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14. 僕だってどうしようもない *

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「あっ……ん、そこ……はぁっ」

 くちゅっ、と濡れた音を立てたそこは、ルカスさんの指で中を柔らかくほぐされていた。人の指を埋め込まれたことなんて初めてなのに、硬く長いルカスさんの指の一本を難なく飲み込んで。それからすぐに二本に増えた。
 今はその二本の指がぐちゃぐちゃと卑猥な音をさせながら、僕の中を掻き回している。

 抜き挿しをされるたびに、体はびくびくと跳ねてしまって。
 ルカスさんに与えられる快楽に、頭も体もどうにかなりそうだった。

「気持ちいい? 尻尾、ふりふりしてる」
「えっ? ……あっ、ひっ! あふっ……尻尾、だめぇっ」

 ルカスさんは、僕の揺れる尻尾をそぅっと撫でた。
 尻尾は敏感な場所だから、そこを性的な手つきで撫でられるのはぞくぞくする。強く握られることはないから、痛くない。それよりはむず痒さとか、こそばゆい感じが尻尾から背筋に伝ってくる。

「猫は、尻尾の付け根がいいんだっけ?」
「へ……? ひぁっ! あうっ、あっ、にゃうっ!」

 くるりとうつ伏せにさせられると、尻尾の付け根をトントンと甘い手つきで叩かれる。時折強く、そして弱く……緩急をつけて尻尾の付け根を叩かれると、今まで感じたことのない気持ち良さが体を突き抜けた。尻尾の付け根は特に敏感で、性感帯なんだってことを僕は身をもって知った。
 その間にも後孔の中を指で弄られて、頭の中でチカチカと光が弾ける。

「あっ……あっ、もう……ルカスさ、ぁ……っ」
「俺も。もう挿れたい」

 切なげな声を上げると、ルカスさんは僕のお尻を高く上げた。獣人じゃない動物の猫のように四つん這いで、お尻を突き出した格好に尻尾はピンと立ち上がる。期待してるのが丸わかりだけど、僕だってどうしようもない。
 獣人にとって耳と尻尾は、時に目や口よりも素直にものを言う。

「アンデシュ……」
「ルカスさ、あぁっ! んっ……にゃっ、ああぁっ!」

 名前を呼ばれて、猫の耳を食まれると、僕の中にぐぷりと熱く猛ったものが入ってきた。指なんて目じゃないほどの質量に、耐えきれなかった声が漏れる。自分でも驚くくらい甘ったるい声に目が眩みそうになるけど、それを引き戻すようにルカスさんがぐいぐい腰を進めてきた。

「っ、はぁ……ぜんぶ、入った」

 しばらくすると、背後から感極まったようなルカスさんの声がした。
 全部って、ルカスさんの勃ち上がったあれのことだよね? それが全部入ったってことに、僕は無意識のうちに体を震わせた。……なんだか、とっても嬉しかったんだ。

 あの美男が、僕のことを抱いてくれてるってことも。聞いたことのない色っぽい声を響かせることも。僕で気持ちよくなってくれてるって肌で、耳で、中で感じて、体が喜んじゃってた。

「アンデシュのなか、すっごく熱い。はぁ……むり。これ以上は待てない」

 熱い吐息混じりのルカスさんは、僕の腰をがっしり掴んで、大きな性器を注挿し始める。最初はゆっくりだった腰の振りは、徐々に激しさを増していく。
 ばちゅん、ばちゅんと肌が打ちつけあう音が響く頃には、僕は体を支えることができずに、ルカスさんにされるがまま。今なお鎖と布で拘束された手から伸びる指でシーツを握り締めて、快楽に溺れていた。

 僕のこじんまりとしたベッドがぎしぎしと揺れる。
 持ち上げられた尻には止めどなく、見事に怒張した性器が穿たれ、中を擦り上げ、捏ねくり回されて……達してもいないのに、僕の性器からはトロトロと白濁が溢れてしまっていた。

「あんっ、ゃ、あっ……ふ、んあぁっ!」

 耳と尻尾を愛撫されながら、中を激しく突かれると何も考えられなくて。気持ちいいって感覚だけが、ぶわぁーって僕を体の真ん中から指先まで痺れさせる。ひっきりなしに溢れる喘ぎ声がはしたないって思ったけど、止めることなんて全然できやしない。
 体が溶け出してしまいそうで、留まる方法を失った僕自身がぐずぐすに蕩けて溢れてしまいそう。

「あっ、る、ルカス、さっ……だめ、も……おかし、くな、ちゃっ」
「いいよ、おかしくなって。一緒に、イこっか……ん、っ!」

 いっそう強く、深く突き立てられたところで、僕は本当に体がどろりとけたような感覚に陥って。それから何かが弾けたように頭が真っ白になって。
 気持ちがいいままに、僕は快楽の海へと意識を飛ばした。


 ◇◇◇
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