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第1話
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男が一人、走っていた。
無精髭を生やし帽子を深く被った男は、あまり小奇麗とは言いがたい格好の彼には明らかに不似合いな花柄の婦人用バッグを手に、人通りの少ない路地を走り、街並みを駆けてゆく。その背に罵倒を受けながら。誰がどう見ても、男は引ったくり犯だった。
その男は常習犯だった。この街に住んで決して短いわけではないらしく、追っ手を振り切って迷うことなく通りを疾走し、路地を抜けて巧みに人混みに紛れてゆく。
休息日の大通りは人で溢れている。男は追っ手を撒いたことを確認する。何ブロックも離れ通りを二本も渡ってしまえば、誰も男に目を留めなくなる。どこにでもいるようなありふれたごろつきにしか見えないはずだった。
男は足を緩める。それでも早歩きで、周りに目を配りながら自分と獲物の無事を確かめた。
が、彼は突然事前に予定していたルートを外れることを余儀なくされた。行く手に警邏の警官を見止めたためである。仕方なく男は引き返し、大通りに出ると違う横道を目指した。
ところが、そこにも濃紺の制服が見えた。拙い、と男の直感が告げていた。引ったくりの情報は既に警察機関に共有されているのかもしれない。いつになく警官の数が多い。そんな中で目立つ女物のカミュドバッグを提げていては、疑ってくれと言っているようなものだ。一刻も早く人目に付かない場所に行き、中身だけを頂かなくては。
建物と建物の間、飲食店の従業員とごみ収集業者以外は立ち入らない隙間に入り込む。さて一息つける。そう思った瞬間、またも官憲の姿が目に入った。あろうことか、汚い路地裏の向こう側からやって来る。
こうなっては、もはや自分を追い詰めに掛かっているとしか思えなかった。
男はきびすを返して逃げた。走りながら鞄のマグネット留めを外し、中に手を突っ込んで財布を探る。中身さえ奪ってしまえば、残りは捨ててしまって構わないのだ。
しかしそうは巧くいかなかった。すり抜けに使おうと思っていた裏通りには、大人二人分以上の高さの壁が聳え立っていた。
「こんなところに壁なんてあったか……?」
男は腹立ち紛れに呟いて、振り返った。
別の逃走経路を探すために――、そして、動きが止まった。
男のすぐ真後ろに、制帽を目深に被った警官が数名いた。
また、黒い帽子、黒いフード付きマントを被った、やけに小柄な人物も。犯人捕縛の場に似つかわしくないその人物は、手に持った警棒を男に突き付けた。
「堪忍しましたか?」
声色で、それが少女だと分かった。真っ黒なキャスケット帽を被り、左目を長い前髪で隠して警邏の先頭にいる。少女一人なら何とかなる、しかしその後ろに控える三人の警官まではどうにもならない。何と言っても警棒しか持っていない少女と違い、警官は拳銃を所持している。
いくらなんでも、分が悪すぎた。
「お疲れ様でした、マルセル管理官」
到着した応援の巡査長が、少女に声を掛けた。
「犯人が壁に手をつかなくて助かりました、カミュ巡査長」
マルセルと呼ばれた少女ははにかんだ。黒い帽子、黒いマント、黒い服に黒髪と、全身黒ずくめの少女だ。
「壁……とは?」
カミュが首を傾げる。そんなものあっただろうか、と言う風に。
「ああ」
『マルセル管理官』が青い瞳を細めて小さく笑う。
「ぼくの魔法は『対象者』にしか効きませんからね。あなたたちには見えなかったでしょうが、さっきこの裏道は壁で塞がれていたのです。『犯人にとっては』ですが」
「なるほど」
巡査長は得心して頷いた。
「『幻影』ですね。それで奴は何もない道を立ち往生していたわけだ」
「はい。それに、ぼくの後ろにも警察官の幻影を立たせていました。もし犯人が我が身を省みずにこちらに突っ込んできていたら、ぼくもちょっと危なかったかな」
何でもないことのように少女は言う。
「マルセル管理官は火や氷を使って相手に対抗は出来ないのですか」
カミュの問いかけに少女は首肯した。
「はい。ぼくら原始魔法使いは普通魔法を使えません。原始魔法は普通魔法の始祖、謂わば先祖返りのようなものですからね」
「犯人が魔法使いじゃなくて良かったですね」
「魔法使いだったら、引ったくりなんて効率の悪い犯罪に手を染めませんよ」
若い管理官はカミュに答える。
「魔法使いを雇いたい人はごまんといますから。悪い稼業の人は、特に」
捕り物が終わったあと、少女は行きつけの喫茶店に寄ることにした。パラソルが日を遮る店外席が目立つ、広い店だ。平日の午後、客はそれなりに入っている。
名物のコーヒーとビスケットを注文して、少女は席に着いた。
店内から平和な通りを眺めていると、少しして他の客が同じテーブルにやってきた。
「やあ、マルグリト」
『彼』は気安く声を掛ける。
異様なのは、それがいわゆる「ヒト」の姿をしていないことだった。狐面のような細い目に灰色の肌、ぴんと立った耳の下からはシルクのような飾り紐が生えている。黒い外套の下が空虚の空間であることを、マルセル――マルグリト・マルセルは知っている。
「あ、お師匠様の旦那様」
「ファレグでいいよ」
彼はマルグリトの言った通り、彼女の魔法の師匠の夫にあたる。そして誰の目にも明らかなように、ファレグはヒトならざる者、魔物の一種族だった。
「ファレグ様、今日のお仕事は終わりですか?」
「うん。会議は早々に終わってしまったしね。君こそ、さぼっていていいのかな。マルセル一等魔法管理官殿」
「失礼な、休憩ですよ。さっきまでちゃんとお仕事してました。今も『眼球』をひとつ『飛ばし』て町中保安パトロールしてるんですからね」
マルグリトはファレグに左手を見せる。眼球に見立て手のひらに埋め込まれた三つの魔石のうち、ひとつが赤い輝きを失っていた。
「『眼』の原始魔法か……。眼球を自在に操りそれがもたらす視界を把握、あるいは対象者に幻覚を見せる。原始魔法――人間が得た初期の魔法の中でも珍しいものだ。イリーナが君を見出したのもよく解るよ」
イリーナ・ニコラエヴナ・カガロフスカヤ。マルグリトが師事した魔法使いで、ファレグの妻。
「……今日、お師匠様の命日ですよ」
そして、五年前に命を落とした。
ファレグは運ばれてきたコーヒーの匂いを嗅ぎ、首を振った。
「僕たち魔族には誰かが死んだ日を大事にするという習慣はないからね」
魔法から生まれた生き物たちはきわめて冷淡である。魔族の中にあっても魔族を厭い、孤独を好む。人間に混じる者もいるが、少数である。
「君がイリーナの子供なら全力で大事にできるけど、自分の子供だったらと思うとおぞましいなんてものじゃないな」
魔族は人間との交配手段を持たない。長い寿命を持ち、自分の命数を知るまで子供を得ることもない。
「……魔族の人って基本的に同族大嫌いですよね」
それは例え自分の子であっても同様らしい。
「ファレグ様がお参りしてくれたら、お師匠様も喜ぶんじゃないかなあ」
「イリーナは死んでしまった。僕はイリーナの抜け殻には興味がない。お墓参りというものは君だけで行くといい。そこに彼女の魂はないけどね」
ふー、とコーヒーの表面を吹いて冷ましながら、ファレグは皮肉たっぷりに言った。そして続ける。
「ところで、君は本当に彼女を殺した犯人を覚えていない?」
マルグリトの肩が強張った。
「ぼくは」
片手にビスケットを持ったまま、マルグリトはコーヒーの黒い水面を見つめる。
「ぼくは……確かにあの日、その場所にいました。それははっきり覚えています。あの日の天気も、風の強さも、最後にお師匠様と何を食べたかさえ。だけど、お師匠様を殺した犯人が誰なのか、顔も、背格好も何も思い出せないんです。一人だったのか、大勢だったのか。どうしてお師匠様が死んで僕が助かったのか。何にも」
ぱき、と音がしてマルグリトの手の中でビスケットが砕け、皿の上に破片が散らばった。
「僕は願わくばそいつに出てきてほしいね」
マルグリトを労わるでもなく、ファレグは淡々と言った。
「そうしたら僕の手でそいつを殺してくれるのに」
マルグリトが少し笑った。
「仮にも公職に就いている人の言葉じゃありませんね」
「僕は別に『魔法適正使用管理部』なんて抜けたっていいんだ。人間がそんなに嫌いでもないから続けているだけで、惰性のようなものだからね」
人間にはまだ熱過ぎるはずのコーヒーをぐいと飲み干して、
「ま、今は辞める理由もない」
そう呟いた。
無精髭を生やし帽子を深く被った男は、あまり小奇麗とは言いがたい格好の彼には明らかに不似合いな花柄の婦人用バッグを手に、人通りの少ない路地を走り、街並みを駆けてゆく。その背に罵倒を受けながら。誰がどう見ても、男は引ったくり犯だった。
その男は常習犯だった。この街に住んで決して短いわけではないらしく、追っ手を振り切って迷うことなく通りを疾走し、路地を抜けて巧みに人混みに紛れてゆく。
休息日の大通りは人で溢れている。男は追っ手を撒いたことを確認する。何ブロックも離れ通りを二本も渡ってしまえば、誰も男に目を留めなくなる。どこにでもいるようなありふれたごろつきにしか見えないはずだった。
男は足を緩める。それでも早歩きで、周りに目を配りながら自分と獲物の無事を確かめた。
が、彼は突然事前に予定していたルートを外れることを余儀なくされた。行く手に警邏の警官を見止めたためである。仕方なく男は引き返し、大通りに出ると違う横道を目指した。
ところが、そこにも濃紺の制服が見えた。拙い、と男の直感が告げていた。引ったくりの情報は既に警察機関に共有されているのかもしれない。いつになく警官の数が多い。そんな中で目立つ女物のカミュドバッグを提げていては、疑ってくれと言っているようなものだ。一刻も早く人目に付かない場所に行き、中身だけを頂かなくては。
建物と建物の間、飲食店の従業員とごみ収集業者以外は立ち入らない隙間に入り込む。さて一息つける。そう思った瞬間、またも官憲の姿が目に入った。あろうことか、汚い路地裏の向こう側からやって来る。
こうなっては、もはや自分を追い詰めに掛かっているとしか思えなかった。
男はきびすを返して逃げた。走りながら鞄のマグネット留めを外し、中に手を突っ込んで財布を探る。中身さえ奪ってしまえば、残りは捨ててしまって構わないのだ。
しかしそうは巧くいかなかった。すり抜けに使おうと思っていた裏通りには、大人二人分以上の高さの壁が聳え立っていた。
「こんなところに壁なんてあったか……?」
男は腹立ち紛れに呟いて、振り返った。
別の逃走経路を探すために――、そして、動きが止まった。
男のすぐ真後ろに、制帽を目深に被った警官が数名いた。
また、黒い帽子、黒いフード付きマントを被った、やけに小柄な人物も。犯人捕縛の場に似つかわしくないその人物は、手に持った警棒を男に突き付けた。
「堪忍しましたか?」
声色で、それが少女だと分かった。真っ黒なキャスケット帽を被り、左目を長い前髪で隠して警邏の先頭にいる。少女一人なら何とかなる、しかしその後ろに控える三人の警官まではどうにもならない。何と言っても警棒しか持っていない少女と違い、警官は拳銃を所持している。
いくらなんでも、分が悪すぎた。
「お疲れ様でした、マルセル管理官」
到着した応援の巡査長が、少女に声を掛けた。
「犯人が壁に手をつかなくて助かりました、カミュ巡査長」
マルセルと呼ばれた少女ははにかんだ。黒い帽子、黒いマント、黒い服に黒髪と、全身黒ずくめの少女だ。
「壁……とは?」
カミュが首を傾げる。そんなものあっただろうか、と言う風に。
「ああ」
『マルセル管理官』が青い瞳を細めて小さく笑う。
「ぼくの魔法は『対象者』にしか効きませんからね。あなたたちには見えなかったでしょうが、さっきこの裏道は壁で塞がれていたのです。『犯人にとっては』ですが」
「なるほど」
巡査長は得心して頷いた。
「『幻影』ですね。それで奴は何もない道を立ち往生していたわけだ」
「はい。それに、ぼくの後ろにも警察官の幻影を立たせていました。もし犯人が我が身を省みずにこちらに突っ込んできていたら、ぼくもちょっと危なかったかな」
何でもないことのように少女は言う。
「マルセル管理官は火や氷を使って相手に対抗は出来ないのですか」
カミュの問いかけに少女は首肯した。
「はい。ぼくら原始魔法使いは普通魔法を使えません。原始魔法は普通魔法の始祖、謂わば先祖返りのようなものですからね」
「犯人が魔法使いじゃなくて良かったですね」
「魔法使いだったら、引ったくりなんて効率の悪い犯罪に手を染めませんよ」
若い管理官はカミュに答える。
「魔法使いを雇いたい人はごまんといますから。悪い稼業の人は、特に」
捕り物が終わったあと、少女は行きつけの喫茶店に寄ることにした。パラソルが日を遮る店外席が目立つ、広い店だ。平日の午後、客はそれなりに入っている。
名物のコーヒーとビスケットを注文して、少女は席に着いた。
店内から平和な通りを眺めていると、少しして他の客が同じテーブルにやってきた。
「やあ、マルグリト」
『彼』は気安く声を掛ける。
異様なのは、それがいわゆる「ヒト」の姿をしていないことだった。狐面のような細い目に灰色の肌、ぴんと立った耳の下からはシルクのような飾り紐が生えている。黒い外套の下が空虚の空間であることを、マルセル――マルグリト・マルセルは知っている。
「あ、お師匠様の旦那様」
「ファレグでいいよ」
彼はマルグリトの言った通り、彼女の魔法の師匠の夫にあたる。そして誰の目にも明らかなように、ファレグはヒトならざる者、魔物の一種族だった。
「ファレグ様、今日のお仕事は終わりですか?」
「うん。会議は早々に終わってしまったしね。君こそ、さぼっていていいのかな。マルセル一等魔法管理官殿」
「失礼な、休憩ですよ。さっきまでちゃんとお仕事してました。今も『眼球』をひとつ『飛ばし』て町中保安パトロールしてるんですからね」
マルグリトはファレグに左手を見せる。眼球に見立て手のひらに埋め込まれた三つの魔石のうち、ひとつが赤い輝きを失っていた。
「『眼』の原始魔法か……。眼球を自在に操りそれがもたらす視界を把握、あるいは対象者に幻覚を見せる。原始魔法――人間が得た初期の魔法の中でも珍しいものだ。イリーナが君を見出したのもよく解るよ」
イリーナ・ニコラエヴナ・カガロフスカヤ。マルグリトが師事した魔法使いで、ファレグの妻。
「……今日、お師匠様の命日ですよ」
そして、五年前に命を落とした。
ファレグは運ばれてきたコーヒーの匂いを嗅ぎ、首を振った。
「僕たち魔族には誰かが死んだ日を大事にするという習慣はないからね」
魔法から生まれた生き物たちはきわめて冷淡である。魔族の中にあっても魔族を厭い、孤独を好む。人間に混じる者もいるが、少数である。
「君がイリーナの子供なら全力で大事にできるけど、自分の子供だったらと思うとおぞましいなんてものじゃないな」
魔族は人間との交配手段を持たない。長い寿命を持ち、自分の命数を知るまで子供を得ることもない。
「……魔族の人って基本的に同族大嫌いですよね」
それは例え自分の子であっても同様らしい。
「ファレグ様がお参りしてくれたら、お師匠様も喜ぶんじゃないかなあ」
「イリーナは死んでしまった。僕はイリーナの抜け殻には興味がない。お墓参りというものは君だけで行くといい。そこに彼女の魂はないけどね」
ふー、とコーヒーの表面を吹いて冷ましながら、ファレグは皮肉たっぷりに言った。そして続ける。
「ところで、君は本当に彼女を殺した犯人を覚えていない?」
マルグリトの肩が強張った。
「ぼくは」
片手にビスケットを持ったまま、マルグリトはコーヒーの黒い水面を見つめる。
「ぼくは……確かにあの日、その場所にいました。それははっきり覚えています。あの日の天気も、風の強さも、最後にお師匠様と何を食べたかさえ。だけど、お師匠様を殺した犯人が誰なのか、顔も、背格好も何も思い出せないんです。一人だったのか、大勢だったのか。どうしてお師匠様が死んで僕が助かったのか。何にも」
ぱき、と音がしてマルグリトの手の中でビスケットが砕け、皿の上に破片が散らばった。
「僕は願わくばそいつに出てきてほしいね」
マルグリトを労わるでもなく、ファレグは淡々と言った。
「そうしたら僕の手でそいつを殺してくれるのに」
マルグリトが少し笑った。
「仮にも公職に就いている人の言葉じゃありませんね」
「僕は別に『魔法適正使用管理部』なんて抜けたっていいんだ。人間がそんなに嫌いでもないから続けているだけで、惰性のようなものだからね」
人間にはまだ熱過ぎるはずのコーヒーをぐいと飲み干して、
「ま、今は辞める理由もない」
そう呟いた。
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