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第十八話 「元生徒会長2」
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「さぁ、はじめましょうか! そこの男子!」
「その棒切れのままでいいのか? 元生徒会長さん」
棒切れと呼ぶには少したくましい気もするが、それ以外の言い回しが思い浮かばなかった。
「あれ、私の異能のこともしかして知ってるの? なら私が異能を発動させる相手は選んでるってことも知ってるでしょ。まだ君に使うのは早いかな」
と元生徒会長は言った。
不破には何のことかわかっていなかった。異能が何なのか知らなかったが、先ほどの言い回しから棒切れで戦うのは手加減していることのようだ。
なめられたもんだ。なら、異能を発動させなかったことを公開させてやろうじゃねぇか。
既に何のために戦っているかなど、不破には関係なかった。
目の前の女子に勝つこと。それが、今の不破が戦うことになっていた。
「いくぞ」
不破は先手必勝とでもいうように、駆け出す。
元生徒会長が構えているのは、剣道の構え方だ。竹刀ではなく、大きなつまようじだが。
「来なさい」
武器には間合いが存在する。その武器の先が届く範囲に入れば危険であることは不破は理解していた。
だが、そんなこと気にしないとでもいうのだろうか。不破は一直線にフェイントなど混ぜることなく突進を仕掛ける。
「やっぱり、ただの男子ね」
そう彼女は少し残念そうに言った。
間合いに侵入する最短ルートを不破は構わずに通る。
その瞬間、間合いに入った不破目掛けて、つまようじ(大)が襲い掛かる。
先は鋭くとがっているが、すでに不破の体は通過し中央部分が襲おうとしている。鈍器と同じで体は切れることはなく、殴打するよることになるだろう。
だが、不破は襲い掛かる鈍器とかしたつまようじ(大)を避けようとしなかった。
それどころか体に近づいてくるのを待っていたかのように笑った。
「ふん!」
不破に向かい左斜め上より襲い掛かるつまようじ(大)に向かって、不破は体をひねると右こぶしを強く握り固めたパンチを繰り出した。
「え! 武器目掛けて!!」
元副会長だった女子が叫ぶ。
予想外といった顔である。
「ふん、面白いわ!」
不破と相対する元生徒会長は、笑っていた。
不破が武器破壊を選んだ。普通に考えれば武器破壊は武器をメインに戦うもの相手ならよく使用する手。
でも、それは武器を破壊できる硬度と角度が重要だ。今の状況、角度はあったとしても硬度はこちらが上。
今パンチをすれば壊れるのはパンチした側の手であることは間違いないだろう。
それでもそうした不破の行動に笑みが出たのだ。
面白いことをする…それで、壊せるかしら!
「壊せるさ」
不破はまるで、心でも読んでいったかのように呟いた。
その顔には余裕さえ感じられた。
「ありえない」といった表情を浮かべた元生徒会長。
心を読まれたことなのか、壊せるといった余裕の表情になのか、はたまた両方なのか判断できそうにない。
だが、それなんであれ不破には関係なかった。
その時は一瞬の刹那の出来事であった。
激しいぶつかりが音とともにお互いの手に衝撃が走った。
それと同時に宙にまったのは、こなごなに粉塵を出しながら、真っ二つに折れたつまようじ(大)の姿だった……
「その棒切れのままでいいのか? 元生徒会長さん」
棒切れと呼ぶには少したくましい気もするが、それ以外の言い回しが思い浮かばなかった。
「あれ、私の異能のこともしかして知ってるの? なら私が異能を発動させる相手は選んでるってことも知ってるでしょ。まだ君に使うのは早いかな」
と元生徒会長は言った。
不破には何のことかわかっていなかった。異能が何なのか知らなかったが、先ほどの言い回しから棒切れで戦うのは手加減していることのようだ。
なめられたもんだ。なら、異能を発動させなかったことを公開させてやろうじゃねぇか。
既に何のために戦っているかなど、不破には関係なかった。
目の前の女子に勝つこと。それが、今の不破が戦うことになっていた。
「いくぞ」
不破は先手必勝とでもいうように、駆け出す。
元生徒会長が構えているのは、剣道の構え方だ。竹刀ではなく、大きなつまようじだが。
「来なさい」
武器には間合いが存在する。その武器の先が届く範囲に入れば危険であることは不破は理解していた。
だが、そんなこと気にしないとでもいうのだろうか。不破は一直線にフェイントなど混ぜることなく突進を仕掛ける。
「やっぱり、ただの男子ね」
そう彼女は少し残念そうに言った。
間合いに侵入する最短ルートを不破は構わずに通る。
その瞬間、間合いに入った不破目掛けて、つまようじ(大)が襲い掛かる。
先は鋭くとがっているが、すでに不破の体は通過し中央部分が襲おうとしている。鈍器と同じで体は切れることはなく、殴打するよることになるだろう。
だが、不破は襲い掛かる鈍器とかしたつまようじ(大)を避けようとしなかった。
それどころか体に近づいてくるのを待っていたかのように笑った。
「ふん!」
不破に向かい左斜め上より襲い掛かるつまようじ(大)に向かって、不破は体をひねると右こぶしを強く握り固めたパンチを繰り出した。
「え! 武器目掛けて!!」
元副会長だった女子が叫ぶ。
予想外といった顔である。
「ふん、面白いわ!」
不破と相対する元生徒会長は、笑っていた。
不破が武器破壊を選んだ。普通に考えれば武器破壊は武器をメインに戦うもの相手ならよく使用する手。
でも、それは武器を破壊できる硬度と角度が重要だ。今の状況、角度はあったとしても硬度はこちらが上。
今パンチをすれば壊れるのはパンチした側の手であることは間違いないだろう。
それでもそうした不破の行動に笑みが出たのだ。
面白いことをする…それで、壊せるかしら!
「壊せるさ」
不破はまるで、心でも読んでいったかのように呟いた。
その顔には余裕さえ感じられた。
「ありえない」といった表情を浮かべた元生徒会長。
心を読まれたことなのか、壊せるといった余裕の表情になのか、はたまた両方なのか判断できそうにない。
だが、それなんであれ不破には関係なかった。
その時は一瞬の刹那の出来事であった。
激しいぶつかりが音とともにお互いの手に衝撃が走った。
それと同時に宙にまったのは、こなごなに粉塵を出しながら、真っ二つに折れたつまようじ(大)の姿だった……
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