13 / 23
13.秘め事
しおりを挟む
展望台を出て、町まで戻ってくると、すっかり暗くなっていた。
「約束通り、着替えを買ってやる。どこの店がいい?」
繁華街を流すように走りながらジェフリーが聞いてくる。着替えたいといったのは、アデレイドと入れ替わるための口実だとも言えず、ハイジは困ってしまった。笑顔でごまかそうとしたが、ふと名案に気が付く。
「あ、あの、着替えではなく、携帯電話を買っていただけませんか?」
「携帯電話?」
「召使いやおばあ様たちを通さず、直接ジェフリー様と連絡が取れるようにしたいのです」
彼は、目を見開くようにしてハイジを見つめた。
携帯電話を持てば、ハイジがアデレイドのふりをしてジェフリーと会うことが可能だと思って言ってみたのだが、ずうずうしかっただろうか。ソーンダーズ学院で持っている貴族はそれほどいないから、軽蔑されたかもしれないとハイジは心配になる。
「あの……」
やっぱりいいです。
そういおうと思った時、ジェフリーが満面の笑顔を浮かべる。
「最新機種を買ってやる!」
上機嫌になった彼は、携帯電話の販売店へ向かった。
販売店に入ると、ハイジはジェフリーと並んでカウンター席に座る。一通りの説明を受けて、ハイジは、携帯電話に月々の使用料がかかることを知った。そのため、学生や未成年が携帯電話を持つには、信用のおける社会人が名義人でないと契約できないといわれて頭をかかる。
(どうしよう。ジェフリー様の名義で契約してもらうように頼めても、月々の支払いを私にすれば、すぐにばれてしまう)
ジェフリーの前でハイジの口座からの引き落とし手続きはできないし、郵便物のチェックはウルリヒやギーゼラがしているから、請求書を送ってもらうこともできない。
「名義は俺にして、こちらの口座から料金の引き落としをしてくれ」
ジェフリーが、店員にクレジットカードを渡す。彼にそこまで負担させるつもりがなかったハイジはびっくりした。
「俺がアデレイドに携帯電話を持たせたいのだから、俺が全部支払うよ」
ハイジにウインクをして、ジェフリーは契約書にさっさとサインをする。手続きを終えたあと、彼は、彼女に携帯電話を手渡してくれた。
「ありがとうございます。ジェフリー様」
彼に感謝しながら、ハイジはそれを胸に抱きしめた。
販売店を出て、ジェフリーが腕時計で時間を確認する。
「ちょうどいいくらいの時間だな。夕食はどこで食べたい?」
そう聞かれても、ハイジは貴族が行くようなレストランを知らない。
「お店のことはよく知りませんので、ジェフリー様にお任せします」
「うーん、でも俺が知っている店は、質より量の大衆食堂だからなあ……」
しばらく考えていた彼が、「そうだ、あのホテルへ行こう!」という。
ハイジは、ホテルと聞いて、性的な想像をしていまい、顔が熱くなった。尻込みしているハイジに気が付いて、ジェフリーは焦ったように言う。
「あ、いや、変な意味じゃなくて、そこのレストランへ行こうってことなんだ! 騎士仲間から、あのホテルの最上階にあるレストランに彼女を連れて行ったら喜んでもらったって、聞いたことがあって、それで……」
食事に行くだけだというので、彼女はほっとした。
彼が連れてきてくれたホテルは、王都でも最高級と言われる一流ホテルで、そこに入っているレストランだから高級店だ。
個室が完備されていて、小人数のテーブル席では、大きな窓から宝石箱のような夜景が見えた。
ジェフリーが料理のオーダーをしてくれたが、彼はハイジの倍以上の量を注文する。
「そんなに食べられるのですか?」
「ああ。上品な店だと、俺にとっては一人前の量が少ないんだ」
普段から量を多く出す大衆食堂で、大盛りを頼んでいるという。男性だから、騎士だから、ともいえるが、もともと大食漢のようだった。
順番に運ばれる料理の速度はジェフリーに合わされて、彼が二、三人前の食事をぺろりと平らげても、ハイジはまだ一人分のメインを食べていた。
「アデレイド、さっき渡した携帯電話を貸してくれるか?」
「はい」
デザートを待つ間に言われ、ハイジは鞄から携帯電話を取り出してジェフリーに手渡す。彼は自分の携帯電話をポケットから出して、何かの操作をする。彼も携帯電話を持っていたことに、ハイジは安心した。
「俺の携帯番号を登録したから、これでいつでも連絡を取り合うことができるぞ」
ジェフリーは、ほほ笑みながら携帯電話をハイジに返した。
「あの、ジェフリー様。この携帯電話のことは、誰にも内緒にしていただけますか?」
ハイジが頼むと、彼はけげんな顔をする。彼に不信感を抱かせないように、彼女は考えていた言い訳を言う。
「あの、おじい様とおばあ様はとても厳しくて、携帯電話を持っていることが知られると、取り上げられてしまいます」
「ああ、確かに。”高位の貴族は携帯電話を持たない”ってよく聞くから、由緒正しいフォールコン侯爵家なら、ありうるな」
取り上げられたら、直接ジェフリーと連絡を取り合うことができなくなるから困ると訴えると、彼も納得してくれた。
食事を終えてジェフリーにフォールコン侯爵家に送ってもらうと、もう夜分になっていた。
正門にかぎがかかっていたので、ハイジはインターフォンを押す。応答したウルリヒに帰宅を告げると、彼が出てきて門を開けてくれる。
「おかえりなさいませ、お嬢様。ジェフリー様は、ご足労いただきありがとうございました」
ハイジを中に入れて、ウルリヒはジェフリーに頭を下げると門を閉めようとした。
「フォールコン侯爵ご夫妻に、一言ご挨拶をしようと思うのだが」
ジェフリーが言うと、ウルリヒは首を振る。
「いいえ。そのようなお気遣いは無用だと伺っております。失礼いたします」
そういって、ウルリヒは門を閉めて鍵をかけた。門の柵越しに、ジェフリーは仕方なさそうに肩をすくめている。
「あの、今日はありがとうございました」
ハイジがお礼を言って頭を下げると、彼はほほ笑む。
「こっちこそ、ありがとう。じゃあ、アデレイド。またな」
ジェフリーは手を振って、門前に止めていた車に乗った。彼の車を見えなくなるまで見送っていると、ウルリヒが声をかける。
「お嬢様。大旦那様が執務室でお待ちです」
「執務室?」
「ジェフリー様と今日あったことを詳しくお聞きしたいとおっしゃっておられます」
ジェフリーと出かけることは彼が事前に許可を取ったはずだし、帰りがそれほど遅いわけでもない。
挨拶をするというジェフリーを追い返しておいて、デートの詳細を聞こうとする侯爵に、ハイジは不快感を感じる。
「先に離れに寄るわ。学院で明日使うものを置いているの。おじい様には、あとでお伺いすると伝えておいて」
そういうと、ウルリヒの返事を待たずにさっさと離れへ向かった。
「約束通り、着替えを買ってやる。どこの店がいい?」
繁華街を流すように走りながらジェフリーが聞いてくる。着替えたいといったのは、アデレイドと入れ替わるための口実だとも言えず、ハイジは困ってしまった。笑顔でごまかそうとしたが、ふと名案に気が付く。
「あ、あの、着替えではなく、携帯電話を買っていただけませんか?」
「携帯電話?」
「召使いやおばあ様たちを通さず、直接ジェフリー様と連絡が取れるようにしたいのです」
彼は、目を見開くようにしてハイジを見つめた。
携帯電話を持てば、ハイジがアデレイドのふりをしてジェフリーと会うことが可能だと思って言ってみたのだが、ずうずうしかっただろうか。ソーンダーズ学院で持っている貴族はそれほどいないから、軽蔑されたかもしれないとハイジは心配になる。
「あの……」
やっぱりいいです。
そういおうと思った時、ジェフリーが満面の笑顔を浮かべる。
「最新機種を買ってやる!」
上機嫌になった彼は、携帯電話の販売店へ向かった。
販売店に入ると、ハイジはジェフリーと並んでカウンター席に座る。一通りの説明を受けて、ハイジは、携帯電話に月々の使用料がかかることを知った。そのため、学生や未成年が携帯電話を持つには、信用のおける社会人が名義人でないと契約できないといわれて頭をかかる。
(どうしよう。ジェフリー様の名義で契約してもらうように頼めても、月々の支払いを私にすれば、すぐにばれてしまう)
ジェフリーの前でハイジの口座からの引き落とし手続きはできないし、郵便物のチェックはウルリヒやギーゼラがしているから、請求書を送ってもらうこともできない。
「名義は俺にして、こちらの口座から料金の引き落としをしてくれ」
ジェフリーが、店員にクレジットカードを渡す。彼にそこまで負担させるつもりがなかったハイジはびっくりした。
「俺がアデレイドに携帯電話を持たせたいのだから、俺が全部支払うよ」
ハイジにウインクをして、ジェフリーは契約書にさっさとサインをする。手続きを終えたあと、彼は、彼女に携帯電話を手渡してくれた。
「ありがとうございます。ジェフリー様」
彼に感謝しながら、ハイジはそれを胸に抱きしめた。
販売店を出て、ジェフリーが腕時計で時間を確認する。
「ちょうどいいくらいの時間だな。夕食はどこで食べたい?」
そう聞かれても、ハイジは貴族が行くようなレストランを知らない。
「お店のことはよく知りませんので、ジェフリー様にお任せします」
「うーん、でも俺が知っている店は、質より量の大衆食堂だからなあ……」
しばらく考えていた彼が、「そうだ、あのホテルへ行こう!」という。
ハイジは、ホテルと聞いて、性的な想像をしていまい、顔が熱くなった。尻込みしているハイジに気が付いて、ジェフリーは焦ったように言う。
「あ、いや、変な意味じゃなくて、そこのレストランへ行こうってことなんだ! 騎士仲間から、あのホテルの最上階にあるレストランに彼女を連れて行ったら喜んでもらったって、聞いたことがあって、それで……」
食事に行くだけだというので、彼女はほっとした。
彼が連れてきてくれたホテルは、王都でも最高級と言われる一流ホテルで、そこに入っているレストランだから高級店だ。
個室が完備されていて、小人数のテーブル席では、大きな窓から宝石箱のような夜景が見えた。
ジェフリーが料理のオーダーをしてくれたが、彼はハイジの倍以上の量を注文する。
「そんなに食べられるのですか?」
「ああ。上品な店だと、俺にとっては一人前の量が少ないんだ」
普段から量を多く出す大衆食堂で、大盛りを頼んでいるという。男性だから、騎士だから、ともいえるが、もともと大食漢のようだった。
順番に運ばれる料理の速度はジェフリーに合わされて、彼が二、三人前の食事をぺろりと平らげても、ハイジはまだ一人分のメインを食べていた。
「アデレイド、さっき渡した携帯電話を貸してくれるか?」
「はい」
デザートを待つ間に言われ、ハイジは鞄から携帯電話を取り出してジェフリーに手渡す。彼は自分の携帯電話をポケットから出して、何かの操作をする。彼も携帯電話を持っていたことに、ハイジは安心した。
「俺の携帯番号を登録したから、これでいつでも連絡を取り合うことができるぞ」
ジェフリーは、ほほ笑みながら携帯電話をハイジに返した。
「あの、ジェフリー様。この携帯電話のことは、誰にも内緒にしていただけますか?」
ハイジが頼むと、彼はけげんな顔をする。彼に不信感を抱かせないように、彼女は考えていた言い訳を言う。
「あの、おじい様とおばあ様はとても厳しくて、携帯電話を持っていることが知られると、取り上げられてしまいます」
「ああ、確かに。”高位の貴族は携帯電話を持たない”ってよく聞くから、由緒正しいフォールコン侯爵家なら、ありうるな」
取り上げられたら、直接ジェフリーと連絡を取り合うことができなくなるから困ると訴えると、彼も納得してくれた。
食事を終えてジェフリーにフォールコン侯爵家に送ってもらうと、もう夜分になっていた。
正門にかぎがかかっていたので、ハイジはインターフォンを押す。応答したウルリヒに帰宅を告げると、彼が出てきて門を開けてくれる。
「おかえりなさいませ、お嬢様。ジェフリー様は、ご足労いただきありがとうございました」
ハイジを中に入れて、ウルリヒはジェフリーに頭を下げると門を閉めようとした。
「フォールコン侯爵ご夫妻に、一言ご挨拶をしようと思うのだが」
ジェフリーが言うと、ウルリヒは首を振る。
「いいえ。そのようなお気遣いは無用だと伺っております。失礼いたします」
そういって、ウルリヒは門を閉めて鍵をかけた。門の柵越しに、ジェフリーは仕方なさそうに肩をすくめている。
「あの、今日はありがとうございました」
ハイジがお礼を言って頭を下げると、彼はほほ笑む。
「こっちこそ、ありがとう。じゃあ、アデレイド。またな」
ジェフリーは手を振って、門前に止めていた車に乗った。彼の車を見えなくなるまで見送っていると、ウルリヒが声をかける。
「お嬢様。大旦那様が執務室でお待ちです」
「執務室?」
「ジェフリー様と今日あったことを詳しくお聞きしたいとおっしゃっておられます」
ジェフリーと出かけることは彼が事前に許可を取ったはずだし、帰りがそれほど遅いわけでもない。
挨拶をするというジェフリーを追い返しておいて、デートの詳細を聞こうとする侯爵に、ハイジは不快感を感じる。
「先に離れに寄るわ。学院で明日使うものを置いているの。おじい様には、あとでお伺いすると伝えておいて」
そういうと、ウルリヒの返事を待たずにさっさと離れへ向かった。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
クーパー伯爵夫人の離縁
桃井すもも
恋愛
クーパー伯爵夫人コレットは離縁を待つ身である。
子を成せず夫からの愛も無い。
夫には既に愛を覚える女性がいる。
離縁された後、独り身になっても生家との縁は切れており戻る場所は無い。
これからどう生きようか。
コレットは思案する。
❇相変わらずの100%妄想の産物です。
❇妄想遠泳の果てに波打ち際に打ち上げられた妄想スイマーによる寝物語です。
疲れたお心とお身体を妄想で癒やして頂けますと泳ぎ甲斐があります。
❇座右の銘は「知らないことは書けない」「嘘をつくなら最後まで」。
❇例の如く、鬼の誤字脱字を修復すべく激しい微修正が入ります。
「間を置いて二度美味しい」とご笑覧下さい。
皇妃は寵愛を求めるのを止めて離宮に引き篭ることにしました。
鍋
恋愛
ネルネ皇国の后妃ケイトは、陰謀渦巻く後宮で毒を盛られ生死の境を彷徨った。
そこで思い出した前世の記憶。
進んだ文明の中で自ら働き、 一人暮らししていた前世の自分。
そこには確かに自由があった。
後宮には何人もの側室が暮らし、日々皇帝の寵愛を得ようと水面下で醜い争いを繰り広げていた。
皇帝の寵愛を一身に受けるために。
ケイトはそんな日々にも心を痛めることなく、ただ皇帝陛下を信じて生きてきた。
しかし、前世の記憶を思い出したケイトには耐えられない。命を狙われる生活も、夫が他の女性と閨を共にするのを笑顔で容認する事も。
危険のあるこんな場所で子供を産むのも不安。
療養のため離宮に引き篭るが、皇帝陛下は戻ってきて欲しいようで……?
設定はゆるゆるなので、見逃してください。
※ヒロインやヒーローのキャラがイライラする方はバックでお願いします。
※溺愛目指します
※R18は保険です
※本編18話で完結
(完結)ギャラット王太子様、私を捨てて下さってありがとうございます!
青空一夏
恋愛
王太子妃候補者3人のうちの一人が私、マリアン・ハワード。王太子妃になりたくて必死で努力してきた私には、幼い頃から遊ぶ暇もなかった。けれど王太子ギャラット様は優しく私を励ましてくださった。
「マリアンが一番王太子妃に相応しいと思う。君だけを愛しているよ。未来永劫、俺の愛は変わらない」と。
ところが私は隣国で蔓延していた流行病になぜか感染してしまう。途端にギャラット・ステビア王太子殿下の様子が変わり、
「お前は追放だ、追放! さっさと俺の国から出て行け! おぞましい病原菌を抱えた汚物め! お前など王太子妃になるどころかステビア王国にいることすら汚らわしい!」
一転して私にそう言い放ち、病ですっかり憔悴している私を隣国との国境近くに文字通り投げ捨てさせたのである。
あとから他の王太子妃候補の女性達にも同じような甘い言葉を囁いていたこともわかって・・・・・・ギャラット・ステビア王太子は八方美人の浮気者だったことに気がついたのだった。
ハワード公爵であるお父様は庇ってもくれずに、私をばい菌扱い。
そんな私を救ってくれたのは隣国のロラン・マスカレード王太子殿下。隣国では流行病に対応する特効薬がすでにできていて・・・・・・
※ざまぁ・ゆるふわ設定・異世界
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる