39 / 45
第四章:かりそめの婚約。その終わり
38:王位継承者
しおりを挟む
意味が飲み込めない。
だが、『勢州』という言葉は、確かに、幼い彼女の記憶の片隅におぼろげに残っていた。大きな屋敷の中、己を疎む人々に囲まれ、本当の家族を持たずに暮らしていた辛い日々の記憶の中に。
小野は続いて、若榴に視線を移す。
「そして、ここにいらっしゃる若榴様もまた、勢州の血を引いておられる方だ。つまり、若榴様は君の義理の兄であり、我が国の正統な王位継承者にふさわしい」
睡蓮は、隻眼の少年の顔を見た。ここからでは彼の表情はわからない。
仮に、もし小野という軍人の言うことが全て正しいのであれば、彼女の中に昔からあった小さな疑問は解消する。
何故、若榴は遊郭から逃げ出した自分を拾ったのか。そして、何故、人斬りとして育てたのか。
その答は、自分が彼と同じく、滅ぼされた勢州の一族の生き残りだったから。現在の皇城を討ち果たす仲間になり得ると考えたから。
「私は、若榴様と睡蓮様に、この国の新たな指導者になっていただきたい。そうすることで、この国を正しい方向に導けると考えているのです。そのために、少々手荒なことをしてしまったが、容赦いただきたい」
「…………」
そう言いながら、小野は睡蓮の拘束を解く素振りはみじんも見せない。
彼から告げられた自分の過去に、全く動揺しなかったといったら嘘になる。
だが、心の中は急速に冷めていくのがわかる。それがどうしたというのだ。今の自分には全く関係がない話だ。本当の家族を持っていない自分に、血族だの血筋だの言われても、なにも感じない。
睡蓮は手を縛る縄がかなり緩んできたのを感じていた。目の前の二人に悟られぬよう、慎重に縄から手を引き出していく。
若榴が薄笑いを浮かべて言った。
「きれい事を言うが、結局、君は軍人のくせに、家の商売のことしか考えていない、『政商』ということだな」
「ふふ。手厳しいことをおっしゃられますね。ですが、若榴様は一族再興の悲願を果たされ、私はそれを財務面でご支援する。お互いに利益のあるお取引かと」
「それにしても、よくわからないな。君の本当の目的が金にあるといえ、仮にも帝国主義国家の樹立を目指しているんだ。にも関わらず、民主主義を求める新時代主義の連中をテロ活動に利用していたのはなぜなんだ?」
それから若榴が愚痴っぽく付け加えた。
「頭でっかちの連中をたきつけて動かすのは少々骨が折れたもんでね」
小野は口の端を曲げ、どこか嘲るかのように言った。
「答は簡単ですよ。一つは、目くらましです。北探――北部連邦の息のかかった者が動いていると官憲に悟られないためです。それと、あともう一つは、平和ぼけしている連中をあざ笑ってやりたいというのもありましたね。民衆中心の政治体制の実現、特権階級の廃止などと奴らは言いますが、そもそも、敵視の対象である権力者たちが西側諸国にすりよっているからこそ、この国では中途半端に民主主義が息づいているという事実に全く気づいていない。奴らの活動の結果、この国が東側と手を組み、真の帝国へと進化を遂げたら、それはあまりにも愉快なことじゃないかと思ったわけです」
小野が自分に酔ったようにしゃべっている間に、睡蓮は己の両手を縄から解放させることに成功していた。
機会は一度きり。
小野が視線を天井に向けた一瞬の隙をついて、彼女は発条のように上半身を起こすと、彼の首の後ろに手刀をたたき込む――
「…………っ!!」
だが、その寸前、彼女の腕は若榴によってつかまれていた。
そのまま腕をひねられ、背中から床にたたきつけられる。衝撃で息がとまり、身動きがとれなくなる。
「ああ、驚いたな。まったく、これから嫁入りをするというのにはしたないな」
小野が笑顔で軽口を叩き、靴で睡蓮の腹に蹴りを入れる。
「もっともこういう余興が見たくて、若榴様にわざと緩く縄を縛るようにご依頼したんだけどね。……そういうわけで、君には、新たな皇城の姫君、すなわち、中宮陛下として、この国を率いていってもらいたいんだけど、どうかな?」
強烈な痛みに激しく咳き込みながら、睡蓮は小野の顔をにらみつける。
生まれてから本当の家族を持ったことのない自分に、血筋というものほど空虚な言葉は無い。
「気が向かない? それなら、君に一つ、良いことを教えるよ。如月龍進の正体についてだ。それを知れば、きっと君は自ら女王になろうと考えを改めるよ」
この男は一体なにを言っている? 旦那様の正体……?
小野は口の端を曲げて、ゆっくりと言った。
「彼は……、如月龍進は、大君殿下の腹違いの兄であり、前帝の隠し子なんだ」
「…………っ」
息を呑んだ。
「信じられない? だけどこれは事実であり、我が国の機密事項。皇城でも限られた者しか知らない。では、彼の母親が誰か、という疑問がわくだろうが、さすがにこれは僕にもわからない。ただ、おそらく名の知れた芸妓でないか、とは言われている。前帝と芸妓の間に隠し子がいるなどという話は、決して世の中に知られてはならないことだからね」
小野があたりを歩き回りながら、得意げな口調で続ける。
「そして、その秘密を知るのが、勢州の巫の一族だった。一説によると、なかなか子が授からない前帝に、巫たちは、芸妓と一時の契りを結ぶよう託宣を行ったとのこと。そうやって生まれたのが龍進。そして、その後、託宣の通り、見事に中宮もご懐妊され、今の帝がお生まれになったとのこと」
そして、睡蓮の背後に回り込むと、どことなく愉快そうな口調で言った。
「ですが、帝がどこの馬の骨ともわからぬ芸妓と契りを交わしたなどということが公になってはならない。その結果として、恩知らずな皇城の人々は、勢州の一族を滅ぼしてしまったわけ。一方の龍進は命を取られることはなく、素性を隠し、東北の華族である如月家に養子として出された。最も、それは皇城の策略で、大君の隠された兄として、大君の間諜として動かすためだ。私のような、帝に対する脅威を速やかに見つけ、排除するためにね」
睡蓮は、今度はさらに鮮明に、遠い過去の記憶を思い出した。
屋敷の中に横たわる、父や義母、数多の親族の遺体。炎に包まれた家々。山の中、血まみれの足で、追っ手から逃げる自分。
小野が、目を細める。
「さあ、これで理解出来ただろう? 如月龍進が生まれたから、君の一族は、そして、ご両親は殺された。つまり、彼は君にとって仇なんだよ」
「……うっ!?」
そう言うなり彼は、睡蓮の右手を軍靴で踏みつけた。
そして、声のトーンを一段上げ、両腕を広げる芝居がかった仕草で言った。
「さあ、若榴様、睡蓮様。今こそ、復讐を果たすべきです。本日の東京駅の爆破を号砲として、私たちとともに、この国に真の王朝を打ち立てようではありませんか!」
沈黙が落ちた
ややあって、
「……どうでもいいことです」
睡蓮の口から、発された一言。
投げやりな口調というよりは、どこか怒りを圧さえたような言い方だった。
「私の生まれなど、本当に、どうでもいいのです。私は既に何度も死んでいますし、今更、王朝がどうのこうの、全く興味がありません」
小野と若榴が、無言のまま睡蓮を見ている。
睡蓮は思う。
自分にもし、なにかやりたいことがあるとするなら、それは一つ。たとえ偽りでも、幸せな家庭生活を教えてくれた旦那様に……、龍進に、なんらかの恩返しがしたい。
はじめて自分に、生きる意味を、家族の温かさを教えてくれた人だから。たとえそれが偽りのものであっても。
睡蓮は唇をかみしめる。
今、自分があの人の役に立てることがあるとするなら……。
「そうか、君は、新王朝の姫君にはならないというのか」
小野の声色が、すっと冷たいものに変わった。
だが、『勢州』という言葉は、確かに、幼い彼女の記憶の片隅におぼろげに残っていた。大きな屋敷の中、己を疎む人々に囲まれ、本当の家族を持たずに暮らしていた辛い日々の記憶の中に。
小野は続いて、若榴に視線を移す。
「そして、ここにいらっしゃる若榴様もまた、勢州の血を引いておられる方だ。つまり、若榴様は君の義理の兄であり、我が国の正統な王位継承者にふさわしい」
睡蓮は、隻眼の少年の顔を見た。ここからでは彼の表情はわからない。
仮に、もし小野という軍人の言うことが全て正しいのであれば、彼女の中に昔からあった小さな疑問は解消する。
何故、若榴は遊郭から逃げ出した自分を拾ったのか。そして、何故、人斬りとして育てたのか。
その答は、自分が彼と同じく、滅ぼされた勢州の一族の生き残りだったから。現在の皇城を討ち果たす仲間になり得ると考えたから。
「私は、若榴様と睡蓮様に、この国の新たな指導者になっていただきたい。そうすることで、この国を正しい方向に導けると考えているのです。そのために、少々手荒なことをしてしまったが、容赦いただきたい」
「…………」
そう言いながら、小野は睡蓮の拘束を解く素振りはみじんも見せない。
彼から告げられた自分の過去に、全く動揺しなかったといったら嘘になる。
だが、心の中は急速に冷めていくのがわかる。それがどうしたというのだ。今の自分には全く関係がない話だ。本当の家族を持っていない自分に、血族だの血筋だの言われても、なにも感じない。
睡蓮は手を縛る縄がかなり緩んできたのを感じていた。目の前の二人に悟られぬよう、慎重に縄から手を引き出していく。
若榴が薄笑いを浮かべて言った。
「きれい事を言うが、結局、君は軍人のくせに、家の商売のことしか考えていない、『政商』ということだな」
「ふふ。手厳しいことをおっしゃられますね。ですが、若榴様は一族再興の悲願を果たされ、私はそれを財務面でご支援する。お互いに利益のあるお取引かと」
「それにしても、よくわからないな。君の本当の目的が金にあるといえ、仮にも帝国主義国家の樹立を目指しているんだ。にも関わらず、民主主義を求める新時代主義の連中をテロ活動に利用していたのはなぜなんだ?」
それから若榴が愚痴っぽく付け加えた。
「頭でっかちの連中をたきつけて動かすのは少々骨が折れたもんでね」
小野は口の端を曲げ、どこか嘲るかのように言った。
「答は簡単ですよ。一つは、目くらましです。北探――北部連邦の息のかかった者が動いていると官憲に悟られないためです。それと、あともう一つは、平和ぼけしている連中をあざ笑ってやりたいというのもありましたね。民衆中心の政治体制の実現、特権階級の廃止などと奴らは言いますが、そもそも、敵視の対象である権力者たちが西側諸国にすりよっているからこそ、この国では中途半端に民主主義が息づいているという事実に全く気づいていない。奴らの活動の結果、この国が東側と手を組み、真の帝国へと進化を遂げたら、それはあまりにも愉快なことじゃないかと思ったわけです」
小野が自分に酔ったようにしゃべっている間に、睡蓮は己の両手を縄から解放させることに成功していた。
機会は一度きり。
小野が視線を天井に向けた一瞬の隙をついて、彼女は発条のように上半身を起こすと、彼の首の後ろに手刀をたたき込む――
「…………っ!!」
だが、その寸前、彼女の腕は若榴によってつかまれていた。
そのまま腕をひねられ、背中から床にたたきつけられる。衝撃で息がとまり、身動きがとれなくなる。
「ああ、驚いたな。まったく、これから嫁入りをするというのにはしたないな」
小野が笑顔で軽口を叩き、靴で睡蓮の腹に蹴りを入れる。
「もっともこういう余興が見たくて、若榴様にわざと緩く縄を縛るようにご依頼したんだけどね。……そういうわけで、君には、新たな皇城の姫君、すなわち、中宮陛下として、この国を率いていってもらいたいんだけど、どうかな?」
強烈な痛みに激しく咳き込みながら、睡蓮は小野の顔をにらみつける。
生まれてから本当の家族を持ったことのない自分に、血筋というものほど空虚な言葉は無い。
「気が向かない? それなら、君に一つ、良いことを教えるよ。如月龍進の正体についてだ。それを知れば、きっと君は自ら女王になろうと考えを改めるよ」
この男は一体なにを言っている? 旦那様の正体……?
小野は口の端を曲げて、ゆっくりと言った。
「彼は……、如月龍進は、大君殿下の腹違いの兄であり、前帝の隠し子なんだ」
「…………っ」
息を呑んだ。
「信じられない? だけどこれは事実であり、我が国の機密事項。皇城でも限られた者しか知らない。では、彼の母親が誰か、という疑問がわくだろうが、さすがにこれは僕にもわからない。ただ、おそらく名の知れた芸妓でないか、とは言われている。前帝と芸妓の間に隠し子がいるなどという話は、決して世の中に知られてはならないことだからね」
小野があたりを歩き回りながら、得意げな口調で続ける。
「そして、その秘密を知るのが、勢州の巫の一族だった。一説によると、なかなか子が授からない前帝に、巫たちは、芸妓と一時の契りを結ぶよう託宣を行ったとのこと。そうやって生まれたのが龍進。そして、その後、託宣の通り、見事に中宮もご懐妊され、今の帝がお生まれになったとのこと」
そして、睡蓮の背後に回り込むと、どことなく愉快そうな口調で言った。
「ですが、帝がどこの馬の骨ともわからぬ芸妓と契りを交わしたなどということが公になってはならない。その結果として、恩知らずな皇城の人々は、勢州の一族を滅ぼしてしまったわけ。一方の龍進は命を取られることはなく、素性を隠し、東北の華族である如月家に養子として出された。最も、それは皇城の策略で、大君の隠された兄として、大君の間諜として動かすためだ。私のような、帝に対する脅威を速やかに見つけ、排除するためにね」
睡蓮は、今度はさらに鮮明に、遠い過去の記憶を思い出した。
屋敷の中に横たわる、父や義母、数多の親族の遺体。炎に包まれた家々。山の中、血まみれの足で、追っ手から逃げる自分。
小野が、目を細める。
「さあ、これで理解出来ただろう? 如月龍進が生まれたから、君の一族は、そして、ご両親は殺された。つまり、彼は君にとって仇なんだよ」
「……うっ!?」
そう言うなり彼は、睡蓮の右手を軍靴で踏みつけた。
そして、声のトーンを一段上げ、両腕を広げる芝居がかった仕草で言った。
「さあ、若榴様、睡蓮様。今こそ、復讐を果たすべきです。本日の東京駅の爆破を号砲として、私たちとともに、この国に真の王朝を打ち立てようではありませんか!」
沈黙が落ちた
ややあって、
「……どうでもいいことです」
睡蓮の口から、発された一言。
投げやりな口調というよりは、どこか怒りを圧さえたような言い方だった。
「私の生まれなど、本当に、どうでもいいのです。私は既に何度も死んでいますし、今更、王朝がどうのこうの、全く興味がありません」
小野と若榴が、無言のまま睡蓮を見ている。
睡蓮は思う。
自分にもし、なにかやりたいことがあるとするなら、それは一つ。たとえ偽りでも、幸せな家庭生活を教えてくれた旦那様に……、龍進に、なんらかの恩返しがしたい。
はじめて自分に、生きる意味を、家族の温かさを教えてくれた人だから。たとえそれが偽りのものであっても。
睡蓮は唇をかみしめる。
今、自分があの人の役に立てることがあるとするなら……。
「そうか、君は、新王朝の姫君にはならないというのか」
小野の声色が、すっと冷たいものに変わった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
金沢ひがし茶屋街 雨天様のお茶屋敷
河野美姫
キャラ文芸
古都・金沢、加賀百万石の城下町のお茶屋街で巡り会う、不思議なご縁。
雨の神様がもてなす甘味処。
祖母を亡くしたばかりの大学生のひかりは、ひとりで金沢にある祖母の家を訪れ、祖母と何度も足を運んだひがし茶屋街で銀髪の青年と出会う。
彼は、このひがし茶屋街に棲む神様で、自身が守る屋敷にやって来た者たちの傷ついた心を癒やしているのだと言う。
心の拠り所を失くしたばかりのひかりは、意図せずにその屋敷で過ごすことになってしまいーー?
神様と双子の狐の神使、そしてひとりの女子大生が紡ぐ、ひと夏の優しい物語。
アルファポリス 2021/12/22~2022/1/21
※こちらの作品はノベマ!様・エブリスタ様でも公開中(完結済)です。
(2019年に書いた作品をブラッシュアップしています)
【完結】召しませ神様おむすび処〜メニューは一択。思い出の味のみ〜
四片霞彩
キャラ文芸
【第6回ほっこり・じんわり大賞にて奨励賞を受賞いたしました🌸】
応援いただいた皆様、お読みいただいた皆様、本当にありがとうございました!
❁.。.:*:.。.✽.。.:*:.。.❁.。.:*:.。.✽.。.:*:.。.❁.。.
疲れた時は神様のおにぎり処に足を運んで。店主の豊穣の神が握るおにぎりが貴方を癒してくれる。
ここは人もあやかしも神も訪れるおむすび処。メニューは一択。店主にとっての思い出の味のみ――。
大学進学を機に田舎から都会に上京した伊勢山莉亜は、都会に馴染めず、居場所のなさを感じていた。
とある夕方、花見で立ち寄った公園で人のいない場所を探していると、キジ白の猫である神使のハルに導かれて、名前を忘れた豊穣の神・蓬が営むおむすび処に辿り着く。
自分が使役する神使のハルが迷惑を掛けたお詫びとして、おむすび処の唯一のメニューである塩おにぎりをご馳走してくれる蓬。おにぎりを食べた莉亜は心を解きほぐされ、今まで溜めこんでいた感情を吐露して泣き出してしまうのだった。
店に通うようになった莉亜は、蓬が料理人として致命的なある物を失っていることを知ってしまう。そして、それを失っている蓬は近い内に消滅してしまうとも。
それでも蓬は自身が消える時までおにぎりを握り続け、店を開けるという。
そこにはおむすび処の唯一のメニューである塩おにぎりと、かつて蓬を信仰していた人間・セイとの間にあった優しい思い出と大切な借り物、そして蓬が犯した取り返しのつかない罪が深く関わっていたのだった。
「これも俺の運命だ。アイツが現れるまで、ここでアイツから借りたものを守り続けること。それが俺に出来る、唯一の贖罪だ」
蓬を助けるには、豊穣の神としての蓬の名前とセイとの思い出の味という塩おにぎりが必要だという。
莉亜は蓬とセイのために、蓬の名前とセイとの思い出の味を見つけると決意するがーー。
蓬がセイに犯した罪とは、そして蓬は名前と思い出の味を思い出せるのかーー。
❁.。.:*:.。.✽.。.:*:.。.❁.。.:*:.。.✽.。.:*:.。.❁.。.
※ノベマに掲載していた短編作品を加筆、修正した長編作品になります。
※ほっこり・じんわり大賞の応募について、運営様より許可をいただいております。
裏吉原あやかし語り
石田空
キャラ文芸
「堀の向こうには裏吉原があり、そこでは苦界の苦しみはないよ」
吉原に売られ、顔の火傷が原因で年季が明けるまで下働きとしてこき使われている音羽は、火事の日、遊女たちの噂になっている裏吉原に行けると信じて、堀に飛び込んだ。
そこで待っていたのは、人間のいない裏吉原。ここを出るためにはどのみち徳を積まないと出られないというあやかしだけの街だった。
「極楽浄土にそんな簡単に行けたら苦労はしないさね。あたしたちができるのは、ひとの苦しみを分かつことだけさ」
自称魔女の柊野に拾われた音羽は、裏吉原のひとびとの悩みを分かつ手伝いをはじめることになる。
*カクヨム、エブリスタ、pixivにも掲載しております。
口づけからはじまるかりそめ夫婦、道中お気をつけて~契約婚のはずが、なぜか夫から本気の求婚をされながら勾玉集めの旅をしています〜
星名 泉花
キャラ文芸
穂乃花は巫女姉妹の七女。八ツ俣(やつまた)を封じるために姉妹全員で人柱となった。
だが穂乃花が暴走したことで封印は失敗した。
時は流れ、穂乃花は八ツ俣封じのために再び目を覚ます……がまさかの口づけをきっかけに起きてしまった!
なんだかんだと一悶着があったものの、乙女の唇を奪った深琴と「かりそめ夫婦」となり旅をすることとなる。
姉妹たちに会いに行き、罪滅ぼしのために勾玉を集めていくが、道中「かりそめ夫婦」として深琴に振り回されて……。
やがて八ツ俣退治で起きた裏側を知ることとなり、穂乃花の運命が翻弄されていく。
「狭間の巫女」
それが八人姉妹の七女・穂乃花の宿命でーー。
可憐な乙女が「かりそめ夫婦」として八ツ俣退治に向かって奮闘する和風恋愛ファンタジー🌸
「さぁ、この旅の道中お気をつけてお進み下さい」
大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
菱沼あゆ
キャラ文芸
華族の三条家の跡取り息子、三条行正と見合い結婚することになった咲子。
だが、軍人の行正は、整いすぎた美形な上に、あまりしゃべらない。
蝋人形みたいだ……と見合いの席で怯える咲子だったが。
実は、咲子には、人の心を読めるチカラがあって――。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
【2章完結】あやかし嫁取り婚~龍神の契約妻になりました~
椿蛍
キャラ文芸
出会って間もない相手と結婚した――人ではないと知りながら。
あやかしたちは、それぞれの一族の血を残すため、人により近づくため。
特異な力を持った人間の娘を必要としていた。
彼らは、私が持つ『文様を盗み、身に宿す』能力に目をつけた。
『これは、あやかしの嫁取り戦』
身を守るため、私は形だけの結婚を選ぶ――
※二章までで、いったん完結します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる