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第一章

01. プロローグ

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 硝煙の匂い。
 焦げた木の匂い。
 風にのった土埃に混じって届くのは、噎せ返りそうな血の匂い。

 体の痛みは、とうに感じなくなっていた。
 熱いのか、寒いのかさえわからない。

 ああ、もう一度あの人に会いたい。
 たった一目でもいい。
 あの薄水色の瞳を歪ませて、「またバカなことを」と呆れたように笑って。
 冷たい月のような容姿に反した、あの人の温かな心をほんのわずかでも感じることができたのなら。
 あなたの顔を、もう一度見ることができたのなら。
 どんなに幸せな人生だっただろう、と。

 この命はもう潰えようとしているけれど、どうか、あなたの顔を、もう一度。
 もう一度だけ、最期に、あなたに会いたかった——。





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