の裏技だ。
もちろん、そんな裏技を教師から教わっていない。
だが、できた。
何故か、できると考えない。
火事場の糞力ならぬ、食力の糞力だ。
抉られた目に二撃目のファイラー・ランスが突き刺さり、脳を突き破って息の根を止めた。
カロリナの体が熱くなる。
レベルアップだ。
魔力酔いだ。
だが、強引に意識を繋ぐ。
派手な魔法を放ったカロリナに向かって、水輪が流れるように近づいていた。
ぐわぁぁぁ、一気に浮上して大きな口をカロリナの前に開いた。
『ファイラー・ランス』
トリプルで発動。
カロリナの魔法が炸裂し、喉元から突き破って絶命させた。
だが、勢いに付いた慣性力は消える訳ではない。
ヤバぁ!
焦ったカロリナの体をぎゅっと掴み、すたっと影がカロリナを抱いて後に飛んだ。
「カロリナ様、無茶をしないで下さい。心臓が止まりそうでしたよ」
「ありがとう、助かった」
「ホントです」
「アンブラ、まだ終わっていません」
そう言われて、影が沼地の水面を見る。
あちらこちらで沢山の小さな水輪が生まれている。
ぞわぁ!?
マグナ・クロコディールスの目は潜水艦の潜望鏡のように伸びで、目だけ水面に上げることができる。
つまり、そういうことだ。
「全員、水辺から離れなさい」
マグナ・クロコディールスは鰐だ。
鰐は水中動物ではない。
水陸両用、水から上がったマグナ・クロコディールスの大軍が木々をなぎ倒して襲ってくる。
泥湖の各水辺から上がってきた100頭近いマグナ・クロコディールスの半包囲が始まった
魔物レベル20~25の凶悪な魔物であり、レベル1のゴブリンなんて比にならない。
それが100頭ですよ。
カロリナの護衛はエル、影、風、木葉、花の5人だった。その他に駆け出し冒険者の子供10人、貴族子息3人、領兵30人、守役3人が同行している。
無理、無理、無理、絶対に無理!
撤退だ!
「図体がデカいのに、どうして速いのよ」
森を抜けて丘まで上がれば、助かるかもしれない。
でも、こっちは子供の足だ。
鍛えられているが、所詮は素人より速い程度だ。
カロリナは領兵長に預けられて、抱きかかえられたままで逃げた。
抱きかかえられたままで口を開けてくるマグナ・クロコディールスにファイラー・ランスを打ち込んだ。
影、風、木葉、花の四人が近づくマグナ・クロコディールスの足を切って勢いを止めている。
あの分厚い皮をよく切れるものだ。
「あれは魔刃です」
「魔刃?」
「刀の先が赤く光っています。あれで切れないものはありません」
「凄いわね」
「ですが、使っている剣が短いので苦労しているようですな!」
そう、相性が悪かった。
小刀やショートソードは素早さ重視の武器であり、大物を討伐するには不向きであった。
マグナ・クロコディールスに致命的な一撃が出せない。
必死に足止めをやっていた。
「拙いな!」
外側のマグナ・クロコディールスがかなり前に先行してきた。
回り込まれたら持たない。
影は覚悟を決める時が迫っていると感じだ。
カロリナ、エル、貴族の三子息の安全の確保。
これは絶対であった。
他は半分、あるいは3割が生き残ればいい方かもしれない。
アザとか、子供達が死ねば、カロリナは大泣きしそうだ。
カロリナが悲しむと侯爵が怒る。
影はその未来が恐ろしく、まだ決断できずにいた。
『勇者を立て! 我が娘カロリナを救った者には褒美は望み次第だ!』
うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!
地響きが聞こえた。
逃げようとしている丘から土煙が上がった。
ラーコーツィ家の紋章旗がなびいていた。
カロリナの正面から現れた冒険者らはそのまますれ違うと、マグナ・クロコディールスに襲い掛かってゆく。
一人、二人ではない。
ラーコーツィ領兵軍と冒険者の混成軍であった。
冒険者はかなり強者が揃っている。
どうやらカロリナは助かったらしい。
マグナ・クロコディールスは分厚い皮で身を包んでいる獰猛な魔物であった。
確実な魔法は上級魔法の業火『インフェルノ』だが、成功率は10回に1回とお粗末な状態であり、とても実践に使えない。
だから、使うのは!
『ファイラー・ランス』
炎の矢より大きな炎の槍。
オークも一突きできる強力な火の魔法だ。
だが、マグナ・クロコディールスは分厚い皮を破ることができない。
そんなことはカロリナも承知。
狙う目だ。
魔法をピンポイントで当てるのは難しい魔力操作の技法が必要になる。
カロリナの技量ではない。
でも、でも、でも、最高食材を奪われたという憎悪がそんな常識を打ち破った。
信じられない集中力で本来あり得ない細かい作業を完璧に行い、マグナ・クロコディールスの目を突き破った。
ぐぎゃあぁぁぁ!
マグナ・クロコディールスが暴れる。
痛みで暴れ狂う。
『ファイラー・ランス』
連続詠唱!?
一度できた頭内魔法陣の回路をもう一度詠唱する技法。
同じ魔法を続けて打ち出す時の裏技だ。
もちろん、そんな裏技を教師から教わっていない。
だが、できた。
何故か、できると考えない。
火事場の糞力ならぬ、食力の糞力だ。
抉られた目に二撃目のファイラー・ランスが突き刺さり、脳を突き破って息の根を止めた。
カロリナの体が熱くなる。
レベルアップだ。
魔力酔いだ。
だが、強引に意識を繋ぐ。
派手な魔法を放ったカロリナに向かって、水輪が流れるように近づいていた。
ぐわぁぁぁ、一気に浮上して大きな口をカロリナの前に開いた。
『ファイラー・ランス』
トリプルで発動。
カロリナの魔法が炸裂し、喉元から突き破って絶命させた。
だが、勢いに付いた慣性力は消える訳ではない。
ヤバぁ!
焦ったカロリナの体をぎゅっと掴み、すたっと影がカロリナを抱いて後に飛んだ。
「カロリナ様、無茶をしないで下さい。心臓が止まりそうでしたよ」
「ありがとう、助かった」
「ホントです」
「アンブラ、まだ終わっていません」
そう言われて、影が沼地の水面を見る。
あちらこちらで沢山の小さな水輪が生まれている。
ぞわぁ!?
マグナ・クロコディールスの目は潜水艦の潜望鏡のように伸びで、目だけ水面に上げることができる。
つまり、そういうことだ。
「全員、水辺から離れなさい」
マグナ・クロコディールスは鰐だ。
鰐は水中動物ではない。
水陸両用、水から上がったマグナ・クロコディールスの大軍が木々をなぎ倒して襲ってくる。
泥湖の各水辺から上がってきた100頭近いマグナ・クロコディールスの半包囲が始まった
魔物レベル20~25の凶悪な魔物であり、レベル1のゴブリンなんて比にならない。
それが100頭ですよ。
カロリナの護衛はエル、影、風、木葉、花の5人だった。その他に駆け出し冒険者の子供10人、貴族子息3人、領兵30人、守役3人が同行している。
無理、無理、無理、絶対に無理!
撤退だ!
「図体がデカいのに、どうして速いのよ」
森を抜けて丘まで上がれば、助かるかもしれない。
でも、こっちは子供の足だ。
鍛えられているが、所詮は素人より速い程度だ。
カロリナは領兵長に預けられて、抱きかかえられたままで逃げた。
抱きかかえられたままで口を開けてくるマグナ・クロコディールスにファイラー・ランスを打ち込んだ。
影、風、木葉、花の四人が近づくマグナ・クロコディールスの足を切って勢いを止めている。
あの分厚い皮をよく切れるものだ。
「あれは魔刃です」
「魔刃?」
「刀の先が赤く光っています。あれで切れないものはありません」
「凄いわね」
「ですが、使っている剣が短いので苦労しているようですな!」
そう、相性が悪かった。
小刀やショートソードは素早さ重視の武器であり、大物を討伐するには不向きであった。
マグナ・クロコディールスに致命的な一撃が出せない。
必死に足止めをやっていた。
「拙いな!」
外側のマグナ・クロコディールスがかなり前に先行してきた。
回り込まれたら持たない。
影は覚悟を決める時が迫っていると感じだ。
カロリナ、エル、貴族の三子息の安全の確保。
これは絶対であった。
他は半分、あるいは3割が生き残ればいい方かもしれない。
アザとか、子供達が死ねば、カロリナは大泣きしそうだ。
カロリナが悲しむと侯爵が怒る。
影はその未来が恐ろしく、まだ決断できずにいた。
『勇者を立て! 我が娘カロリナを救った者には褒美は望み次第だ!』
うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!
地響きが聞こえた。
逃げようとしている丘から土煙が上がった。
ラーコーツィ家の紋章旗がなびいていた。
カロリナの正面から現れた冒険者らはそのまますれ違うと、マグナ・クロコディールスに襲い掛かってゆく。
一人、二人ではない。
ラーコーツィ領兵軍と冒険者の混成軍であった。
冒険者はかなり強者が揃っている。
どうやらカロリナは助かったらしい。
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