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第十七話   「元生徒会長」

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「さて、始めよう。元生徒会長というあんたの強さを見せてもらおう」

少女の一切の言葉を無視するように不破はメガネを外し出した。
本気を出す。メガネを外すことは不破が、本気で相手をすることを意味していた。

「へぇ、逃げないのね。私が元生徒会長って聞いても逃げないのは、褒めてあげる。でも後悔するよ、君」

元生徒会長。それは、過去にこの学校一強かったということを意味している。
現在の生徒会長は金剛という名前だ。
多分その前に生徒会長をしていた女子だろう。
しかし、不破は恐れない。

「俺の目的は金剛を倒すことだ。元生徒会長のアンタに負けるつもりはない。アンタは金剛よりも弱い奴にはな」

「そ、それは、ウザイことこの上ないわね。金剛……その名前を聞くだけで、思い出す。あの日の事を……」

ふぅ。
元生徒会長は息を吐いた。
心を整える呼吸。

「まぁ、いいわ。金剛に挑むつもりみたいだけど、あんたじゃ無理よ。だって、アンタは私に負けるから」

「負けるつもりは無い。かかってこい!」

「見せてあげるわ私の力(能力)!」

そういうと、手に持ったつまようじをもう1人の女に渡す。

「お願い」
「分かってる」

まるで、いつもそうしているかのように2人は目配せをした。
そして、もう1人の女に渡ったつまようじ。

「ふん」

もう1人の女は、力む。
ブー。
つまようじが光を放ち揺れ始める。
その動きは不自然なもの。光は強まり、周囲を一瞬光に満ち足りる。
神秘的な輝きは大きくなった後、光が消えていく。
光に包まれたつまようじのサイズはその光に比例して大きく、木の棒の大きさに変化を遂げていた。ものを大きくする力。
これが彼女の能力らしい。

「はい、会長」

と大きくなったつまようじを渡す。

「もう私は会長じゃないわ。でもありがとう」

受け取ったつまようじ(大)を握り直す。剣道。
両手でつまようじを竹刀のように構えた。剣道の形。
その姿は素人のものではなく、経験者のものだ。彼女の顔からは真剣さが伝わってくる。構えてから周囲の空気は変わった。気温は下がり、寒く感じる。

「まだ、これからですよ」

その発言を聞き、まだ彼女が能力を使っていないことを気にかける。
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