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6.河を渡るのも一苦労。
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海も広いが河も広い。
アマゾン川の河口幅である300~400kmには程遠いが、河口幅が40kmもある揚子江に負けない広さだった。
霧が掛かって向こう岸が霞む。
水の上に魔力の膜を張って歩いているが、ぷにょぷにょして歩き難い。
でも、仕方ない。
河が広く、長丁場だ。
分厚い魔力を張ると魔力が尽きる。
ぬかるみを歩くようにたっぷん、たっぷんと歩いて行く。
日が暮れる前に向こう岸に辿り着けるだろうか?
“索敵”
やっぱり、索敵を飛ばすと地上と同じて魔魚が消滅した。
魔石を持つ生きている魔魚は河を遡って消えていた。
ここより1kmほど降ると海に出るが、魔魚は海に出ようとしない。
不思議な世界だ。
今も魔力回復ポーションをチビチビと飲みながら歩いている。
河は広いな~大きいな~、月は・・・・・・・・・・・・などと訳の判らない替え歌を歌って気を紛らわせた。
◇◇◇
私はこの無人の浜辺が北の果てと思った。
5年ほど過ごし、魔力が十分に確保できてから南に戻ろうと決めた。
拠点となる洞窟を見つけて穴を掘って住居を造った。
食料の確保も頑張った。
特に、甘みである海草を育成して、根っこから『葛粉』を作った。
どうやら私は植物と相性がいいらしい。
育成を促進する魔法は10倍から20倍の速度に成長を加速するが、私がすると1,000倍を超える。
もちろん、栄養がなければ成長しないので魔の森の木を切って焼くと、土ごと肥料として使って急成長させた。
葛粉を使って甘いポーションの改良だ。
そうは言っても魔力に限りがある。
そこで普通のポーション作りに挑戦した。
洞窟の入り口に台所を造り、大きな窯で薬草を煮る。
火加減は火の精霊に命じ、かき混ぜるのは水の精霊に手伝わせるので焦げ付く心配はない。
薪は森に幾らでもある。
グツグツと煮ると細胞核が割れて魔力水がしみ出してくる。
出汁殻になった薬草を採りだして、冷ますと分離する。
本来は秘薬を混ぜて分離を促進するが、ここは魔法で魔法水だけ取り出した。
取り出した魔力水をグツグツと煮て水分を飛ばす。
最後に残った水分も魔力で飛ばし、葛水を混ぜて完成だ。
超々最上級回復ポーションに葛水を入れると最上級回復ポーションに劣化する。
だが、激マズの回復ポーションなんて飲みたくない。
俺のお腹の消化が悪く、我慢して飲んでいたが、少しずつ成長しており、最上級回復ポーションでも効果が出るようになった。
しかも、葛粉には沢山のミネラルと糖度がある。
小腹が満たされるし、成長の助けになる。
因みに、葛粉の作り方は薬草とほぼ同じだ。
茹でて洗った根っこを叩いて潰す代わりに、魔力を通して細胞が分裂し易くする。
後は煮込んで分離させる。
根っこの固形物を魔法で濾過して取り除くと水分を飛ばして葛粉の完成だ。
不純物のない完全無欠の葛粉だ。
ここから純度を高めると砂糖になるが、折角のミネラルを飛ばすのは勿体ないのでそのまま回復ポーションに混ぜた。
食べられそうな海藻も見つけた。
イカや貝や昆布の干物は私のおやつだ。
カニを探したが、小指サイズの小さいカニしか見つからなかった。
残念だ。
他にも魔物や鯨の肉や大量の魚も影収納に入っている。
これだけ大量の食料を持ちながら、離乳食代わりの栄養ドリンクが私の食事だ。
実に味気ないな。
最近の悩みは魔石だ。
魔力の少なさを補う魔法具を造りたいが、肝心の魔石が手に入らない。
索敵魔法で魔物は逃げるなんて初めてだ。
しかし、魔石は魔道具に欠かせないアイテムだ。
唯一の長牙の虎の魔石は上物だった。
その割れた魔石を使って影収納を誤魔化す為の収納ポーチを作成した。
空間拡張した本物の魔道具だ。
他にも魔力消費が軽減される腕輪などを作成した。
まだ魔力量が少ない私の底上げだ。
次は魔法の杖でも造りたいが魔石がない。
だからと言って、逃げない碑石を護る魔物には手を出したくない。
あれはヤバい奴だ。
おそらく何らかの結界になっており、私はその結界の内側に入るのは躊躇って、その外側を移動していた。
日が暮れてやっと対岸が近づいて来た。
今晩は川沿いで野宿になる。
火事があった場所までまだまだ遠い。
アマゾン川の河口幅である300~400kmには程遠いが、河口幅が40kmもある揚子江に負けない広さだった。
霧が掛かって向こう岸が霞む。
水の上に魔力の膜を張って歩いているが、ぷにょぷにょして歩き難い。
でも、仕方ない。
河が広く、長丁場だ。
分厚い魔力を張ると魔力が尽きる。
ぬかるみを歩くようにたっぷん、たっぷんと歩いて行く。
日が暮れる前に向こう岸に辿り着けるだろうか?
“索敵”
やっぱり、索敵を飛ばすと地上と同じて魔魚が消滅した。
魔石を持つ生きている魔魚は河を遡って消えていた。
ここより1kmほど降ると海に出るが、魔魚は海に出ようとしない。
不思議な世界だ。
今も魔力回復ポーションをチビチビと飲みながら歩いている。
河は広いな~大きいな~、月は・・・・・・・・・・・・などと訳の判らない替え歌を歌って気を紛らわせた。
◇◇◇
私はこの無人の浜辺が北の果てと思った。
5年ほど過ごし、魔力が十分に確保できてから南に戻ろうと決めた。
拠点となる洞窟を見つけて穴を掘って住居を造った。
食料の確保も頑張った。
特に、甘みである海草を育成して、根っこから『葛粉』を作った。
どうやら私は植物と相性がいいらしい。
育成を促進する魔法は10倍から20倍の速度に成長を加速するが、私がすると1,000倍を超える。
もちろん、栄養がなければ成長しないので魔の森の木を切って焼くと、土ごと肥料として使って急成長させた。
葛粉を使って甘いポーションの改良だ。
そうは言っても魔力に限りがある。
そこで普通のポーション作りに挑戦した。
洞窟の入り口に台所を造り、大きな窯で薬草を煮る。
火加減は火の精霊に命じ、かき混ぜるのは水の精霊に手伝わせるので焦げ付く心配はない。
薪は森に幾らでもある。
グツグツと煮ると細胞核が割れて魔力水がしみ出してくる。
出汁殻になった薬草を採りだして、冷ますと分離する。
本来は秘薬を混ぜて分離を促進するが、ここは魔法で魔法水だけ取り出した。
取り出した魔力水をグツグツと煮て水分を飛ばす。
最後に残った水分も魔力で飛ばし、葛水を混ぜて完成だ。
超々最上級回復ポーションに葛水を入れると最上級回復ポーションに劣化する。
だが、激マズの回復ポーションなんて飲みたくない。
俺のお腹の消化が悪く、我慢して飲んでいたが、少しずつ成長しており、最上級回復ポーションでも効果が出るようになった。
しかも、葛粉には沢山のミネラルと糖度がある。
小腹が満たされるし、成長の助けになる。
因みに、葛粉の作り方は薬草とほぼ同じだ。
茹でて洗った根っこを叩いて潰す代わりに、魔力を通して細胞が分裂し易くする。
後は煮込んで分離させる。
根っこの固形物を魔法で濾過して取り除くと水分を飛ばして葛粉の完成だ。
不純物のない完全無欠の葛粉だ。
ここから純度を高めると砂糖になるが、折角のミネラルを飛ばすのは勿体ないのでそのまま回復ポーションに混ぜた。
食べられそうな海藻も見つけた。
イカや貝や昆布の干物は私のおやつだ。
カニを探したが、小指サイズの小さいカニしか見つからなかった。
残念だ。
他にも魔物や鯨の肉や大量の魚も影収納に入っている。
これだけ大量の食料を持ちながら、離乳食代わりの栄養ドリンクが私の食事だ。
実に味気ないな。
最近の悩みは魔石だ。
魔力の少なさを補う魔法具を造りたいが、肝心の魔石が手に入らない。
索敵魔法で魔物は逃げるなんて初めてだ。
しかし、魔石は魔道具に欠かせないアイテムだ。
唯一の長牙の虎の魔石は上物だった。
その割れた魔石を使って影収納を誤魔化す為の収納ポーチを作成した。
空間拡張した本物の魔道具だ。
他にも魔力消費が軽減される腕輪などを作成した。
まだ魔力量が少ない私の底上げだ。
次は魔法の杖でも造りたいが魔石がない。
だからと言って、逃げない碑石を護る魔物には手を出したくない。
あれはヤバい奴だ。
おそらく何らかの結界になっており、私はその結界の内側に入るのは躊躇って、その外側を移動していた。
日が暮れてやっと対岸が近づいて来た。
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火事があった場所までまだまだ遠い。
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