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第四章:かりそめの婚約。その終わり
36:睡蓮の行方
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龍進は迎賓館を退出する人々を横目に、建物内で睡蓮の行方を捜していた。表向きは、まだこの建物にとどまっている大君の警ら業務ということで、平静を装った表情をしているものの、内心では自分でも驚くくらい焦燥に駆られていた。
彼女の行方がわからなくなってから、まもなく一時間が経とうとしている。
「少佐、誠に、誠に、申し訳ございません! 私が無責任にも席を外したばかりに……!」
二階堂が青ざめた表情で何度も頭を下げるのを、手で制する。
「いや、君が責任を感じることなど何一つない。そもそも彼女は、軍人の嫁になる女性だ。そう滅多なことにはならないだろう」
それに、中佐の呼び出しとは言え、あの場で彼女を一人にしたのは自分だ。責められるべきは自分である。
「悪いが、もう一度、二階の各部屋を探してきてはもらえないだろうか」
「かしこまりました」
二階堂が大階段を上っていくのを見届けると、龍進は再び一階の各部屋を探して周り、途中で三郎がいる小部屋へと訪れた。
龍進が入ってくると、三郎が給仕に猿轡をかませて尋問を中断し、眉間に皺を寄せて肩越しに振り返る。
「彼女は見つかったのか?」
「いや、まだだ」
「ということは、奴が裏切った可能性もある、ということか……」
「そんなことはない!!」
途端、龍進の口から出た感情的な言葉は、彼自身をも驚かせた。
すぐに、はっ、としたように表情になり、気まずそうに言う。
「……すまない。声を荒げてしまった」
三郎はしばらく沈黙したのち、幼少のころからの友人に対して、言い聞かせるように、静かに落ち着いた声で言った。
「なあ、龍進、おまえの気持ちはわかるが、あらゆる可能性を排除しないでほしいんだ。それがおまえに求められていることだ」
「君の言うとおりだ。ありがとう」
龍進は短くうなずく。
こういうときこそ、冷静さを失ってはならない。それを気づかせてくれた三郎に感謝すべきだ。
三郎が続けて言う。
「大きく二つの可能性があるな。一つは彼女の意思で出て行った。もう一つは連れ去られた」
「ああ。前者なら、とらわれの身からの解放を目的に、ただ逃走を図ったか、あるいは、この期に乗じてテロリストと合流しようとしたか、だ。若榴という首謀者は未だつかまっていない」
「ただ、自らテロリストと合流を図った可能性は低いかもしれない。俺だったら、あの部屋にあった玉をいくつか持って行くだろう。折角の貴重な爆弾だ。彼女はそれをしなかった」
「とすると、後者の可能性を考えたい。二階堂軍曹によれば、彼が厠から部屋に戻ってきたときには、部屋の窓が開いていたということだった。第三者がそこから入ってきたか、あるいは、第三者に彼女が導かれ、窓から外に出たか、だ」
龍進は背中が泡立つのを感じた。
もし彼女が連れ去られたとした場合、それは人斬りとしての彼女以上の力量を持つ人間に他ならない。とすると、思い当たるのは現時点で一名しかいない。
「……う、うーっ!」
そのとき、足下からうめき声が聞こえた。猿轡をかまされたまま床に転がされていた給仕からだ。
「うるせーぞ!」
三郎が足蹴にしようとしたのを、龍進が「待て」と止める。
「なにか言いたいことがありそうだ」
猿轡を外すと、給仕はひとしきり咳き込んだ後、青白い顔をして言った。
「あ……の……! 一つ思い出したことがありまして……! いえ、決して、意図的に隠そうとしていたわけではなく……」
「なんだ? 早く言え!」
「そ、その前に、軍人様……! 申し上げたら、私の罪は軽くなりますでしょうか……!? じ、自白、ということで、私には妻子もおり……」
「いいから、言えってんだ!!」
「ひいい!?」
三郎に髪の毛をつかまれた給仕が、悲鳴を上げながら言った。
「お、男が、わ、私にっ……、い、依頼をしてきたとき、正確には、こう言ったんです! ……な、仲間が役者を迎えに行く前に、逃げ出せ、って……! なんか奇妙だなと思ったのですが、とにかく早くしろ、という意味にとりました!」
「……役者を、迎えに……」
龍進は三郎と顔を見合わせる。
「そ、そうです! あ、あの……! 隠していたわけではないのです! さっき、軍人様達が、連れ去られたかも、などとお話になっていらっしゃったので、そのことを思い出して……! し、信じてください!」
男は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら懇願してくる。
役者……。この場合は、睡蓮のことを意味していると考えるのが自然だ。
龍進の頭の中で、悪い予感が膨らんでくる。
役者は、舞台の上で演じるのが生業だ。
つまり、この後にも役者が演じる舞台が用意されているということだ。迎賓館が舞台の第一幕とするならば、この後、第二幕がある……。
努めて平静を保ちつつ、男の顔をのぞき込みながら尋ねた。
「改めて尋ねていいだろうか? 君は、その男から、どうやって逃げろと指示されたんだ?」
「て、鉄道で……! 東京駅から乗れと言われて……! 切符も渡されました!」
三郎が押収した切符を取り出して見せてくれた。
券面に記載されていたのは、東京駅発 発車時刻は二十一時二十分。
一方、懐中時計が刻んでいる現在時刻は、二十時三十五分。
龍進は立ち上がると、三郎に、小声で、だが、鋭く命じた。
「今すぐに、東京駅を閉鎖するように伝えろ。――テロリストの残党が、女王陛下もろとも、駅の爆破を計画している」
「わかった」
部屋の外に控えていた下士官達にその場を任せ、三郎が駆け出していく。
一方の龍進は、控え室にいる大君へ報告すべく、迎賓館の廊下を走りながら、唇をきつくかんだ。
迎賓館はおとりだったのだ。奴らの本当の狙いは、東京駅だ。
今頃、東京駅の構内は、横浜方面に帰る晩餐会帰りの人々でごった返している。
「大君、急ぎご報告申し上げます」
ノックもそこそこに控え室に入ると、窓際に立っていた大君が険しい表情をこちらに向けた。
龍進の説明を聞くと、落ち着いた声で言う。
「そうか。まずは来賓の安全を最優先に対応してほしい」
「はい、三郎以下、信頼のおける者を向かわせました」
と、大君が目を細める。
「兄さんもこれから向かわれますよね? 睡蓮様をお迎えに」
「…………」
龍進は一瞬、言葉に詰まった。
いや、なにを迷っている。ここでの回答は一つしかないはずだ。
「……いいえ、私はここに残ります。この国の元首たる大君をお守りするのが私の役目。東京駅ですらも、彼らの陽動の可能性がありますゆえ」
その声は、自分でも驚くほど弱々しく、動揺の色が見て取れた。
大君が沈黙し、龍進の目を見つめる。
それからややあって、口を開く。
「それは、兄さんの本当の気持ちでしょうか。私には、とても、そうは思えません」
「…………しかし」
語気を強められる。
「家族の絆よりも大切なものはないと、私は思うのです」
不意に、龍進の脳裏に睡蓮の顔が浮かんだ。
屋敷に来たばかりのときによく見せた、全てを諦めたような儚げな顔。
一緒に百貨店や洋食店に出かけ、真新しいものを目にしたときの驚いた表情。
夜遅く、二人でピアノを弾いているときに見せた、満ち足りたような笑顔。
そして、ドレスを纏い、共にダンスを踊っているときに見せた、艶っぽく、大人を感じさせる顔。
「…………っ」
息を呑む。
気づくと、龍進はその場に片膝をついていた。
「陛下、お願いがございます。睡蓮を……、私の婚約者を助けに向かってもよろしいでしょうか」
「許可など不要です」
龍進は深く頭を下げると、部屋を辞すなり、外に向かって廊下を駆け出していく。
「ようやく、兄さんも自分の気持ちに正直になれましたね」
窓の外、駅に向かって急発進する兄が乗った軍用車を見送りながら、大君は少し寂しそうな笑顔を浮かべた。
彼女の行方がわからなくなってから、まもなく一時間が経とうとしている。
「少佐、誠に、誠に、申し訳ございません! 私が無責任にも席を外したばかりに……!」
二階堂が青ざめた表情で何度も頭を下げるのを、手で制する。
「いや、君が責任を感じることなど何一つない。そもそも彼女は、軍人の嫁になる女性だ。そう滅多なことにはならないだろう」
それに、中佐の呼び出しとは言え、あの場で彼女を一人にしたのは自分だ。責められるべきは自分である。
「悪いが、もう一度、二階の各部屋を探してきてはもらえないだろうか」
「かしこまりました」
二階堂が大階段を上っていくのを見届けると、龍進は再び一階の各部屋を探して周り、途中で三郎がいる小部屋へと訪れた。
龍進が入ってくると、三郎が給仕に猿轡をかませて尋問を中断し、眉間に皺を寄せて肩越しに振り返る。
「彼女は見つかったのか?」
「いや、まだだ」
「ということは、奴が裏切った可能性もある、ということか……」
「そんなことはない!!」
途端、龍進の口から出た感情的な言葉は、彼自身をも驚かせた。
すぐに、はっ、としたように表情になり、気まずそうに言う。
「……すまない。声を荒げてしまった」
三郎はしばらく沈黙したのち、幼少のころからの友人に対して、言い聞かせるように、静かに落ち着いた声で言った。
「なあ、龍進、おまえの気持ちはわかるが、あらゆる可能性を排除しないでほしいんだ。それがおまえに求められていることだ」
「君の言うとおりだ。ありがとう」
龍進は短くうなずく。
こういうときこそ、冷静さを失ってはならない。それを気づかせてくれた三郎に感謝すべきだ。
三郎が続けて言う。
「大きく二つの可能性があるな。一つは彼女の意思で出て行った。もう一つは連れ去られた」
「ああ。前者なら、とらわれの身からの解放を目的に、ただ逃走を図ったか、あるいは、この期に乗じてテロリストと合流しようとしたか、だ。若榴という首謀者は未だつかまっていない」
「ただ、自らテロリストと合流を図った可能性は低いかもしれない。俺だったら、あの部屋にあった玉をいくつか持って行くだろう。折角の貴重な爆弾だ。彼女はそれをしなかった」
「とすると、後者の可能性を考えたい。二階堂軍曹によれば、彼が厠から部屋に戻ってきたときには、部屋の窓が開いていたということだった。第三者がそこから入ってきたか、あるいは、第三者に彼女が導かれ、窓から外に出たか、だ」
龍進は背中が泡立つのを感じた。
もし彼女が連れ去られたとした場合、それは人斬りとしての彼女以上の力量を持つ人間に他ならない。とすると、思い当たるのは現時点で一名しかいない。
「……う、うーっ!」
そのとき、足下からうめき声が聞こえた。猿轡をかまされたまま床に転がされていた給仕からだ。
「うるせーぞ!」
三郎が足蹴にしようとしたのを、龍進が「待て」と止める。
「なにか言いたいことがありそうだ」
猿轡を外すと、給仕はひとしきり咳き込んだ後、青白い顔をして言った。
「あ……の……! 一つ思い出したことがありまして……! いえ、決して、意図的に隠そうとしていたわけではなく……」
「なんだ? 早く言え!」
「そ、その前に、軍人様……! 申し上げたら、私の罪は軽くなりますでしょうか……!? じ、自白、ということで、私には妻子もおり……」
「いいから、言えってんだ!!」
「ひいい!?」
三郎に髪の毛をつかまれた給仕が、悲鳴を上げながら言った。
「お、男が、わ、私にっ……、い、依頼をしてきたとき、正確には、こう言ったんです! ……な、仲間が役者を迎えに行く前に、逃げ出せ、って……! なんか奇妙だなと思ったのですが、とにかく早くしろ、という意味にとりました!」
「……役者を、迎えに……」
龍進は三郎と顔を見合わせる。
「そ、そうです! あ、あの……! 隠していたわけではないのです! さっき、軍人様達が、連れ去られたかも、などとお話になっていらっしゃったので、そのことを思い出して……! し、信じてください!」
男は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら懇願してくる。
役者……。この場合は、睡蓮のことを意味していると考えるのが自然だ。
龍進の頭の中で、悪い予感が膨らんでくる。
役者は、舞台の上で演じるのが生業だ。
つまり、この後にも役者が演じる舞台が用意されているということだ。迎賓館が舞台の第一幕とするならば、この後、第二幕がある……。
努めて平静を保ちつつ、男の顔をのぞき込みながら尋ねた。
「改めて尋ねていいだろうか? 君は、その男から、どうやって逃げろと指示されたんだ?」
「て、鉄道で……! 東京駅から乗れと言われて……! 切符も渡されました!」
三郎が押収した切符を取り出して見せてくれた。
券面に記載されていたのは、東京駅発 発車時刻は二十一時二十分。
一方、懐中時計が刻んでいる現在時刻は、二十時三十五分。
龍進は立ち上がると、三郎に、小声で、だが、鋭く命じた。
「今すぐに、東京駅を閉鎖するように伝えろ。――テロリストの残党が、女王陛下もろとも、駅の爆破を計画している」
「わかった」
部屋の外に控えていた下士官達にその場を任せ、三郎が駆け出していく。
一方の龍進は、控え室にいる大君へ報告すべく、迎賓館の廊下を走りながら、唇をきつくかんだ。
迎賓館はおとりだったのだ。奴らの本当の狙いは、東京駅だ。
今頃、東京駅の構内は、横浜方面に帰る晩餐会帰りの人々でごった返している。
「大君、急ぎご報告申し上げます」
ノックもそこそこに控え室に入ると、窓際に立っていた大君が険しい表情をこちらに向けた。
龍進の説明を聞くと、落ち着いた声で言う。
「そうか。まずは来賓の安全を最優先に対応してほしい」
「はい、三郎以下、信頼のおける者を向かわせました」
と、大君が目を細める。
「兄さんもこれから向かわれますよね? 睡蓮様をお迎えに」
「…………」
龍進は一瞬、言葉に詰まった。
いや、なにを迷っている。ここでの回答は一つしかないはずだ。
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その声は、自分でも驚くほど弱々しく、動揺の色が見て取れた。
大君が沈黙し、龍進の目を見つめる。
それからややあって、口を開く。
「それは、兄さんの本当の気持ちでしょうか。私には、とても、そうは思えません」
「…………しかし」
語気を強められる。
「家族の絆よりも大切なものはないと、私は思うのです」
不意に、龍進の脳裏に睡蓮の顔が浮かんだ。
屋敷に来たばかりのときによく見せた、全てを諦めたような儚げな顔。
一緒に百貨店や洋食店に出かけ、真新しいものを目にしたときの驚いた表情。
夜遅く、二人でピアノを弾いているときに見せた、満ち足りたような笑顔。
そして、ドレスを纏い、共にダンスを踊っているときに見せた、艶っぽく、大人を感じさせる顔。
「…………っ」
息を呑む。
気づくと、龍進はその場に片膝をついていた。
「陛下、お願いがございます。睡蓮を……、私の婚約者を助けに向かってもよろしいでしょうか」
「許可など不要です」
龍進は深く頭を下げると、部屋を辞すなり、外に向かって廊下を駆け出していく。
「ようやく、兄さんも自分の気持ちに正直になれましたね」
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